「悪魔のような制度」自治医大・修学金等3766万円の“一括返済”巡り卒業生の医師が「違憲」主張 大学側は否定し“反訴”予告
大学側は違憲性を否定
この日行われた会見では、被告側の主張の一部について原告側から解説、および反論が行われた。 まず大学側は居住・移転の自由(憲法22条1項)の論点について、私立大学であり、憲法が適用されないと主張。仮に適用されるとしても、私立大学には広い裁量があり、建学の精神が尊重されるとした。 また、A氏の勤務先を指定するのは愛知県であり、大学側は居住・移転の自由を侵害していないとの姿勢を見せた。 一方、伊藤弁護士によると、愛知県側の書面には居住・移転の自由に関する記載が不十分だったといい、今後の訴訟で補充するよう求めていくという。
「われわれの主張との間にボタンの掛け違いが生じている」
続いて、労働基準法16条に関して大学側は「(A氏の)使用者ではない」と説明。使用者はA氏の勤務先である病院、もしくは愛知県だと主張し、同条文は適用されないとした。 「文言に当たらないからといって、直ちに当該条項が適用されないのか、というと、事実関係として、高額な利息と損害金が、ある種の人身拘束的な効果を持っていることからすると、形式的な使用者ではなかったとしても、同条の類推適用が認められる余地があると考えています」(伊藤弁護士) 大学側は「医師免許の取得と大学の業務には関係性がない」との主張も展開。 「過去の複数の判例では、業務関連性がある資格等を取得させて、その費用を労働者に負担させるというのは違法だと示されている一方、『会社に勤めていたひとが、会社の費用で留学し、その後すぐ辞めました』といったケースの場合は業務の関連性がないので、費用を返還する必要があると判断されてきました。 しかし、むしろ自治医大は学生に医師免許を取得させるために、都道府県がお金を出して作った大学であり、大学の設置目的と医師免許の取得の関係性は『大あり』だと考えられます」(同前) 消費者契約法の面についても、大学側は修学金制度について「本件契約は金銭消費貸借契約であり、準委任契約ではないから、義務を加重するものではないし、指定公立病院等で勤務しなかった場合、原則どおり返済をすることを求めるものだ」などと原告側に反論。 この点について伊藤弁護士は「本件契約は単にお金を貸すという契約ではなく、労働した場合には返済の免除をするものになっており、労働という義務が実質的に課せられている」として「われわれの主張との間にボタンの掛け違いが生じている」とした。