新たな陰謀論で火消しも効果ナシ トランプ氏「都合の悪いことは責任転嫁」「独断専行」の傾向は今後も悪化して予測不能に
関税の引き上げの悪影響はこれから
米国経済の雲行きが怪しくなってきている。 今年第2四半期の国内総生産(GDP)速報値は前期比年率で3.0%増加したが、その中身が問題だ。7割を占める個人消費は前四半期の0.5%増から加速したものの、1.4%増にとどまった。3〜4%増で推移した昨年後半からは大幅に減速となる。 【写真】ロングヘアのゴージャス系…傾向がわかりやすい! 「トランプ大統領を支える美女」5人
前四半期の駆け込みの反動で大幅に減少した輸入が成長に寄与したとはいえ、上半期ベースで見ると、成長率は前年同期の半分程度に過ぎない。 関税の引き上げの悪影響が出てくるのもこれからだ。国際商業会議所は7月31日「企業が関税引き上げ前に米国に積み上げた在庫が一掃される第3四半期末にインフレが加速する可能性がある」との分析結果を示した。 個人消費に加えて、住宅市場の不調も心配だ。 ブルームバーグは7月28日、米国の今年春の住宅市場は過去13年で最も低調だったと報じた。住宅価格が高騰しており、若い層を中心に買い控えが広がっているからだ。建築業者はインセンティブを厚くしたものの、功を奏しなかった。
雇用統計に激怒し局長を解任
トランプ大統領はやっとの思いで成立させた大型減税・歳出法を成立させたが、有権者は冷めた見方をしている。FOXニュースが発表した世論調査によれば、58%が減税・歳出法に不満を抱いている。 このような状況を踏まえ、トランプ政権が減税・歳出法に関する広報活動を本格化しようとした矢先、極めて不都合な統計が発表された。労働省が8月1日に発表した7月の雇用統計によれば、5月から7月までの3ヵ月間、雇用者数は月平均3.5万人しか増加していなかった。 これにより、景況感は一気に冷え込み、米国の株式市場が大幅下落した。 自国経済は好調だとする自説に冷や水を浴びせられたトランプ氏は激怒し、労働省労働統計局(BLS)のマッケンターファー局長を解任するという異例の行動に出た。
大統領職と家族のビジネスを混同
都合の悪いことは他者に責任を転嫁するトランプ氏の悪癖が出た形だが、同氏の独断専行ぶりはこれにとどまらない。 トランプ氏は7月29日、スコットランド東部アバディーンの自身が保有するゴルフ場で、スターマー英首相やフォンデアライエン欧州連合(EU)委員長と会談したことが問題となっている。トランプ氏はこれらの会談を使って自らの資産を大々的に宣伝したとして、大統領職と家族のビジネスを混同しているとの批判が高まっている。 だが、トランプ氏は気にするそぶりを見せていない。 ブルームバーグは7月31日、トランプ氏は来年の主要20ヵ国・地域(G20)首脳会議(サミット)の開催地を自身がフロリダ州に所有するゴルフリゾートにすることを検討していると報じた。