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ドキュメンタリーという虚構~「ガイアの夜明け」

虚実のはざまにあるがゆえに問題を起こしやすい、テレビのドキュメンタリー番組について、「ガイアの夜明け」を題材に考えてみました。


炎上の背景にある「成長物語」

今年1月5日、テレ東の「ガイアの夜明け」で、大手ゼネコンが取り上げられました(テレ東公式サイトに概要あり)。社員が遅刻して会議をすっぽかしたシーンがあり、なぜか放送から1か月たってネット上で炎上してしまったんです。

その社員さんだけでなく、上司の人たちも叩かれてしまいました。災難でしたね……としか言いようがありません。

ほとんど言いがかりみたいに叩くネット民にも問題あるけど、実のところ、ドキュメンタリーというジャンル自体が炎上の萌芽をはらんでいる。
元放送作家の長谷川良品さんは、「成長物語」として描こうとするところに問題があると指摘しています。

ダメな面を強調することで落差を作り、その後あたかも成長したかのように見せかけるのだそう。「上げるために下げる」と聞いて、なるほどね、と納得しました。私もクロ現で同じような捏造をされたので。

ダメダメひきこもり主婦→NHKのラジオを夫婦で聴く→夫に理解してもらう→ちょっと元気になる…みたいな。

ぜんぶ嘘っぱちです(怒)

たしかにそういう構成にすると、メリハリ効いて見ごたえがあるんでしょうね。でも、ダメな面を過剰に打ち出されると、今回のゼネコン若手社員みたいに炎上しかねない。

このようにテレビは誇張して報じる傾向があるので、取材を受けた人が理不尽に叩かれるリスクがあります。会社はリスクと引き換えに宣伝効果を得るとしても、個人である社員には負担が大きすぎて、危険です。とはいえ、会社から番組に出演するよう言われたら、断りにくいですよね。

炎上してしまった社員は、会社とテレビ局によって二重に犠牲になったとも言える。このような事件のその後が報じられることは滅多にないけれど、当事者が悲惨な状況に陥っていてもおかしくない。私は最悪のケースをつい考えてしまいます。報道被害というのは深刻なダメージをもたらすので。


テレビ業界の欺瞞と傲慢

ドキュメンタリーとは事実を報じるのではなく物語を描くものだということは、テレビ業界では常識なのでしょう。でも、「それを承知の上で番組を観てほしい」「取材に協力してほしい」というのは、業界人の甘えなのでは?

視聴者がリテラシーを高める努力をするのは必要です。ただ、番組制作側がそれを視聴者に求めるのは筋違いですよね。たとえばこういうケースを想定してみると……

①本物だと言われて買った商品が、偽物だった。
➁店に抗議した。
③店主曰く、「あんたに見る目がないのが悪い」

こういう場合は警察を呼びましょうね。あからさまな詐欺ですから。

無責任な業界人もこれと同じ。いかにも本物らしく見せかけた「物語」で視聴者をけむに巻き、騒ぎになると「リテラシーがない」とか「ネットリンチだ。デマだ」などと責任転嫁をするのです。

なんかだんだん腹が立ってきたぞ……

もし、テレビ業界でそういう認識が一般的であるのなら、詐欺師も顔負けの精神構造じゃないですか? 本物らしく装った偽物を出しておいて、相手がまんまと騙されたら、「騙される方が悪い」というのは……あまりに悪質ですよね。公共の電波を使っておいて、それはないよ!

視聴者のリテラシー

確かに昨今はネットの情報が流通していますから、デジタルネイティブの若年層とかSNSのヘビーユーザーなんかは、テレビ番組が噓八百であることなんかとっくにお見通しだとは思いますよ。ネットの炎上祭りに参加している人たちだって、テレビの嘘をわかった上で、騒ぎを起こしてうっぷんを晴らしてるだけかもしれません。

でもね、それ以外の人たち、たとえばテレビにとって一番のお得意さまである高齢者層はどうでしょう?テレビの言うことを素直に信じる人が、圧倒的に多いと思う。だからこそお得意さまなのです。

そういう人たちに向かって、「騙される方が悪い」と言えますか?リテラシーを高めろだの、そういうものだと思って観ろだのと、お説教できるでしょうか?


放送倫理と人権はどこに消えた?

視聴者と取材協力者を罠にかけるような番組作りは、もうやめてほしいのです。そのような制作態度は、常に人権侵害と紙一重だからです。
先日のフジテレビ番組審議会では、真っ向から人権を否定する驚きの発言が飛び出しました。

いわゆる「放送倫理」に、人権の文字はないのでしょうか? これじゃあ偽物を本物だといつわって報じるのも無理ないですよね。

いっそのことドキュメンタリー番組を放送する際には番組冒頭で、

【これはフィクションです。実話ではありません】

とテロップを入れたらどうかな? ドキュメンタリーは実話だと勘違いして出演者を責めたり、苦情を言ったりする人が減るかもね。事実を報じてくれることを期待して取材を受け、捏造されて貶められるといった被害もなくなるでしょう。

テレビ業界のみなさま、どうかご検討くださいネ♥



★この記事の続編を書きました。「ガイアの夜明け」の問題シーンを詳しく解説しています。ぜひご覧ください!

★「ガイアの夜明け」のアーカイブはテレ東Bizで見ることができます。https://txbiz.tv-tokyo.co.jp/
★TVerでも一部見ることができます。https://tver.jp/series/sr7x3ce7ak


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