日本では「汚染が顕著」ですでに母親の体内に蓄積されているという調査結果も! 新たに規制対象となった物質「PFNA」とは
日本では化学メーカーが製造、周辺で検出
これだけPFNAが多いのは、日本が主要な製造国だからだ。 2007年、京都大学の小泉昭夫教授や原田浩二准教授(当時)らは、PFASの一種でFTOHという物質がどのように広がっているかを調べた。全国33カ所の空気を採取した結果、8:2FTOHが日本の環境中に広く存在していることがわかったという。 このうち8:2FTOHは、フッ素がついている炭素8個と水素がついている炭素2個が結びついた物質で、大気中の化学変化によってPFNAやPFOAなどに変わる。 また、カーペット、ソファ、衣類などさまざまな生活用品の撥水加工にも使われるため、じつは家の中でも高い濃度が測定されているという。6:2FTOHとともに製品をつくる工場周辺にも拡散している。 論文発表から2年後、研究室に1本のメールが送られてきた。差出人は「ジョン・スミス」。肩書きはなく、山田太郎のような仮名とみられる。ジョンは関連する研究を見て、情報提供してきた。 <日本で製造されているPFNAはサーフロンS-111、奇数長のPFCA(注:長鎖PFAS)の混合物です> サーフロンとはAGC(旧旭硝子)が製造する界面活性剤の商品名だ。 小泉教授らの調査では、AGCが工場を構えていた千葉県やダイキン工業淀川製作所に近い大阪市東淀川区などで濃度が高かった、という。
すでに人々の体内に取り込まれていたPFNA
じつは、PFNAは環境中にあふれているだけでなく、すでに人々の体内にも取り込まれている。そればかりか、次世代の健康に影響を及ぶす恐れがあることがわかってきた。 どんな化学物質がどのような影響をこどもの成長に与えるかを長期的に追跡する「エコチル調査」で、国立環境研究所が、汚染がないとみられる全国15地域の母親2万5千人の血液を調べたところ、以下のような結果が出た。
PFNAは、すでに製造・使用が禁止されているPFOAと同じくらい蓄積されていたのだ。そして、染色体異常を引き起こす可能性があることも見えてきた。 信州大学の野見山哲生教授らが、ダウン症候群の原因になる染色体異常との関連について調べたところ、母親の体内でPFAS(7種類)の血中濃度が2倍になると、こどもが染色体異常になる割合が2.25倍に増えると推定できることがわかった。 物質ごとの影響では、もっとも大きいPFOSの2.08倍についで、PFNAが1.81倍と高かった。