コンビニの売り上げは立地で決まる

コンビニの売り上げの7〜8割は立地で決まると言われている。そう考えると、人口が少ないエリアでは先に出店して立地を押さえられれば、その地域の売り上げを独占できるだけでなく、他の大手コンビニの出店をプロテクトできる。前編で触れた稚内市へのローソン出店の成功は、全国の人口過疎エリアの指針となり得る。

都市部では日本全体の人口減によって、すでに各コンビニの過剰出店といわれる状態が続いており、新店舗の出店が年々難しくなっている。人口過疎エリアでの出店は国内における収益を上げられる桃源郷かもしれない。

ローソンが進出できたからといって、同じコンビニ大手のセブン‐イレブンやファミリーマートが北海道の過疎地域へ「後追い」できるかというと、決して容易ではない。今回のローソンは、前編で触れたように、配送回数のこだわりを捨てたことに加え、店舗で出来立ての中食を調理・提供できる「まちかど厨房」の存在が大きかった。

コンビニ店長出身の筆者はセルフレジが導入される前の「まちかど厨房」について、「クソ忙しい現場にさらに負担を強いる愚策だ」と反対の立場だった。ところが、大手コンビニの中でいち早く店内調理のノウハウを構築したことが、今回の稚内を含む道北エリアへの出店につながるとは思ってもいなかった。

セブン、ファミマは店内調理のできる店舗の展開をしていないため物流が止まった時のリスクが高いことや、人口数千人のエリアでの収益性などを考慮すると、同エリアへのすぐの出店は難しいと思われる。

人手不足は都市部よりもさらに深刻

しかしながら過疎部の出店には当然課題もある。

稚内市の2店舗を含む道内10店舗でローソンをFC展開する浅見学オーナー(46)の頭を最も悩ませるのが、パート・アルバイトの確保だ。

「稚内市には大学が一つありますが、大学に進学するほとんどの高校生は卒業後、札幌や関東など、市外に出て行ってしまいます。そのため、都市部の店舗と比べて人手の確保がとても難しいのです」

取材した渡辺さん(左)と、稚内のローソンを支えるスタッフ。右はオーナーの浅見さん
撮影=プレジデントオンライン編集部
取材した渡辺さん(左)と、稚内のローソンを支えるスタッフ。右はオーナーの浅見さん

現在の北海道の最低時給は1010円。都市部のコンビニのパート・アルバイトの時給は、その都道府県の最低賃金にプラス10~20円上乗せした金額が一般的だ。ところが、浅見さんのローソンではそれ以上の金額を上乗せをして募集をかけている。人の集まりにくい深夜・早朝の時間帯には更に上乗せしているが、余裕を持った人繰りができるほど人は集まらないという。

「店舗を出せば出すだけ人手は必要になります。稚内市でもコンビニそのものへの潜在需要はまだまだあるかもしれませんが、人手の面で限界は感じることはありますね」

フランチャイズで複数店舗を経営する浅見さんの場合、どうしても人手の手配が付かないと、都市部の店舗で働く社員に泊まり込みで応援に来てもらうという。

だが、近年のインバウンド需要で稚内市でもホテル代は高騰。筆者が取材で訪れた際も、普通のビジネスホテルの素泊まりで1泊1万5000円を超えた。まさに、人件費やそれに伴う経費の膨張は過疎部のコンビニ経営にとって死活問題なのだ。