「文豪になりきって日記を書かせる」「太宰治とチャットする」「文学作品のレポートを書かせる」などの文学ファンにはたまらない機能を詰め込んだAI「Humanitext Aozora(ヒューマニテクスト青空)」が公開されたので使ってみた
名古屋大学デジタル人文社会科学研究推進センターの岩田直也准教授、桜美林大学の田中一孝准教授、東京大学の小川潤助教らによる「Humanitextプロジェクト」が、青空文庫に含まれる約1000人の著者と約1万7000作品のデータベースに基づいた対話型AIシステム「Humanitext Aozora(ヒューマニテクスト青空)」を発表しました。作品や著者に対する質問に正確な出典付きで返答したり、文豪や作中人物になりきったAIと対話したりできるとのことで、どんなAIシステムになっているのか実際に使って試してみました。
【研究ニュース】AIと日本近代文学が対話する検索システム「Humanitext Aozora」を公開 | DHSS|デジタル人文社会科学研究推進センター
https://dhss.nagoya-u.ac.jp/news/0724_humanitextaozora/
プロジェクトチームはHumanitext Aozoraについて、「本システムは、大規模言語モデル(LLM)と検索拡張生成(RAG)技術を組み合わせることで、研究者、学生、そして文学を愛するすべての人々に、日本近代文学との新たな関わり方を提供します」と述べています。ユーザーは自然な対話を通じて作品について正しい知識を得たり、内容を深く理解したり、複数作品を横断したテーマについて手軽に探求したりできるとのこと。
記事作成時点では、Humanitext Aozoraは以下のページで使うことができます。
Humanitext Aozora - ヒューマニテクスト青空
https://aozora.humanitext.ai/
Humanitext Aozoraには、テキストに関する質問に対して正確な回答や出典を要求する「Q&Aモード」、研究者のように複数の典拠を分析して深い解釈を提供する「詳細解説モード」、文豪や作中人物になりきったAIと対話できる「対話モード」、指定した作家の文体やテーマを模倣して新しい文章を生成する「創作モード」という4つのモードが搭載されています。また、取得する文脈数を指定したり、特定の著者を結果から除外したりすることも可能。
大規模言語モデル(LLM)は「google/gemini-2.5-pro」「openai/gpt-4.1」「openai/o4-mini」「openai/o4-mini-high」の中から選択できます。
入力の前にジャンルや著者を指定すれば、AIが探索する範囲が狭まってより素早い回答が得られますが、指定しなくても使用することは可能です。
今回は実際に、4つの対話モードをそれぞれ試してみました。
◆Q&Aモード
出力モードを「Q&A」に設定します。

画面下部の入力フォームに「梶井基次郎の『檸檬』の舞台はどこですか?」と入力し、「回答を生成」をクリック。

すると、「提供されたテキストによると、舞台は「丸善」の洋書棚の前です。」というやや想定と外れた回答が返ってきました。回答の下にはその根拠となった文献のリストが表示されています。

今度はちょっと質問を変えて再度聞いてみました。すると、物語の舞台は京都の「寺町通」であり、二条通に接した街角であることなども答えてくれました。

典拠のリストをクリックすると、その下に該当部分が表示されます。確かに「檸檬」の作中に「寺町通はいったいに賑かな通りで――と言って感じは東京や大阪よりはずっと澄んでいるが」「もともと片方は暗い二条通に接している街角になっているので」といった文言があるのが確認できます。Humanitext Aozoraは青空文庫の作品群をデータとして取り入れているため、関連する質問であればかなり高い精度で典拠付きの回答を示してくれるのが便利です。

◆詳細解説モード
次は「詳細解説モード」を使ってみます。

「芥川龍之介の晩年の作品に共通するテーマはなんですか?」と入力したところ、堀辰雄や坂口安吾などの批評を基に、まるでレポートのような回答が返ってきました。

末尾には典拠が記されており、青空文庫に収録されているこれらの文献を自ら読むことで、さらに考えを深めることができます。

◆対話モード
続いて「対話モード」を選択。このモードでは、夏目漱石や芥川龍之介といった文豪や、作中の登場人物になりきったAIと自由に対話できるとのこと。

試しに「あなたは太宰治です。どのプロ野球チームのファンですか?」と聞いてみると、「野球、ですか。さあ…どうでしょうな。私はそういう、はつらつとしたものにはどうも縁がなくてね。世間の人々が熱中しているのは知っていますよ。誰それがどうした、この一打がどうしたと、酒場の隅で耳にすることもあります。しかし、どうも私の心には響いてこない。まるで出来合いの風景画を眺めているようで、あまりに見事にまとまりすぎていて、かえって白けてしまうのです。だいたい、私のような男が特定のチームを応援するなんて、滑稽でしょう。きっと、私がひいきにした途端に、そのチームは負けが込むに決まっている。私に関わられたものは、どうもろくなことにならないようですから。ですから、申し訳ないが、ご期待には応えられません。私の頭の中は、もっとどうでもいい、救いようのないことばかりでいっぱいですからね。ええ、本当に…。」と、確かに太宰治っぽくうだうだした答えが返ってきました。

三島由紀夫について聞いてみると、またつかみ所のない回答。こうして会話してみることで、遠い存在だと思いがちな文豪を身近に感じることができます。

◆創作モード
Humanitext Aozoraでは模倣してほしい作家の文体やテーマを指定し、そのスタイルで新しい文章を生成することも可能です。

試しに「芥川龍之介の『羅生門』の続きを、泉鏡花の文体で書いてください。」と伝えると、泉鏡花の美しい文体で下人のその後を描いた創作小説が生成されました。

「太宰治と中原中也が飲み屋でけんかする話を書いてください。」と入力すると、中原中也が太宰治に「おめえの書くもんは、どうにもいけねえ。なんだい、あれは。女々しいんだよ、女々しい。まるで、芸者の繰り言じゃねえか」と絡む話が出力されました。

なお、Humanitext Aozoraは将来的にOpenRouterアカウントを通じたクレジット購入制に移行する予定ですが、「当面の間」はアカウント作成や課金なしで使えるようになっています。
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in レビュー, ソフトウェア, ネットサービス, Posted by log1h_ik
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