からあげクンが1日100個売れる

「店内のキッチンで作った『できたて商品』が他の店舗の2倍以上売れています」

店内レジ横には、ローソンが稚内に進出するきっかけとなったキッチン「まちかど厨房」が併設されており、1回で30合が炊ける超巨大な炊飯器や、親子丼を作るための什器、揚げ物のためのフライヤーなどがある。

厨房には売り場につながる小窓があり、ここから揚げたての唐揚げなどを陳列することができるようになっている。

「まちかど厨房の商品に加えて、特に売れているのがからあげクンです。1日に100個以上売れたこともあります。1人で5、6個をお買い上げになるお客様もいます。おそらく帰ってご家族でお召し上がりになるのでしょうが、これはほかではあまり見ないケースでした」

学校帰りに訪れた高校2年生の男女は、2種類の味のからあげクンを袋に入れていた。

「ローソンができてからは週4でローソンに通っています。甘党なので、デザートなんかもよく買いに来ます」

ほかにも、「Lチキ」もよく売れるという。

「稚内にはケンタッキーのようなフライドチキンを販売するお店があまりありません。その代替としてお買い求めいただいているのでは」と浅見さんは分析する。

まちかど厨房で調理された売れ筋のできたて商品
撮影=プレジデントオンライン編集部
まちかど厨房で調理された売れ筋のできたて商品

稚内進出を可能にした「まちかど厨房」

稚内のローソンには、こうした「自分たちで商品を作ることができる施設」は必須だ。

大手3社のコンビニが今まで稚内に展開できなかったのは、最北端に位置するため配送距離が長くなり、コストがかかることと、特に冬場の天候不良で安定した商品供給ができないと考えられていたからだった。

それを可能にしたのが、この店内にキッチンをビルトインしてしまう発想だ。

稚内に並ぶ商品は、240キロ離れた旭川市の物流拠点からトラックで毎日運ばれている。冬季ともなると、大雪などの影響で物流が止まってしまうことも十分に考えられる。

それに対応するため、稚内のローソンでは、他のローソンと比べて在庫を保管するバックヤードを3割ほど広くした。いざという時は備蓄食材を使って商品を作り、災害時の「棚がスカスカ状態」を回避して営業を続けることを可能にした。

北海道のソウルコンビニであるセイコーマートも「ホットシェフ」という店内調理を展開している。セコマが道民にこよなく愛されるのは、天候不良などで物流が滞り弁当やおにぎり、サンドウィッチが納品されなかった場合でも、店内調理により顧客に中食を提供できることが大きいのだろう。

意外にも、進出してからの2年で、大規模な遅配は1度も発生していないという。そのため、今年6月にオープンした新店舗は通常の店舗と同じ大きさのバックヤードに戻し、トラックによる配送の回数も1日1回から他の道内のコンビニと同じ1日2回に増やしたという。