国立アイヌ民族博物館アイヌ語アーカイブ

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aynu
アイヌ 【名】①人間(神や動物などに対して)。 aynu kotan アイヌ コタン 人間の集落、 アイヌの村。 aynu mosir アイヌ モシㇼ 人間界(神の国に対する)。 ②男(menoko メノコ《女》に対して)。 ③アイヌ(民族名、 sísam シサㇺ《和人》など に対して)。 aynu itak アイヌ イタㇰ アイヌ語。 aynu mosir アイヌ モシㇼ アイヌの国/地 (多く、 北海道を指す)。 aynu cip アイヌ チㇷ゚( 直訳すると)アイヌの舟=丸木舟。 ④(kor コㇿ《…の》のあとに置かれて)おとうさん、 おとうちゃん。 e=kor aynu uymam wa/uymam-repunka エコㇿ アイヌ ウイマㇺ ワ/ウイマㇺレプンカ あなたのとうさんは交易に行って/交易をしに海を越えて行った。(S子守歌) a=kor totto/henoo uwan/pepa=kor aynu/wakka i=kure アコッ トット/ヘノオ ウワオ/ペパコㇿ アイヌ ワッカ イクレ おかあちゃん、 おとうちゃん、 水をください。(W神謡K) ☆参考 用例の子守歌の歌い手のサダモさんは、 父親のことを言うのに、 ふだんは iyapo イヤポ を使い、 「あなたのおとうさん」は e=kor iyapo エコㇿ イヤポ と言う。 神謡の歌い手ワテケさんは、 ふだんは míci ミチ を使い、 「私のおとうさん」は ku=mici クミチ と言う。 {E: ①a human-being. ②a man. ③an Ainu. ④a father.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
aynu
アイヌ §001.ひと(人);人間(1)aynu〔áǐ-nu あイヌ〕⦅H.⦆【常、雅】;⦅S.⦆【雅】①(神に対して)人。②(女に対して)男。③(子に対して)父。④(妻に対して)夫。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
aynu
アイヌ Ⅱ_§002.おとこ(男)(5)aynu〔áǐ-nu あイヌ〕⦅H. S. K.⦆男。〜pahno ko-yaymatuh⦅ニイトイ⦆「一人前の男に成人した」。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
『阿寒国立公園トアイヌノ伝説』 §470 マリモ 毬藻 (2) 山本多助『阿寒国立公園とアイヌの伝説』(p.15)には『トウラサンペ』とある。たぶん「と・ラサンペ」tó-rasampeと書くべきものであろう。toは沼だが、rasampeは未詳。 (出典:知里植物編、方言:)
a=aynukor 1
アイヌコㇿ 【a=aynu-kor】 ①大事にされる、尊敬される.▷ア=それ アイヌ=人 コㇿ=持つ(→アイヌコㇿ=尊敬する) ペウレクㇽ ネ コㇿカ ア・アイヌコㇿ=若者であっても、大事にされなければならない. (出典:萱野、方言:沙流)
a=aynukor 2
アイヌコㇿ 【a=aynu-kor】 ②尊敬されなければならない人、人として大切にされる人のこと. (出典:萱野、方言:沙流)
a=aynukorkur
アイヌコㇿクㇽ 【a=aynu-kor-kur】 大切にされるべき人、尊敬されるべき人.▷ア=それ アイヌ=人間 コㇿ=持つ クㇽ=人 タアンクㇽ アナㇰネ ア・アイヌコㇿクㇽ ネ=この人は、大切にされるべき人だ. (出典:萱野、方言:沙流)
a=aynukorkur
アイヌコㇿクㇽ 【a=aynu-kor-kur】 人として大切にされる人.主として,イヨマンテ(熊送り)の時に祭主として祭を取り仕切ってもらう人をいう.人として,男として最も大切に尊敬される人.▷ア=それ アイヌ=人,人間,男 コㇿ=持つ クㇽ=人(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
a=inususuye
アイヌススイェ 【a=i-nususuye】 私が誘われる,誘惑される. ▷ア=私 イ=それ ヌススイェ=誘われる アイヌススイェ クス アㇻパ アンヒ ネアㇷ゚ クスアイコイパㇰハウェ=私が誘われたので,行ったものであったのに,それで罰を受けるのかい.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
aynu mosir
アイヌ モシㇼ 【名】[人間/アイヌ・国] ①(神の国に対して) 人間の国。 ②(sísam mosir シサㇺ モシㇼ に対して) アイヌの国(多くの場合北海道を指す)。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
aynu neno an aynu
アイヌネノアンアイヌ 【aynu neno an aynu】 人間らしい人間.*貧乏な家の子供に対する励ましの言葉としておとなたちが使う言葉.▷アイヌ=人間 ネノ=らしく アン=ある アイヌ=人間 (出典:萱野、方言:沙流)
aynu-motokor
アイヌモトコㇿ 【自動】[aynu-moto-kor 人間(アイヌ)・起源・持つ] アイヌの起源を持つ。 {E: to have the origins of the Ainu.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
aynu-pákus
アイヌパクㇱ 【間投】[aynu-pa-kus 人間・見つける・ために]いいねえ! aynu-pa-kus mokor wa an アイヌパークㇱ モコㇿ ワ アン いいねえ、 眠っていて。(W) hemanta okkaypo aynu-pákus póho ene pirka siri an hi an! ヘマンタ オッカイポ アイヌパークㇱ ポホ エネ ピㇼカ シリ アニ アン! なんてまあ、 あの若者、 いいねえ、 息子があんなに立派だこと! (S) ☆発音 pa パ の部分を伸ばし、 高く上げて言う。 ☆参考 感心して、 うらやましくて言う。 (出典:田村、方言:沙流)
aynu-ramat
アイヌラマッ 【名】[aynu-ramat 人間・魂] 人間の魂。 {E: the human spirit, soul.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
aynu/aynu(hu) 1
アイヌアイヌ(フ) 【aynu/aynu(hu)】 ①人間,人(神に対しての人間). トアンクㇽ アナㇰネ アイヌ ソモ ネ カムイ ネ ナンコㇿ=あの人は人間ではなく,神だろう. (出典:萱野、方言:沙流)
aynu/aynu(hu) 2
アイヌアイヌ(フ) 【aynu/aynu(hu)】 ②アイヌ民族,アイヌ人(和人やその他の民族に対しての). (出典:萱野、方言:沙流)
aynu/aynu(hu) 3
アイヌアイヌ(フ) 【aynu/aynu(hu)】 ③成人男子.*稀に成人女性を指す場合もある. (出典:萱野、方言:沙流)
aynu/aynu(hu) 4
アイヌアイヌ(フ) 【aynu/aynu(hu)】 ④父(他人からその人の父を指す). エ・コㇿ アイヌ アン?=君のお父さんいる? (出典:萱野、方言:沙流)
aynu/aynu(hu) 5
アイヌアイヌ(フ) 【aynu/aynu(hu)】 ⑤夫(他人に対して妻から夫を指す). ク・コㇿ アイヌ エキㇺネ ワ イサㇺ=うちの人(私の夫)は山へ行ってしまった. (出典:萱野、方言:沙流)
aynua
アイヌア §448.すわる(座る)(5)あぐら aynu-a〔áǐ-nu-a あイヌ・ア〕[男の・座り方]⦅ホロべツ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
aynua(an-)ki
アイヌアキ §448.すわる(座る)(6)あぐらをかく aynu-a(an-)ki〔áǐ-nu-a-ki あイヌア・き〕[男の座り方を・する]⦅ホロべツ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
aynuamam
アイヌアマㇺ 【aynu-amam】 ヒエ,アワ,イナキビの総称,穀物. *ユカㇻの中にもイユタ(搗き物をする)のシーンに出て来るのでかなりアイヌアマㇺとアイヌの関わりは古いと思われる.昭和30年頃までは日常的に食べていた.▷アイヌ=人間 アマㇺ=穀物 (出典:萱野、方言:沙流)
aynuamam
アイヌアマㇺ §401 ヒエ (2) aynu-amam (áy-nu-a-mam)「あイヌ・アマㇺ」[アイヌの・穀物] 種子 ⦅幌別、平取⦆ (出典:知里植物編、方言:)
aynuamam
アイヌアマㇺ §402 アワ 粟 (1) aynu-amam (áy-nu-a-mam)「あイヌ・アマㇺ」[→注1] 子実 ⦅幌別、沙流⦆ (出典:知里植物編、方言:)
aynucieiyannup
アイヌチェイヤンヌㇷ゚ 【aynu-ci-e-i-yannu-p】 馬鹿〔悪口〕.▷アイヌ=人間 チェイヤンヌㇷ゚=役に立たないもの (出典:萱野、方言:沙流)
aynucip
アイヌチㇷ゚ 【名】[aynu-cip アイヌ・舟]丸木舟(=aynu cip アイヌ チㇷ゚)。 aynucip o アイヌチㇷ゚ オ 丸木舟に乗る/丸木舟をこぐ。 ☆参考 pencay ペンチャイ 弁財船(和人の交易の貨物船)。 rokuntew ロクンテウ 和人の客船。 {E: a canoe.} (出典:田村、方言:沙流)
aynucupye
アイヌチュㇷ゚イェ 【aynu-cup-ye】 アイヌの月数え.*1か月早かったり遅かったりする場合があるので注意.▷アイヌ=アイヌ民族(の) チュㇷ゚=月(の) イェ=言い方 (出典:萱野、方言:沙流)
aynuesisi
アイヌエシシ 【aynu-esisi】 人を避ける,人と会いたがらない,人嫌い(である).▷アイヌ=人 エシシ=〜を避ける,避けている アッチェウン アチャポ サケフラ ルイ ペ ネ クス アイヌエシシ=よそのおじさんは酒のにおいがプンプンするものだから人を避けている. (出典:萱野、方言:沙流)
aynueynupitara
アイヌエイヌピタラ 【aynu-eynupitara】 人をじゃまに思う(客に対し,早く帰ってほしいと思う).▷アイヌ=人 エイヌピタラ=それをじゃまに思う アイヌエイヌピタラ ノイネ ウナㇻペ トゥイマノックㇱ=人をじゃまに思ったらしく,おばさんはプンとしてあちらを向いた. (出典:萱野、方言:沙流)
aynuhaw
アイヌハウ 【aynu haw】 人の声.▷アイヌ=人 ハウ=声 エソイネ アイヌハウ ク・ヌ=外で人の声がするのを私は聞いた. (出典:萱野、方言:沙流)
aynuhosi
アイヌホシ 【aynu hosi】 人と反対に:背を向けて立つ. アイヌトゥカㇷ゚ アナㇰネ アイヌホシ アㇱ ワ イタㇰ ペ ネ ヤカイェ(ヤㇰ ア・イェ)=人間の亡霊は生きている人と反対に立って話をするものだそうだ. (出典:萱野、方言:沙流)
aynuhu
アイヌフ 【名】[所](概は aynu アイヌ) [aynu-hu 人間・(所属語尾)] 人間(nep ネㇷ゚ の後に置かれる形)。 asinuma anak nep aynuhu hene a=ne ruwe ka somo ne アシヌマ アナㇰ ネㇷ゚ アイヌフ ヘネ アネ ルウェ カ ソモ ネ (民話の引用文で)私はなんという人間でもない=ただの人間ではない。 ☆参考 人間の姿になって地上に暮らしている神がほかでもない…と言って名のるときの表現で使われる形。 {E: a human-being.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
aynuhum
アイヌフㇺ 【aynu hum】 人の音.▷アイヌ=人 フㇺ=音 ニタイ トゥムン(トゥㇺ ウン) アイヌフㇺ ク・ヌ ペコㇿ=林の中で人の音を聞いたような.*狩猟の世界では,音,足音で何の気配かを知る. (出典:萱野、方言:沙流)
aynuhuttap
アイヌフッタㇷ゚ §012 サメガスベ (4) aynu-huttap (áy-nu-hut-tap)「あイヌフッタㇷ゚」[<aynu(アイヌ)huttap(カスベ)] 成魚 ⦅白糠⦆ (出典:知里動物編、方言:)
aynuhuttap
アイヌフッタㇷ゚ §012 サメガスベ (9) aynu-huttap (áy-nu-hut-tap)「あイヌフッタㇷ゚」[もとay-nu-huttap(とげ・もつ・えい)、後にaynu(アイヌ・えい)の意に俗解された] ⦅白糠⦆ちょうかすべ (出典:知里動物編、方言:)
aynuikaras
アイヌイカラㇱ 【aynu-ikaras】 惜しい人. アイヌイカラㇱ ア・レポカㇻ ヤㇰ ア・イェ.タㇷ゚イキ クㇽ オナハ カ ア・レポカㇻ ペ ネ ア ㇷ゚=惜しい人が沖で死んだそうだ.今亡くなった人の父親も海で死んだものであったのに.アイヌイカラㇱ ウェンシイェイェ ヘネ キ シリ ネ ノイネ イポロホ カ ウェン=惜しい人が悪い病気にかかったらしく顔色も悪い.アイヌイカラㇱ ケㇱト イク ア イク ア,ウトゥル アン コㇿ ホッケ ワ パテㇰ アン ウェンクㇽ ネ ㇷ゚ ネ クス ア・オラㇺサッカ=惜しい人が毎日酒を飲んでばかりいて,その間に寝てばかりで貧乏なものだから軽蔑される.ソンノ エネ パウェトㇰコㇿペ ポンノ イク コㇿ チカトゥンカトゥン ア・オラㇺサッカ ノ イキ シリ アイヌイカラㇱ=本当にあのように雄弁な人が少し酒を飲むとおだって馬鹿にされるようなことをするものだ,惜しい人だ. (出典:萱野、方言:沙流)
aynuipe
アイヌイペ 【aynu-ipe】 アイヌ的な食べ方. *その昔は,と言っても,100年以上も古い時代は肉とか魚が主食であったでしょう.私が子供の頃に,というと昭和10年前後,肉汁とか魚汁を食べた後にご飯が出て来ると,これが本当のアイヌイペ(アイヌ的な食べ方)といっていたのを聞いたものであった.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
aynukar
アイヌカㇻ 【自動】[aynu-kar 人間・をつくる](創造神が)人間をつくる(=aynu kar アイヌ カㇻ)。 {E: (for a creator god) to create a human being.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
aynukasumpe
アイヌカスンペ §012 サメガスベ (1) aynu-kasumpe (áy-nu-ka-sum-pe)「あイヌカスンペ」[<ay-nu-kasumpe(とげ・もつ・エイ)] ⦅幌別⦆ (出典:知里動物編、方言:)
aynukaysey(-e)
アイヌカイセイ §387.したい(死体);死骸(16)人間の死体 aynu-kaysey(-e)〔áǐ-nu-kaǐ-seǐ あイヌカイセイ〕[aynu(人間)+kaysey(死体)]⦅サル⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
aynukonno
アイヌコンノ 【後副】[aynukor-no…を 敬い従う・(副詞形成)] …を敬い従って(「まてえにして」)。 (出典:田村、方言:沙流)
aynukor
アイヌコㇿ 【他動】[aynu-kor (立派な)人間/男・を持つ] …を尊敬/尊重する、 …に敬い従う(「まてえにする」)。 {E: to show respect to someone} (出典:田村、方言:沙流)
aynukor
アイヌコㇿ 【aynu-kor】 尊敬する. →アアイヌコㇿ (出典:萱野、方言:沙流)
aynukotan
アイヌコタン 【aynu-kotan】 アイヌの村. *シネチセ(1軒の家),トゥチセ(2軒の家),レチセ(3軒の家).そしてイネチセ(4軒の家)が集まればコタンを形成するといわれる.▷アイヌ=人 コタン=村 (出典:萱野、方言:沙流)
aynukoyki
アイヌコイキ 【自動】[aynu-koyki 人間・を襲う] 人間を襲う、 人に悪事をする。 {E: to attack, assault someone} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
aynukur
アイヌクㇽ 【名】[aynu-kur 人間・影] 人影、 人の姿、 遠くから見える人間らしい形。 {E: a human shadow.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
aynukur(-i)
アイヌクㇽ §188.かげ(影)(3)影法師 aynu-kur(-i)〔áǐ-nu-kur あイヌ・クㇽ〕[人・影]⦅H. 一般⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
aynukur/aynukuri(hi)
アイヌクㇽ/アイヌクリ(ヒ) 【aynu-kur/-kuri(hi)】 人影.▷アイヌ=人 クル=影 アパサムン(アパ サㇺ ウン) アイヌクリヒ ク・ヌカㇻ=戸口の前に人影を私は見た. (出典:萱野、方言:沙流)
aynukurmam(-a)
アイヌクㇽマㇺ §188.かげ(影)(4)影法師 aynu-kurmam(-a)〔áǐ-nu-kur-mam あイヌ・クㇽマム〕[人・影]⦅ホロべツ⦆【雅】 (出典:知里人間編I、方言:)
aynukursey(-e)
アイヌクㇽセイ §387.したい(死体);死骸(17)人間の死体 aynu-kursey(-e)〔áǐ-nu-kur-seǐ あイヌクㇽセイ〕[aynu(人間)+kursey(死体)]⦅サル⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
aynukursey(-e)
アイヌクㇽセイ §481.たましい;霊魂(24)aynu-kursey(-e)〔áǐ-nu-kur-seǐ あイヌ・クㇽセイ〕[aynu(人間)+kur(魂)+se(負う)+i(もの)]⦅サル、ニイカップ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
aynumosir 1
アイヌモシㇼ 【aynu mo-sir】 ①人間の国.▷アイヌ=人間 モ=静かな シㇼ=土地 オキクㇽミ カムイ アナㇰネ カムイモシㇼ ワ アイヌモシルン(アイヌモシㇼ ウン) エㇰ カムイ ネ ワ=オキクㇽミカムイは神の国から人間の国へ来た神様だよ. (出典:萱野、方言:沙流)
aynumosir 2
アイヌモシㇼ 【aynu mo-sir】 ②アイヌ民族の国土. タネ ホッカイドウ セコㇿ ア・イェ ポロ モシㇼ アナㇰネ テエータ ワノ アイヌモシㇼ ネ ルウェ ネ=現在北海道と言われている大きな島は,ずっと昔からアイヌの国土なのだよ. (出典:萱野、方言:沙流)
aynunisuk
アイヌニスㇰ 【aynu-nisuk】 人頼みをする.▷アイヌ=人 ニスㇰ=頼む (出典:萱野、方言:沙流)
aynunumke
アイヌヌㇺケ 【aynu-numke】 人選び(をする),選り好みする.▷アイヌ=人 ヌㇺケ=選ぶ アイヌヌㇺケㇷ゚ ネ クス マッ カ サㇰノ オンネ オアシ=人選びをするものだから,妻もなく年をとりはじめてしまった. (出典:萱野、方言:沙流)
aynuopitta
アイヌオピッタ 【aynu opitta】 人は皆.▷アイヌ=人 オピッタ=皆,全て フンペ ヤン ヤㇰ ア・イェ アクス アイヌオピッタ ホユッパ ワ イサㇺ=鯨が上がったと言うので,人は皆走って行ってしまった. (出典:萱野、方言:沙流)
aynupannacirapisone
アイヌパンナチラピソネ 【aynu-panna-cirapi-so-ne】 人間の上半身が空から降って広がったように . ▷アイヌ=人間 パンナ=上半身 チラピ=それが落ちる ソ=座 ネ=なる *ユカㇻに出て来る一場面で,ポンヤウンペが戦いの場で相手の者どもを斬りまくる.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
aynuparaki
アイヌパラキ §204 ダニ (7) aynu-paraki (áy-nu-pa-ra-ki)「あイヌパラキ」[<aynu(人)paraki(ダニ)] ⦅美幌⦆ (出典:知里動物編、方言:)
aynupata
アイヌパータ 【aynu pa ta】 いいなあ,羨ましいなあ,私もあのようになりたいなあ(感嘆の言葉). アイヌパータ!ニㇱパ ネ クス トイェヘ ピㇼカ=いいなあ,裕福な人だから畑の出来もよい.アイヌパータ!ピㇼカ マッ コㇿ ワ ピㇼカ チセ アシ ケイコイトゥパ(ク・エイコイトゥパ)!=いいなあ.きれいな奥さんと結婚して,立派な家も建てて,羨ましい!ソンノ ク・カㇻクフ ピカンピカン シリ ク・ヌカㇻ コㇿ アイヌパータ ペウレパ ワ!シコㇿ ク・ヤイヌ=本当に私の甥の敏捷な動きを見ると,いいものだなあ,若い者たちは!と私は思う. (出典:萱野、方言:沙流)
aynupewrep
アイヌペウレㇷ゚ 【aynu pewre-p】 人間熊:熊送りの後で,解いた縄を人に結びつけて熊の真似をする遊び. (出典:萱野、方言:沙流)
aynupito
アイヌピト §001.ひと(人);人間(2)aynu-pito〔áǐ-nu-pi-to あイヌピト〕⦅ホロべツ、サル⦆【雅】人間。[aynu(人)+pito(人)] (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
aynupuri
アイヌプリ 【aynu-puri】 人の習慣,アイヌ風.▷アイヌ=人,アイヌ民族 プリ=習慣,風習,やり方 アイヌプリ アニ シンヌラッパ ヤㇰ ア・イェ=アイヌのやり方で先祖供養を行なったということだ.ウトㇺヌカㇻ シサㇺプリ ソモ キ パ ノ アイヌプリ アニ キ パ ヤㇰ ア・イェ=結婚式を和人風ではなくて,アイヌ風に行なったそうだ. (出典:萱野、方言:沙流)
Aynurakkur
アイヌラックㇽ 【名】[< aynu-rak-kur 人間・っぽい・人(=神)][固有名]アイヌラックル(人間の始祖である神の子の呼び名)。 e=rekor katu/Aynurakkur/e=ne ruwe ne エレコㇿ カトゥ/アイヌラックㇽ/エネ ルウェ ネ [雅]あなたの呼び名はアイヌラックルというのです。(Sユーカラ) ☞rak ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
aynurakkur
アイヌラックㇽ 【aynu-rak-kur】 オキクㇽミカムイの別名.▷アイヌ=人間(の) ラㇰ=味(がする) クㇽ=人→人間の味がする人 (出典:萱野、方言:沙流)
aynuramat(c-i)
アイヌラマッ §481.たましい;霊魂(18)幽霊;人魂 aynu-ramat(c-i)〔áǐ-nu-ra-mat あイヌ・ラマッ〕[aynu(人)+ramat(魂)]⦅ホロべツ、チカブミ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
aynuraykepsani
アイヌライケㇷ゚サニ §016.子孫(11)aynu-raykep-sani〔áǐ-nu-raǐ-kep-sa-nì あイヌライケㇷ゚サニ〕⦅ホロベツ⦆人殺しの子(孫)。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
aynuraykeupas
アイヌライケウパㇱ 【aynu-ray-ke-upas】 人殺し雪. ▷アイヌ=人 ライケ=殺す ウパㇱ=雪 *昭和10年前後のこと,私の祖母テカッテが,夜外へ出て寒さと雪の様子を見て,スイ ネイタカ アイヌライケウパㇱネスン=またどこかで人を殺している雪であろう,と言いながら入って来ると,次の日は必ずのようにどこそこで凍死者が出たという話が聞こえて来たものであった.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
aynuraytukap
アイヌライトゥカㇷ゚ 【aynu ray-tukap】 亡霊.▷アイヌ=人(の) ライ=死んでいる トゥカㇷ゚=幽霊 セタ ミㇰ ヒ アナㇰネ アイヌライトゥカㇷ゚ カリ シㇼ ソモ ネ ウン?=犬が吠えるのは亡霊が徘徊しているからではないか? (出典:萱野、方言:沙流)
aynusacir
アイヌサチㇼ §326 エゾヤマセミ (2) aynu-sacir (áy-nu-sa-čir)「あイヌサチㇼ」[<?] ⦅屈斜路⦆ (出典:知里動物編、方言:)
aynusacirkamuy
アイヌサチㇼカムイ §326 エゾヤマセミ (3) aynusacir-kamuy (áy-nu-sa-čir-ka-muy)「あイヌサチㇼカムイ」 ⦅美幌、屈斜路、足寄、高島⦆ (出典:知里動物編、方言:)
aynusamampe
アイヌサマンペ 【aynu-samampe】 サメガレイ〔魚〕.▷アイヌ=アイヌ民族の サマンペ=カレイ,ヒラメ (出典:萱野、方言:沙流)
aynusamampe
アイヌサマンペ §048 サメガレイ (2) aynu-samampe (áy-nu-sa-mam-pe)「あイヌサマンペ」[ay(とげ)nu(もつ)samampe(カレイ)] 成魚 ⦅長万部、虻田⦆ cf. 長II, 41 (出典:知里動物編、方言:)
aynusamanpe
アイヌサマンペ 【名】[aynu-samanpe アイヌ・カレイ][動物]カレイの一種。 「背中ガッシガシ、 サメガレイ」。(S)〔知分類 p.22 サメガレイ〕 {E: a type of flatfish} (出典:田村、方言:沙流)
aynusani
アイヌサニ 【aynu-sani】 アイヌの血統.▷アイヌ=人 サニ=血統 アイヌサニ ネ ノイネ ラチュン(ラチウウン) カトゥ チャㇱナタラ=アイヌの血統であるらしく,眉の様子がすっきりしている.*サニには,血統のほか子孫,末窩などの意もある. (出典:萱野、方言:沙流)
aynusanikir/aynusanikiri(hi)
アイヌサニキㇼ/アイヌサニキリ(ヒ) 【aynu-san-ikir/-ikiri(hi)】 アイヌの子孫.▷アイヌ=アイヌ サン=出る イキㇼ=列 トアン ポンメノコ アイヌサニキㇼ ネ ノイネ シノ ピㇼカ メノコ ネ=あの娘はアイヌの子孫らしく,本当にきれいな娘だ. (出典:萱野、方言:沙流)
aynusantek/aynusanteke(he)
アイヌサンテㇰ/アイヌサンテケ(ヘ) 【aynu-san-tek/-teke(he)】 アイヌの血統.▷アイヌ=人 サン=出る テㇰ=手 アイヌサンテㇰ ネ クス パウェトㇰコㇿ=アイヌの血統だから雄弁だ. (出典:萱野、方言:沙流)
aynusatcir
アイヌサッチㇼ §326 エゾヤマセミ (1) aynu-satcir (áy-nu-sat-čir)「あイヌサッチㇼ」[<aynu(人間)satcir(?)] ⦅静内⦆ (出典:知里動物編、方言:)
aynusir
アイヌシㇼ 【名】[aynu-sir 人間・様子] ゆうれい(幽霊)。 aynusir yayeoske アイヌシㇼ ヤイェオㇱケ 幽霊が出る。(S) ☆参考 守り神が悪いから早く死んだが、 守り神があの世へ一緒に行けなくて、 死者の魂みたいになって、 死んだだれそれだとうそを言って出てくる。(S) {E: a ghost.} (出典:田村、方言:沙流)
aynusitcir
アイヌシッチㇼ 【名】[aynu-sir-cir 人間・様子・鳥][動物]「鳥の名、 何どりか不明。」aynusitcir kamuy アイヌシッチㇼ カムイ 「kamuyukar カムユカㇻ《神謡》に出てくる。」 (S)〔知分類になし〕 {E: the name of a bird (unknown).} (出典:田村、方言:沙流)
aynusitoma
アイヌシトマ §660.ひとみしりするaynu-sitoma〔áǐ-nu-ši-to-ma あイヌ・シトマ〕[人を・恐れる]⦅ホロベツ、クッシャロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
aynutantaka
アイヌタンタカ §048 サメガレイ (3) aynu-tantaka (áy-nu-tan-ta-ka)「あイヌタンタカ」[ay(とげ)nu(もつ)tantaka(カレイ)] 成魚 ⦅白糠⦆ (出典:知里動物編、方言:)
aynutopa/aynutopa(ha)
アイヌトパ/アイヌトパ(ハ) 【aynu-topa/-topa(ha)】 人の群れ,群衆,群がり集まった人々.▷アイヌ=人(の) トパ=群れ タント チㇷ゚サンケ エトホ ネ クス アイヌトパハ ウウェカㇻパ=今日は舟おろし祭りの日だから大勢の人々が集まった. (出典:萱野、方言:沙流)
aynutukap
アイヌトゥカㇷ゚ 【名】[aynu-tukap 人間・(?)] ゆうれい(幽霊)。 (出典:田村、方言:沙流)
aynutukap
アイヌトゥカㇷ゚ 【aynu-tukap】 幽霊,化けた人間,人が化けた幽霊.*悪口としても使われる.▷アイヌ=人 トゥカㇷ゚=幽霊 (出典:萱野、方言:沙流)
aynutukap(-i)
アイヌトゥカㇷ゚ §481.たましい;霊魂(20)死後迷って歩く霊魂;幽霊 aynu-tukap(-i)〔áǐ-nu-tu-kap あイヌ・トゥカㇷ゚〕[aynu(人)+tukap(幽霊)]⦅ホロべツ、サル⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
aynutura
アイヌトゥラ 【自動】[aynu-tura 人間・と連れ立つ] 人と連れだつ。 {E: to go together.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
aynuuhoppa
アイヌウホッパ 【aynu-u-hoppa】 出発前に妻をなぐること. ▷アイヌ=人 ウ=互い ホッパ=残す,置く *長い間夫が留守にして仕事に出る場合,あるいは狩りに行く時に妻が夫のことをあまり思わないようにするために,出発前に妻に難癖をつけてなぐること.そうすると,妻は夫のことを,あんな親父め,熊に食われて死んでしまえ,と思っているうちに日が経ち月が過ぎて,夫が元気で帰ってくる.すると,あんらまあお帰りなさい,ということになる.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
aynuuttap
アイヌウッタㇷ゚ §012 サメガスベ (3) aynu-uttap (áy-nu-ut-tap)「あイヌウッタㇷ゚」[<ay(とげ)nu(もつ)*uttap(エイ)] ⦅浦河⦆ (出典:知里動物編、方言:)
eaynukoyki
アイヌコイキ 【他動】[e-aynu-koyki …で・人間・を襲う]…で人を襲う。 ☆参考 このままの形では未出。 複数形語尾 -pa パ を伴って出てきた。 ☞eaynukoykipa エアイヌコイキパ (出典:田村、方言:沙流)
eaynukoykipa
アイヌコイキパ 【他動】[複](単複の区別のない eaynukoyki エアイヌコイキ の用例は未出) …で人を襲う。 eponcisearipa wa kasi oyoko, ne wa an pe po hene eaynukoykipa piske kus pe kimke kus pe koma utaspa エポンチセアリパ ワ カシ オヨコ、 ネ ワ アン ペ ポ ヘネ エアイヌコイキパ ピㇱケ クㇱ ペ キㇺケ クㇱ ペ コマ ウタㇱパ 小屋をつくって(妹を)住まわせて見張っており、 そうやってなおいっそう人を襲い、 浜手の方を通る人も山手の方を通る人も襲ってものを取る。(NK民話) {E: to tease, bully someone over…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
ipehumikaraaynu
イペフミカラアイヌ §689.へんしょく(偏食)(4)他人の食べている物を食いたがって食えないと病人のようになる性癖の人ipe-humi-kara-aynu〔i-pé-Fu-mi-ka-rá-aǐ-nu イ舳・フミ・カら・アイヌ〕[ipe(食物)+humi(の音)+kara(つくる、なす)+aynu(人);食物について騒ぎ立てる人の意か]⦅ウソロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
itakeriskeaynu
イタケリㇱケアイヌ §155.おし(唖・唖者)(7)唾者 itakeriske-aynu〔i-tá-ke-riš-ke-aǐ-nu イたケリㇱケアイヌ〕[itak(物言う)+e(について)+riske(?)+aynu(人)]⦅マオカ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
iwan aynu ikiri eposo ekasi
イワン アイヌ イキリ エポソ エカシ 【iwan aynu ikiri e-poso ekasi】 物知りのおじいさん。▷イワン=6 アイヌ=人 イキリ=列、縫い目 エ=それ ポソ=潜る エカシ=老人、男の年寄り→人間6代を生きた老人、物知りとして大切にされる。 (出典:萱野、方言:沙流)
kiraaynu
キラアイヌ 【kira-aynu】 失跡者. (出典:萱野、方言:沙流)
kusurikaraaynu
クスリカラアイヌ §084.いしゃ(医者)(2)kusuri-kara-aynu〔ku-sú-ri-ka-ra-aǐ-nu クすリカラアイヌ〕[薬・作る・人]⦅ウソロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
menokoaynu
メノコアイヌ §003.おんな(女)(8)menoko-aynu〔me-nó-ko-aǐ-nu メのコアイヌ〕⦅サル⦆【雅】女。(→ユ研Ⅱ, p.475)。[(女・人)]。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
onneruaynu
オンネルアイヌ §008.老翁(10)onne-ru-aynu〔ón-ne-ru-aǐ-nu おンネルアイヌ〕⦅シラウラ⦆老人;老翁。[<onne-ruy-aynu(老い・すぎている・人)]。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
paporoaynu
パポロアイヌ §008.老翁(11)pa-poro-aynu〔pá-po-ro-aǐ-nu ぱポロアイヌ)⦅クッシャロ、シラウラ⦆老翁;老爺。[(年・多い・人)]。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
poikoni ohoro aynu
ポイコニ オホロ アイヌ §347.産―難産[する](3)難産に苦しむ女 po-ikoni ohoro aynu〔pó:-i-ko-ni|o-hó-ro|áǐ-nu ぽーイコニ・オほロ・あイヌ〕[陣痛・久しい・人]⦅ウソロ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
poroaynu
ポロアイヌ Ⅱ_§002.おとこ(男)(8)poro-aynu〔po-ró-aǐ-nu ポろアイヌ〕⦅カラフト⦆①おとな。②おとなの男。[poro(大きい、親である)、aynu(人、男)]。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
rupneaynu
ルㇷ゚ネアイヌ Ⅱ_§002.おとこ(男)(9)rupne-aynu〔rúp-ne-aǐ-nu るㇷ゚ネアイヌ〕⦅ホロべツ⦆①おとな。②おとなの男。pon〜「小男」⦅神謡集, p.68;ユ研Ⅰ, p.164⦆。③中年の男。[rupne(大きい)、aynu(人、男)]。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
rupneaynu
ルㇷ゚ネアイヌ §019.父(20)rupne-aynu〔rúp-ne-aǐ-nu るㇷ゚ネアイヌ〕⦅チカブミ⦆【雅】父親。"esi-〜"「汝らの父親」。[rupne(大きい)+aynu(男)]。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
uaynukor
アイヌコㇿ ☞uwaynukor ウワイヌコㇿ (出典:田村、方言:沙流)
uriwahneaynu
ウリワㇵネアイヌ §022.きょうだい(兄弟姉妹)(14)uriwahne-aynu〔u-rí-wah-ne-àǐ-nu ウりワㇵネアイヌ〕⦅シラウラ⦆兄弟。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
uweaynu
ウウェアイヌ 【u-e-aynu】 人食い人種.▷ウ=互いに エ=〜を食べる アイヌ=人間 ウウェペケㇾ オッタ(オㇿ タ) ウウェアイヌトノ セコㇿ ア・イェ ㇷ゚ アナㇰネ ナヌフ アㇻケ クンネ ㇷ゚ ネー セコㇿ ネ ア ワ=昔話の中では人食い人種殿は顔の半分が黒いものだと言われるものであった.*人食い人は顔の半分が黒いものだというふうに普通のアイヌと全く違うと想像していた. (出典:萱野、方言:沙流)
『フスペ』 §237 アイヌワサビ (5) 『フスペ』 ⦅F樺太⦆ (出典:知里植物編、方言:)
『チカップリヤキナ』 §274 エゾノハマアカザ (1) 概報(G、p.33)に、Chikap-riyakina『チカップリヤキナ』、とあり、植物誌(E、p.378)に、『チカップリヤキナ』(樺太アイヌ名)とある。樺太アイヌ語だとすると、cikáh-riyakina、と普通には発音されたであろう。cikáh(
『ヲタクナエエンキキナ』 §278 オカヒジキ (2) 植物誌(E、p.380)には、ほかに、『ヲタクナエエンキキナ』(樺太アイヌ名)と出ている。これは明らかに「オたクナイェンケキナ」otákun-ayenkekinaで、otakun
『エムン』 §278 オカヒジキ (3) 植物誌(E、p.380)には、なお、『エムン』(北見アイヌ名)ともある。e-mun“食う・草”の義か。 (出典:知里植物編、方言:)
-ot 2
オッ 【他動語根】[名詞の後について自動詞をつくる。] ①(体の分泌物を表す語について)…がたまる/たまっている。 kem ケㇺ 血;kemot ケモッ 血がたまっている。 ye イェ 膿;yeot イェオッ 膿がたまっている。 ②(戸口や窓のすだれに関して) …についている。 apaotki アパオッキ [apa-ot-ki 戸口・についている・カヤ/簀(す)] 戸口のすだれ(今の玄関のドアに相当する)。 puyarorotpe プヤロロッペ [puyar-or-ot-pe 窓・の所・についている・もの] 窓のすだれ、 窓かけ。 ☆参考 少数の決まった語に出てくる。 知里『地名アイヌ語小辞典』によれば、 「群在(群居、 群来)する」。 (出典:田村、方言:沙流)
a=ahupkarpo
アアフㇷ゚カㇻポ 【a=ahupkar-po】 貰い子. *アイヌ同士での貰い子も勿論あったが、和人が育てられなくなった捨て子をアイヌが貰って育てた場合も数多い.▷ア=それ アフㇷ゚カㇻ=貰う ポ=子供 →アフㇷ゚カㇻポ (出典:萱野、方言:沙流)
a=ar'ustekka
アアㇻウㇱテッカ 【a=ar-us-tek-ka】 死に絶える,全滅する.▷ア=それ アㇻ=全く ウㇱテッカ=完全に消す(=ア・アルㇱテッカ)→人が全く姿を消す→全く消される→全滅する キムンコタン パ コヤン ワ ア・アㇻウㇱテッカ ヤㇰ ア・イェ=山の村は、病気が流行って、死に絶えたそうだ.パ コオヤン ワ ア・アルㇱテッカ コタン エウン アナㇰネ トゥナㇱ ソモ ア・カランケㇷ゚ ネ.イヨルヌカムイ アン ペ ネ ナ=病気がはやって、全滅した村へは、すぐには近づくものではない.後をつける神(細菌)がいるものだから.*疱瘡とか流行感冒とかのことをアイヌたちはパヨカカムイ(歩く神)という言い方をする.目には見えない歩く神がいて村々に病気をまき散らすと考えていた.→アㇻウㇱテッカ (出典:萱野、方言:沙流)
a=eoynakamuy
アエオイナカムイ 【a=e-oyna-kamuy】 オキクㇽミカムイの別名.それにあやかる神. *オキクルミカムイはアイヌに生活文化を教えた神. (出典:萱野、方言:沙流)
a=eyampe
アエヤンペ 【a=eyam-pe】 大切にされる物(者),大事な物(者). カムイ オッタ(オㇿ タ) カ アイヌ オッタ(オㇿ タ) カ ア・エヤㇺペ ヘカッタㇻ メノコ ネ=神の国でもアイヌの国でも大切にされる者は子供と女である. (出典:萱野、方言:沙流)
a=ikeskorpe
アイケㇱコロペ 【a=i-kes-kor-pe】 それを受け継ぐ物,宝物,武具,女性用の玉飾りなどをいう. ▷アイ=それ ケㇱ=残し コㇿ=持つ ペ=物 *特に玉飾りなどは女性から女性へという具合に受け継がれる.萱野茂二風谷アイヌ資料館に展示してあるタマサイは,ウノサレ,まめ,れい子,直枝,めぐみという風に女性側の血族に,アイケㇱコロ:ウケㇱコロ(受け継ぐ)ことになっているものである.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
a=kiyannerep
アキヤンネレㇷ゚ 【a=kiyanne-re-p】 最も上席に位置するもの.▷ア=人(が) キヤンネ=年長に レ=〜させる ㇷ゚=もの アイヌモシㇼ モシㇼソ カ タ ア・キヤンネレㇷ゚ ノヤ ネ クス ノヤオㇷ゚ アニ ノヤ エムㇱ アニ ア・オッケ ㇷ゚ ア・トゥイェ ㇷ゚ アナㇰネ エフイネ ウェンカムイ ネ ヤッカ ヤイカッチピ エアイカㇷ゚ ペ ネ=人間の国土,国土上に最も上席に位置するものがヨモギなので,ヨモギの槍で突かれた者ヨモギの刀で斬られた者は,どんな悪い神も蘇生することができないものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
a=kor'ewen
アコㇿエウェン 【a=kor-e-wen】 いじめられている.大切にされていない.▷ア=それ コㇿ=持つ エ=それで ウェン=悪い トイタ シサㇺ オッタ(オㇿ タ) ア・アフㇷ゚カㇻ ポン マッカチ アン ペ ケㇱト ア・コㇿエウェン シリ ク・ヌカㇻ ケランポㇰウェン(ク・エランポㇰウェン)=畑をしている和人の家に貰われた女子がいるのに,毎日いじめられているのを見て私は哀れに思っている(アフㇷ゚カㇻ=貰いにくる ア・アフㇷ゚カㇻ=貰われた).*昭和10年代に平取村内荷負小学校の先生が病気で死にそうになった時の遺言に,もしも子供を里子に出すのならアイヌにやってくれと言った.アイヌは里子であってもいじめないのを見ていたからである(川上勇治氏の話). (出典:萱野、方言:沙流)
a=kosinninup
アコシンニヌㇷ゚ 【a=ko-sir-ninu-p】 宝物.▷ア=人(が) コ=〜に対して,〜でもって シンニヌㇷ゚=(敷物などの)止め串 アイヌ オッタ(オㇿ タ) アナㇰネ ア・コシンニヌㇷ゚ ポロンノ オカ ア・ヌㇷ゚ ネ ヤッカ ア・コシンニヌ ア・ヌカㇻ ペ ネ ヤッカ ア・コシンニヌㇷ゚ ネ=アイヌの所ではそれを宝にする物がたくさんあって,聞いただけでもそれが宝,見ただけでもそれを宝と考えたものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
a=kosiratkip
アコシラッキㇷ゚ 【a=ko-siratki-p】 大切にされている神. ネイワ アイヌコタン タ アン ペ ネ ヤカ ケランペウテㇰ(ク・エランペウテㇰ) コㇿカ チカㇷ゚ サパ アン ワ ア・コシラッキㇷ゚ ネ ルウェ ネ ワー=どのような経路でアイヌの村にあるものなのか私は知らないけれども,アホウドリの頭があって,大切な神とされているものですよ. *アホウドリの頭骨はレプンシラッキ(沖の大切な神)といい,病魔を避ける神とされている.狐の頭骨はキムンシラッキ(山の大切な神)といって猟運を司る神とされていた.シラッキカムイ=守護神 (出典:萱野、方言:沙流)
a=kuwakore
アクワコレ 【a=kuwa-kore】 礼をする(品物か何かで).*アイヌ社会は物を借りた場合,その物に応じてお礼の意味で借りた時より多く返すのが当たり前で,その物のことを,クワコレ(杖を持たせる)という.▷ア=それ クワ=杖,利子,利息 コレ=くれてやる,持たせてやる (出典:萱野、方言:沙流)
a=nukar katu
アヌカㇻ カトゥ 【a=nukar katu】 見た目. アイヌ アナㇰネ ア・ヌカㇻ カトゥ パテㇰ ソモ ネ ネユンネユン イコカンタマ ㇷ゚ オカイペ ネ ナ ヤイトゥパレ ヤン アニー=人間は見た目ばかりでなく,いろいろと人をだます者がいるものだから,気をつけなさいよ. (出典:萱野、方言:沙流)
a=porse
アポㇿセ 【a=porse】 表現(する). アイヌ オッタ(オㇿ タ) チクニ レ ア・ポㇿセ ヒ カムイ オッタ(オㇿ タ) ア・ポㇿセ ヒ シンナ ㇷ゚ カ アン ペ ネ=人間の所で言う木の名前の表現と,神の国での表現が違うものもあるものだ.チ・コㇿ コタン タ アナㇰネ "イセポ" セコㇿ ア・イェ ㇷ゚ ネ コㇿカ,ムカ ホントモ タ アン コタン タ アナㇰネ "カイクマ" セコㇿ ア・ポㇿセ ㇷ゚ ネ=私たちの村ではウサギを「イセポ」と言うけれど,鵡川という川の中ほどの村では「カイクマ」と言う(表現する)のだよ. (出典:萱野、方言:沙流)
a=repokar
アレポカㇻ 【a=rep-o-kar】 海で死ぬ. アイヌイカラㇱ ア・レポカㇻ ヤㇰ ア・イェ.タㇷ゚ イキ クㇽ オナハ カ ア・レポカㇻ ペ ネ ア ㇷ゚=惜しい人が沖で死んだそうだ.今亡くなった人の父親も海で死んだものであったのに. (出典:萱野、方言:沙流)
a=yep
アイェㇷ゚ 【a=yep】 〜と言われるもの.▷ア=それ(が) イェ=言う ㇷ゚=もの タㇷ゚ ア・イェㇷ゚ アナㇰネ ソンノ ネ ワ=今言われたことは,本当だよ.タンペ アナㇰネ アイヌイタㇰ アニ "ニカラ" セコㇿ ア・イェㇷ゚ ネ=これはアイヌ語では,「ニカㇻ」(はしご)と言われるものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
acapo
アチャポ §019.父(3)acapo〔á-ča-po あチャポ〕①⦅ハルトリ、シャリ、ウソロ⦆父。②⦅タラントマリ⦆妻から夫の父を、また夫から妻の父を指す;義父。③伯叔父。④ポロシリ岳の山詞では日本人を指す。⑤⦅チシマ:千島アイヌ, p.136⦆翁。[aca(↑)+-po(指小辞、愛称辞)]。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
acapo
アチャポ §027.伯父、叔父(4)acapo〔イブリではá-ča-po(あチャポ)だがその他ではa-čá-po(アちゃポ)〕①伯叔父⦅シラオイ、ムカワ、ホべツ、シズナイ、サマニ、ビロオ、ハルトリ、トオロ、アカン、クッシャロ、ウソロ⦆。②⦅シャリ、タラントマリ⦆妻から夫の父を、また夫から妻の父を指す;義父。③ポロシリ岳の山詞では日本人を指す。④⦅チシマ:千島アイヌ, p.136⦆翁。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
acikarata
アチカラタ 【間投】(びっくりしたときに出る叫び)わあっ、 なにごとだ。 acikarata e=kar humi an! アチカラタ エカルミ アン! わあっ、 (あなたは)なにごとしてるんだ! (大きな物音が聞こえたときのイム。) (W) acikarata acikarata makanaketa! アチカラタ アチカラタ マカナケタ! なんだなんだ何事だ! (大きな音と共にものが倒れたときのイム)。(W) ☆参考 知里幸恵『アイヌ神謡集』には「achikara 「汚い」という意味」とある。 知里真志保『アイヌ民族研究資料(第2)』でも「本来「汚い!」という意味の感嘆詞」とあって、 「癪(しゃく)に触るなあ」と訳してある。 ワテケさんがこれを使った用例は、 特に汚いことでもなく、 また腹立ちや悪口、 ののしりのようでもない。 (出典:田村、方言:沙流)
aha
アハ 【aha】 土豆(ヤブマメ). オッコー タント アハタ・アン クス ピクタトイ オルン パイェ・アン ロー=お姉さん,今日上豆を掘りに川原の砂畑まで行こうよ.アイヌモシㇼ メナスン(メナㇱ ウン) ウタㇻ アナㇰネ "エハ" シコㇿ カ "ヌミノカン" シコㇿ カ イェ ㇷ゚ ネ チ・コㇿ コタン タ アナㇰネ "アハ" セコㇿ ア・イェ=アイヌの国土(北海道)の東の方の人たちは「エハ」とも「ヌミノカン」ともいうもので,私の村では「アハ」という.*道東ではヌミノカン(=粒の小さいもの)という. (出典:萱野、方言:沙流)
ahupkar
アフㇷ゚カㇻ 【ahupkar】 貰う,貰いに行く. トイタ シサㇺ オッタ(オㇿ タ) ア・アフㇷ゚カㇻ ポン マッカチ アン ペ ケㇱト ア・コㇿエウェン シリ ク・ヌカㇻ ケランポㇰウェン(ク・エランポㇰウェン)=畑をしている和人の家に貰われた女の子がいるのに,毎日いじめられているのを見て私は哀れに思っている.オヤコヤㇰタ タスㇺ ネ マヌ ㇷ゚ スルㇽケ オルㇱペ ア・ヌ イシトマ・アン クス ハル アフㇷ゚カㇻ・アㇱ ワ ハルエカムイノミ・アン ルスイ=あちらこちらで病気が流行したと聞き,恐ろしいので供物を貰い病気の神へあげたい.イヨーハイ シトマレ エ・ヌ アー? アッチェウン オルㇱペ ネ コㇿカ アフㇷ゚カㇻ ワ レス ヤㇰ ア・イェ ポンペ キㇰキㇰ ワ ライケ ヤㇰ ア・イェ=本当にたまげたことだが聞いたかい?よその話だが,貰って育てていた子供を叩いて殺したということだよ.*昭和10年頃には乞食が来るとアイヌたちはイヤフㇷ゚カㇻペ(物を貰いたがる者)と言った.こちらから欲しがることをアフㇷ゚カㇻという. (出典:萱野、方言:沙流)
ak(-i)
アㇰ §024.弟(1)ak(-i)〔ák あㇰ〕[イブリ及びヒダカ西部では第3人称短形のアクセントはa-kí、チカブミ、カラフトではá-ki]①弟⦅チカブミ、フシコ、ハルトリ、カラフト⦆。②徒弟⦅シラヌカ、ニイトイ、チライ⦆。③年下の甥を指すこともある。akarku an-aki⦅タラントマリ⦆「甥である我が弟」。karaku ne kato, aki ne kato, chi-yay-ko-reske⦅樺太アイヌの神謡, pp.24〜7⦆「甥である男児、弟である男児を、わしは自分の所で育てた」。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
akkari 2
アッカリ 【akkari】 ②〜以上. アイヌ イタㇰ アニ チクニレ レ ホッ アッカリ ケラマン(ク・エラマン) ワ カン(ク・アン) コㇿカ エソロカンニ パㇰノ フラハ ウェン チクニ イサㇺ ペ ネ=アイヌ語で木の名を60以上知っているけれどもハナヒデ(ミツバウツギ)くらいにおいの悪い木はないものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
akpeimok
アㇰペイモㇰ 【akpe-imok】 罠の餌. イタチ ア・ウㇰ ヒタ イヨッタ ピㇼカ アㇰペイモㇰ アナㇰネ カパㇻコンル チョㇿポㇰ タ オカ チチラ ネ ワー=イタチを獲る時に,一番よい罠の餌は,薄氷の下にいるドジョウだよ. *イタチは昔は北海道にいなかった帰化動物なのでアイヌ語名はない.昭和10年頃にイタチの皮1枚が2円50銭ほどで,米を1斗近く買える値段であった. (出典:萱野、方言:沙流)
amanenpok
アマネンポㇰ 【aman-enpok】 行き桁,アイヌ家屋の東から西の方へ伸びている行き桁. *ユカㇻの中に,アマネンポㇰ アンパカムイィェラナクル シコマレワ(行き桁を支える神が,私を下へ睨みつけて……)とある[ユ].(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
anak
アナㇰ 【副助】[< an-yak ある・…すれば](=anakne アナㇰネ) …は、 …はね、 …というものは、 …のほうは、 …としては。 kusuri anak kusuri ne クスリ アナㇰ クスリ ネ 日本語の薬はアイヌ語でクスリだ。(W) mosir anak a=kar yakka epunkine kur isam yakun wen モシㇼ アナㇰ アカㇻ ヤッカ エプンキネ クㇽ イサㇺ ヤクン ウェン 国土はつくったけれど守る(治める)人がいなければだめだ。(S言い伝え) ☆参考 話題(トピック)を示す。 Aは…だがBは…だというような対比にも用いられる。 「…は」と訳せるが、 日本語で「…は」というような文脈でいつもこの助詞が使われるわけではない。 むしろアイヌ語では、 話題となる語に助詞がつかない場合が多い。 この助詞を伴うのは、 ここまでが話題(トピック)で、 いまからこの話題についての話が展開する、 ということを知らせる場合である。 なお、 これをよりゆっくりと、 かつはっきりと表示するのには anakne アナㇰネ が用いられる。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
ancikattaro
アンチカッタロ 【他動】[日本語の「預かる」をアイヌ語の動詞として使う形]…を預る、 …を管理する。 {E: to take care of…; manage…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
anpay
アンパイ 【名】[< 日本語]あんばい。 e anpay ni エー アンパイ ニ いいあんばいに=いい具合に、 うまい具合に(日本語であるという意識で言っている。(S民話) e anpay tana! エー アンパイ タナー! いいあんばいだなあ! (アイヌ語話者である父親がよく言っていたのだから、 もとは日本語でもアイヌ語でもこう言うのだと考える)。(W) (出典:田村、方言:沙流)
apesotkikar
アペソッキカㇻ 【ape-sotki-kar】 火の寝床作り(をする). チセ ア・アシ アペソッキカㇻ・アン ヒ タ アナㇰネ アイヌ ニサㇷ゚ ホントㇺ パㇰノ シロウリ・アン エウン ニハㇺ ポン スマ ア・オ カシウン ピヨタ ア・オマレ カシウン アペ ア・アリ ㇷ゚ ネ=家を建て火の寝床を作る時には人間のすねの中ほどの深さに穴を掘り,そこへ木の葉と砂利を入れ,その上へ火山灰を入れてから上へ火を焚くものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
apiskatu apiska
アピシカトゥ アピシカ 【間投】(kamuy-cikap カムイチカㇷ゚《フクロウ》の神謡の折り返し。 意味不明。) (W神謡K) ☆参考 知里幸恵『アイヌ神謡集』の「銀のしずく降る降るまわりに」で知られる神謡の類歌である。 したがって piska ピㇱカ の部分は piskan ピㇱカン《そのまわり》の転化かもしれない。 (出典:田村、方言:沙流)
apu
アプ 【apu】 流氷. アプ コネ=流氷が砕ける.タネ アプ ピㇼカ ノイネ シラン(シㇼ アン) クス ニサッタ アプコレパ・アン ロー=もうこれで流氷がいい(=堅い)らしいので,明日は流氷の上へ漁に行こう.*私は山のアイヌなので流氷を知らず,海の話は得手ではないが.アプ,アプコネなどという言葉はウウェペケレ(昔話)の中で聞き覚えた. (出典:萱野、方言:沙流)
ar'ekuskonna
アㇻエクㇱコンナ 【ar-ekuskonna】 突然に. イヨーハイ! アイヌイカラㇱ イサㇺ ハウェ アㇻエクㇱコンナ ク・ヌ ㇷ゚ ネ クス コアシッチュー(ク・オアシッチュー) パㇰノ ク・ラムトゥイ=ああ大変!もったいない人が亡くなったということを突然に聞いたので,私は尻もちをつくほど驚いた.#NAME? (出典:萱野、方言:沙流)
aritak cinki a=koturaynu
アリタㇰチンキ アコトゥライヌ 【ar-itak-cinki a=ko-turaynu】 遺言をしないで死んだ,遺言なし.ひと言の言葉の裾も見つけない. ▷アㇻ=ひとつ,それ イタㇰ=言葉 チンキ=裾 ア=それ コ=~に トゥライヌ=見つけない *アイヌ社会では老人は遺言しておかなければ,軽蔑されるものである.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
arke/arke(he)
アㇻケ/アㇻケ(ヘ) 【arke/arke(he)】 半分(片方の部分),片方. シト アㇻケ=団子の半分.ウウェペケㇾ オッタ(オㇿ タ) "ウウェアイヌトノ セコㇿ ア・イェ ㇷ゚ アナㇰネ ナヌフ アㇻケ クンネ ㇷ゚ ネー" セコㇿ ネ ア ワ=昔話の中では「人食い人種殿は顔の半分が黒いものだ」と言われるものであったよ.ク・ケリヒ アㇻケヘ イネー?=私の履物の片方はどうしたか?ク・ケリヒ テタ ウウェトゥレンノ カヌ(ク・アヌ) ア ㇷ゚ アㇻケヘ イサㇺ.ネンカネ セタ ヘネ エクパ ルウェ ソモ ネ ヤー?=私の層物をここへ対にして置いたのに片方がない.もしや犬がくわえたのではないだろうか? *昔の履物は鹿の皮などで作られたから,しばしば犬に持って行かれた. (出典:萱野、方言:沙流)
arserke
アㇻセㇾケ 【ar-serke】 半数. アイヌ アㇻセㇾケ=人の半数. (出典:萱野、方言:沙流)
arsuyne
アㇻスイネ 【ar-suy ne】 1回,1度. オッコー オッコー アㇻスイネ エン・ラㇺエイキ ワ エン・コレ=ちょっとお姉さんお姉さん,1回私の言うことを聞いてくれ."コシンプ" セコㇿ ア・イェ ㇷ゚ アナㇰネ アイヌ ナンカ ソモ コㇿ ペ ネ ワ アㇻスイネ カ ヌカㇻ パ ㇷ゚ アナㇰネ ソモ オイラ パ ワ コヘムイムイェ ㇷ゚ ネ ヤカイェ(ヤㇰ ア・イェ)=「妖精」というものは,人間の顔とは別の顔を持っている者であって,1回でも見た者はそれを忘れることができず,それによって病床に伏すものと言われている. (出典:萱野、方言:沙流)
arwentukap
アㇻウェントゥカㇷ゚ 【ar-wen-tukap】 悪魔,化け物.▷アㇻ=全く ウェン=悪い トゥカㇷ゚=化け物 カムイ シクトゥㇽ(シㇰ ウトゥㇽ) アイヌ シクトゥㇽ トゥㇱマㇰ ワ アㇻウェントゥカㇷ゚ カリ ハウェ=神の目や人間の目,その隙間をかいくぐって化け物が徘徊しているのかい. (出典:萱野、方言:沙流)
asir
アシㇼ 【asir】 新しい. タㇷ゚ウフナㇰ アン チㇷ゚サンケ オッタ(オㇿ タ) アシㇼ ポン チㇷ゚ ク・カㇻ アイヌ オピッタ オ ワ シノッパ=ついこの間あった舟おろしの時に,新しい小さい舟を私が彫って,みんなで乗って遊んだ. (出典:萱野、方言:沙流)
asrukonna mewnatara
アㇱルコンナ メウナタラ 【as-ru-konna mew-natara】 そびえ立つ.ユカㇻでよく出る表現.チャシ(山城・館)やイヨイキㇼ(宝壇)などが立派で壮麗にそびえ立っている状態をいう.▷アㇱ=立っている ル=跡,様 コンナ=助辞 メウナタラ=壮麗である,立派である アシンノ ア・カㇻ コㇿ アン "二風谷アイヌ文化博物館" アㇱルコンナ メウナタラ=新しく建てられている「二風谷アイヌ文化博物館」がそびえ立っている. (出典:萱野、方言:沙流)
at
アッ 【at】 たくさんいる,多い. アイヌ アッ=人が大勢いる.テエータ アナㇰネ キ カ ウㇽキ カ アッ ペ ネ ロㇰ クス トヨッタ(トイ オㇿ タ) チュワン オッタ(オㇿ タ) ウナㇻペ ウタㇻ ウコムイ シリ ク・ヌカㇻ アㇺキㇼ ペ ネ ア ワ=ずうっと昔は頭のシラミも体につくシラミもたくさんいたもので,畑で昼食時におばさんたちがシラミを取り合うのを見たことがあったものだよ.イネアㇷ゚クㇱタ! チェㇷ゚ アッ=なんとまあ!サケが多いこと.シシㇼムカ エトコホ "ウェンサㇻ" シコㇿ ア・イェ ウㇱケ タ テエータ ワノ アッニ アッ ペ ネ ワ コルウヌ(ク・オルウヌ)=沙流川の上流の「悪い沙流川」という場所には,昔からオヒョウの木が多いのを私は知っている. (出典:萱野、方言:沙流)
atpake
アッパケ 【atpake】 初め,最初,先頭. エ・コㇿ ウウェペケㇾ アッパケ ワノ イェ ワ エン・ヌレ=お前の昔話を初めから言って私に聞かせて.アイヌ アッパケ エアㇷ゚カㇱ=人の先に立って歩く.アイヌ アッパケ ア・エホリッパ シンナ トリ ネ シンナ チカㇷ゚ ネ ア・イ・ヌカㇻ カネ=人々の先頭になって私は踊り,別な鳥として異彩を放つ私を皆は見ている(ユカㇻの中でポンヤウンペの恋人が目立っている様子). (出典:萱野、方言:沙流)
ay/aye(he) 1
アイ/アイェ(ヘ) 【ay/aye(he)】 ①矢.*竹,鹿のすねの骨,オニガヤ,鷹またはカケスの羽などを組み合わせて1本の矢を作る.アイヌの矢は他の物に比べて短い.昭和7年頃までは私の父貝澤アレㇰアイヌが使っていたのを見た. (出典:萱野、方言:沙流)
ayamattaro
アヤマッタロ 【自動】[日本語の「あやまる」をアイヌ語の動詞として使う形] 謝る。 ☆参考 アイヌ語では yayapapu ヤヤパプ。 {E: to apologize.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
aycise
アイチセ 【ay-cise】 矢おおい:シラカバの皮で作る. *アイヌの民具に関しては萱野茂『アイヌの民具』(すずさわ書店)を参照.▷アイ=矢 チセ=家 (出典:萱野、方言:沙流)
ayrap
アイラㇷ゚ 【ay-rap】 矢羽:鷹やカケスの羽根を使う.*烏の羽根は使わない.烏は熊の居場所をアイヌに教えるので,熊は烏を憎んでおり,もしも烏の羽根を使ったら熊が矢を受けてくれないと考えるため.▷アイ=矢 ラㇷ゚=羽 (出典:萱野、方言:沙流)
aysakpiyapa
アイサㇰピヤパ §401 ヒエ (7) ay-sak-piyapa (áy-sak-pi-ya-pa)「あイ・サㇰ・ピヤパ」[ay(とげ)sak(ない)ピヤパ(ヒエ)] ⦅バチラー、アイヌ人とその説話⦆ (出典:知里植物編、方言:)
c=eiyannup
チェイヤンヌㇷ゚ 【c=e-iyannu-p】 壊れたもの:壊れて役に立たないもの. アイヌ チェイヤンヌㇷ゚=役に立たなくなった人間.*この言葉は悪口なので普通は言ってはならない. (出典:萱野、方言:沙流)
cakpiyapa
チャㇰピヤパ §401 ヒエ (9) cak-piyapa (cák-pi-ya-pa)「ちャㇰ・ピヤパ」[cak(はぜる)piyapa(ヒエ)] ⦅バチラー、アイヌ人とその説話⦆ (出典:知里植物編、方言:)
carkarpe
チャㇻカㇻペ §237 アイヌワサビ (1) carkarpe (cár-kar-pe)「ちャㇻカㇻペ」[car(口)kar(しげきする)pe(もの)] 根 ⦅美幌⦆ (出典:知里植物編、方言:)
casnatara
チャㇱナタラ 【cas-natara】 すっきりしている,きれいな,さっぱりしている. アイヌサニ ネ ノイネ ラチュンカトゥ チャㇱナタラ=アイヌの血統であるらしく眉の様子がすっきりしている. (出典:萱野、方言:沙流)
catay
チャタイ §426 マムシ  蛇神(6) catay (čá-tay)「ちャタイ」[<蛇体] ⦅幌別⦆湿地に住む魔神[=nitatorumpe](アイヌ神謡集, p. 64) (出典:知里動物編、方言:)
cep kuma tay kam kuma tay
チェㇷ゚ クマ タイ カㇺ クマ タイ 【cep-kuma-tay-kam-kuma-tay】 魚や肉を乾かす干し竿の林.▷チェㇷ゚=魚 クマ=干し竿 タイ=林 カㇺ=肉 *狩の上手なアイヌの家の前には,魚や肉を乾かす干し竿が林のように立っている. (出典:萱野、方言:沙流)
cep sikiru ekannayukar
チェㇷ゚ シキル エカンナユカㇻ §067 サケ あきあじ、あきやじ  他(17) cep sikiru ekannayukar (čep-si-ki-ru e-kan-na-yu-kar)「チェㇷ゚ シキル エカンナユカㇻ」魚が身をひるがえすようにくるりと向きを変えて引き返す(『アイヌ神謡集』p. 60)。――sikiru[si-kiru(自分を・旋回させる);まわる;さける]。E-kanna-yukar[e(それについて)kannna(再び)yukar(演技する);そのさまを再現する;まねる;さながらの様子を示す] (出典:知里動物編、方言:)
cephurukap
チェㇷ゚フルカㇷ゚ 【cep-hurukap】 魚のひからびた物,*このフルカㇷ゚をもじってアイヌ フルカㇷ゚=ひからびた人間と悪口を言うことがある. (出典:萱野、方言:沙流)
ci=koykip
チコイキㇷ゚ 【ci=koyki-p】 獣,獲物(山の獲物の総称).▷チ=私たち コイキ=いじめる ㇷ゚=者 →熊,鹿,狐,ウサギの総称.アイヌ側からいじめている者と考えていた. (出典:萱野、方言:沙流)
ci=tatap
チタタㇷ゚ 【ci=tata-p】 ぬた:刻んだ物.*チタタㇷ゚を作る時は1匹分の氷頭に白子片腹分を入れる.片腹とは1匹の魚に2筋入っている片方分をいう.きれいに刻んで塩で味つけをするがネギを少々加えること.これはアイヌの食べ物のうちおいしいほうの5本の指に入る.▷チ=私たち タタ=刻む ㇷ゚=物 チタタㇷ゚ ク・カㇻ クニ ク・ラム コㇿカ ア・エラマス ヤー?=ぬたをこしらえようと(私が)考えているけれども.あなたはそれが好きでしょうか?シペ ウピヒ カカウェヘ ア・コタタ ワ チタタㇷ゚ ア・カㇻ ペ ネ=サケの白子と氷頭(頭の軟骨)を一緒に切り刻んでぬたを作るものだ.ハイー ノタコㇷ゚ エヌカㇻ ワ チタタㇷ゚ ク・カㇻ カ エトランネ.ポンノ ホㇱキ ク・ルイケ ナ=あーあ刃物が切れないのでぬたを作るのもいやだ.ちょっと待って俺が研ぐから. (出典:萱野、方言:沙流)
cíci
チチ 【助】[日本語] …ずつ。 sinep cíci シネㇷ゚ チチ(=sinep ranke シネㇷ゚ ランケ)一つずつ。 ☆参考 アイヌ語では ranke ランケ と言う。 ☞ranke ランケ 3 {E: each.} (出典:田村、方言:沙流)
cikappo
チカッポ 【名】[cikap-po 鳥・(指小辞)] 小鳥。 ☆参考 通常はスズメやヒバリのような小さい鳥を指す。 『音声資料2』にはフクロウをも kamuy cikappo カムイ チカッポ と呼んでいる所があるが、 これについて知里『分類アイヌ語辞典動物篇』 p.196 では「親愛の情を添える」と説明され、 「敬愛する神鳥」と訳されている。 {E: a small bird.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
cikapsapa
チカㇷ゚サパ 【cikap-sapa】 アホウドリの頭骨. マㇰ マ ネ ワ アイヌ コタン タ アン ペ ネ ヤカ ケランペウテㇰ(ク・エランペウテㇰ) コㇿカ チカㇷ゚ サパ アン ワ ア・コシラッキ ㇷ゚ ネ ルウェ ネ ワー=どのような経路でアイヌの村にあるものなのか私は知らないけれども,アホウドリの頭があって大切な神とされているものですよ.参照:アコシラッキㇷ゚ (出典:萱野、方言:沙流)
cikatunkatun
チカトゥンカトゥン 【ci-kat-un-kat-un】 おだつ(おどける者). ソンノ エネ パウェトッコㇿペ ポンノ イク コㇿ チカトゥンカトゥン ア・オラㇺサッカ ノ イキ シリ アイヌイカラㇱ=本当にあのように雄弁な人が少し酒を飲むとおだって馬鹿にされるようなことをするものだ,人間がもったいない. (出典:萱野、方言:沙流)
cikenki
チケンキ 【cikenki】 付け木:マッチ.*日本語がアイヌ語に入ってそのまま残っていた例. ク・コㇿ ション アペ カリ(ク・アリ) クスネ ナ アㇻパ チケンキ ウㇰ ワ エㇰ アニー=私の孫よ,私が火を燃やすので,行ってマッチを取って来てくれ. (出典:萱野、方言:沙流)
cikisanikarus
チキサニカルㇱ 【cikisani-karus】 アカダモ(ニレ)のきのこ,タモギタケ.*アカダモに生えるきのこの味はきのこの中では一番とアイヌは言う. (出典:萱野、方言:沙流)
cip
チㇷ゚ 【名】舟。 aynu cip アイヌ チㇷ゚ アイヌの舟=丸木舟。 ☆参考 pencay ペンチャイ 弁財船(交易の貨物船)。 rokuntew ロクンテウ 大きな客船。 {E: a boat.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
cípekira
チペキラ 【自動】[cip-e-kira 舟・と共に・逃げる](沖のツノザメ漁で、 もりをさされた魚が)舟を引っぱって逃げる(もりには綱がついており舟に乗っている人がそれをつかんでいるので、 魚が逃げると舟は引っぱられてついて行く、 魚が弱ってから舟に上げる)。 tane oka sirkap néno aynurayke pakno cípekira somo ki yak pirka タネ オカ シㇼカㇷ゚ ネノ アイヌライケ パㇰノ チペキラ ソモ キ ヤㇰ ピㇼカ いまのツノザメはそんなふうに人殺しをするほどに舟を引っぱって逃げてはいけない。(W神謡)の結末の語り(門別資料) (出典:田村、方言:沙流)
ciporkirpu
チポㇿキㇼプ 【cipor-kirpu】 筋子脂:熊などを解体すると大腸と小腸の間に筋子のようにつぶつぶになった網のような広い脂がある,腸間膜,▷チポㇿ=筋子 キㇼプ=脂 アイヌ イタㇰ アニ チポㇿキㇼプ ケラマン(ク・エラマン) ワ カナ(ク・アン ア) コㇿカ シサㇺ イタㇰ アニ エネ ア・イェ ヒ ケランペウテㇰ(ク・エランペウテㇰ) 前田菜穂子 エウン ク・コピシ エネパカㇱヌ(エン・エパカㇱヌ)=アイヌ語で"チポㇿキㇼプ",覚えていたが,日本語でどのようにいうか私は知らなかった,(登別温泉ケーブル会社の)前田菜穂子さんへ私が尋ねて教えてもらった. (出典:萱野、方言:沙流)
cisekoyki
チセコイキ 【cise-koyki】 熊の穴へ行って熊を獲ること. ▷チセ=家,熊の穴 コイキ=いじめる *アイヌは熊の穴をスイ(穴)とは言わずに,カムイチセ(神の家)という.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
cisepar'asin
チセパㇻアシン 【cise-par-asin】 新しい熊の穴.▷チセ=家 パㇻ=口 アシン=新しい チセパㇻアシン ヒ エ・ヌカㇻ シコㇿ ク・イヌ アナ ネ ウㇱケ ウン エン・トゥラ=新しい熊の穴をお前が見たと聞いたが,その所へ私を連れて行ってくれ.*熊というものは秋に穴へ入って春に子熊を連れて出て来る.神の国ではアイヌの家と同じ家があるものとアイヌは考えていた. (出典:萱野、方言:沙流)
cisurap
チスラㇷ゚ 【ci-sura-p】 熊(2歳の):乳ばなれをした熊.親から離された熊.▷チ=それ スラ=離す ㇷ゚=もの ポンノ ホㇱキ チスラㇷ゚ ネ ノイネ アン ペ ネ ナ.イヤイキㇷ゚テ ナ ア・オライテッカ パㇰノ ウンテレ・アン ロ=少し待って,乳ばなれ熊らしいものだ.危ないから毒が効くまで待つことにしょう.*若い熊は前後の見境もなく人間に襲いかかるのでアイヌの狩人はこれには警戒する. (出典:萱野、方言:沙流)
ciwri
チウリ 【名】[動物]「シウリ貝」。(S) ☆参考 知里『分類アイヌ語辞典動物篇』 p.123に、 ciúritopo アサリ、 ほか数個の似た形の語が、 数カ所の方言として出ている。 (出典:田村、方言:沙流)
cokep
チョケㇷ゚ 【cokep】 寄せ煮:いろいろな物を寄せ集めて煮た食べ物.シラヌカアイヌの言葉. (出典:萱野、方言:沙流)
corpokta
チョㇿポㇰタ 【corpok ta】 下に. チセ ウフイ ネ ヤ マゥコウェン パ ㇷ゚ アナㇰネ ナニ チセ オルン ソモ ア・アフンケ ノ トゥッコ レㇾコ プ チョㇿポㇰ タ ア・レウシレ ㇷ゚ ネ=火事などで運の悪い者たちは.すぐに家へ入ることなく,二日か三日は倉の下に泊めるものだよ.*その昔のアイヌの倉は足が高いのでその下の空間は一坪半から二坪ほどの広さのものもあったものである. (出典:萱野、方言:沙流)
e anpay
エー アンパイ 【名】[日本語]よいあんばい、 いい具合い、 好都合。 e anpay ni エー アンパイ ニ いいあんばいに=都合よく(日本語だとの意識をもって言っている)。(S民話) e anpay ta na エー アンパイ タ ナー いいあんばいだなあ=いい日和(ひより)だなあ(アイヌ語話者である父がよく言っていたと言い、 もとは日本語であってもアイヌ語の中で使う言葉だと考えているらしい)。(W) (出典:田村、方言:沙流)
eaykap
エアイカㇷ゚ 【e-aykap】 下手だ,〜ができない. ク・ケメイキ エアイカㇷ゚ ペ ネ クス ク・ハンケヨㇺ パ ク・トゥイマヨㇺ パ ア・エミナ ノイネ=私は針仕事が下手なので,近くへ針を刺し遠くへ針を刺し,笑われそうだ.アッペネㇷ゚ アナㇰネ ネㇷ゚ ア・カレ ヤッカ エアイカㇷ゚=不器用者は何をやらせても下手だ.アイヌモシㇼ モシㇼ ソ カ タ ア・キヤンネレ ㇷ゚ ノヤ ネ クス ノヤ オㇷ゚ アニ ノヤ エムㇱ アニ ア・オッケ ㇷ゚ ア・トゥイェ ㇷ゚ アナㇰネ エフイネ ウェンカムイ ネ ヤッカ ヤイカッチピ エアイカㇷ゚ ペ ネ=人間の国土,国土上に最も上席に位置するのがヨモギなので,ヨモギの槍で突かれた者,ヨモギの刀で斬られた者は,どんな悪い神も蘇生することができないものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
ecanupkor
エチャヌㇷ゚コㇿ 【e-canup-kor】 聞いてためになる,(〜を)参考にする,(〜を)手本にする,(〜で)覚える,(〜によって)知る.▷エ=それで チャヌㇷ゚=覚える コㇿ=持つ ウナㇻペー ウウェペケㇾ ワ エン・ヌレ.エ・イェ ウウェペケㇾ アナㇰネ ア・エチャヌㇷ゚コㇿ ペ パテーㇰ ネ ㇷ゚ ネ クス ク・ヌ ルスイ=おばさんよ,昔話を私に聞かせてくれ.あなたの昔話は聞いてためになる話ばかりなので私は聞きたい.アイヌ オッタ(オㇿ タ) ウパㇱクマ アナㇰネ ア・エチャヌㇷ゚コㇿ ペ ネ シンリッ オルㇱペ ネ ヤッカ ウルオカタ ウルオカタ ア・エラマン ペ ネ=アイヌのところでの言い伝えはそれを参考にすることができるし,先祖の話も子孫へ次の世代へと教えられるものだ.ウナㇻペー ネㇷ゚カ ア・エチャヌㇷ゚コㇿ ノ アン ウウェペケㇾ イェ ワ エン・ヌレー=おばさん,何かそれによって利口になれそうな昔話を言って聞かせてくれ.ケチャヌㇷ゚コㇿ(ク・エチャヌㇷ゚コㇿ)=私はそれで覚えることができた. (出典:萱野、方言:沙流)
eha
エハ 【eha】 土豆(ヤブマメ). アイヌモシㇼ メナスン ウタㇻ アナㇰネ エハ シコㇿ カ ヌミノカン シコㇿ カ イェ ㇷ゚ ネ チ・コㇿ コタン タ アナㇰネ アハ セコㇿ ア・イェ=アイヌの国土(北海道)の東の方の人たちはエハともヌミノカンともいうもので,私の村ではアハ.という.→アハ (出典:萱野、方言:沙流)
ehorka
エホㇿカ 【e-horka】 さかさまにする.裏返しにする,反対にする. チャペ ウェンペ アイヌ コトゥㇰ エカッキクシ コㇿ ア・ライケ ワ エホㇿカ ノ トイ トゥㇺ ア・オマレ カシ ウン カㇷ゚ケ スマ ア・オマレ タパン スマ ムニン ヤㇰ エㇰ シコㇿ ア・イェ ㇷ゚ ネ ヤカイェ(ヤㇰ ア・イェ)=悪い猫が人間に取り憑いて人間を病気にしたような時は,その猫を殺してさかさまに土の中に埋めてその上へ平たい石を載せて,この石が腐ったら来い,と言うものだそうだ.メノコ ネ ヤッカ オッカヨ ネ ヤッカ チセサㇰ コㇿ アミㇷ゚ エホㇿカ ノ ミ パ ㇷ゚ ネ ロㇰ=女も男も夫や妻に先立たれると着物を裏返しにして着るものであった. (出典:萱野、方言:沙流)
ehuyne
エフイネ 【ehuyne】 どんな,いつまで. アイヌモシㇼ モシㇼ ソ カ タ ア・キヤンネレ ㇷ゚ ノヤ ネ クス ノヤ オㇷ゚ アニ ノヤ エムㇱ アニ ア・オッケ ㇷ゚ ア・トゥイェ ㇷ゚ アナㇰネ エフイネ ウェンカムイ ネ ヤッカ ヤイカッチピ エアイカㇷ゚ ペ ネ=人間の国土,国土上に最も上席に位置するのがヨモギなので,ヨモギの槍で突かれた者,ヨモギの刀で斬られた者はどんな悪い神も蘇生することができないものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
ek kane iki
エㇰ カネ イキ 【ek kane iki】 ひょっこりと来る. カキヒ(ク・アキヒ) ケシカルン(ク・エシカルン) ペ ネ クス アイヌ アㇻパ ヒ タ ケテㇱカㇻ(ク・エテㇱカㇻ) アクス ヌ ワ ネ ノイネ エㇰカネイキ エアㇻキンネ ケヤイコプンテㇰ(ク・エヤイコプンテㇰ)=弟に会いたくなったので人が行った時にことづけをしたら聞いたらしく,ひょっこりと来た,本当に私は嬉しかった. (出典:萱野、方言:沙流)
ekanaywano
エカナイワノ 【ekanay wano】 ずっと前から,以前から. エカナイワノ トイタ ワ コㇿ トイ ネ ヒ アイヌ オピッタ エラマン ワ アン ペ イヨㇱ ワ エㇰ ペ ネㇷ゚カ エトイタ ノイネ ネ アㇷ゚ エポソカネ ア・コイレンカコㇿ ハウェ=ずっと前から畑を耕し持ち畑であることを人々皆が知っていたのに,後から来た者が何か蒔いていたらしかったが,勿論問題にされたわけだ.エカナイワノ アン ウタㇻ=ずっと以前から住んでいた人たち. (出典:萱野、方言:沙流)
ekoramkor
エコラㇺコㇿ 【複他動】[e-ko-ram-kor (そのこと)について・(人)に・心を持つ] …について(人)と相談する。 aynu ka kar wa i=kore kunihi a=ekóramkor hike? アイヌ カ カㇻ ワ イコレ クニヒ アエコラㇺコㇿ ヒケ? (大地をつくった神に)人間もつくってくれることを(くれるように)相談してみてはどうだろう。(S言い伝え) {E: to talk with, ask advice from someone} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
ekoykar
エコイカㇻ 【他動(複他?)】[e-ko-i-kar …に関して・…に・ものごとを・する]…に従う、 反対しない。 kotankorkur purihi aynu opitta ekoykar コタンコㇿクㇽ プリヒ アイヌ オピッタ エコイカㇻ 村長(むらおさ)のやり方には人はだれも反対しない。(S) ☞koykar コイカㇻ {E: to follow…; not disobey…} (出典:田村、方言:沙流)
ekte
エㇰテ 【他動】[単](複は arkire アㇻキレ)[ek-te 来る・させる] 来させる、 よこす。 aynu ottena i=sam un ekte yan アイヌ オッテナ イサムン エㇰテ ヤン アイヌのだんなを私のそばによこしなさい。(S民話) toan pe ekte トアン ペ エㇰテ それを取って(そこにあるものを取って私のところに持って来てくれ)。(W) ☆参考 このような場合の「取って」に uk ウㇰ は使わない。 uk ウㇰ は受け取ったり奪ったりして自分のものにすること。 {E: to make someone come.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
ekupa
エクパ 【e-kupa】 くわえる. ク・ケリヒ テタ ウウェトゥレンノ カヌ(ク・アヌ) アㇷ゚ アㇻケヘ イサㇺ.ネンカネ セタ ヘネ エクパ ルウェ ソモ ネ ヤー=私の履物をここへ対にして置いたのに片方がない.もしや犬がくわえたのではないだろうか.*昔の履物は鹿の皮などで作られていたため,しばしば犬に持って行かれた.キムンカムイ アイヌ ケセアンパ ヒ タ アナㇰネ コイスㇺ タㇰ エクパ アーペコㇿ アン ワ ホユプㇷ゚ ネ ヤカイェ(ヤㇰ ア・イェ)=熊が人間を追いかける時には泡のかたまりをくわえたような格好で走るものだそうだ. (出典:萱野、方言:沙流)
emosirup
エモシルㇷ゚ 【emo-siru-p】 ジャガイモおろしがね,いもおろし.*ブリキに釘で穴をあけてざらざらにして使う. エモ アナㇰネ トオㇷ゚ フㇱコトイワノ アイヌ ウタㇻ エトイタ パ ワ エモシルㇷ゚ アニ シル ワ エ ヘメㇺ キ ルプㇱカ ワ ペネエモ ネ カ カㇻ パ ワ エ パ ㇷ゚ ネ=ジャガイモはずうっと昔からアイヌたちは蒔いていたもので,ジャガイモおろしがねでおろして食べたり,凍らせてつぶれいもにして食べたりしたものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
enucisiske
エヌチシㇱケ 【enucisiske】 にらむ,にらみつける,見つめる. チュワン オカケタ トイ アンクラ タ ポンノ モコㇿアナクス(モコㇿ・アン アクス) イ・カトイクㇱ ペコㇿ ネ ヒネ モイモイケ・アン カ ア・エアイカㇷ゚ エウン アイヌ ハウ アㇱ クスケライ モㇱ・アン ネㇷ゚カ ウェンカムイ イイェヌチシㇱケ(イ・エヌチシㇱケ) ワ ネ ア ナンコㇿ=お昼ご飯の後,畑の畔で少し眠ると,体の上を土でおおわれたようなかったるい気持ちになり動くこともできない,そこへ人声がしたお陰で目が覚めた,何か化け物が私をにらみつけていたのであろう.ネㇷ゚ ワ アン ペ イェヌチシㇱケ(イ・エヌチシㇱケ) フミ ネ ヤ ア・コンラム カ オライオライ キピㇷ゚キピㇷ゚=何が私をにらんでいるのか心がざわざわと殺気を感じた. (出典:萱野、方言:沙流)
eo
エオ 【e-o】 なつっこい. アイヌエオ=人なつっこい. (出典:萱野、方言:沙流)
ep
エㇷ゚ 【e-p】 食べ物,餌. テーエタ アナㇰネ アイヌ コタン ケムㇱ コㇿ エㇷ゚ イサㇺ コㇿ リヤ コㇿコニ カ テㇾケイペ カ エ パ ㇷ゚ ネ ヤカイェ(ヤㇰ ア・イェ).タネ アナㇰネ エㇷ゚ イサㇺ アイヌ カ イサㇺ=大昔はアイヌの村が飢饉になり食べ物がないと枯れたフキや蛙なども食べたそうだ.今は食べ物のないアイヌもいない. (出典:萱野、方言:沙流)
epakasnu
エパカㇱヌ 【epakasnu】 教える. イナウ ケエネパカㇱヌ(エン・エパカㇱヌ) ワ エン・コレ=イナウの削り方を教えてください.アイヌイタㇰ エチ・エパカㇱヌ クㇱネ ナ ポロンノ エラマン アニ=アイヌ語を君に教えるからたくさん覚えてね.アㇻコタン タ カㇻパ(ク・アㇻパ) ヒネ ル ウウェコホピ ウㇱケ タ カㇱ(ク・アㇱ) カネ ワ コタン レ ク・イェ ヒネ ク・ウウェペケンヌ アクス エネ エネ アㇻパ アニ ア・イ・イェパカㇱヌ=よその村へ私は行き,道の分かれる所で立ち止まって村の名前を言って尋ねると,こうこう行くのだと私に教えてくれた. (出典:萱野、方言:沙流)
eporose
エポロセ 【複他動】[e-porose …で・…を言い表す] …によって…を言い表す。 a=motóutari tan mosir ta yappa kusu keraypo oka=an hi a=i=éporose kus, Aynu Mosir, Hokkaito Mosir sekor tane anak a=ye hawe ne アモトウタリ タン モシッタ ヤッパ クス ケライポ オカアニ アイエポロセ クㇱ、 アイヌ モシㇼ、 ホッカイト モシㇼ セコㇿ タネ アナㇰ アイェ ハウェ ネ 私たちの先祖がこの島に上陸したおかげで私たちアイヌがこの島に住んでいるということによって名づけられたから、 アイヌの島、 北海道の島と今は言われるのです。(S言い伝え) {E: to give verbal expression to…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
eposo
エポソ 【他動】[e-poso …で・貫く] …を貫く、 …を突き抜ける、 …を通りぬける、 (病気などから)やっと治る。 iwan aynu-ikir eposo húci イワン アイヌイキㇼ エポソ フチ 六代にわたって生きたおばあさん。(S独話) kú=iki ayne k=époso クイキ アイネ ケポソ どうにかやっと治った。(S) {E: to pass through…; recover from a sickness.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
eposokane
エポソカネ 【eposo-kane】 言うまでもなく,勿論. シネアンタ ネㇷ゚カ ア・サㇰ ノ エキㇺネアナクス(エキㇺネ・アン アクス) トゥスニケ シネㇷ゚ ニ カ タ アニクス(アン ヒクス) ポン スマ シネㇷ゚ ア・ウㇰ ヒネ ア・コピイェカㇻ アクス エポソカネ トンケ カ ソモ=ある日のこと何も持たずに山へ行くと,エゾリスが1匹木の上にいたので小さい石をひとつ取って投げつけたが,言うまでもないがびくともしなかった.エカナイワノ トイタ ワ コㇿ トイ ネ ヒ アイヌ オピッタ エラマン ワ アン ペ イヨㇱ ワ エㇰ ペ ネㇷ゚カ エトイタ ノイネ ネ アㇷ゚ エポソカネ ア・コイレンカコㇿ ハウェ=ずっと前から畑を耕し持ち畑であることを人々皆が知っていたのに,後から来た者が何か蒔いていたらしかったが,勿論問題にされたわけだ. (出典:萱野、方言:沙流)
erampewtek
エランペウテㇰ 【他動】[否定動詞](肯定は eraman エラマン、 eramuan エラムアン) ①…がわからない、 …を知らない(知識がない)。 ene iki wa okay pe a=ne hi ka a=erámpewtek no エネ イキ ワ オカイ ペ アネ ヒ カ アエランペウテㇰ ノ 私たちがどうしてこのようにして暮らしているのかも(私)はわからずに。(W民話) “…hńta ne? e=eraman?” “hemanta ene katuhu an hi an? oar tap k=érampewtek” 「…フンタ ネ? エエラマン?」 「ヘマンタ エネ カトゥフ アニ アン? オアッ タㇷ゚ ケランペウテㇰ」「…は何だ? (あなた)わかる?」「何がそんなへんてこなんでしょう、 全然わからない。 」 (S-W会話) ②(動詞句の後に置かれて)…するすべがわからない(ためにできない)。 oro wa sipiraspa wa nérok aynu a=ne humi sekor yaynu ka erampewtek kor oka ruwe tasi ne nankor nek sekor… オロ ワ シピラㇱパ ワ ネロㇰ アイヌ アネ フミ セコㇿ ヤイヌ カ エランペウテㇰ コㇿ オカ ルウェ タシ ネ ナンコン ネㇰ セコㇿ… そこから広がってそのアイヌが私たちなのだと思うこともわからなく(=できなく)なってきているのだろうさ、 と… (S独話) ☆対語 肯定は eraman エラマン、 eramuan エラムアン。 ☆参考 人を知らないこと、 見覚えがないことは eramiskari エラミㇱカリ ☞eraman エラマン、 eramuan エラムアン、 eramiskari エラミㇱカリ {E: ①to not understand, know… ②don't know anything about…(so one can't do it due to that).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
eramuoka
エラムオカ 【他動】[複](単は eraman エラマン/eramuan エラムアン)[e-ramu-oka …について・その心[所]・ある[複]](二人以上が)…を知っている、 …がわかる。 orowano easir oka=an katu kamuy ka aynu ka eramuoka オロワノ エアシㇼ オカアン カトゥ カムイ カ アイヌ カ エラムオカ その時から、 私たちの存在が神にも人にも知られるようになった。(W民話) {E: to know, understand…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
erayap
エラヤㇷ゚ 【erayap】 感心する. ウヌヌケ パㇰノ ア・エラヤㇷ゚ペ イサㇺペ ウトゥルン メノコポ ウヌヌケ シリ=孝行ほど感心されることはないものだが,西隣の娘の親孝行なこと!スイ ネイタカ アクㇷ゚ アン セコㇿ ク・イヌ エアㇻキンネ ケラヤㇷ゚=またどこかで屋根葺きをすると聞いて私は本当に感心した.ソンノ エアシㇼ アヌン ニㇱパ イタㇰコシパㇱヌ ハウェ ア・エラヤㇷ゚=本当によそから来られた方.言葉が際立っている様子の感心なことだ.ケライ カッケマッ ネ クス レラㇻ カシ イカ カネ イムッ シリ ア・エラヤㇷ゚=さすが淑女であるだけに胸の上が溢れるほどに首飾りをし,感心なことよ.アイヌ オッタ(オㇿ タ) カ カムイ オッタ カ ア・ウコエヤㇺペ オンネㇷ゚ ヘカッタㇻ ネ ヒケ オンネㇷ゚ ヌヌケ エ・キ ソンノ ア・エラヤㇷ゚=人間の所でも神の所でもともに大切にされるものが年寄りと子供たちなのに年寄りを大切にして本当に感心だ. (出典:萱野、方言:沙流)
erekor
エレコㇿ 【他動】[e-re-kor (そのこと)で・名前・を持つ](そのこと)で名前がつく。 oro ta aynu kotan ka oka hi erekor kusu オロタ アイヌ コタン カ オカ ヒ エレコㇿ クス そこにアイヌの村があったことによって名前がついたから。(S言い伝え) {E: to be named.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
erekus
エレクㇱ 【名】[e-rek-us その頭(顔)・ひげ・(そこ)に生えている][動物]①タラ。 ②(あだなとして)ドジョウ。 aynu or ta/paye=as ki kor/erekus erekus sekor/a=i=yé ki wa/iruska=as kus/santa soaso/somo ci=ye wa アイヌ オッタ/パイェアㇱ キ コㇿ/エレクㇱ エレクㇱ セコㇿ/アイイェ キ ワ/イルㇱカアㇱ クㇱ/サンタ ソアソ/ソモ チイェ ワ 人間のところに行くと「ひげ生え、 ひげ生え」と言われるので腹が立つから言わない(聞かれたことを教えてやらない)よ(ドジョウが言っている)。(W神謡K)〔知分類 p.66〕 {E: a cod fish.} (出典:田村、方言:沙流)
erokroki
エロㇰロキ 【erokroki】 ヨタカ〔鳥〕:馬追い鳥ともいう.*ヨタカの体の白黒の横縞はアイヌの墓標に巻くウトキアッという紐に似ている.それで墓標に巻いた紐が朽ちて大地に落ち.それを見たオキクルミカムイがヨタカとして魂を与えたと言われる.夜,ヨタカに追われたらその素姓を暴くと追うのを止めると言う. (出典:萱野、方言:沙流)
erum
エルㇺ 【erum】 ネズミ. エルㇺ ネㇷ゚カ タタ コㇿ コナハ(ク・オナハ) エネ ハワニ エルㇺカムイ ノ トノケヘ エルㇺ ノットゥタ アン ペ ネ ナ エチ・コヨンヌッパ ナ シコㇿ ハワニ ク・ヌ アㇺキㇼ ペ ネ=ネズミが何か物をかじったら私の父が言ったのは,ネズミの神の最も偉い神は襟裳の岬にいるものだ,お前をそこへ訴えるぞ,と言っていたのを聞いたものだ.*事実,襟裳岬へ行ってみると波の具合によってはたくさんのネズミが沖へ向かって走っているかのように見えるのには驚いた.アイヌは地形をよく見ているんだなあと思っている. (出典:萱野、方言:沙流)
esopki
エソㇷ゚キ 【e-sopki】 着座させる. アㇻ コタン ワ エㇰ クㇽ ウタㇻ ア・エソㇷ゚キ=別の村から来た人たちを(私たちは)着座させた.ア・エソㇷ゚キ アイヌ=丁寧に座を示される人,大切にされる人. (出典:萱野、方言:沙流)
esorkanni
エソㇿカンニ 【esor-kar-ni】 ハナヒデ(ミツバウツギ):枝を折るとこの木ほどいやなにおいの木はないと思うほどにおいがある,アイヌはこの木で火箸を作った. アイヌ イタㇰ アニ チクニレ レホㇰ アッカリ ケラマン(ク・エラマン) ワ カン(ク・アン) コㇿカ エソㇿカンニ パㇰノ フラハ ウェン チクニ イサㇺ ペ ネ=アイヌ語で木の名前を60以上知っているけれどもハナヒデくらいにおいの悪い木はないものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
eteskar
エテㇱカㇻ 【e-teskar】 ことづける,伝言(する). カキヒ(ク・アキヒ) ケシカルン(ク・エシカルン) ペ ネ クス アイヌ アㇻパ ヒ タ ケテㇱカㇻ(ク・エテㇱカㇻ) アクス ヌ ワ ネ ノイネ エㇰ カネイキ エアㇻキンネ ケヤイコプンテㇰ(ク・エヤイコプンテㇰ)=弟に会いたくなったので人が行った時にことづけをしたら聞いたらしく,ひょっこりと来た.本当に私は嬉しかった. (出典:萱野、方言:沙流)
etoko(ho) 2
エトコ(ホ) 【etoko(ho)】 ②源,上流. イㇱカㇻ エトコホ ソウンペッ アナㇰネ イタㇰ コラチ ウェンクッオンネ アイヌ カ アㇷ゚カㇱ エアイカㇷ゚=石狩川の源,滝のある川(層雲峡)は言葉通り絶壁なので人間も歩くことができない.オサッ ア・トゥラシ ワ オサッ エトコ タ アㇻパ・アン シモンサムン(シモンサㇺ ウン) ラナン(ラン・アン) コㇿ アペッ ネ ハㇻキサムン(ハㇻキサㇺ ウン) ラナン(ラン・アン) コㇿ マカウシ エトコホ ネ=オサツ沢をたどりオサツ沢の源へ行き右へ下りるとアペツ沢,左へ下りるとマカウシ沢の源だよ.シシㇼムカ エトコホ ウェンサㇻ シコㇿ ア・イェ ウㇱケ タ テエータ ワノ アッニ アッ ペ ネ ワ コルウヌ(ク・オルウヌ)=沙流川の上流の悪い沙流川という場所に昔からオヒョウの木がたくさんあって私は知っている. (出典:萱野、方言:沙流)
etumesu
エトゥメス 【etu-mesu】 鼻削り(する):主として姦通罪などに対する罰として鼻を削り取られた.▷エトゥ=鼻 メス=削り取る ク・コㇿ フチ レヘ てかって ネ.てかって サハ レコㇿ カトゥ ぽしうし ネ ぽしうし シサㇺ トゥラノ アン ワ エトゥフ ア・メス ㇷ゚ ネ ヤカイェ(ヤㇰ ア・イェ)=私の祖母の名はテカッテという.テカッテの姉の名をポシウシというがポシウシは和人と結婚して鼻を削られたという話だ.*私の祖母の姉ポシウシという人は鼻を削がれていたというが私は見たことはない.他の種族と同棲することがアイヌ社会で禁じられていた時代のこと.昭和10年代になると多くのアイヌ女性が和人と結婚した.それを見聞きした祖母は,昔であればアイヌの女性たちは皆鼻なしになるところだと述懐していたものであった. (出典:萱野、方言:沙流)
etun 2
エトゥン 【etun】 ②嫁に貰う.*アイヌ社会では嫁を貰うと言うのではなくマッエトゥン(妻を借りる)と言うものである. イサネヒケ ポンノ イポカㇱ コㇿカ エアㇻキンネ ケウトゥㇺ ピㇼカ ナ イサネヒケ エトゥン クナㇰ ラム アニー=姉のほうは少し器量がよくないが,とっても精神がいいから姉のほうを嫁に貰おうと思いなさいね.シネアンタ イワン チョクㇱアミㇷ゚ ミ クㇽ エㇰ ヒネ イイェトゥン(イ・エトゥン) ルスイ アクス ア・ユピヒ エエセ ルウェ ネ=ある日のこと,6枚の裏返しの着物を着た男が来て私を嫁に欲しいと言った.私の兄はそれを承諾した[ウ](裏返しにした6枚の着物を着ているというのは,1年に6人の妻が死んだというのではなく,今までに6人ということであろう). (出典:萱野、方言:沙流)
eupisno
エウピㇱノ 【e-u-pisno】 皆の分. タント アナㇰネ アイヌ インネ コㇿカ エウピㇱノ アン ナ ポロンノ エ ヤン エ ヤン=今日は人が大勢いるけれども,皆の分あるのでたくさん食べて.食べて. (出典:萱野、方言:沙流)
ewkoysoytak
エウコイソイタㇰ 【他動】[e-uko-isoytak …について・互いに・話をする] …について互いにいろいろと話を(おしゃべりを)し合う。 nep ka kamuy oruspe hene teeta aynu oruspe hene a=ewkoysoytak wa ネㇷ゚ カ カムイ オルㇱペ ヘネ テエタ アイヌ オルㇱペ ヘネ アエウコイソイタㇰ ワ 何か神のことでも昔のアイヌのことでもお互いにいろいろ話をし合って。(S会話) {E: to mutually discuss…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
ewpiraspa
エウピラㇱパ 【自動】[複](単の例は未出)[e-u-piraspa …に・互い・を広げる[複]] 皆で…に広がる。 na uwoya uwoya mosir ewpiraspa wa ナ ウウォヤ ウウォヤ モシㇼ エウピラㇱパ ワ (アイヌの子孫は)まだほかにもあっちこっちの国に広がって行って。(S言い伝え) {E: to spread (out), widen to…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
eyayekatkor
エヤイェカッコㇿ 【他動】[e-yay-e-kat-kor …で・自分・で・やり方・を持つ]…がくせに/習慣になる。 kesto an kor a=kor itak patek ku=ye p ne kusu k=孜ayekatkor wa sísam itak ku=ye kusu ne hike ka a=kor itak ku=ye hawe un ケㇱト アン コㇿ アコリタㇰ パテㇰ クイェㇷ゚ ネ クス ケヤイェカッコㇿ ワ シサミタㇰ クイェ クス ネ ヒケ カ アコリタㇰ クイェ ハウェ ウン 毎日私たちの言葉(アイヌ語)ばかりしゃべるものだからくせになって日本語をしゃべろうとしてもアイヌ語をしゃべってしまうのよ。(S) ☆参考 eramus エラムㇱ 慣れる。 {E: for something to become a habit.} (出典:田村、方言:沙流)
eyayoraye
エヤヨライェ 【他動】[e-yay-o-raye (そのこと)に関して・自分を・(そこ)に行かせる](次の慣用表現で) aynu okka eyayoraye アイヌ オッカ エヤヨライェ [慣用句]…のことで人の上にのぼる。 ison hene aynu okka eyayoraye p ne kusu イソン ヘネ アイヌ オッカ エヤヨライェㇷ゚ ネ クス 狩をしても他の人よりも獲物がたくさんとれるので。(W民話) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
eyayramkes-mewpa
エヤイラㇺケㇱメウパ 【他動】[複](単は未出)[e-yay-ram-kes-mewpa …について・自分・心・の末端・をはがす[複]] …のことを皆で一致して一心に思う。 néun póka ne ciki somo, a=kor mosir, a=kor Samor mosir ne ciki Aynu mosir ne ciki, kiki a=kar easkay ya, sekor an pe patek a=eyáyramkesmewpa ネウン ポカ ネ チキ ソモ、 アコㇿ モシㇼ、 アコㇿ サモㇿ モシン ネ チキ アイヌ モシン ネ チキ、 キキ アカㇻ エアㇱカイ ヤ、 セコラン ペ パテㇰ アエヤイラㇺケㇱメウパ なんとかして、 わが国、 和人の国(本州以南)もアイヌの国(北海道)も、 敵から守ることができないかということばかり皆で一心に思って。(S会話) ☆参考 同種の状況文脈で koyayramkes-mewe コヤイラㇺケㇱメウェ も出ている。 単数と複数の違いはあるが、 e-… と ko-… との違いは未詳。 また e- エ も ko- コ もつかない yayramkesmewe ヤイラㇺケㇱメウェ は未出。 {E: for everyone to be in mutual agreement over…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
eyaysanpe-siturire
エヤイサンペシトゥリレ 【他動】[e-yay-sanpe-situri-re …で・自分・気持ちが・のびる・させる] …で自分の気を晴らす。 aynu sinotca a=ye a a=ye a a=ye a wa a=eyáysanpesiturire アイヌ シノッチャ アイェ ア アイェ ア アイェ ア ワ アエヤイサンペシトゥリレ 私はアイヌの歌を歌って歌って歌って気を晴らした。(S民話) ☞sanpesituri サンペシトゥリ {E: to refresh oneself by…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
eyaysitoma
エヤイシトマ 【e-yay-sitoma】 恥ずかしい. ポンノ ホㇱキ ヤン.アヌン アン ワ ア・エヤイシトマ ナ イテキ ウパウレ ヤン=少し待ちなさい,他人がいて恥ずかしいから言い争いはやめなさい.ハイー エチ・ヌカレ カ ケヤイシトマ(ク・エヤイシトマ) コㇿカ クッチカミヒ(ク・ウッチカミヒ) タ ポロ フㇷ゚ アン ナ ヌカㇻ ワ イェオッ ワ アン チキ ヌンパ ワ エン・コレ=ああ痛い,お前に見せるのも恥ずかしいけれど太股に大きい腫れ物ができているので見て膿を持っていたらしぼってくれ.ホッノ イヨーハイ ク・ナヌフ カンカミ オルン ク・ヌカㇻ コㇿ ウコヨㇺヨミ ヒ ク・ヌカㇻ ケヤイシトマ(ク・エヤイシトマ)=まあまあいやになっちゃう.自分の顔を鏡で見るとしわになっていて恥ずかしい.テエータ アナㇰネ アイヌ オピッタ ウネノ ミㇷ゚ カ イサㇺ エㇷ゚ カ イサㇺ ア コㇿカ タネ アナㇰネ アイヌ オピッタ ピㇼカ オカ カ キ ウェンクㇽ ネ アン コㇿ ソンノ ア・エヤイシトマ=昔は人々皆が同じように着る物も食べるものもなかったけれど,今は人々全部がいい生活をしているので貧乏していると本当に恥ずかしい. (出典:萱野、方言:沙流)
eytasa
エイタサ 【eytasa】 あまり,あまりにも. クンネエウェンクㇽ ネ ヤカイェ(ヤㇰ ア・イェ) ナ イテキ エイタサ エハㇺ ノ ホシピ ルスイ ヤクン トゥナㇱ ホシピレ=鳥目の人ということであったので,あまり引き止めずに戻りたいと言ったら早く戻らせろ.エイタサ パセㇷ゚ オンタロ オㇿ エ・オマレ ワ オンタロ アサマハ エソヨㇱマ ワ イサㇺ=あまりにも重い物をお前が樽に入れ,樽の底が抜けてしまった.エイタサ イウォㇿ エシカルン・アン クス シネアンタ イウォㇿ ホタヌカㇻ クス エキㇺネ・アン=あまりにも狩場が懐かしく思ったので,ある日のこと狩場を見舞うために山へ行った.イテキ エイタサ イクレ ヤン.イヨㇱキ ルイ コㇿ ヤイカオクイマ ㇷ゚ ネ ヤカイェ(ヤㇰ ア・イェ) ナ=だめですよ,あまり飲ませたら.酔いすぎると寝小便するものだそうだよ.マチヤ オッタ(オㇿ タ) アナㇰネ エイタサ アイヌ インネ ㇷ゚ ネ クス ク・トゥラ クㇽ ヤアニ ヤアニ コカトゥライヌ(ク・オカトゥライヌ)=町ではあまりにも人が多いので一緒に行った人を危なく危なく見失うところだった.アイヌ オッタ(オㇿ タ) アナㇰネ エイタサ ミムㇱペ オカ コㇿ ウェンセク シコㇿ ア・イェ ア・オラムサッカ ㇷ゚ ネ ヤカイェ(ヤㇰ ア・イェ)=アイヌの所ではあまりにも太った者がいると悪い太り方と言って軽蔑されるものだという. (出典:萱野、方言:沙流)
eyutara
エユタラ 【e-yutara】 知らせる. タント アナㇰネ アクㇷ゚・アン ヒ ケユタラ(ク・エユタラ) ワ アン クス ウウェイパㇰタ アイヌ エㇰ ナンコㇿ ワ=今日は建て前することを村人に知らせてあるので,だんだんと人が来るだろう. (出典:萱野、方言:沙流)
hanasi
ハナシ 【名】[日本語] 話。(次のような対句の中で) pirka hanasi/pirka isoytak/ku=ki ciki ピㇼカ ハナシ/ピㇼカ イソイタㇰ/クキ チキ よい話、 すてきな話を私がしたなら。 K即興歌 ☆参考 アイヌ語と日本語との同義の語を使っての対句である。 {E: a talk; a tale; a story.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
hapi
ハピ §389.しぬ(死ぬ)(10)死ぬ hapi〔há-pi はピ〕⦅S.⦆【雅―樺太アイヌの神謡, p.32】 (出典:知里人間編I、方言:)
harkika
ハㇻキカ 【harki-ka】 シナ縄:シナ縄はアイヌ風の家を建てるために欠かせない材料. 図[ハㇻキカとハㇻキカサイェㇷ゚] (出典:萱野、方言:沙流)
hawehe amkir
ハウェヘ アㇺキㇼ 【hawehe amkir】 その声に聞き覚えがある.▷ハウェヘ=声 アㇺキㇼ=知っている エソイネ アイヌハウ アㇱ アクス ハウェヘ アㇺキㇼクㇽ ネ ヤㇰ イェ アクス ソンノ ポカ フチ カㇻクフ ネ アアン=外へ人声が聞こえたら,声に聞き覚えがある人だと言っていたら,本当におばあさんの甥であった. (出典:萱野、方言:沙流)
haykannusu
ハイカンヌス 【haykannu-su】 中型鍋:鉄製. タント アナㇰネ アイヌ インネ カ ソモ ナンコㇿ ナ ハイカンヌス アニ スケ パ ヤン=今日はそれほど人が多くはないだろうから中型鍋で煮物をしなさい.図[ハイカンヌス] (出典:萱野、方言:沙流)
hayta 1
ハイタ 【hayta】 ①不足である.足りない. タンパ ケマン ワ アエㇷ゚ ハイタ ノイネ エアㇻキンネ ク・ラムチュㇷ゚テㇰ アエㇷ゚ ア・オトゥペカレ ロー=今年は食べ物が足りないらしい.とっても心細いので食べ物を大事にしよう.タント アナㇰネ アイヌ インネ ナンコㇿ ナ アエㇷ゚ ハイタ ヤㇰ ウェン ナ ポロ ス アニ スケ ヤン アニー=今日は人が大勢であろうと思う.食べ物が不足すると悪いので大きい鍋で煮物をしなさいね.カットゥリ(ク・アットゥリ) コㇿ カナ(ク・アン ア) コㇿカ アㇱカ ポンノ ハイタ ナ エ・コㇿ チキ エネルサ(エン・エルサ)=私は厚司の糸を伸ばしていたが縦糸が少し足りなくなったので,お前が持っていたら貸してくれ.ウピピ ウピピ イペ パ コㇿ ポーヘネ アエㇷ゚ ハイタ ナ ホクレ エㇰ ワ イペ オケレ パ ヤン=別々に食べるとなおさら食べ物が足りないから早く来て食べ終わらせなさい. (出典:萱野、方言:沙流)
hecaweni
ヘチャウェニ 【hecawe-ni】 (仕掛け弓の矢の)止め木,引きがね木:仕掛け弓に番えてある矢の弾きを止めてある木(萱野茂『アイヌの民具』151頁). (出典:萱野、方言:沙流)
hehewpa
ヘヘウパ 【hehewpa】 覗く,覗き見(する). トト インカㇻ ヘマンタ カㇻ ペ チセ ピㇱノ ヘヘウパ コㇿ コタン オペㇱ オㇱ アㇻパ ワ インカㇻ=あれあれ何をする者.家ごとに覗き見しながら村を通って行く,後へ行ってみろ.ク・サポ ポンノ ホㇱキ タㇷ゚ アㇻパ アイヌ エアㇻキンネ チセ ピㇱノ ヘヘウパ コㇿ アㇻパ.シノ ク・イヨヤモㇰテ オカピクイラ・アン ワ インカㇻ・アン ロー=おねえさんちょっと待って,今行った人が家々ごとに覗きながら行った.本当に疑わしい,後をつけて行ってみよう. (出典:萱野、方言:沙流)
hekacikor
ヘカチコㇿ 【hekaci-kor】 子守(する). ペウレアニ(ペウレ・アン ヒ) タ アナㇰネ シユトハポ チセ オッタ(オㇿ タ) ヘカチコㇿ コㇿ アン コㇿ アイヌパータ チセ オッタ アン シコㇿ ヤイヌ・アン ペ ネ ア コㇿカ オンネ・アン ワ ヘカチコㇿ・アン ワ イヌ・アン コㇿ エアㇻキンネ シンキ・アン=若い時は姑母が家で子守をしていると,いいものだなあ家にいて,と思ったものだが年をとってから子守をしてみると本当に疲れる. (出典:萱野、方言:沙流)
hekacipekamat
ヘカチペカマッ 【hekaci-peka-mat】 子供を受ける女,削り台. *アイヌ家屋の入口の方から見て,炉の左隅に見えるのが男,右の隅に見えるのが女,子供が炉に落ちそうになったら夫婦の神が受けとめてくれると考えていた.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
hemem
ヘメㇺ 【hemem】 〜も. カㇺ ヘメㇺ チェㇷ゚ ヘメㇺ=肉も魚も.エモ アナㇰネ トオㇷ゚ フㇱコトイ ワノ アイヌ ウタㇻ エトイタ パ ワ エモシルㇷ゚ アニ シル ワ エ ヘメㇺ キ ルプㇱカ ワ ペネエモ ネ カ カㇻ パ ワ エ パ ㇷ゚ ネ=ジャガイモはずうっと昔からアイヌたちは蒔いていたもので,ジャガイモ下ろし金で下ろして食べたり,凍らせて潰れいもにして食べたりしたものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
hempaksuy
ヘンパㇰスイ 【副】[hempak-suy いくつの・(回数)] 何回。 hempaksuy ka aynurayke yak a=ye へㇺパㇰスイ カ アイヌライケ ヤカイェ 何度も人殺しをしたそうだ。(S) {E: how many times.} (出典:田村、方言:沙流)
heperay
ヘペライ 【heper-ay】 花矢:ラスパ(サビタ).▷ヘペㇾ=小熊 アイ=矢(『アイヌの民具』302頁) 図[ヘペライ作り][ヘペライ] (出典:萱野、方言:沙流)
herikasi
ヘリカシ 【he-rik-asi】 上の方. ヘリカシ アㇻパ ア ワ=上の方へ行ったよ.ヘリカシ インカㇻ=上の方を見よ.ヘリカシ ネ ペコㇿ ク・ヌ ア ワ=上の方のように私は聞いたよ.アイヌ アナㇰネ ピサックノカ シンナレヘ "トイタサオッ" シコㇿ カ ア・イェ.トイタウシ アン コㇿ トオㇷ゚ ヘリカシ キラ クス ア・イェ ヒ ネ=アイヌ民族は北斗七星の別の名を「畑耕しから逃げる」とも言う.畑時期になるとずうっと上へ逃げるのでそう言われるのだ. (出典:萱野、方言:沙流)
hetap
ヘタㇷ゚ 【hetap】 だろうか. アイヌ ヘタㇷ゚ カムイ ヘタㇷ゚=人間だろうか神だろうか.アイヌ ヘタㇷ゚ エネ カトゥアン ワ イ・サㇺ エ・ソンコクㇱテ ワ ウェンカムイ ネ ソモ ア・イ・カㇻ=人間だろうかあなたの様子は,私の前に言葉を通らせ私は悪い神にされずにすんだ[ウ](間違いを起こした神を助けるために神々ヘアイヌのほうからお願いをした). (出典:萱野、方言:沙流)
hetco
ヘッチョ 【hetco】 太綱をなうためによりをかけたシナ皮:チミンニペㇱ(シナの皮)を細く裂いたもの(『アイヌの民具』40頁). 図[ヘッチョ] (出典:萱野、方言:沙流)
hikusu
ヒクス 【hikusu】 〜ので,そこで,そして. カムイ オッタ(オㇿ タ) ア・ヤイコトㇺカ ㇷ゚ ア・フナラ ヤッカ イサㇺ ヒクス アイヌ オルン インカㇻアナクス(インカㇻ・アン アクス) エアニ パテㇰ ア・ヤイコトㇺカ=神の所で私に似合う者を探したがいないので人間の方を見ると,お前ばかりが私に似合う.セタ ミㇰ コㇿ エン・ケサンパ ヒクス スマ アニ ア・ピイェカㇻ アクス キラ ワ アㇻパ=犬が吠えながら私を追いかけてきたので石をぶつけると逃げて行った. (出典:萱野、方言:沙流)
hocikok
ホチコㇰ 【hocikok】 コノハズク. テエータ スクㇱペッ エトコホ タ アイヌ オッカイポ レン パㇰノ ペソㇱ トゥㇺ タ シットゥライヌ パ.シㇼクンネ ワ キモレウシ ヒ タ オハイヌ ホチコㇰ ハウ ヌ ㇷ゚ ライ ソモ ヌ パ ㇷ゚ シㇰヌ ㇷ゚ ネ ヤカイェ(ヤㇰ ア・イェ)=ずうっと昔,宿志別川の上流でアイヌの若者が3人ほどみぞれの降る中を道に迷った.暗くなって野宿した時に幻聴であるコノハズクの声を聞いた者は死に,聞かなかった者は生きたという. (出典:萱野、方言:沙流)
hokaetok
ホカエトㇰ 【hoka-etok】 横座. ホカエトㇰ タ アナㇰネ アアイヌコㇿクㇽ ア・アレ ウㇱケヘ ネ チセコㇿクㇽ アナㇰネ シソ タ ア ㇷ゚ ネ=横座には最も大切な人を座らせる所で,家の主は右座のほうに座るものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
hokampaitak
ホカンパイタㇰ 【hokampa-itak】 難しい言葉. アイヌ イタㇰ アナㇰネ ユカㇻ ア・イェ ヒ タ ウウェペケㇾ ア・イェ ヒ タ カムイユカㇻ ア・イェ ヒ タ ネㇷ゚ネㇷ゚ ホカンパ イタㇰ アン ペ ネ=アイヌの言葉は,叙事詩を言う時,昔話を言う時,神が自らの話を言う時,いろいろと難しい言薬があるものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
horkew
ホㇿケウ 【horkew】 狼.*狼が鹿を殺してあったとしたらその鹿を人間が持って来てもいいが、熊の食べ物を横取りをしてはいけない.必ずそれを取り戻しに来るので恐ろしいものと教えられた.狼のことをホㇿケウカムイ(狼神)とアイヌは言っていた. (出典:萱野、方言:沙流)
hoye
ホイェ 【ho-ye】 猥談(をする):性に関することをどぎつく言う.▷ホ=尻 イェ=言う アイヌ アナㇰネ ホイェ エオㇷ゚ ネ コㇿカ ヘカッタㇻ アン コㇿ アペケㇱ オカ ナ シコㇿ ネ ワ イタㇰエソㇱナレ パ=アイヌは猥談を言うけれど子供がいると燃えさしがいるぞと言って言葉の向きを変えるものであった. (出典:萱野、方言:沙流)
hukasikar
フカシカㇻ 【他動(?)】[hukasi-kar [日本語]ふかし・する] 赤飯等をこしらえる。 ☆参考 「アイヌ語か日本語かわからないね。」 (S) {E: to make steamed rice with red beans.} (出典:田村、方言:沙流)
humekayanu
フメカヤヌ 【humekayanu】 (その)音:強い音,高い音,瞬間的な音. ア・イ・フメカヤヌ アクス アイヌ ネ アナン=私は瞬間的な音によって人間になった. (出典:萱野、方言:沙流)
humihi as sintoko
フミヒ アㇱ シントコ 【humihi-as-sintoko】 音の出るシントコ(萱野茂『アイヌの民具』118頁参照). 図[フミヒアㇱシントコ] (出典:萱野、方言:沙流)
hurepiyapa
フレピヤパ §401 ヒエ (8) hure-piyapa (hú-re-pi-ya-pa)「ふレ・ピヤパ」[hure(赤い)piyapa(ヒエ)] ⦅バチラー、アイヌ人とその説話⦆ (出典:知里植物編、方言:)
hurkap/hurkapi(hi)
フㇽカㇷ゚/フㇽカピ(ヒ) 【hur-kap/-kapi(hi)】 死骸.屍.死体,抜殻. セタ フㇽカㇷ゚=犬の死骸.アイヌ フㇽカㇷ゚=人間の死骸.ヘル フㇽカピヒ=生ける屍(死骸のように痩せ細っている).ヘル フㇽカㇷ゚=ただの抜け殻. (出典:萱野、方言:沙流)
huskotoywano
フㇱコトイワノ 【husko toy wa no】 昔から,古くから,以前から. タアン ピパウㇱコタン アナㇰネ フㇱコ トイ ワノ アイヌ オカ.ペトッタ(ペッ オㇿ タ) アナㇰネ チェㇷ゚ ネㇷ゚ パㇰノ カ オカ.キㇺ タ アナㇰネ イセポ チロンヌㇷ゚ ユㇰ キムンカムイ ポロンノ オカ ワ アエㇷ゚ ア・エイㇱラㇺネ カ ソモ=この二風谷村は昔からアイヌが暮らしていた.川には魚がたくさんいた,山にはウサギ,狐,鹿,熊がたくさんいて食べ物に不自由しなかった. (出典:萱野、方言:沙流)
hussa
フッサ 【副/名】[擬音](病人の治療のためにフツフツと息を吹きかける時の擬音、 またその行為。) hussa tura フッサ トゥラ フッフッと息を吹きかけながら。(W会話) hussa hussa iki フッサ フッサ イキ フッフッと息を吹きかける。 aynu nupur wa kus tasta hussa hussa ikipa kor oraun siknupa nek! アイヌ ヌプㇽ ワ クㇱ タㇱタ フッサ フッサ イキパ コㇿ オラウン シㇰヌパ ネㇰ! 人間は霊力がすぐれているから(死んでも)フツフツと息を吹きかければ生き返るのさ。(KK掛け合い歌)の最後の語りの部分 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
i=katoykuspekor
イカトイクㇱペコㇿ 【i=ka toy kus pekor】 (私が)かったるい〔比喩〕.▷イ=私 カ=上 トイ=土 クㇱ=通る ペコㇿ=ような →体の上を土でおおわれたような チュワン オカケ タ トイ アンクラ タ ポンノ モコㇿアナクス(モコㇿ・アン アクス) イ・カトイクㇱ ペコㇿ ネ ヒネ モイモイケ・アン カ ア・エアイカㇷ゚ エウン アイヌ ハウ アㇱ クスケライ モㇱ・アン.ネㇷ゚ カ ウェンカムイ イイェヌチシㇱケ(イ・エヌチシㇱケ) ワ ネ ア ナンコㇿ=お昼ご飯の後,畑の畔で少し眠ると,体の上を土でおおわれたようなかったるい気持になり動くこともできない.そこへ人声がしたお陰で目が覚めた,何か化け物が私をにらみつけていたのであろう. (出典:萱野、方言:沙流)
ihurere
イフレレ 【i-hure-re】 赤く染める.*アイヌ語には色彩についての語はそう多くはない.フレ=赤い,レタㇻ=白い,シューニン=青い,クンネ=黒い,などでそれらの言葉の頭にル(さっと,わずかに),ソンノ(本当に)などをつけて色の表現をしていた.▷イ=それを フレ=赤い レ=させる アㇻパ ワ ケネ ニカㇷ゚ ソソ ワ エㇰ.ク・イフレレ クㇱネ ナ=行ってハンノキの皮を剥がしてきてくれ.私が少しの物を赤くしたいから. (出典:萱野、方言:沙流)
ikaras(ki)
イカラㇱ(キ) 【ikaras(ki)】 もったいない,惜しい:捨てるにはもったいない. イカラㇱ ナ イテキ オスラ=もったいない,捨てるな.イヨーハイ オッカイポ イカラㇱ ア・ニサップニ ハウェアーン=それは大変だね.若者がもったいない,急に亡くなったのかい?アイヌ イカラㇱ ケㇱト イク ア イク ア ウトゥル アン コㇿ ホッケ ワ パテㇰ アン ウェンクㇽ ネ ㇷ゚ ネ クス ア・オラムサッカ=惜しい人が毎日酒を飲んでばかりいて,その間に寝てばかりで貧乏なものだから,軽蔑される.アントゥキ トイ オッタ(オㇿ タ) アントゥキ ケプㇱペ ポロンノ ハチㇼ ワ アン イカラㇱ ナ ウモマレ ワ エㇰ=小豆畑に小豆のさやがたくさん落ちていてもったいないから,集めて来い. (出典:萱野、方言:沙流)
ikeske
イケㇱケ 【i-keske】 憎む,妬む,羨む.▷イ=それ ケㇱケ=妬む イケㇱケ ㇷ゚ アナㇰネ カムイ オッタ(オㇿ タ) カ アイヌ オッタ(オㇿ タ) カ アン ペ ネ ヤカイェ(ヤㇰ ア・イェ).クス ヤヤㇷ゚テ ヤイトゥパレ・アン ペ ネ ナ=人を憎む者は神の所にも人間の所にもいるものだそうだ,だによって自重し自分自身を大切にするものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
ikir 1
イキㇼ 【名】[概](所は ikiri(hi) イキリ(ヒ)) ①ものの集合(ひとまとまり)、 たくさんの集まり。 amam ikir amip ikir icen ikir poronno an pe ne アマㇺ イキㇼ アミㇷ゚ イキㇼ イチェン イキㇼ ポロンノ アン ペ ネ お米(ヒエ)も着物もお金も山積みになってたくさんあるのだ。(S民話) ②系統。 húci ikir フチ イキㇼ [祖母・系統]=母系。 aynu sapikir アイヌ サピキㇼ アイヌの系統。 ekasi ikir エカシ イキㇼ [祖父・系統]=父系。 iwan aynu ikir eposo húci イワン アイヌ イキㇼ エポソ フチ 六代にわたって生きたおばあさん。(S独話) (出典:田村、方言:沙流)
ikir/ikiri(hi) 1
イキㇼ/イキリ(ヒ) 【ikir/ikiri(hi)】 ①列. アイヌパータ! ニㇱパ ネ クス チセ ソイ タ ニ イキㇼ オトゥ イキンネ(イキㇼ ネ) オレ イキンネ アン ルウェ=いいものだなあ,裕福なので家の外に薪の列が2列にも3列にもある様子だ. *昔は薪を家の前に列にして積んであり,薪のある家は物持ちで裕福だと羨ましがられた. (出典:萱野、方言:沙流)
ikiya
イキヤ 【ikiya】 絶対に〜するな,決して〜するな. アイヌ オッタ(オㇿ タ) イヨッタ ア・オラㇺサッカ ㇷ゚ イッカ ネ ナ.エ・ポロ ヤッカ イキヤ ポンノ アン ペ カ エ・エイッカ ナ=アイヌの所で最も軽蔑されることは泥棒だよ.お前がおとなになっても絶対に少しの物でも盗むではないぞ(私の祖母は私にいつもこのように言いきかせてくれた).#NAME? (出典:萱野、方言:沙流)
ikka
イッカ 【ikka】 盗む,盗み. "アイヌ オッタ(オㇿ タ) イッカ パㇰノ ア・エヤイシトマㇷ゚ イサㇺ ペ ネ ナ イテキ イッカ アニー" セコㇿ クヌフ(ク・ウヌフ) エン・カㇱパオッテ=「人間の所で盗みほど恥ずかしいものはない,絶対に盗みをするな」と母は私に教えた.テエータ アナㇰネ イッカ ネ ヤ メノコ エパコアッ ネ ヤ ア・コラムヌ ㇷ゚ オカ コㇿ ウサイモンキレ カ アン ペ ネ ヤカイェ(ヤㇰ ア・イェ) コㇿカ カニ アナㇰネ ク・ヌ カ ク・ヌカㇻ カ エラムㇱカリ=大昔は盗っ人とか女性関係とか疑いがかけられると拷問もあったそうだが,私は聞いたことも見たこともない.イッカ アナㇰネ ネㇷ゚ アッカリ カムイパㇷ゚プリ ネ ナ.イテキ イッカ・アン ペ ネ ナ.ヌ ワ オカ ヤン=盗みというものは何よりも神に罰せられるものなのだ.絶対に盗みをしてはならないものだ.聞いておきなさい. (出典:萱野、方言:沙流)
ikkew/ikkewe
イッケウ/イッケウェ 【ikkew/ikkewe】 一番,最も,最高. イッケウェ タ エチ・エニㇱテ=君を一番信頼している.ポロ マラㇷ゚ト オッタ(オㇿ タ) サケイユㇱクㇽ アナㇰネ シンナトイネ ア・プマコレ ㇷ゚ ネ ナ.チ・ヌカㇻ アイヌ パテㇰ ソモ ネ イッケウェ タ ニㇱパ カシカムイ ア・コオリパㇰ クス ネ ルウェ タパン ナ=大きな宴会の場合に,祭司の方には別に改めて報酬をあげるものだよ.目に見える人間ばかりでなしに,一番に偉い方の憑き神に対して遠慮と感謝をしなければならないものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
ikkewkamuykor
イッケウカムイコㇿ §451.脊髄麻痺ikkew-kamuy-kor〔ík-kéŭ-ka-muǐ-kor いッケウカムイコㇿ〕[ikkew(背骨が)+kamuy(魔を)+kor(持つ)]⦅アイヌ医事談⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
ikokantama
イコカンタマ 【i-kokantama】 だます. アイヌ アナㇰネ ア・ヌカㇻ カトゥ パテㇰ ソモ ネ ネユンネユン イコカンタマ ㇷ゚ オカイペ ネ ナ ヤイトゥパレ ヤン アニー=人間は見た目ばかりでなく.いろいろと人をだます者がいるものだから,気をつけなさいよ. (出典:萱野、方言:沙流)
ikosan
イコサン §722.マラリヤ;おこり(5)マラリヤの発作 i-ko-san〔i-kó-san イこサン〕[i(それが)+ko(そこに)+san(出て来る)]⦅アイヌ医事談⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
ikupasuy
イクパスイ 【iku-pasuy】 捧酒著:お祈りの時に神へアイヌの願いを伝えてくれる著.▷イク=酒を飲む パスイ=箸 アイヌ イタㇰ アナㇰネ ウハイタ ウㇱケ ポロンノ オカ.ネ イタㇰ オウペカレ ワ カムイ オルン ソンコ アンパ ㇷ゚ イクパスイ ネ ルウェ タパン ナ=人間の言葉は至らない所がたくさんあるものだ.その言葉を真っ直ぐにして神へ伝言を持って行くのが捧酒箸なのですよ. (出典:萱野、方言:沙流)
Ikuresuye
イクレスイェ 【名】[人名]イクレスイェ(アイヌの伝説上の豪雄で、 超能力をもつが、 モデルがいたと考えられる。 Yúpet ユペッ (湧別) もしくは Iskari イㇱカㇼ (石狩) の人とされる:児島記述)。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
ikuspe
イクㇱペ 【i-kus-pe】 柱. チセ ア・アシ ヒ タ アナㇰネ イクㇱペ イテキ エウタㇱタサ クニネ ア・オウペカレノ ア・アシ ㇷ゚ ネ ナ=家を建てる時は柱があちこち出入りのないように,真っ直ぐに並べて立てるものだよ.アイヌチセ ア・アシ ヒ タ チュㇷ゚カ ワ ア・アシ イクㇱペ ホㇱキノ ア・アシ オロ ワ トゥㇱ ア・トゥリ マㇰナウ ウン イクㇱペ ピカタ ウン イクㇱペ シュㇺ ウン ペ ア・アシ ㇷ゚ ネ=アイヌ風の家を建てる場合には,東の方の柱を最初に立て,それから縄を引っぱり,北の方の柱,南の柱,西の柱と立てるものだ.参考:トゥントゥ=大切な柱 (出典:萱野、方言:沙流)
imakaketa
イマカケタ 【imakake ta】 あとで,今後は,次に. イヨマンテ オッタ(オㇿ タ) メノコ オッカヨ ウコトゥㇱエタイェ メノコ ア・マケタロ コㇿ イマカケタ オッカヨ カムイ ア・ウㇰ ペ ネ ヤカイェ(ヤㇰ ア・イェ)=熊送りの時に男と女が綱引きをして女が負けると,次に牡熊が獲れるそうだよ.タㇷ゚ アイヌ アン ナ イマカケタ エㇰ アニ=今人がいるので,のちほど来てね.ソンノ ヘー ヘマンタ エ・イッカ ハウェー? ネンカネ エラムㇱ ワ スイ ネノ イキ ヤㇰ ウェン ナ イマカケタ ソモ ネノ イキ クニネ ピㇼカ ノ イェ ワ ヌレ=本当かい.何を盗んだの? もしも癖になって再びそうしたらいけないので,今後はそうしないようによく言って聞かせて.タンペ オッタ(オㇿ タ) アナㇰネ ルイノ ルイノ ア・ヨㇺネレ ソモ ヤㇰネ イマカケタ スイ ウェンプリコㇿ ナ=今の場合は,強く強く懲らしめないと,次に再び悪いことをするであろう. (出典:萱野、方言:沙流)
inawrosiki
イナウロシキ 【inaw-rosiki】 イナウを立てる. ▷イナウ=御幣 ロシキ=立てる *これは昭和30年代までアイヌの風習にしたがって葬式をしていた時代に,葬式の次の日に神々にイナウを贈るために立てた儀式の名前である.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
ine
イネ 【ine】 どうした,いったい,どこへ行った,どれほど,なんと. ネアㇷ゚ イネー=あの物どうした?ク・ケリヒ アㇻケヘ イネー=私の履物の片方はどうした?エ・コㇿ アイヌ イネー? ニペㇱ ケㇷ゚ クス エキㇺネ ワ イサㇺ=お前の父はどうした.シナ皮を剥ぎに山へ行っていない. (出典:萱野、方言:沙流)
inkar
インカㇻ 【inkar】 見る,見える. エアㇻキンネ イカㇻカㇻ エアㇱカイ ウナㇻペ ネ ナ エ・ミ クニ チカㇻカㇻペ アサ ワ インカㇻ=とっても刺繍の上手なおばさんだからお前が着る刺繍の着物を注文して見なさい.オッコー エㇰ ワ インカㇻ.テタ アハラ ピㇼカ ナ ア・タ ワ インカㇻ・アン ロー=お姉さん,来て見てよ.ここの土豆の葉がいいから,掘ってみようよ.カムイ オッタ(オㇿ タ) ア・ヤイコトㇺカ ㇷ゚ ア・フナラ ヤッカ イサㇺ ヒクス アイヌ オルン(オㇿ ウン) インカㇻアナクス(インカㇻ・アン アクス) エアニ パテㇰ ア・ヤイコトㇺカ=神の所で私に似合う者を探したがいないので,人間のほうを見ると,お前ばかりが私に似合う.ホワーㇻ ネユナン イトゥㇽプㇰ インカㇻ ポカ ク・キ ㇷ゚ ネ アㇷ゚ ネㇷ゚カ ソモ ク・ヌカㇻ=あーあ,どうにかかすかに見るだけでも私はできていたのに,何も見えない(私の祖母のテカッテは100歳近くなってからは年老いた自分の目のことをそのように言って嘆いていたものだ). (出典:萱野、方言:沙流)
inkar ikosinninup
インカㇻ イコシンニヌㇷ゚ 【inkar i-ko-sir-ninu-p】 宝物:見ただけで宝になるもの. アイヌ オッタ(オㇿ タ) アナㇰネ インカㇻイコシンニヌㇷ゚ カ イヌイコシンニヌㇷ゚ カ アン ペ ネ ワ ネㇷ゚ ア・ヌカㇻ ヤッカ ネㇷ゚ ア・ヌ ヤッカ ア・ヤイラㇺオシッチューレ ワ ア・ヌ カ ア・ヌカㇻ カ キ ㇷ゚ ネ=アイヌの社会では,見た宝,聞いた宝などがある.何か見ても何か聞いても心を落ち着けて聞いたり見たりするものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
inne
インネ 【inne】 たくさん,大勢,人が多い. マチヤ オッタ(オㇿ タ) アナㇰネ エイタサ アイヌ インネ ㇷ゚ ネ クス ク・トゥラ クㇽ ヤアニ ヤアニ コカトゥライヌ(ク・オカトゥライヌ)=町では,あまりにも人が多いので,一緒に行った人を危なく危なく見失うところだった.インネ ウタㇻ コタン ケスン(ケㇱ ウン) ウホユッパレ.インカㇻアナクス(インカㇻ・アン アクス) スプヤ ア・ヌカㇻ.アシヌマ カ ホユプ・アン=大勢の人が村の下端へ走った.その方角を見ると煙が見えた.私も走った. (出典:萱野、方言:沙流)
inoka
イノカ 【i-noka】 (蛇などの)偶像.アイヌには偶像崇拝の風習はないが,蛇に崇られたなどの託宣が出た場合にイノカ(偶像)を作り,それに供物をあげて詫びをすることがあった. (出典:萱野、方言:沙流)
inu
イヌ 【inu】 (〜して)みる. ケ(ク・エ) コㇿ アン シト エㇺコ エチ・コレ ナ エ ワ イヌ=私が食べている団子の半分をあなたにあげるから,食べてみなさい.ペウレアニ(ペウレ・アン ヒ) タ アナㇰネ シユトハポ チセ オッタ(オㇿ タ) ヘカチコㇿ コㇿ アン コㇿ アイヌパータ チセ オッタ アン シコㇿ ヤイヌ・アン ペ ネ ア コㇿカ オンネ・アン ワ ヘカチコㇿ・アン ワ イヌ・アン コㇿ エアㇻキンネ シンキ・アン=若い時は,姑母が家で子守をしていると,いいものだなあ家にいて,と思ったものだが,年をとってから子守をしてみると,本当に疲れる. (出典:萱野、方言:沙流)
inumpe
イヌンペ 【inumpe】 炉縁. シネ トランネ ヘカチ アン ヒネ,ワッカ ア・タレ アクス ピサック アニ イヌンペ キㇰキㇰ コㇿ "アイヌパータ イヌンペ アナㇰネ ケㇱト セトゥㇽ セセㇰ ワ ホッケ ワ アン" シコㇿ ハワン=ひとりのからっぽやみ(=骨惜しみ)の少年がいて,水を汲みに行かされたら,ひしゃくで炉縁を叩きながら「いいものだなあ,炉縁は毎日背中あぶりをして寝ている」と言った. (出典:萱野、方言:沙流)
ipeewnar kasup
イペエゥナㇻ カスㇷ゚ 【ipe-ewnar kasup】 食い根性の悪い杓子,アルミニウム製の杓子. ▷イペ=食べる エゥナㇻ=いやがる,惜しがる カスㇷ゚=杓子 *アルミ製の杓子は鍋の底をがりがりと音をさせて,残りはありませんと客に聞かせるので,食い根性の悪い杓子といって,アイヌはこれを嫌った.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
iperusuy
イペルスイ 【ipe rusuy】 空腹(だ).腹が減る. ハイー エシㇼカ ソモ ク・イペ ヒ タ アイヌ エㇰ ペ ネ クス クンネイワイペ コイラ(ク・オイラ) アアン.ク・イペルスイ フミー=あーあ,朝食前に客が来たので,朝飯を食べ忘れてしまった.腹が減ったなあ.イテキ オピッタ エ ノ ポンノ アヌ エ・サハ イペルスイ コㇿ エㇰ ナンコㇿ ナ=全部食べないで少し残せ.お前の姉が腹をすかせて来るであろうから.ハイー クンネイワ ソモ ク・イペ ノ ケㇰ(ク・エㇰ) アクス タネ ケシッチュー(ク・エシッチュー) パㇰノ ク・イペルスイ.ネㇷ゚カ アエㇷ゚ イサㇺ ルウェー=あーあ,朝何も食べずに来たので,今にもぶっ倒れるぐらい腹ぺこだ.何か食べ物はないのかい. (出典:萱野、方言:沙流)
ipetam
イペタㇺ 【ipe-tam】 人食い刀.▷イペ=食べる タㇺ=刀 *1度抜いたら血を見なければ納まらない刀が二風谷近くのアイヌの村にもあり,イペタㇺと呼ばれた.持ち主はその刀で自害した.後にその末裔が私の姉と結婚した. (出典:萱野、方言:沙流)
ipirkare
イピㇼカレ 【i-pirka-re】 人間をよくする. コシンプ アイヌ トゥレン コㇿ イピㇼカレ ㇷ゚ カ オカ イウェンテ ㇷ゚ カ オカ ㇷ゚ ネ ヤカイェ(ヤㇰ ア・イェ).ネ ヒ ア・エラマン ワ ラム ア・クットコレ コㇿ シノ ピㇼカ ㇷ゚ ネー シコㇿ=妖精が人間の憑き神になると,憑いた人間をよくする者もいるが悪くする者もいる.それを覚えて,思いを反対にする(=逆に利用する)と本当にいいものだということだ. (出典:萱野、方言:沙流)
ipoptep
イポㇷ゚テㇷ゚ 【i-popte-p】 コオロギ.*昭和40年頃に静内へ録音に行った時に聞かせていただいた話では,海岸のアイヌにはコオロギを神として祭っている血統がある.それはべた凪の上へ濃い霧で方角がわからなくなった時,陸地の方でコオロギの声が聞こえたのでそれに向かって舟を漕ぎ,助かった.それで神として祭るようになったのだと言う.▷イ=それ ポㇷ゚=煮え立つ テ=させる ㇷ゚=もの →コオロギの鳴き声は鍋が煮え立つような音なので,煮え立っているようなもの(虫)と名づけた. (出典:萱野、方言:沙流)
ipor/iporo(ho)
イポㇿ/イポロ(ホ) 【ipor/iporo(ho)】 顔色. マキㇷ゚ エ・イポロ ウェン ルウェ アン? ヒナコロホ アㇻカイ アン?=どうしたの顔色が悪いこと? 痛い所はどこなの?アイヌイカラㇱ ウェンシイェイェ ヘネ キ シリ ネ ノイネ イポロホ カ ウェン=もったいない人が悪い病気にかかったらしく,顔色も悪い. (出典:萱野、方言:沙流)
irankarapte
イランカラㇷ゚テ 【間投】[i-rankarap-te 人に・あいさつする・させる] ご挨拶申し上げます。 ☆参考 家に通されて席についてから、 男子が一定の作法をもって挨拶するときの、 きちんとした挨拶語。 いつも会っている友人などに道で出会って「こんにちは」というような挨拶語はこの方言にはない。 ☆参考 1980年代の終わりごろからアイヌ語の使い方もどんどん変わってきたようで、 1990年代の今では、 軽い「こんにちは」のような挨拶に irankarapte イランカラㇷ゚テ と言う人もいると聞く。 樺太ライチシカ方言の藤山ハルさんは、 日本語の「こんにちは」のような軽い挨拶に irankarahte イランカラハテ と言っていた。 ☆参考 語構成に関し、 萱野茂氏は、 ビデオ『アイヌ語会話初級篇』で イ・ラン・カラㇷ゚・テ あなた・心・ふれる・ますよ、 つまりあなたの心にそっとふれさせていただきます」と解釈している。 {E: to make greetings.} (出典:田村、方言:沙流)
irawketupa
イラウケトゥパ 【irawketupa】 集団で働きに来る(行く):近くで働く=ネプキ,モンライケ.和人によって強制的に連れて行かれて働かされた時などはイラウケトゥパ.また,病気をまき散らす神がアイヌの村へ来る時も,神の言葉として.アイヌコタン イラウケトゥパ クス ヤパン(ヤㇷ゚・アン)=人間の村に仕事に行く. (出典:萱野、方言:沙流)
iruykewakka
イルイケワッカ 【iruyke wakka】 研ぎ水. シネ アイヌ カムイフㇺ アㇱ ヒ タ イルイケ ワッカ カムイ コチャリ カムイ イルㇱカ=ひとりの人間が雷の音がする時に研ぎ水を神に投げ散らし,神が怒った[カムイユカㇻ]. (出典:萱野、方言:沙流)
isaptekur
イサㇷ゚テクㇽ 【i-sapte-kur】 給仕人. イサㇷ゚テクㇽ アナㇰネ シノ ピカンピカン オッカイポ イサㇷ゚テ ㇷ゚ ネ コエトゥレンノ イテキ アイヌヌㇺケノ アペエトㇰ ワノ ニワ パルㇽタ アン ウタㇻ パㇰノ イサㇷ゚テ アン ペ ネ=給仕する人は本当に気の利く若者が給仕する.それとともに絶対に人選びせずに,横座の方から内庭の縁に座っている人たちまで給仕するものだ.*この場合,宴席などでは貧富の差によって給仕の順を後先にしてはいけない. (出典:萱野、方言:沙流)
isepokirpu
イセポキㇼプ 【isepo-kirpu】 ウサギの脂. ▷イセポ=ウサギ キㇼプ=脂 フーンイセポカムイ エキㇼプコㇿルウェー=あーあウサギの神,たくさんの脂味だよー. *ウサギは脂味のないが故に,いつも他の動物に対して引け目を感じている.それを知っているアイヌたちは,ウサギの神に恥をかかせないために,前足の付け根にある大人の小指の指先ほどのわずかな脂味を,両方の手で捧げ持ってお礼を言う.それを聞いたウサギの神は,恥をかかせないアイヌの所へ,何回も客として来てくれるという.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
isitayki
イシタイキ 【i-sitayki】 機を織る.▷イ=それを シタイキ=叩く →アイヌの厚司の織り方はへらで横糸を叩くように織る エシㇼ エアウネ カㇻパ(ク・アㇻパ) アクス アウン ウナㇻペ イシタイキ コアリキキ コㇿ アン ア ワ=先程私が隣に行ったら隣のおばさんは機織りに精を出していたよ.テーエタ アナㇰネ フチ ウタㇻ イテセ ネ ヤ イシタイキ ネ ヤ キ ヒ タ ワッカ エプルㇽセ パ ワ ネㇷ゚キ パ コㇿ オカ シリ ク・ヌカㇻ アㇺキㇼ=古い時代はおばあちゃんたちが袋物を編んだり厚司を織る時は,口に水をふくんで霧吹きをして仕事をしていたのを私は見た覚えがある.図17[イシタイキ] (出典:萱野、方言:沙流)
isma
イㇱマ 【isma】 ラウンクッの端の方に下がっている菱形の布,菱形布.フチホンプサ(祖母の腹房)とも言う. シリウフイヒタ イㇱマ アスイスイェコロ シリウフイカ エソㇱナㇷ゚ ネヤッアイェ=火事の時に菱形布を振り回すと,火事を逸れるという話がある. *昭和18年4月であったか,平取市街の大火の時に,ひとりのアイヌのおばさんが陰部をさらしてイㇱマを振ったら火が止まった,と平村はなさんが聞かせてくれた.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
itak 2
イタㇰ 【名】①言葉。 itak ipehe イタㇰ イペヘ/イタキペヘ ☞itakipehe イタキペヘ。 anun itak アヌン イタㇰ/アヌニタㇰ よその(他地方の)言葉。 aynu itak アイヌ イタㇰ アイヌ語。 sísam itak シサㇺ イタㇰ/シサミタㇰ 日本語。 a=kor itak アコリタㇰ 私たち(あなたも私も)の言葉(アイヌ民族同士で言うときアイヌ語を指す)。 ci=kor itak チコリタㇰ(あなたのではなく)私たちの言葉(他民族、 たとえば和人に言う場合にアイヌ語を指す)。 ②(動詞句のあとで) tuyka itak omare トゥイカ イタㇰ オマレ [雅](直訳すると)…の上に言葉をのせる=…しながら言葉を言う。(☞itako イタコ) {E: words.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
itak koraci
イタㇰ コラチ 【itak koraci】 言葉通りに. "イワポソインカㇻ" セコㇿ ア・イェ ウェンカムイ アナㇰネ イタㇰ コラチ イワ オポソ カ アイヌ ヌカㇻ コㇿ アン ア・シトマ ウェンカムイ ネヤカイェ(ネ ヤㇰ ア・イェ)=「岩を通してでも見える」という悪い神は,言葉の通りに岩を通しても人間を見ている恐ろしい化け物だそうだ.イㇱカㇻ エトコホ "ソウンペッ" アナㇰネ イタㇰ コラチ ウェンクッオンネ アイヌ カ アㇷ゚カㇱ エアイカㇷ゚=石狩川の源,「滝のある川」(層雲峡)は言葉通り絶壁なので,人間も歩くことができない. (出典:萱野、方言:沙流)
itak'esosnare
イタㇰエソㇱナレ 【itak-esosna-re】 話題を変える. アイヌ アナㇰネ ホイェ エオㇷ゚ ネ コㇿカ ヘカッタㇻ アン コㇿ "アペケㇱ オカ ナ" シコㇿ ネ ワ イタㇰエソㇱナレパ=アイヌは猥談を言うけれど,子供がいると「燃えさしがいるぞ」と言って,言葉の向きを変えるものであった. (出典:萱野、方言:沙流)
itakramat
イタㇰラマッ 【itak-ramat】 言葉の魂. アイヌ イタㇰ アナㇰネ ラマッ コㇿ ワ コエトゥレンノ ケマ コㇿ ペコㇿ パㇻ コㇿ ペコㇿ イタㇰラマッ シネンネ アㇷ゚カㇱ ペ ネ ルウェ ネ ワ=人間の言葉というものは魂を持っていて.それとともに足があるように,口があるように,言葉の魂がひとりで歩くものなのだよ. (出典:萱野、方言:沙流)
itaktakusa
イタㇰタクサ 【itak-takusa】 言葉の清め草,言葉で清める. ▷イタㇰ=言葉 タクサ=清め草 *昭和36年6月に過労のために私は入院した.その時に見舞いに来てくださったのが貝澤前太郎さんでしたが,アイヌ語で次のように言ってくれた. ネㇷ゚クスネヤ ペゥレアイヌ エネワオラーノ ネㇷ゚タスミ エキヒネヤッカ イタㇰタクサ タクサアニ エカクキッ ネワネヤㇰネ イットコラチ エニサㇱヌナ……(何のために若いあなたでありながら,何の病気をしたというのか.言葉の清め草,その清め草で私があなたを祓い清めると,あっという間に元気になるでありましょう……)と言葉ひとつで祓い清めてもらって,数日後に退院できたので,イタㇰタクサは忘れられない言葉になった.平成14年1月に冬青社より出版された私の本の題名に選んだ.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
itaktokkese
イタㇰトッケセ 【itak-tokkese】 語尾. "アイヌ イタㇰ オッタ(オㇿ タ) イタㇰトッケセ ウネノアン イタㇰ レㇷ゚ イェ ワ エン・ヌレ" "シレトㇰ パウェトㇰ ラメトㇰ ネ ワ"=「アイヌ語の中で,語尾が同じ言葉を三つ言って聞かせてくれ」「器量,雄弁,度胸だよ」 (出典:萱野、方言:沙流)
itanki
イタンキ 【itanki】 椀,茶碗(木製). エメㇱケ ポイス エメㇱケ イタンキ ウㇽキオ たんぜん ク・コㇿ ペ ネ ナ かかあならんか ふうふならんか=欠けた小鍋に欠けたお椀にシラミのたかった丹前を私は持っている.かかあになってくれ,夫婦になってくれ.*昭和10年頃近所の二谷栄治さんという青年が,この歌を歌って嫁を貰ったと自分を揶揄していた.アイヌ語と日本語が混じっている.図23[イタンキ] (出典:萱野、方言:沙流)
itaoma-cip
イタオマチㇷ゚ 【名】[ita-oma-cip 板・そこについている・舟]板つき舟(丸木舟のように木をくりぬいてつくった舟型の上に木の板をのせ、 下の舟型とのせた板とに穴をあけて綱を通して縫いつけ、 板と板の間も綱で縫い合わせてつくった。 ござを帆にして帆かけ舟として使ったという)。 ☆参考 ただ cip チㇷ゚ とだけ言うと丸木舟を指す。 それは aynu-cip アイヌチㇷ゚ とも言う。 ☆参考 板つき舟 itaoma-cip イタオマチㇷ゚ についてサダモさんは ita a=ukóteskao wa a=kar cip イタ アウコテㇱカオ ワ アカッ チㇷ゚ 板を編み合わせてつくった舟と説明している。 ☞cip チㇷ゚ (出典:田村、方言:沙流)
itomkokanup(-i)
イトㇺコカヌㇷ゚ §021.子(31)itomkokanup(-i)〔i-tóm-ko-ka-nup イとㇺコカヌㇷ゚〕⦅ホロベツ⦆日本人の父とアイヌの母の間に出来た混血児。[itomkokanuは「人の意志にまかせる」「黙って聞く」の意;日本人との間に生れた子は、軽視され、何かあっても一人前の口を利くことができず黙って聞く;それでitomkokanu-p(黙って聞く・者)と言うのである]。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
itoseni
イトセニ 【itoseni】 ヤチハギ(ホザキシモツケ).*ずいが太いのでキセルのらおに用いた.何年か使うと赤みを帯びてきれいになる.昭和10年代私の父がよくこれを用いていた. ヤチ オッタ(オㇿ タ) アン ペ イトセニ ネ ワ テエ一タ アイヌ ウタㇻ アナㇰネ セリンポ ラオホ ネ エイワンケ パ フㇱコ コㇿ ルフレ ㇷ゚ ネ ア ワ=谷地に生えているのがヤチハギで,昔はアイヌたちがキセルのらおに使い,古くなると少し赤い色になったものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
iturenkamuy
イトゥレンカムイ 【i-turen-kamuy】 憑き神.▷イ=それ トゥレン=憑く カムイ=神 ア・シキヒ アニ ア・ヌカㇻ エアイカㇷ゚ コㇿカ アイヌ アナㇰネ シネ ンシネン イトゥレンカムイ アン ペ ネ ワ ネ カムイ ピㇼカ コㇿ エ・コマウコピㇼカ ㇷ゚ ネ ルウェ ネ ワ=自分の目で見ることができないけれど.人間はひとりひとりに憑き神がいて,その神がいい神であればそれによって運がよくなるものだ.*人それぞれに必ず憑き神がいるものと信じられている. (出典:萱野、方言:沙流)
iwan
イワン 【連体】①[連体]六個の、 六人の(しばしば多数を表す)。 iwan sike イワン シケ/イワイ シケ 六個の荷物、 たくさんの荷物。 iwan poyson イワン ポイソン 六人の子ども、 たくさんの子ども。 iwan aynu ikir eposo húci イワン アイヌ イキㇼ エポソ フチ 六代を貫いた(=何代にもわたって長生きした)老媼。 tono iwan suy ye p a=akkari ka eaykap トノ イワン スイ イェㇷ゚ アアッカリ カ エアイカㇷ゚ 和人の殿様に六回(何回も何回も)言われたことにはそむくことができない。(S民話) ②[間投]六(数え唱えるとき)。 ☆参考 語源は i- イ《四》、 wan ワン《十》と関係がありそうだが、 そうだとすれば[< i-e-wan 四・で・十]《あと四で十》であろうか。 {E: ①six as a counter: six people etc. ②the number six.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
iwaposoinkar
イワポソインカㇻ 【iwa-poso-inkar】 化け物(岩を透かして見る化け物).▷イワ=岩 ポソ=透かす インカㇻ=見る イワポソインカㇻ セコㇿ ア・イェ ウェンカムイ アナㇰネ イタㇰ コラチ イワ オポソ カ アイヌ ヌカㇻ コㇿ アン ア・シトマ ウェンカムイ ネヤカイェ(ネ ヤㇰ ア・イェ)=「岩を通してでも見える」という悪い神は,言葉の通りに岩を通しても人間を見ている,それは恐ろしい化け物だそうだ.*想像上の化け物なのでその姿はわからない.この話は貝澤トロシノさんとその娘であった貝澤みよさんが聞かせてくれたものだ.この化け物と対になりそうなペポソインカㇻ(水を通して見る)というものもある. (出典:萱野、方言:沙流)
iwente
イウェンテ 【iwente】 人間を悪くする.▷イ=それ(人間)を ウェン=悪い テ=させる コシンプ アイヌ トゥレン コㇿ イピㇼカレ ㇷ゚ カ オカ イウェンテ ㇷ゚ カ オカ ㇷ゚ ネ ヤカイェ(ヤㇰ ア・イェ).ネヒ ア・エラマン ワ ラム ア・クットコレ コㇿ シノ ピㇼカ ㇷ゚ ネー シコㇿ=妖精が人間の憑き神になると憑いた人間をよくする者もいるが悪くする者もいるという.それを覚えて思いを反対にする(=逆に利用する)と本当にいいものだということだ. (出典:萱野、方言:沙流)
iyaskeuk
イヤㇱケウㇰ 【自動】[i-y-askeuk 人を・(挿入音)・招待する][aske uk アㇱケ ウㇰ の目的格不定人称形] 人々を招待する。 arpa wa iyaskeuk wa ek アㇻパ ワ イヤㇱケウㇰ ワ エㇰ 行ってみんなを招待して(連れて)おいで(aynu opitta aske uk wa ek アイヌ オピッタ アㇱケ ウㇰ ワ エㇰ とも言う)。(S) ☞aske uk アㇱケ ウㇰ {E: to invite someone} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
iyaynomare
イヤイノマレ 【自動】[雅]まあ立派な(人格、 器量、 恰幅)。 iyaynomare/aynu pito/an nankora イヤイノマレ/アイヌ ピト/アン ナンコラ [雅]まあこんな立派な人物、 人間だか神様だか、 こんな立派な人間もあるものだろうか。(S) {E: How wonderful!} (出典:田村、方言:沙流)
iyonuytasa
イヨヌイタサ 【副】[i-y-onuytasa 人・(挿入音)・に交代して] 今度は交代して。 henpaksuy ka aynurayke yak a=ye wa iyonuytasa a=rayke hawe un ヘンパㇰスイ カ アイヌライケ ヤカイェ ワ イヨヌイタサ アライケ ハウェ ウン 何回も人殺しをしたそうで今度は反対に殺されるのだそうだ。(S) iyonuytasa káni ka ku=kikkik イヨヌイタサ カニ カ クキッキㇰ 仕返しに私もなぐる。(S) en=kip e=niwkes a kusu iyonuytasa e=kip ku=niwkes エンキㇷ゚ エニウケㇱ ア クス イヨヌイタサ エキㇷ゚ クニウケㇱ あなたが私を助けてくれたから今度は私があなたを助けてあげる。(S) {E: let's switch, take turns.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
iyorunkur
イヨルンクㇽ 【名】[i-y-or-un-kur 人・(挿入音)・の所・にいる人] 住み込んでこまごました仕事を手伝う人。 aynu okkaypo/iyorunkur ne/ek nankor アイヌ オッカイポ/イヨルンクン ネ/エㇰ ナンコㇿ 人間の男が住み込みの手伝い人のようになってやって来るだろう。(W神謡) ☆参考 人間の姿になって人間の女と夫婦になって暮らしていた神が天に帰って行ったあとに、 このような男が現れて、 二人の間に子どもができた後、 女は天に上げられて神である夫と本当の結婚をして幸せに暮らすことになる。 神謡や民話のよくあるテーマの一つ。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
iyotserkere
イヨッセㇾケレ 【i-ot-serkere】 あきれ返る,すっかりあきれる. ソンノヘー ネアアイヌイキヒー イヨッセㇾケレ ハワシネワー=本当かい,あの人がそうしたの,あきれた話だよ.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
iyoyamokte
イヨヤモㇰテ 【i-oyamokte】 疑わしい.不審(である). ク・サポ ポンノ ホㇱキ.タㇷ゚ アㇻパ アイヌ エアㇻキンネ チセ ピㇱノ ヘヘウパ コㇿ アㇻパ.シノ ク・イヨヤモㇰテ.オカピクイラ・アン ワ インカㇻ・アン ロー=おねえさん,ちょっと待って.今行った人が家々ごとに覗きながら行った.本当に疑わしい.後をつけて行って見よう. (出典:萱野、方言:沙流)
kaco
カチョー 【kaco】 太鼓:樺大アイヌが用いる. (出典:萱野、方言:沙流)
kakka
カッカ 【kakka】 (子供を)おぶう. ク・ポニタ(ク・ポン ヒ タ) ク・セトゥル ク・トゥリ コㇿ カッカ カッカ セコㇿ カネ ク・イェ コㇿ カキヒ(ク・アキヒ) ウタㇻ ク・セトゥル コトゥㇰ ペ ネ ロㇰ=私が子供の頃に,背中を向けて「おぶう」と言うと,弟らは私の背中にくっついたものであった.*背中を子供に向けて「カッカ1と言うと子供は来るものであった.昭和10年頃,子供をおぶう帯のことをアイヌ語と日本語を混ぜてカッカ帯といっていた.十勝の方ではカッカ=女性の陰部を言うという. (出典:萱野、方言:沙流)
kama
カマ 【kama】 またぐ,越える. イワン コタン カマ レキヒ スイェ ㇷ゚ ヘマンタ アン?=六つの村を越えてひげをなびかせるもの,なあに? *アイヌのなぞなぞ.答えはキケパㇻセイナウ(御幣の一種). (出典:萱野、方言:沙流)
kamtaci
カㇺタチ 【kamtaci】 麹. カㇺタチ ハイタ=麹が足りない=精神薄弱:熊送りの時に熊の脳髄を出した後へ麹を詰める.麹が足りなければ脳味噌が足りないということになる.友達をからかう時の言葉.カㇺタチはアイヌ語かと思っていたが日本語の古語でもカムタチという.だによって古くカムタチと言っていた時代からアイヌ民族と日本国の交易の名残が言葉と物で残っていたのであろう. (出典:萱野、方言:沙流)
kamuy sasimi
カムイ サシミ 【kamuy sasimi】 授かり子. カムイ サシミ アナㇰネ ノオカ ポニ(ポン ヒ) ワノ ピㇼカ カ ソモ ㇷ゚ ネ チマウㇱ ネヤ ネユンネユン ア・エシシ ノ オカイペ ネ クス ア・エヤㇺ ペ ネ=神の授かり子というものは,それほど小さい時からいい格好でもなく,かさぶただらけとか人が避けるような姿をしているものなので大切にするものだ.*ユカㇻとかウウェペケㇾとかの中にカムイサシミの話はしばしば出て来るものであり,例えば病気を撤き散らす神がアイヌの家の屋根の上で休み,家の中の娘を見て,この器量このいい精神の娘が神の国の女であれば妻にしたいものだ,と思ったことで娘は懐妊するというものである. (出典:萱野、方言:沙流)
kamuykocikasinukar
カムイコチカシヌカㇻ 【kamuy-ko-ci-kasinukar】 神からの授かり事,幸運.▷カムイ=神 コ=それ カシ=上 ヌカㇻ=見る ソンノ オンネㇷ゚ カシ ア・オイキ コㇿ アイヌ パテㇰ エヤイコプンテㇰ ペ ソモ ネ ワ カムイコチカシヌカㇻ アン ペ ネ ナ ヌ ワ オカ ヤン アニー=本当に年寄りの面倒を見ると人間だけが喜ぶものではないものだ,神からの授かり事があるものだから聞いておきなさいよ. (出典:萱野、方言:沙流)
kamuynomi
カムイノミ 【kamuy-nomi】 祈る,神への祈り(をする),祭る,祝詞. テエータ オカ アイヌ アナㇰネ ポンノ カ サケ コㇿパ コㇿ カムイノミ パ ㇷ゚ ネ ア コㇿカ タネ アナㇰネ ネノアン イキ カ ア・パンテ ワ イサㇺ=ずうっと前のアイヌは少しでも酒を持つと神への祈りをしたものだが,今はそのようなことも薄められてしまった.図[カムイノミ] (出典:萱野、方言:沙流)
kannakamuy
カンナカムイ 【kanna-kamuy】 雷神,龍.▷カンナ=上 カムイ=神 *アイヌは雷のことを龍と呼んだ. (出典:萱野、方言:沙流)
kari 1
カリ 【kari】 ①徘徊する,回る. カムイ シクトゥㇽ(シㇰ ウトゥㇽ) アイヌ シクトゥㇽ トゥㇱマㇰ ワ アㇻウェントゥカㇷ゚ カリ ハウェ=神の目や人間の目,そのすき間をかいくぐって化け物が徘徊しているのかい. (出典:萱野、方言:沙流)
kari 2
カリ 【kari】 ②化けた. タㇷ゚イキヤ ウナㇻペ マㇰ ネ ワ ネ ヤカ ア・エラムㇱカリ コㇿカ カリ ヤㇰ ア・イェ アイヌ ウタㇻ ウシトマレ クンネ アン コㇿ ソイネ クㇽ カ イサㇺ=この頃亡くなったおばさん,どうしてか知らないが化けたということで,人々は恐ろしがって暗くなると外へ出る人もいない. (出典:萱野、方言:沙流)
karikari
カリカリ 【kari-kari】 響く. オキㇺネ ワノ アイヌ エㇰ ハウ カリカリ ヒクス プヤㇻ カリ ア・オㇱマ インカㇻアナクス(インカㇻ・アン アクス) オヤチキ キムンカムイ スマウコㇿ パ ワ ネ アアン=山の方から人が来る声が響いて来たので窓から体を出して見ると,知らなかったが,熊を獲ってきたのであった. (出典:萱野、方言:沙流)
kasinukar
カシヌカㇻ 【kasi-nukar】 授かる. アイヌ アナㇰネ ピㇼカ ケウトゥㇺ コㇿ コㇿ ソモ ネンカ ヤイヌ・アン ヤッカ チ・カㇱヌカㇻ ヒ カ アン ペ ネ.イテキ ウェンサンペコㇿ・アン ペ ネ ナー=人間というものはよい精神を持っていると,思いもしない所で授かり物があるものだ.だによって悪い精神を持つものではないよ. (出典:萱野、方言:沙流)
kasioiki
カシオイキ 【kasi o-iki】 面倒を見る.世話をする.▷カシ=上 オ=それ イキ=する ソンノ オンネㇷ゚ カシ ア・オイキ コㇿ アイヌ パテㇰ エヤイコプンテㇰ ペ ソモ ネ ワ.カムイコチカシヌカㇻ アン ペ ネ ナ ヌ ワ オカ ヤン アニー=本当に年寄りの面倒を見ると人間だけが喜ぶものではないものだ.神からの授かり事があるものだから聞いておきなさいよ. (出典:萱野、方言:沙流)
kasu 1
カス 【他動】…を凌ぐ、 …以上である。 ta ene okkayo kasu nispa a=ne ruwe an kusu タ エネ オッカヨ カス ニㇱパ アネ ルウェ アン クス これこのとおり私は(女であっても)並の男には負けないくらいの長者だから。(W民話) aynu kasu poro aynu アイヌ カス ポロ アイヌ 普通の男にもましてきわだって大きい立派な男。(NK民話) {E: to exceed…} (出典:田村、方言:沙流)
kasupni
カスㇷ゚ニ 【kasup-ni】 エリマキ,マユミ〔植〕.▷カスㇷ゚=しゃもじ ニ=木 *アイヌはこの木でしゃもじを作った. (出典:萱野、方言:沙流)
katkor 2
カッコㇿ 【他動】[kat-kor あり方・を持つ]…と同類である。 i=katkor ápekor an イカッコㇿ アペコㇿ アン あれは私たちと同じアイヌらしいね。(S) (出典:田村、方言:沙流)
katu(hu)
カトゥ(フ) 【/katu(hu)】 〜の顔,容姿,様子,器量. アイヌ アナㇰネ ア・ヌカㇻ カトゥ パテㇰ ソモ ネ ネユンネユン イコカンタマ ㇷ゚ オカイペ ネ ナ ヤイトゥパレ ヤン アニー=人間は見た目ばかりでなくいろいろと人をだます者がいるものだから気をつけなさいよ.カトゥフ アン ワ ヤイェシコロヌ=あれくらいの器量でよく自分から押し売りしてくるもんだ. (出典:萱野、方言:沙流)
kem
ケㇺ 【kem】 針,縫針,屋根針:アイヌ民家の屋根を葺く時に用いるイワニ(アオダモ)の棒で作った針. 図[ケㇺ] (出典:萱野、方言:沙流)
keman
ケマン 【kem-an】 飢饉(になる),獲物が少なくなる.▷ケㇺ=飢饉 アン=ある ア・コタヌ ケマン ワ トオㇷ゚ トゥイマ コタヌン(コタン ウン) シリペ クス アㇻパ・アン=私の村は飢饉になったのでずっと遠い村へ食べ物を手に入れに行った.タンパ ケマン ワ アエㇷ゚ ハイタ ノイネ エアㇻキンネ ク・ラムチュㇷ゚テㇰ アエㇷ゚ ア・オトゥペカレ ロー=今年は食べ物が足りないらしい.とっても心細いので食べ物を大事にしよう.テエータ アナㇰネ ケマン コㇿ オラーノ ニハル カ テㇾケイペ カ ア・エ ㇷ゚ ネ ヤカイェ(ヤㇰ ア・イェ)=ずっと大昔は飢饉になるとそれからヤドリギも蛙も食べたものだそうだ.*ケㇺラㇺカムイという飢饉を司る神がアイヌの目の前に霧をかけて食べ物を見えなくするのだといわれる.これに対して天候不順で穀物が取れない場合の飢饉はシㇼスㇺという(シㇼ=あたり スㇺ=萎える). (出典:萱野、方言:沙流)
kemramkamuy
ケㇺラㇺカムイ 【kemram-kamuy】 飢饉を司る神:村が飢饉になるのは,飢饉を司る神が村へ来るからと考えていた. ケㇺラㇺカムイ アナㇰネ ポロ ワ オケレ クンネ チカㇷ゚ ネ ㇷ゚ ネ シコㇿ ウウェペケㇾ オッタ(オㇿ タ) ア・ポㇿセ ㇷ゚ ネ=飢饉を司る神というものは大きい大きい黒い鳥の姿をしているものだと昔話の中では描写されているものだ.*飢饉になるのは飢饉を司る神がいて,川からは魚を消してしまい山からは獲物をなくするものとアイヌは考えていた. (出典:萱野、方言:沙流)
kep
ケㇷ゚ 【kep】 剥ぐ. ニペㇱケㇷ゚=シナ皮を剥ぐ.アッケㇷ゚=オヒョウの木の皮を剥ぐ.タント ニペㇱ ク・ケㇷ゚ ワ ケㇰ(ク・エㇰ).ネ エトホ ウォㇿ ア・オ コㇿ ピㇼカノ オン ペ ネ クス タネ シシㇼクンネ コㇿカ ト オㇿ パㇰノ カㇻパ(ク・アㇻパ) ワ ケㇰ(ク・エㇰ)=今日シナ皮を剥いで来た.その日に水に漬けるとよく発酵するものだから,もう薄暗くなったけれど沼まで行って来る."エ・コㇿ アイヌ イネー" "ニペㇱ ケㇷ゚ クス エキㇺネ ワ イサㇺ"=「お前の父はどうした」「シナ皮を剥ぎに山へ行っていない」. (出典:萱野、方言:沙流)
kepuspe 1
ケプㇱペ 【kep-us-pe】 ①くちばし:ツルのくちばしなど長いくちばしをケプㇱペという. チカㇷ゚ ケプㇱペ アイヌ ヌカㇻ パ ワ エムㇱ ケプㇱペ ネ ヤ ヌイェ パ.ユカㇻ オッタ(オㇿ タ) アナㇰネ ケプㇱペ ヌイェ シㇼカ ヌイェ ネㇷ゚キ ネ ア・キ シコㇿ カネ ア・ポㇿセ ㇷ゚ ネ=.鳥のくちばしをアイヌたちは見て刀の鞘などを彫刻した.ユカㇻには鞘を彫り鞘の造りを彫ることを私は仕事にしていると表現されているものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
keromun
ケロムン 【ker-o-mun】 履物の中に入れる枯れ草. *昭和23年,私が二風谷神社の下から,今の場所萱野茂アイヌ資料館前へ移って来た当時は,現在の二風谷共同作業所の所から国道の方までは谷地原であり,タクッペ(谷地坊主)がいっぱいあった.その谷地坊主から垂れ下がっていた枯れ草をむしり取って来てケロムンにしたが,現在は谷地坊主も見ることができない.▷ケㇾ=履物 オ=入れる ムン=草 (出典:萱野、方言:沙流)
keseanpa
ケセアンパ 【kese-anpa】 追いかける. キムンカムイ アイヌ ケセアンパ ヒ タ アナㇰネ コイスㇺ タㇰ エクパ アーペコㇿ アン ワ ホユプ ㇷ゚ ネ ヤカイェ(ヤㇰ ア・イェ)=熊が人間を追いかける時には泡のかたまりをくわえたような格好で走るものだそうだ. (出典:萱野、方言:沙流)
ketunni
ケトゥンニ 【ketun-ni】 三脚:アイヌ民家を建てる時に用いる三脚. (出典:萱野、方言:沙流)
kí-tontaro
キトンタロ 【自動】[ki-tontaro する・(日本語の「飛ぶ」をアイヌ語の動詞にした形)] 飛ぶ(強調形)。 ku=kihopuni/ku=kitontaro クキホプニ/クキトンタロ 私は飛んで行く(のだがなあ)。(KK即興詩) ☆参考 アイヌ語の hopuni ホプニ と日本語の「飛ぶ」をアイヌ語の形にした tontaro トンタロ とを並べて対句にしている。 このように、 アイヌ語と日本語の同義の語を使った同義語並列的な対句は、 即興歌の技法の一つである。 ☞ki- キ {E: to fly.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
kik(i) kar
キㇰ/キキ カㇻ 【連他動】[防御・をする]…を防ぎ守る。 kotan kik kar コタン キㇰ カㇻ 村/国を防ぎ守る。 a=kor mosir kiki a=kar easkay アコㇿ モシㇼ キキ アカㇻ エアㇱカイ 私たちの国を防ぎ守ることができる。 “a=kor mosir epitta oka aynu hene sísam hene tumi or un a=nisúk yak easir mosir kik kar kotan kik kar a=eáskay oasi na” sekor 「アコㇿ モシレピッタ オカ アイヌ ヘネ シサㇺ ヘネ トゥミ オルン アニスㇰ ヤㇰ エアシㇼ モシㇼ キㇰ カㇻ コタン キㇰ カㇻ アエアㇱカイ オアシ ナ」 セコㇿ 「わが国じゅうのアイヌも和人も皆戦争に頼まれて行かなければ私たちは国土を守り国を守ることはできないよ」と…。(W会話) {E: to defend, protect…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
kikir
キキㇼ 【名】[動物]虫、 虫けら。 kunne payoka kikir クンネ パヨカ キキㇼ 夜出歩く虫(ガ(蛾)のことを言っている)。(W) uwekari uwekari am us hemanta kikir ウウェカリ ウウェカリ アムㇱ ヘマンタ キキㇼ 左右両側から爪がたくさんついているヘンな虫(ムカデのことを言っている)。(W) aynu ka isam nep ka isam no, kikir ne rokpekor, usa kameasi ne rokpekor, patek a=kar wa a=i=kóhoppa ayke kusu アイヌ カ イサㇺ ネㇷ゚ カ イサㇺ ノ、 キキㇼ ネ ロㇰペコㇿ、 ウサ カメアシ ネ ロㇰペコㇿ、 パテㇰ アカㇻ ワ アイコホッパ アイケ クス 人間がいなくて、 虫けらみたいなものやばけものみたいなものばかりつくって私たちに置いて行ってくれても。(S言い伝え) ☆参考 チョウ、 コオロギ、 ブヨなど、 主に昆虫のような虫を言う、 イモ虫や毛虫の類は íkonpap イコンパㇷ゚ と言う。〔知分類 p.90 カ〕 {E: an insect.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
kimorewsi
キモレウシ 【kim-o-rewsi】 野宿する,山で泊まる. テエータ スクㇱ ペッ エトコホ タ アイヌ オッカイポ レン パㇰノ ペソㇱ トゥㇺ タ シットゥライヌ パ.シㇼクンネ ワ キモレウシ ヒ タ オハイヌ ホチコㇰ ハウ ヌ ㇷ゚ ライ ソモ ヌ パ ㇷ゚ シㇰヌ ㇷ゚ ネ ヤカイェ(ヤㇰ ア・イェ)=ずうっと昔,宿志別川の上流でアイヌの若者が3人ほどみぞれの降る中を道に迷った.暗くなって野宿した時に幻聴であるアオバズクの声を聞いた者は死に,聞かなかった者は生きたという.サッチェㇷ゚ ア・プㇱコシナ ワ イット エキㇺネアナクス(エキㇺネ・アン アクス) ウパㇱルヤンペ ホラホチュウェ ウパㇱエシットゥライヌ・アン サッチェㇷ゚ ア・エ ワ キモレウシ・アン=乾いた魚を矢筒に縛って日帰りで山に行ったら,すごい大雪が降り始めて雪のために道に迷い乾いた魚を食べて山で泊まった. (出典:萱野、方言:沙流)
kínit
キニッ 【名】[ki-nit カヤ・棒][植物] カヤの茎。 aynu ahun híne kínit sinep etaye cúna ape or epoypoye, nipeknu a p アイヌ アフン ヒネ キニッ シネㇷ゚ エタイェ チュナ アペ オㇿ エポイポイェ、 ニペㇰヌ アㇷ゚ 男の人が入って来てカヤの茎を一本引き抜いて埋けてある火をかきまわした、 火がついて明るくなったので。(NK民話) {E: reed stalks.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
kiputur/kiputuru(hu)
キプトゥㇽ/キプトゥル(フ) 【kip-utur/kip-uturu(hu)】 額,眉間. ウウェペケㇾ オッタ(オㇿ タ) アナㇰネ キムンアイヌ キプトゥルフ タ シネシㇰ オマ ㇷ゚ アン ペ ネ シコㇿ アン オルㇱペ ク・ヌ アㇺキㇼ ペ ネ=昔話の中では仙人のような山男,眉間にひとつだけ目がある者がいるものだという話を,私は聞いたことがある. (出典:萱野、方言:沙流)
kiro
キロ 【kiro】 樺太アイヌの履物:トドの皮で出来ている.*北海道アイヌはケレあるいはケリという. (出典:萱野、方言:沙流)
kisesseri
キセッセリ §237 アイヌワサビ (4) kisesseri (ki-sés-se-ri)「キせッセリ」 ⦅B⦆⦅藻汐草⦆ (出典:知里植物編、方言:)
kiwtacup
キウタチュㇷ゚ 【名】[kiw-ta-cup ユキザサ・を掘る・月][古] (月の名)3月。 upas ru wa pis ta masar ka ta peperota=an hi a=eréko kusu kiwtacup ウパㇱ ル ワ ピㇱ タ マサㇻ カ タ ペペロタアニ アエレコ クス キウタチュㇷ゚ 雪がとけて浜の斜面でユキザサ掘りをすることから名づけたのでキウタチュプ。(W) ☆参考 知里『分類アイヌ語辞典』 p.209では kiw キウ はヒメイズイの根茎((美幌))((A千歳))。 しかしこのワテケさんの説明では pepero ペペロ《ユキザサ》と同義に使われている。 pepero ペペロ の古名か。 (出典:田村、方言:沙流)
kocari
コチャリ 【ko-cari】 (〜に)投げ散らす,恵んでやる. カムイユカㇻ オッタ(オㇿ タ) シネ アイヌ カムイフㇺ アㇱ ヒ タ イルイケ ワッカ カムイ コチャリ カムイ イルㇱカ=神謡の中でひとりの人間が雷の音がする時に研ぎ水を神に投げ散らし神が怒った.エソイネ イヤフㇷ゚ クㇽ エㇰ シリ イキ ナ.ネㇷ゚カ コチャリ=外へこじきが来ている様子だ.何か恵んでやれ.*こじきなどに恵んでやる,という場合はコレ(=与える,やる)ではなくコチャリという語を使う. (出典:萱野、方言:沙流)
kohemuymuye
コヘムイムイェ 【ko-he-muymuye】 (〜が原因で)病に伏す,(〜が原因で)ふて寝する. コシンプ セコㇿ ア・イェ ㇷ゚ アナㇰネ アイヌ ナンカ ソモ コㇿ ペ ネ ワ アㇻスイネ カ ヌカㇻ パ ㇷ゚ アナㇰネ ソモ オイラ パ ワ コヘムイムイェ ㇷ゚ ネ ヤカイェ(ヤㇰ ア・イェ)=妖精というものは人間の顔とは別で1回でも見た者はそれを忘れることができずそれによって病床に伏すものと言われている.オナハ トゥラ クナㇰ イェ ワ エヤイコプンテㇰ コㇿ アナㇷ゚(アン アㇷ゚) ソモ ア・トゥラ アクス コヘムイムイェ.イヌヌカシ=父親が連れて行くと言ったので喜んでいたのに連れて行ってもらえなかったのでふて寝している.かわいそうに. (出典:萱野、方言:沙流)
koirenkakor
コイレンカコㇿ 【ko-irenka-kor】 (〜を)問題にする. エカナイワノ トイタ ワ コㇿ トイ ネ ヒ アイヌ オピッタ エラマン ワ アン ペ イヨㇱ ワ エㇰ ペ ネㇷ゚カ エトイタ ノイネ ネ アㇷ゚ エポソカネ ア・コイレンカコㇿ ハウェ=ずっと前から畑を耕し持ち畑であることを人々皆が知っていたのに後から来た者が何か蒔いていたらしかったが勿論問題にされたわけだ. (出典:萱野、方言:沙流)
kokantama
コカンタマ 【ko-kantama】 だます,あざむく. カニ アナㇰネ テ パㇰノ オトゥ イワン スイ オレ イワン スイ ア・エン・コカンタマ コㇿカ アイヌ コカンタマ カ ケアイカㇷ゚(ク・エアイカㇷ゚)=私は今までふたつの6回三つの6度(何度も何度も)だまされたけれど人をだますことは私はできない. (出典:萱野、方言:沙流)
konka
コンカ 【konka】 大きい桶. アイヌ オッタ(オㇿ タ) ポオン トノト ネ ヤㇰ ア・ラム コㇿカ シンリッ オッタ シレパ ヤㇰネ ポロ コンカ ネ シレパ ㇷ゚ ネ ワ=アイヌの所ではわずかの酒だと思うけれども先祖の所へ届く時は大きな桶で届くものだ.*シンヌラッパ(先祖供養)の言葉の中で,イヨノコンカ ヌマッコエウン=いっぱい酒の入った大きい桶にきちんと紐がかけられ…と続き,コンカという言葉が出て来る. (出典:萱野、方言:沙流)
konramkipipkipip
コンラㇺキピㇷ゚キピㇷ゚ 【kor-ram-kipip-kipip】 殺気を感じる,心がざわざわする.▷コㇿ=持つ ラㇺ=心 キピㇷ゚キピㇷ゚=ざわざわする →コンラㇺカ キピㇷ゚キピㇷ゚ シネアンタ エキㇺネアナクス(エキㇺネ・アン アクス) ハンケ ウㇱケ タ ネ ペ ア・コンラㇺカキピㇷ゚キピㇷ゚ ヒクス アㇱ・アン ワ ピㇼカ シルワンテ ア・キ アクス トゥスニケ イイェヌチシㇱケ(イ・エヌチシㇱケ) ヒ ネ アアン=ある日のこと山へ行ったら近い所であるのに私の心がざわざわして殺気を感じたので,立ち止まりあたりをよくよく見ると,リスが私をにらんでいるのであった.*このようなことはしばしば体験することで,狐ににらまれても殺気は感じるが相手を見つけたら殺気は解消するものである.これはアイヌだからかもしれない. (出典:萱野、方言:沙流)
kopakun
コパクン 【kopak un】 (〜の)方へ. チセ コパクン=家の方へ.アイヌ コパクン=人の方へ.ペッ コパクン=川の方へ. (出典:萱野、方言:沙流)
kopoyke
コポイケ 【ko-poyke】 混じる,混ざった. アイヌ コポイケ=人の中に混じる.トヨッタ(トイ オㇿ タ) ムンリセ・アニタ(ムンリセ・アン ヒ タ) アマㇺ コポイケ ワ ウェナマㇺ アン ナ イテキ オイラ ノ リセ アニー=畑で草を抜く時に普通のヒエに混ざって食べられないヒエがあるので忘れずに抜くのだよ. (出典:萱野、方言:沙流)
kopunkine
コプンキネ 【他動】[ko-punkine …に・護衛する](次のような表現の中で) aynu kotca kopunkine アイヌ コッチャ コプンキネ [人間・の前・に護衛する] 人間を(疫病神からさえぎって)守る。 aynu kotca kopunkine p tan isokapiw ne kusu アイヌ コッチャ コプンキネㇷ゚ タン イソカピウ ネ クス 人間を疫病神から守ってくれるものがこのアホウドリだから。(HK民話) {E: to protect…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
koran
コラン 【他動】[ko-ran …に・下りる]…に下りる。 aynu mosir/mosirso kasi/koran wa ora アイヌ モシㇼ/モシㇼソ カシ/コラン ワ オラ[雅] 人間の国の地面の上に下りて来て。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
korpokkur
コㇿポックㇽ 【kor-pok-kur】 フキの葉の下にいる人:フキの葉の下に暮らしていて時にアイヌを助けてくれるともいう. (出典:萱野、方言:沙流)
kosayo
コサヨ 【ko-sayo】 粉粥(こながゆ).▷コ=粉 サヨ=粥 コサヨ ヘネ カㇻ ヤン.ケ(ク・エ) ルスイ ナ=粉粥などをこしらえてください.私食べたいので.*コサヨのこしらえ方はトラマルという豆を5合ほど,それにシケㇾペヌㇺ(シコロの実)を70粒くらい混ぜて煮る.煮えたらイナキビの粉を煮え立っている鍋の中へばらばらと入れて,ゆる火で煮るとおいしい粉粥が出来る.シコロの木の実は香辛料になる.アイヌの食べ物のうち,おいしいほうの5本の指に入ると思っている. (出典:萱野、方言:沙流)
kosimpu
コシンプ 【kosimpu】 妖精. コシンプ セコㇿ ア・イェ ㇷ゚ アナㇰネ アイヌ ナンカ ソモ コㇿ ペ ネ ワ アㇻスイネ カ ヌカㇻ パ ㇷ゚ アナㇰネ ソモ オイラ パ ワ コヘムイムイェ ㇷ゚ ネ ヤカイェ(ヤㇰ ア・イェ)=妖精というものは人間の顔とは別で,1回でも見た者はそれを忘れることができず,それによって病床に伏すものと言われている.コシンプ アイヌ トゥレン コㇿ イピㇼカレ ㇷ゚ カ オカ イウェンテ ㇷ゚ カ オカ ㇷ゚ ネ ヤカイェ(ヤㇰ ア・イェ).ネヒ ア・エラマン ワ ラム ア・クットコレ コㇿ シノ ピㇼカ ㇷ゚ ネー シコㇿ=妖精が人間の憑き神になると,憑いた人間をよくする者もいるが悪くする者もいるという.それを覚えて思いを反対にする(=逆に利用する)と本当にいいものだということだ.*絶世の美女.ひと目見ただけで若者は焦がれ死にをするという. (出典:萱野、方言:沙流)
kositoma
コシトマ 【複他動】[ko-sitoma …に・…を恐れる] …の…を恐れる。 aynu opitta kosiratki wa ne wa ne yakne a=kosítoma wa kotan mawkar ka somo ki p ne ruwe ne na アイヌ オピッタ コシラッキ ワ ネ ワ ネ ヤㇰネ アコシトマ ワ コタン マウカㇻ カ ソモ キㇷ゚ ネ ルウェ ネ ナ 人は皆(アホウドリを)お守りにしているならば(疱瘡の神に)恐れられて村に伝染病がはやることもないのだよ。(HK民話) ☆参考 ☞sitoma シトマ {E: to be afraid of…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
kosnekamuy
コㇱネカムイ 【kosne-kamuy】 位の低い神. コㇱネカムイ ネ コㇿカ エイタサ アンオホㇿ イワㇰ ルスイ ノイネ ク・ウェンタラㇷ゚ ナ ニサッタ ア・イワㇰテ ロー=位の低い神ではあるけれどあまり永くいすぎて帰りたいらしい夢を私は見たので,明日帰すことにしよう(アイヌが自分の手で作った神を神の国へ送り帰すと称して解体することを,カムイイワㇰテあるいはカムイホプニレという). (出典:萱野、方言:沙流)
kotankarkamuy
コタンカㇻカムイ 【kotan-kar-kamuy】 アイヌの国土を作った神様. (出典:萱野、方言:沙流)
kotekparparu
コテㇰパㇻパル 【ko-tek-parparu】 手招き(する):アイヌの手招きは手のひらを上へ向けて招く.▷コ=それに テㇰ=手 パㇻパル=招く ピタㇻ カ タ シネンネ カㇷ゚カㇱ(ク・アㇷ゚カㇱ) コㇿ カナクス(ク・アン アクス) イクサ ウン アチャポ エン・コテㇰパㇻパル.サマ タ アㇻパアナクス(アㇻパ・アン アクス) シペ イチャン アン ウシ エネパカㇱヌ(エン・エパカㇱヌ)=川原をひとりで歩いていると渡し守のおじさんが私に手招きした.側へ行くとサケの産卵床のある所を私に教えた.*アイヌの手招きは手のひらを上へ向けてするものであったが今は昔のようなやり方は少ないようだ. (出典:萱野、方言:沙流)
kotoyse
コトイセ 【kotoyse】 集まる,群がる. アイヌ コトイセ=人が集まる. (出典:萱野、方言:沙流)
koykar
コイカㇻ 【koykar】 真似る,似せる. オキクㇽミカムイ テㇰルコチ ア・コイカㇻ=オキクルミカムイが作った手の跡を真似て作る(アイヌが神を作る時). (出典:萱野、方言:沙流)
koysum
コイスㇺ 【koy-sum】 泡,水の泡. キムンカムイ アイヌ ケセアンパ ヒ タ アナㇰネ コイスㇺ タㇰ エクパ アーペコㇿ アン ワ ホユプ ㇷ゚ ネ ヤカイェ(ヤㇰ ア・イェ)=熊が人間を追いかける時には泡のかたまりをくわえたような格好で走るものだそうだ. (出典:萱野、方言:沙流)
ku=yupo
クユポ 【ku=yupo】 私の兄. ▷ク=私 ユポ=兄,恋人 *歳下の者にであっても,尊敬できる者には兄,あるいは姉と呼ぶのが,アイヌ社会では礼儀とされている.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
kuciwa
クチワ 【kuciwa】 くつわ(はみ:くつわの馬の口の中に入れる部分).*アイヌ社会へ馬が入ったのはそう古くはないが,丸木舟の次に便利な乗り物として,あるいは農耕馬として定着した.ナリワコーオーチャンチャン クチワコーオーチャンチャン=鳴り輪の音を響かせて,くつわの音を響かせて…と歌にも歌われている. (出典:萱野、方言:沙流)
kugaci
クガチ 【名】[日本語] 九月。 kugaci cup クガチ チュㇷ゚ 九月の月=九月。(W民話) ☆発音 g は[N]、 つまり ガ はいわゆる鼻濁音で発音されている。 ☆参考 昔のアイヌ語では níhorak ニホラㇰ。 {E: September.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
kumatay
クマタイ 【kuma-tay】 干し竿の林.▷クマ=干し竿 タイ=林 チェㇷ゚ クマタイ カㇺ クマタイ=魚を干す竿の林,肉を干す竿の林.*昔は物持ちのアイヌの象徴として,家の前に魚の干し竿の林,肉の干し竿の林があると描写した. (出典:萱野、方言:沙流)
kuni 3
クニ 【形名】[kun-(h)i …するべき/予定/はずである・こと] ①(動詞に終わる文(節)の後に置かれてこれを名詞句にする。) …するで(あろう)ということ、 できる(ような)こと、 …する(べき)こと。 tap a=ye kuni tónonsukus ne humi as タㇷ゚ アイェ クニ トノンスクㇱ ネ フミ アㇱ これを言うのが真昼の凪(なぎ)だなあ。 ene…kuni エネ…クニ このように…するであろうこと=次のように…するであろう/することになっている。 ene ne kuni エネ ネ クニ こう(次のように)なるでしょう。 ene an kuni エネ アン クニ このような(次のような)ことが起こるでしょう。 (注 すでに起こったことであれば、 kuni クニ の代わりに hi ヒ が使われるところである。) ②[名詞化引用](次に「言う」「思う」「考える」「相談する」「言いつける」等々を意味する他動詞が来て、 kuni クニ で名詞化された文をその目的語とする間接引用文となる。) kuni ramu クニ ラム …すると思う。 e=mismu kuni ku=ramu エミㇱム クニ クラム あなたがさびしいだろうと私は思った。(S) kuni ye クニ イェ …すると言う。 opitta nisatta hunak un paye kuni ye kor oka オピッタ ニサッタ フナクン パイェ クニ イェ コㇿオカ みんなで明日どこかへ行くという話をしている。(S) a=saha i=nukar kuni a=ekímatek kusu アサハ イヌカㇻ クニ アエキマテㇰ クス 私は姉に見られるのではないかと気が気ではないので。(W民話) poro a=yupí a=saha a=ewtannere kuni a=ewkoramkor híne ポロ アユピ アサハ アエウタンネレ クニ アエウコラㇺコㇿ ヒネ 私たちは大きい兄と姉とを結婚させようと相談して。(NK民話) akihi a=ne kuni eraman kuni a=sitóma アキヒ アネ クニ エラマン クニ アシトマ 私が彼の弟だということを彼が知るのが(=彼に知られるのが)私は恐ろしかった。(S民話) pirka aynu ne/e=an kuni/e=takar kusu/ne na ピㇼカ アイヌ ネ/エアン クニ/エタカㇻ クス/ネ ナ あなたは立派な人になることを夢に見るのだよ。(NKy子守歌) ③(動詞句の後に続かず、 文頭に置かれて、 その前に言われた内容全体を受ける場合もある。)そうする(であろう)ということ。 “…néno yaynu hani!” “e pirka ruwe un, kuni ku=ramu kor k=ek pe ne kusu 「…ネノ ヤイヌ ハニ!」「エー、 ピㇼカ ルウェ ウン、 クニ クラム コㇿ ケㇰ ペ ネ クス」…「そう思いなさいよ。」「ええ、 いいよ。 私はそう思いながら来たのだから…。」/ ☆参考 間接引用の kuni クニ は kunak クナㇰ と言い換えられる場合もある。 しかし、 kunak クナㇰ の後に来る他動詞は、 ほとんどの場合 ramu ラム《…(ということ)を思う》または ye イェ《…(ということ)を言う》に限られている。 一方、 kuni クニ の後には ramu ラム、 ye イェ のほか、 eraman エラマン《…を知る》、 epakasnu エパカㇱヌ《…を教える》、 sitoma シトマ《…を恐れる》、 ekaspaotte エカㇱパオッテ《…を命じる》、 ewkoramkor エウコラㇺコㇿ《…を相談する》、 eese エエセ《…を承諾する》、 kar カㇻ《…をする》、 ki キ《…をする》、 takar タカㇻ《…を夢見る》等々いろいろな他動詞が来る。 さらに間接引用文をつくる以外に、 ne ネ《である》が後に続いて、 《…する予定/はず/つもり…である》というような使い方もある。 一方、 すでに起こったこと、 確認ずみのことに関して言うには kuni クニ ではなく yak ヤㇰ が用いられる。 ☞kunak クナㇰ、 yak ヤㇰ、 sekor セコㇿ ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
kunihi
クニヒ 【形名】(=kuni hi クニ ヒ) …するであろうこと、 …するべきこと。 …するようにということ。 aynu ka kar wa i=kore kuni hi a=ekóramkor hike? アイヌ カ カㇻ ワ イコレ クニ ヒ アエコラㇺコㇿ ヒケ? 我々のために人間もつくって下さるようにということを(国づくりの神に)相談してみないか? (S言い伝え) mosma utar e p hayta kuni(hi) tas ne nek モㇱマ ウタㇻ エㇷ゚ ハイタ クニ(ヒ) タㇱ ネ ネㇰ ほかの人々が食べるのが足りなくなるのではなかろうか。(S) ☆参考 kuni クニ 3と同義だが、 よりはっきりと念を入れて言う言い方。 用例のほとんどで、 直後に息つぎをしている。 ☞kuni クニ 3 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
kunki
クンキ 【kunki】 釘(くぎ).*アイヌ語には濁音がなかったので釘はクンキ,あずきはアントゥキと言った.日本語から借用. (出典:萱野、方言:沙流)
kunne
クンネ 【kunne】 暗い,真っ暗だ,黒い. シㇼ クンネ ナ ヤイトゥパレ ノ ホシピ アニー=あたりが暗いので気をつけて戻るんだよ.カ(ク・ア) オホㇿ アイーネ シㇼ クンネ クレエシッテㇺライパ(ク・ウレエシッテㇺライパ) コㇿ ク・イワㇰ オアシ=座りすぎてしまってあたりが真っ暗になり,私は足探りで帰らなければならなくなった.ルクンネ=少し黒い.ウウェペケㇾ オッタ(オㇿ タ) ウウェアイヌトノ セコㇿ ア・イェ ㇷ゚ アナㇰネ ナヌフ アㇻケ クンネ ㇷ゚ ネー セコㇿ ネ ア ワ=昔話の中では人食い人種殿は顔の半分が黒いものだといわれるものであった.タアン アッカㇷ゚ コㇿ ワ アㇻ パ ワ クンネ ヤチ オルン オマレ ワ クンネレ アニー=このオヒョウの皮を持って行って黒い谷地へ入れて黒くしてね. (出典:萱野、方言:沙流)
kunneywaipe
クンネイワイペ 【kunneywa-ipe】 朝飯. オッコー ポンノ エン・テレ ナ クンネイワイペ ソモ ク・キ ア ナ ク・イペテㇰ ワ エチ・トゥラ ナ=お姉さん,少し待って,まだ朝ご飯を食べていなかったのでさっと食べてあなたと一緒に行くから.ハイー エシㇼ カ ソモ ク・イペ ヒ タ アイヌ エㇰ ペ ネ クス クンネイワイペ コイラ(ク・オイラ) アアン.ク・イペルスイ フミー=あーあ,朝食前に客がきたので朝飯を食べ忘れてしまった,腹が減ったなあ.ナー クンネイワイペ カ ソモ ノ アン ウㇱケ ウン アㇻパ・アン カルスク(カルㇱ ウㇰ) クス ク・シレン アクス ウㇰペテケハイタ コㇿ ヤイェトコイキ=まだ朝飯を食べていないところへ私は行ってきのこ採りに行こうと誘うととるものもとりあえず自分のしたくをしはじめた. (出典:萱野、方言:沙流)
kur 2
クㇽ 【名】[被修飾名][< kur クㇽ 1]…の人、 …する/した人。 ☆参考 動詞(動詞句)、 連体詞の後に置かれて修飾されてのみ使われる。 一般的に言って、 pe/p ペ/ㇷ゚《もの、 者》と比べると敬意を含むことが多く、 大人の男性を指すことが多い。 一人だけ。 ☆参考 二人以上には utar ウタㇻ《人々》が使われる。 ☆参考 aynu アイヌ《人間》、 utar ウタラ《人々》は修飾語なしにも使われ、 文頭にも立つことができる。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
kurmat
クㇽマッ 【名】[kur-mat 人・女] 和人の女性。 ☆参考 pon kurmat ポン クㇽマッ 和人の若い女性。 tonomat トノマッ 和人の女性の敬称。 menoko/pon menoko メノコ/ポン メノコ はアイヌの女性/若い女性。 (S){E: a Japanese woman.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
kusa
クサ 【kusa】 舟で渡す. エクㇱネ ホトゥイパ ハウ アㇱ ヒクス ク・ソイネ アクス アイヌ アン ヒクス チㇷ゚ ア・サンケ ア・クサ ワ エカン(エㇰ・アン)=川の向こうへ呼ぶ声が聞こえたので外へ出ると人がいたので,私は舟を出し渡して来た.トヨㇿ(トイ オㇿ) ワ イワㇰ・アン イクサウシ タ エカン(エㇰ・アン) ヒネ ライホトゥイパアナクス(ライホトゥイパ・アン アクス) アチャポ エㇰ ヒネ イ・クサ ルウェ ネ=畑から帰って来て渡船場で高い声で呼ぶとおじさんが来て私は渡してもらった. (出典:萱野、方言:沙流)
kusu ne/kus ne
クス ネ/クㇱ ネ 【接助+デアル動】(未来の表現) …する(ことになっている)、 …しようとしている、 …します。 aynu itak ne ci=ye kusu ne アイヌ イタㇰ ネ チイェ クス ネ (それを)私たちはアイヌ語で言います。(S独話) núman k=ek kusu ne a korka ヌマン ケㇰ クス ネ ア コㇿカ 私はきのう来るつもりだったけれど。(S会話) e=utari e=ere yakun e=utari opitta ray kusu ne aan pe エウタリ エエレ ヤクン エウタリ オピッタ ライ クス ネ アアン ペ あなたが(これを)あなたの村人に食べさせたらあなたの村人はみんな死ぬところだったが。(NK民話) ☆発音 早く言うときは kus ne クㇱ ネ となることが多い。 (出典:田村、方言:沙流)
kusuyep
クスイェㇷ゚ 【kusuyep】 山バト(キジバト). クスイェㇷ゚ エネ レㇰ ヒ "クスイェㇷ゚ トイタ フチ ワッカタ カッケマッ スケ ポントノ イペ"=山バトがさえずる声は「山バトが畑を耕し.おばあさんが水を汲み,淑女が煮炊きをし,若殿が食べる」.*事実そのように聞こえるものである.昭和10年代のアイヌの子供たちは、山バトの声を聞くと「クスイェㇷ゚トイタ」と真似をして一緒に声を出しながら遊んだものであった. (出典:萱野、方言:沙流)
maciya
マチヤ 【maciya】 町. トオㇷ゚ トゥイマ シッタ(シㇼ タ) シㇼシモイェ ユㇷ゚ケ ㇷ゚ アン ワ シサㇺ マチヤ ウカエコネ シコㇿ アン パハウ ク・ヌ=ずうっと遠い所で強い地震があって和人の町が倒壊したという噂を私は聞いた.マチヤ オッタ(オㇿ タ) アナㇰネ エイタサ アイヌ インネ ㇷ゚ ネ クス ク・トゥラ クㇽ ヤアニ ヤアニ コカトゥライヌ(ク・オカトゥライヌ)=町ではあまりにも人が多いので一緒に行った人を危なく危なく見失うところだった. (出典:萱野、方言:沙流)
maknewaneyaka
マㇰネワネヤカ 【mak ne wa ne ya ka】 どうしてか. タㇷ゚ イキヤ ウナㇻペ マㇰ ネ ワ ネ ヤカ ア・エラムㇱカリ コㇿカ カリ ヤㇰ ア・イェ アイヌ ウタㇻ ウシトマレ クンネ アン コㇿ ソイネ クㇽ カ イサㇺ=この頃亡くなったおばさん,どうしてか知らないが化けたということで,人々は恐ろしがって暗くなると外へ出る人もいない. (出典:萱野、方言:沙流)
makuysir
マクイシㇼ 【mak un sir】 古い時代. マクイシㇼ ワノ アイヌ アナㇰ オカ=古い時代からアイヌはいた. (出典:萱野、方言:沙流)
mataynu
マタイヌ 【mat-aynu】 女.▷マッ=女 アイヌ=人 (出典:萱野、方言:沙流)
matetun
マテトゥン 【mat-etun】 嫁を貰う.*アイヌ社会では嫁を貰うという言い方はしないで妻を借りるという.借りてきたので大切にしなければならないし借りられて来ているお嫁さんはおしとやかにしなければいつ戻されるかわからない.言葉の上ではそのようなことなのでお互いをいたわりあって仲よく暮らした人が多い.またアイヌの風習として1軒の家で2夫婦は暮らさせないようにするがこれも夫婦円満のために必要なことで,現在もこれだけは守られている場合が多い.▷マッ=妻 エトゥン=借りる タン チュㇷ゚ シカリ ラポㇰ タ ク・ポホ マテトゥン(マッ エトゥン).イワイェ ク・キ ルスイ ナ エㇰ アニー=この月が円くなる頃に私の息子が嫁を貰う.祝いをしたいので来てね. (出典:萱野、方言:沙流)
mawari
マワリ 【後副】[日本語](日本語の混じった歌の中で、 後置副詞として使われている。) …のまわりを(回って)。 cási mawari チャシ マワリ 柵の回りを(回って)。 ☆参考 アイヌ語では cási okari チャシ オカリ と言う。 {E: around…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
mawtum
マウトゥㇺ 【名】[maw-tum 気・の中](?) しようとしている/しているつもりでいるがそうできていない様子/格好。 ku=nitan mawtum ku=ki wa k=ek クニタン マウトゥㇺ クキ ワ ケㇰ 格好だけは急いで(あまり早くないが)来た。(S) sike mawtum ki ruwe シケ マウトゥㇺ キ ルウェ 変なしょい方をしている。(S) aynu mawtum アイヌ マウトゥㇺ 当り前でない汚い人。(S) (出典:田村、方言:沙流)
mehupka
メフㇷ゚カ §211.かっけ(脚気)(6)me-hupka〔mé:-Fup-ka めエ・フㇷ゚カ〕[me(寒さが)+hupka(腫らす)]⦅アイヌ医事談, p.104⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
mekamuykor
メカムイコㇿ §833.リウマチ(5)リウマチにかかる me-kamuy-kor〔mé-ka-muǐ-kor め・カムイ・コㇿ〕[me(寒さ〔の〕)+kamuy(神〔を〕)+kor(もつ)]⦅アイヌ医事談, p.104⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
menoko
メノコ 【名】[< 日本語] ①(広義に)一般に女性。 ②(狭義に)アイヌ民族の成人女子。(W) (S) ☆対語 okkayo オッカヨ《男》。 ☆参考 kurmat クㇽマッ 和人の女性。(W) (S) {E: ①a woman ②an adult, mature woman.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
menokoutasare
メノコウタサレ 【menoko-utasare】 女を取り替える. テエータ アイヌ ケミアン ヒ タ エ・マタキヒ エン・コレ ク・マタキ ヒ エチ・コレ クㇱネ ナ タアン シリキ メノコウタサレ シコㇿ ア・イェ ㇷ゚ ネ=ずうっと前に人間が少なかった時代は,お前の妹を俺にくれ俺の妹をお前にやる,このやり方を女を取り替えると言ったものだ.*マタサとも言う. (出典:萱野、方言:沙流)
mimici
ミミチ 【名】[mimi-ci 身[所]・焼けている](直訳すると)身が焼けている(icanuy イチャヌイ《マス》のあだな)。 aynu or ta/paye=an ki kor/mimici mimici sekor/a=i=ye kusu somo ci=ye na アイヌ オッタ/パイェアン キ コㇿ/ミミチ ミミチ セコㇿ/アイイェ クス/ソモ チイェ ナ 人間のところへ行くと「身焼け、 身焼け」と言われるから言わない(教えてやらない)ぞ。(W神謡K) (出典:田村、方言:沙流)
mimtar
ミㇺタㇻ 【名】①土間(「にわ」)。 ②(日常語で)戸外のごみすてば、 外の掃き寄せる所、 コタンの下手の空き地。(S) ③(英雄叙事詩や民話で)外庭全体、 また土間も。 ④熊祭りのとき熊が遊び回るところ。(S) iwan aynuikir eposo húci mimtar ka ta horipi イワン アイヌイキㇼ エポソ フチ ミㇺタㇻ カ タ ホリピ 六代にわたって生きた老婦人が(夜襲の群が襲って来ることを知らせる歌を歌いながら)土間で踊った。(S独話) ☆参考 祭事をする広場を言うと言われているが、 『音声資料』(1-6)にはその用例は出てこない。 {E: ①the yard of a house. ②an outdoor garbage pile. ③the whole yard around a house. ④the place the bear is paraded during the Bear Festival.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
mise
ミセ 【名】[< 日本語] 店。 ☆参考 ihokusi イホクシ はアイヌ語での表現で、 マーケット(小さい店の集まり)をさしていた。 {E: a shop.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
morew
モレウ 【morew】 彫刻物の模様:お盆,小刀の鞘に多い模様.▷モ=静か レウ=曲がる イカㇻカㇻ ネ ヤ イヌイェ ネ ヤ アイヌ テケカㇻペ イタ ネ チキ アミㇷ゚ ネ チキ モレウノカ ア・オマレ ㇷ゚ ネ=刺繍とか彫刻とかアイヌが手で作るものには,お盆にも着物にも半円を描いたようなゆるやかな曲線の形を入れるものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
mosir
モシㇼ 【名】[< mo-sir 小さい(?)/静かな・地]国土、 島、 地(広い範囲の大きなまとまった土地を言う。 一つの国を指すこともあり、 広く世界全体を指すこともある。 神の国、 人間の国等の「国」をも指し、 また、 せまく言うときは、 一つの島、 一つの地方を指すこともある。 kotan コタン が人の集まって住んでいる所、 つまり村や集落、 あるいは村々の集まり(地域)等を表すのに対し、 mosir モシㇼ は、 人が住んでいても住んでいなくても言う)。 a=kor mosir アコㇿ モシㇼ 私たちの国土(北海道を指すこともあり、 日本を指すこともある)。 aynu mosir アイヌ モシㇼ (神の国に対して)人間の国、 (sísam mosir シサㇺ モシㇼ に対して)アイヌの国(多くの場合北海道を指す)。 kamuy mosir カムイ モシㇼ 神の国、 天国。 kanna mosir カンナ モシㇼ 天の国(=神の国)。 repun mosir レプン モシㇼ 沖の島=海外(本州等も外国も含む)。 samor mosir サモㇿ モシㇼ 本州。 sísam mosir シサㇺ モシㇼ 和人の国(多くの場合、 本州以南を指す。 また北海道の中で交易相手の和人の住んでいた地方を指すこともある)。 mosir hoppa モシㇼ ホッパ (=mosiroppa モシロッパ)世を去る、 (身分のある人や敬われている人などが)亡くなる。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
mosir
モシㇼ 【mosir】 静かな大地,国,国土,島.▷モ=静か シㇼ=大地 アイヌモシㇼ=人間の静かな大地. *アイヌ民族は自分たちが暮らしていたこの地(今の呼び名は北海道)をアイヌモシㇼと呼んでいた. (出典:萱野、方言:沙流)
moto-orke
モト オㇿケ 【名】[所](orke オㇿケ の概は or オㇿ だが、 moto or モト オㇿ は出てこない。)[起源・の所](…の)もと/起源となる所、 起源、 素性、 先祖。 etoko wano Aynu mosir ta okay pe ka a=moto-orke népa ka somo ki korka エトコ ワノ アイヌ モシッタ オカイ ペ カ アモトオㇿケ ネパ カ ソモ キ コㇿカ 私たちの先祖は昔からアイヌモシリ(北海道)に住んでいたわけではないけれども。(S言い伝え) tu moto-orke hunara kor as wa an トゥ モトオㇿケ フナラ コㇿ アㇱ ワ アン 彼は(そいつの)素性をいろいろと探りながら立っていた。(W民話) {E: place of origin (of…).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
moymoyke
モイモイケ 【moy-moy-ke】 動く. チュワン オカケ タ トイ アンクラ タ ポンノ モコㇿアナクス(モコㇿ・アン アクス) イ・カ トイクㇱ ペコㇿ ネ ヒネ モイモイケ・アン カ ア・エアイカㇷ゚.エウン アイヌ ハウ アㇱ クスケライ モㇱ・アン ネㇷ゚カ ウェンカムイ イイェヌチシㇱケ(イ・エヌチシㇱケ) ワ ネ ア ナンコㇿ=お昼ご飯の後,畑の峰半で少し眠ると,体の上を土でおおわれたようなかったるい気持になり動くこともできない.そこへ人声がしたお陰で目が覚めた.何か化け物が私をにらみつけていたのであろう.ナイ イクㇱ タ ヘマンタ モイモイケ シリ イキ ナ ピㇼカ ノ ヌカㇻ ワ エン・コレ=沢の向かい側に何やら動いている様子だからよく見てくれ. (出典:萱野、方言:沙流)
moyo
モヨ 【moyo】 (人・動物が)少しの,少ない:物が少ない場合は使えない. モヨノ アン コタン=人数が少ない村.アイヌ モヨ=人が少ない. (出典:萱野、方言:沙流)
moyoyke
モヨイケ 【moyoyke】 うごめく. マチヤ オッタ(オㇿ タ) アナㇰネ アイヌ インネ モソㇱペ モヨイケ シリ ネノ カネ=町では人間が多くて蛆虫がうごめいているようなものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
munki
ムンキ 【munki】 *麦を沙流川地方へ最初に持って来た和人は,明治に入って間もなく,現在の地名でいうと平賀の小林善助という方と聞いたことがある.それでアイヌたちはこの人に親しみの念を込めながらムンキチャチャ(麦じいさん)と言っていたという. (出典:萱野、方言:沙流)
naaka
ナアカ 【na-a-ka】 それほど. タント アナㇰネ アイヌ インネ カ ソモ ナンコㇿ ナ ハイカンヌス アニ スケパ ヤン=今日はそれほど人が多くはないだろうから中型鍋で煮物をしなさい. (出典:萱野、方言:沙流)
neyakka
ネヤッカ 【ne yakka】 〜でも,〜であっても,〜だが. アイヌ ネ ヤッカ=人間でも.シサㇺ ネ ヤッカ=和人でも.ペッ ネ ヤッカ=川も.ネン ネ ヤッカ=誰であっても. (出典:萱野、方言:沙流)
nikapattus
ニカパットゥㇱ 【ni-kap-attus】 木の皮の着物:オヒョウの木の皮の着物. ウウェペケㇾ ネ ヤ ウパㇱクマ オッタ(オㇿ タ) オキクㇽミカムイ アイヌ カシオピューキ ヒ タ オウフイ シㇼカ オウフイ ニカパットゥㇱ カリシㇼパテㇰ ア・ヌカㇻ シコㇿ ア・イェ ㇷ゚ ネ=昔話や言い伝えの中にオキクルミ神が人間を助ける時に,刀の鐺(こじり)裾の方から炎が燃え立つ木の皮の着物がちらっと見えたと,言うものであった.*アイヌに生活文化を教えたと伝えられるオキクㇽミという神の描写は必ずこのように描写される. (出典:萱野、方言:沙流)
ninarka
ニナㇻカ 【ninarka】 周囲より一段と高くなっている平らな土地. ニㇷ゚タニ タ ニナㇻカ セコㇿ ア・イェ ウㇱケ アナㇰネ 小学校 オロ ワ ピカタ ウン カムイチセ アン ウㇱケヘ ニナㇻカ ネ.ナ リㇰ ワ リエプイ カランケ ウㇱケ リクン ニナㇻカ ネ=二風谷で一段高い所と言う場所は,小学校から南の方の神社がある所が一段高い所.その上の方リエプイに近い所を上の方の高い所と言うよ.*平取町二風谷の小学校の東側の台地,二風谷神社の上をニナㇻカと二風谷アイヌは呼んでいた.そのもうひとつ上の台地をリクンニナㇻカ(上の方の台地の上)と言った.オサッ沢の東側にいたアイヌは平成8年現在の萱野茂二風谷アイヌ資料館の東側の台地をニナㇻカと言っていた.自分たちが暮らしている所からあまり遠くない台地を言う. (出典:萱野、方言:沙流)
ninketeyep 2
ニンケテイェㇷ゚ 【ninke-teye-p】 ②のっぺり:顔が平面的. ク・コロペㇾ エアウネ アㇻパ ワ ニンケテイェㇷ゚ エトゥン ワ エㇰ=孫娘よ隣へ行って胆嚢ばさみを借りて来い.*この意味は,鼻の低い孫娘をヤイプニ(からかう)ために隣へ行かせるが.行かされた本人はそれを知らずに隣へ行ってニンケテイェㇷ゚を借りに来たと言う.それを知っているおとなはそうかそうかと言いながら何か板っ切れを削って持たせるという具合であった.これは実話であり今もそのおばさんは元気でいるが子供を中心にアイヌのおとなたちのゆとりのひとつであったのかもしれない. (出典:萱野、方言:沙流)
nipesni
ニペㇱニ 【nipes-ni】 シナの木.▷ニ=木 ペㇱ=たどる ニ=木 *皮を剥ぐと木をたどって上に行くので木をたどる木と名づけられた.シナ皮は袋に編んだり糸に撚ったり縄に撚ったりしてアイヌが一番多く利用するもの. (出典:萱野、方言:沙流)
nisesseri
ニセッセリ §237 アイヌワサビ (2) nisesseri (ni-sés-se-ri)「ニせッセリ」 根 ⦅A有珠⦆ (出典:知里植物編、方言:)
nitatorumpe
ニタトルンペ §426 マムシ  蛇神(5) nitatorumpe (ni-tá-to-run-pe)「ニたトルンペ」[アイヌ神謡集, pp. 60-67) (出典:知里動物編、方言:)
nitatorunnitnekamuy
ニタトルンニッネカムイ §426 マムシ  蛇神(4) nitatorun-nitnekamuy (ni-tá-to-run-nit-ne-ka-muy)「ニたトルンニッネカムイ」[アイヌ神謡集, p. 66) (出典:知里動物編、方言:)
nitatsinkep
ニタッシンケㇷ゚ 【nitat-sinkep】 谷地ハギ.*昭和10年代萱野茂の父のアレㇰアイヌはキセルのらおにしていた. (出典:萱野、方言:沙流)
nitaysakmosir cikapsakmosir
ニタイサㇰモシㇼ チカㇷ゚サㇰモシㇼ 【nitay-sak-mosir cikap-sak-mosir】 森も林もなく鳥もいない国土.*アイヌが暮らしている国土とは違う所の国土だとアイヌは考えていて,悪い化け物を追放する所.砂漠のような所を想像した. (出典:萱野、方言:沙流)
nitnemunciro
ニッネムンチロ §402 アワ 粟 (15) nitne-munciro (nít-ne-mun-ci-ro)「にッネムンチロ」[nitne(かたい)munciro(アワ)] 子実 ⦅バチラー、アイヌ人とその説話⦆ (出典:知里植物編、方言:)
niwa
ニワ 【niwa】 内庭. イテキ アイヌヌㇺケノ アペエトㇰ ワノ ニワ パルㇽ タ アン ウタㇻ パㇰノ イサㇷ゚テ・アン ペ ネ=絶対に人選びせずに横座の方から内庭の縁に座っている人たちまで給仕するものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
nok/noki(hi) 2
ノㇰ/ノキ(ヒ) 【nok/noki(hi)】 ②睾丸,きんたま. オッカヨ ソイ タ ルプㇱ ノイネ イキ ヒ タ ホㇱキノ ノキヒ ルプㇱ ペ ネ クス メノコ アトゥサ ノ カメポㇷ゚ケレ ワ エアシㇼ シㇰヌ ㇷ゚ ネ=男性が外で凍死しそうになった時に先に睾丸が凍るものだ.その場合は女性が裸になって素肌で暖めて初めて生き返るものだ.*昭和6年に荷負本村のアイヌの青年が宿志別の上流に遭難,ふたり死亡,木村文太郎青年は凍死寸前に発見された.その時に造林飯場にいた娘,蝶田みさ(後に貝澤みさ)さんが文太郎さんを自分の素肌で暖めて助けたという.これと反対に女性が凍死する時は乳房が先に凍るもの,その場合は男性の肌で暖めると助かるものである.この話は文太郎さんの実の姉である西島てるさんが詳しく教えてくれたが,本当に最後の手段の場合は男性の睾丸を女性が口に含むこと,女性の乳房は男性が口に含むのが最も効果があるものだよと聞かせてくれた.そして凍死寸前の者は「ア・アペコセセッカ コㇿ シㇰヌ ㇷ゚ カ ライ ワ イサㇺ ペ ネ=火で暖めると生きる者も死んでしまうものだ」ということ. (出典:萱野、方言:沙流)
noka/noka(ha)
ノカ/ノカ(ハ) 【noka/noka(ha)】 形. アイヌ アナㇰネ キムンカムイ ノカ ヘネ ネㇷ゚ネㇷ゚ ノカハ ソモ カㇻ ペ ネ.ウェンサンペ コㇿ ペ カㇻ ペ アナㇰネ ネノ ウェンサンペ コㇿ ワ ア・シトマ ㇷ゚ ネ シコㇿ テエタ クㇽ ハウェ オカイ ペ ネ=アイヌは熊の形とかいろいろなものの形は作らないものであった.悪い精神の者が作った物.そのように悪い精神を持って恐ろしいものだと昔の人は言ったものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
noyaimos
ノヤイモㇱ 【noya-imos】 ヨモギ神. オキクㇽミカムイ アイヌモシㇼ ワ リクンカント オリキン ヒ タ アイヌモシㇼ エプンキネレ クス ニスㇰ ワ アヌ ㇷ゚ ノヤイモㇱカムイ ネ ルウェ ネ=オキクㇽミ神がアイヌの国土から天の国へ行く時にアイヌの国を守護するために頼んでおいたのがヨモギの神なのだ.図[ノㇷ゚ヤイモㇱ] (出典:萱野、方言:沙流)
noyanoya
ノヤノヤ 【noya noya】 体をよじりつつ. ソンノ ソモ オリパㇰ ノ ヤイェシンノヤノヤ ワ アイヌ ウトゥル クㇱ ワ アㇻパ=全く遠慮もしないで自分で自分の体をよじりつつ人の間を通って行った. (出典:萱野、方言:沙流)
noyaop
ノヤオㇷ゚ 【noya op】 ヨモギの槍. アイヌモシㇼ モシㇼソ カ タ ア・キヤンネレ ㇷ゚ ノヤ ネ クス ノヤ オㇷ゚ アニ ノヤ エムㇱ アニ ア・オッケ ㇷ゚ ア・トゥイェ ㇷ゚ アナㇰネ エフイネ ウェンカムイ ネ ヤッカ ヤイカッチピ エアイカㇷ゚ ペ ネ=人間の国土,国土上に最も上席に位置するのがヨモギなので,ヨモギの槍で突かれた者,ヨモギの刀で斬られた者はどんな悪い神も蘇生することができないものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
noyporo
ノイポロ 【名】[概/所] ひたい(額)(「なずき」)。 ☆参考 知里『分類アイヌ語辞典人間篇』 p.27には概念形は「noypor のイポル」とあるが、 この方言では語末に o がある。 {E: the forehead.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
noyporoikus
ノイポロイクㇱ 【noyporo-ikus】 予知する,前兆. チ・コㇿ コタン タ アナㇰネ ノイポロイクㇱ シコㇿ アン イタㇰ ク・ヌ エラムㇱカリ.トカㇷ゚チ フㇱコ セコㇿ ア・イェ コタン タ ク・ヌ オルㇱペ ノイポロ イクㇱ ネ ルウェ ネ=私の村では予知するという言葉も聞いたことがない.十勝の伏古というアイヌの村で聞いた話が,予知するという言葉だ. (出典:萱野、方言:沙流)
nukar
ヌカㇻ 【nukar】 見る,見える,会う. ア・ヌカㇻ フミ ウェン=よく見えない.ヌカㇻ エトランネ=見るのがいやだ.ユッカルㇱ アン ウㇱケ コルウヌ(ク・オルウヌ) シネンネ ケキㇺネ(ク・エキㇺネ) アクス ア・エン・ヌカㇻ=マイタケが生えている所を私は知っていたのでひとりで山へ入ると,他人に見られた.アイヌ アッパケ ア・エホリッパ シンナ トリ ネ シンナ チカㇷ゚ ネ ア・イ・ヌカㇻ カネ=人々の先頭になって私は踊り,別な鳥として異彩を放つ私を皆は見ている(ユカㇻの中でポンヤウンペの恋人が目立っている様子). (出典:萱野、方言:沙流)
numinokan
ヌミノカン 【numi-nokan】 やぶ豆:粒が小さいこと(十勝での言い方). アイヌモシㇼ メナスン(メナㇱ ウン) ウタㇻ アナㇰネ エハ シコㇿ カ ヌミノカン シコㇿ カ イェ ㇷ゚ ネ チ・コㇿ コタン タ アナㇰネ アハ セコㇿ ア・イェ=アイヌの国土(北海道)の東の方の人たちはエハともヌミノカンともいうもので,私の村ではアハという.*十勝アイヌ磯里明さんが教えてくれた.沙流川アイヌはアハといい,旭川アイヌはエハという. (出典:萱野、方言:沙流)
numke
ヌㇺケ 【numke】 選ぶ,よる,よりわける. アイヌヌㇺケ=人選び.マメヌㇺケ=豆選び. (出典:萱野、方言:沙流)
nup
ヌㇷ゚ 【nup】 野,野原,原野,原っぱ. タアン ペ アナㇰネ シㇼレ ネ ヒネ 二風谷小学校 カランケ オカ アイヌ アナㇰネ 萱野茂二風谷アイヌ資料館 アン ウㇱケ ヌㇷ゚ シコㇿ レコレ ワ アン ペ ネ ア ワ=これは地名であって,二風谷小学校近くにいた人は萱野茂二風谷アイヌ資料館のある場所を,野原と名づけていたものであった. (出典:萱野、方言:沙流)
nupur
ヌプㇽ 【nupur】 霊力(がある),霊感(がある). テエータ カネ ピラトゥルン(ピラトゥㇽ ウン) ヌプㇽエカシ セコㇿ ア・イェ ヌプㇽクㇽ アン ペ ネ ヤカイェ(ヤㇰ ア・イェ).ネ エカシ アナㇰネ アパ オッタ アイヌ エㇰ コㇿ クス エㇰ ペ オピッタ エラマン ペ ネ ヤカイェ=ずーっと昔に平取の霊力のあるおじいさんと言われる人がいたという.その人は戸口へ人が来ると何の用事で来たかを全部わかるものであったとか. (出典:萱野、方言:沙流)
nupur 3
ヌプㇽ 【他動】…を神力で守る。 aynu e=nupur kus pet kenas ka e=ohetuku p ne na, aynu e=rayke kus e=hetuku p ka somo ne na アイヌ エヌプㇽ クㇱ ペッ ケナㇱ カ エオヘトゥクㇷ゚ ネ ナ、 アイヌ エライケ クㇱ エヘトゥクㇷ゚ カ ソモ ネ ナ (S) あなたは人間を守るために川の山岸に生えたのだぞ、 人間を殺すために生えたのではないのだぞ(ikema イケマ を叱る言葉)。(S) ☞ikema イケマ {E: to protect…by divine power.} (出典:田村、方言:沙流)
nupuri
ヌプリ 【名】山。 poro nupuri ポロ ヌプリ 大きい山。 ri nupuri リ ヌプリ 高い山。 okuwas nupuri オクワㇱ ヌプリ 急な(切り立った)山。 Ayoro nupuri アヨロ ヌプリ [地名] アヨロ山。 ☆参考 kim キㇺ [位名]も《山》と訳されるが、 kim キㇺ がそこへ行ったりその中を歩いたり働いたりする場所としての山を表すのに対し、 nupuri ヌプリ は地上にうず高くもり上がった形をしている物体としての山を表す。 ☆参考 日本語で比喩的に「山」と表現するようなたくさんの集まりや積み重なりをアイヌ語では toska トㇱカ《土手》、 ikir イキㇼ《集まり》、 takma《丸いかたまり》などと言うこともある。 {E: a mountain.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
nupurihi
ヌプリヒ 【名】[所] …の山のところ。 Porosir nupurihi ta ポロシㇼ ヌプリヒ タ (アイヌモシリの中の)ポロシリ山のところに。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
nupurikitay
ヌプリキタイ 【nupuri-kitay】 山頂,てっぺん,頂上.*神の国で手余された熊.昔話にしばしば出て来る.それでアイヌ社会での余され者をヌプリケシと言う. (出典:萱野、方言:沙流)
nusa
ヌサ 【nusa】 祭壇.*沙流川は北東から西南に流れている川なのでこの流域のアイヌは家の背中を北東になるように建てると,ロルンプヤㇻ(上座の窓)は東につく.したがって上座の窓から見える所にヌサがある. (出典:萱野、方言:沙流)
nuso
ヌソ 【nuso】 犬ぞり.樺太アイヌ山田藤作さんが犬ぞりの模型を作ってくれた時に教えてくれた言葉である. (出典:萱野、方言:沙流)
nuyranaya
ヌイラナヤ 【名】[nuyra-naya キウリ・(?)]キウリ乾し場(キウリを串に刺して、 外の物干し棒にかけて干す、 その干してある所を言う)。 aynu-pa-kus, nuyranaya tanne naya henpak henpak oka ruwe! アイヌパークㇱ、 ヌイラナヤ タンネ ナヤ ヘンパㇰ ヘンパㇰ オカ ルウェ! いいねえキウリがあんなにたくさん干してある。(S) ☞nuyra ヌイラ (出典:田村、方言:沙流)
ociseunpa
オチセウンパ 【自動/副】[o-cise-un-pa その尻・家・へ・皆] ①[自動](次のような文脈で)家族そろう。 eci=ocíseunpa wa henpakiw eci=ne? エチオチセウンパ ワ ヘンパキウ エチネ? あなたたちは家族みんなで何人ですか。(S) ②[副]一家総出で。 ociseunpa nokan hike rupne hike opitta uwesamuysamun wa nepki kor patek oka, aynu-paːkus オチセウンパ ノカン ヒケ ルㇷ゚ネ ヒケ オピッタ ウウェサムイサムン ワ ネㇷ゚キ コㇿ パテㇰ オカ、 アイヌパークㇱ 一家総出で小さい人も大きい人も(子どもたちも大人たちも)みんな並んで働いてばかりいる、 いいねえ。(S) {E: ①to gather one's family together; one's complete family. ②the whole family working together.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
ohainu
オハイヌ 【oha-i-nu】 幻聴(をきく).▷オハ=からの イ=それを ヌ=聴く テエータ スクㇱペッ エトコホ タ アイヌ オッカイポ レン パㇰノ ペソㇱ トゥㇺ タ シットゥライヌ パ.シㇼクンネ ワ キモレウシ ヒ タ オハイヌ ホチコㇰ ハウ ヌ ㇷ゚ ライ.ソモ ヌ パ ㇷ゚ シㇰヌ ㇷ゚ ネ ヤカイェ(ヤㇰ ア・イェ)=ずうっと昔,宿志別川の上流でアイヌの若者が3人ほどみぞれの降る中を道に迷った.暗くなって野宿した時に幻聴であるアオバズクの声を聞いた者は死に,聞かなかった者は生きたという.*その時に生き残った方が,木村文太郎さん. (出典:萱野、方言:沙流)
ohokar
オホカㇻ 【oho-kar】 鎖縫い. ▷オホ=針のみぞ カㇻ=作る *アイヌの着物を刺繍する時の縫い方で,針のみぞ穴を並べたような,という言い方をする.これと対の言い方で,イカラリ(イ=それ,糸 カ=上 ラリ=押さえる,詰める)といい,糸を置いて上から押さえるように縫うことを言う.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
oka 2
オカ 【自動】(疑問文・感嘆文やある種の助詞の前などで ne ネ《である》の代りに置かれる。) ruwe oka ルウェ オカ (二人/二つ以上が) …だなあ。 eun inkar=an pakno inkar=an pakno kotan oka ranke ruwe oka! エウン インカラン パㇰノ インカラン パㇰノ コタン オカ ランケ ルウェ オカ! 見わたすかぎり部落がいくつもあるのだな。(S) aynu-pa-kus e p oka un! アイヌパークㇱ エㇷ゚ オカ ウン! いいねえ(あの人たちばかり)食べるんだなあ。(S) ☞an アン ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
okapikuyra
オカピクイラ 【oka-pikuyra】 後をつける. クサポ ポンノ ホㇱキ タㇷ゚ アㇻパ アイヌ エアㇻキンネ チセ ピㇱノ ヘヘウパ コㇿ アㇻパ.シノ ク・イヨヤモㇰテ オカピクイラ・アン ワ インカㇻ・アン ロー=おねえさんちょっと待って,今行った人が家々ごとに覗きながら行った.本当に疑わしい,後をつけて行って見よう.イッカエオㇷ゚ ネ ヒ ケラマン(ク・エラマン) ヒクス コカピクイラ(ク・オカピクイラ) ア コㇿカ ネノ アン イキ ソモ キ ノ アㇻパ ワ イサㇺ=盗み癖のある者なのを知っていたので後をつけたけれども,それをせずに行ってしまった. (出典:萱野、方言:沙流)
okaturaynu
オカトゥライヌ 【oka-turaynu】 見失う. マチヤ オッタ(オㇿ タ) アナㇰネ エイタサ アイヌ インネ ㇷ゚ ネ クス ク・トゥラ クㇽ ヤアニ ヤアニ コカトゥライヌ(ク・オカトゥライヌ)=町ではあまりにも人が多いので一緒に行った人を危なく危なく見失うところだった. (出典:萱野、方言:沙流)
Okikurmi
オキクㇽミ 【名】[固有名] オキクルミ(伝説の主人公。 Samayunkur サマユンクㇽ と対で語られることが多い。 他地方でオキキリムイなどとも呼ばれる。 神とも人とも見られ、 人間の始祖 Aynurakkur アイヌラックㇽ と同一視されることもある:児島記述)。 Okikurmi kamuy オキクㇽミ カムイ オキクルミ神 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
okikurmikamuy
オキクㇽミカムイ 【okikurmi kamuy】 オキクㇽミ神:アイヌに生活文化を教えた神の名.*沙流川に降臨したということでオキクㇽミの砦伝説などがある. (出典:萱野、方言:沙流)
okimne
オキㇺネ 【o-kimne】 山から. オキㇺネ ワノ アイヌ エㇰ ハウ カリカリ ヒクス プヤㇻ カ ア・オㇱマ インカㇻアナクス(インカㇻ・アン アクス) オヤチキ キムンカムイ スマウコㇿ パ ワ ネ アアン=山の方から人が来る声が響いてきたので窓から体を出して見ると,知らなかったが.熊を獲ってきたのであった. (出典:萱野、方言:沙流)
okka
オッカ 【位名】[概](所は okkasi オッカシ)[ok-ka えり首(?)・の上]…の上。 aynu okka eyayoraye アイヌ オッカ エヤヨライェ [人・の首の上・に自分をそこに行かせる] [慣用句]…のことで人にまさる。 {E: above; over; on top of.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
okkayo
オッカヨ 【名】男、 男性。 menoko ka okkayo ka メノコ カ オッカヨ カ 女も男も。 okkayo sirpo uwosmare pakno an オッカヨ シㇼポ ウウォㇱマレ パㇰノ アン (少年が成長して)男らしい姿になるほどになった、 男らしい若者に成長した。 okkayo hekaci オッカヨ ヘカチ 男の子(hekaci ヘカチ だけで男の子であることを表すが特に女でないことを強調して言う)。 okkayo ikor オッカヨ イコㇿ 男の宝物(刀剣類など)。 “poyson kor yak a=ye” “hńta kor yak a=ye?” “okkayo poyson kor yak a=ye” 「ポイソン コㇿ ヤカイェ」「フンタ コㇿ ヤカイェ?」「オッカヨ ポイソン コㇿ ヤカイェ」 「子どもを持った(=子どもが生まれた)そうだ」「(直訳すると)何を持ったと言っているか=どっちが生まれたって(男の子か女の子か)?」「男の子が生まれたそうだ。」 (S) m okkayo-irwak オッカヨイㇼワㇰ 男兄弟(男のいとこを含む)。 okkayo-irwak patek ku=kor オッカヨイㇼワㇰ パテㇰ クコㇿ 私は男兄弟ばかり持っている(女の姉妹や女のいとこがいない)。(S) ☆対語 menoko メノコ ☆参考 女性に対して男性を表す語。 aynu アイヌ《人間》も場合によって男性を指すことがある。 ☆参考 動物の雄(おす)は pinne ピンネ [連体] 雄の…。 {E: a man; a male.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
omawsuye
オマウスイェ 【自動】[o-maw-suye その尻・風・ゆらす](その尻が)風でゆれる。 yaysamne apkas=an yakka néa ayop a=setúruhu ta omawsuye pakno nitan aynu a=ne ruwe ne ヤイサㇺネ アㇷ゚カサン ヤッカ ネア アヨㇷ゚ アセトゥルフ タ オマウスイェ パㇰノ ニタン アイヌ アネ ルウェ ネ ただ普通に歩いてもその弓矢の袋が私の背中で風にゆれるほど私は足の速い人間でした。(HK民話) {E: (for the end of something) to flutter in the wind.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
onkami
オンカミ 【自動】[< 日本語 おがみ] 拝礼する。 ①(狭義に、 アイヌ民族の男子の正式な拝礼を指す。)両手を胸の前でてのひらを上に向けて上下に動かす形式で拝礼する。 ②(広義に、 拝礼一般を指す。) hepoki hetari kane onkami ヘポキ ヘタリ カネ オンカミ 頭を下げたり上げたりしておじぎする。 ③拝む。 onkami-kur オンカミクㇽ 拝む人=「お寺さん」(=坊さん)。 ④[比喩]onkami kor an オンカミ コラン(直訳すると)拝んでいる=いねむりしている。(W) {E: ①customary, ritual praying form. ②worshipping (gen.). ③to worship.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
opitta
オピッタ 【副】(二つ以上/二人以上が)皆、 (二つでも、 たくさんでも、 数も量も)全部。 kamuy opitta カムイ オピッタ 全ての神、 神全員。 pirka amip opitta ピㇼカ アミㇷ゚ オピッタ すべての美しい着物、 美しい着物(は)みんな。 aynu opitta arki アイヌ オピッタ アㇻキ 人(男)はみんな来た。 inanike ne yakka opitta ku=kor rusuy イナニケ ネ ヤッカ オピッタ クコン ルスイ どっちでも両方ともほしい。 sine netopa eus pe ne kus opitta ray シネ ネトパ エウㇱ ペ ネ クㇱ オピッタ ライ (二つの頭が)一つの体についていたので両方とも死んでしまった。(S民話) c=ópitta チョピッタ 私たちみんな。 eci=opitta エチオピッタ あなたたちみんな。 aoká opitta アオカ オピッタ あなたを含めて私たちみんな。 ☆参考 epitta エピッタ は一つのものの全体。 {E: everyone; all.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
oposo
オポソ 【o-poso】 通す,くぐる,通り抜ける. イワポソインカㇻ セコㇿ ア・イェ ウェンカムイ アナㇰネ イタㇰ コラチ イワ オポソ カ アイヌ ヌカㇻ コㇿ アン アシトマ ウェンカムイ ネヤカイェ(ネ ヤㇰ ア・イェ)=岩を通してでも見えるという悪い神は言葉の通りに岩を通しても人間を見ている,それは恐ろしい化け物だそうだ. (出典:萱野、方言:沙流)
ora
オラ 【ora】 そして,その,それから,それで. オラ ネ アイヌ イネ=そして,その人はどうしたの.ア・オナハ トゥラノ チェㇷ゚コイキ・アン クス ペトルン(ペッオㇿウン) アㇻパアナㇷ゚(アㇻパ・アン アㇷ゚) ネㇷ゚カ オイラ ヤㇰ イェ コㇿ ア・オナハ ホシピ.オラ マㇰネ シネンネ カㇱコッタ レウシ・アン=父と一緒にサケを獲りに川へ行ったら何か忘れたと言って父は戻った.そしてどうなったか,ひとりで仮小屋に泊まった. (出典:萱野、方言:沙流)
oramsakka
オラㇺサッカ 【o-ram-sakka】 軽蔑する,見下げる,馬鹿にする. アイヌイカラㇱ ケㇱト イク ア イク ア ウトゥル アン コㇿ ホッケ ワ パテㇰ アン ウェンクㇽ ネㇷ゚ ネ クス ア・オラㇺサッカ=惜しい人が毎日酒を飲んでばかりいて,その問に寝てばかりで貧乏なものだから軽蔑される.ソンノ エネ パウェトッコㇿペ ポンノ イク コㇿ チカトゥントゥン ア・オラㇺサッカ ノ イキ シリ アイヌイカラㇱ=本当にあのように雄弁な人が少し酒を飲むとおだって馬鹿にされるようなことをするものだ,人間がもったいない.アイヌ オッタ(オㇿ タ) イヨッタ ア・シトマ ア・オラムサッカ ㇷ゚ アナㇰネ イッカ ネ ナ.イテキ イッカ・アン ペ ネ ナ アニー=アイヌの所で一番恐ろしく軽蔑されるものは泥棒だ.泥棒だけはしてはならないよ.アイヌ オッタ(オㇿ タ) アナㇰネ エイタサ ミムㇱペ オカ コㇿ ウェンセク シコㇿ ア・イェ ア・オラㇺサッカ ㇷ゚ ネ ヤカイェ(ヤㇰ ア・イェ)=アイヌの所ではあまりにも太った者がいると悪い太り方と言って軽蔑されるものだという. (出典:萱野、方言:沙流)
oraun
オラウン 【oraun】 〜なのに,それから,そして. エ・ポンペ オラウン ケㇱト ニナ クス エ・エキㇺネ アクタナー=お前はまだ子供なのに毎日薪を取りに山へ行って感心なことだ.エ・コㇿ アイヌ エㇰ ヤㇰ ア・イェ ア ワ オラウン フナクン アㇻパ ルウェ アン=お前の父が来たよといったのに,それからどこへ行ったのよ. (出典:萱野、方言:沙流)
otetterke
オテッテㇾケ 【他動】[o-ter-ter-ke その尻・(跳ねることを表す擬態の語根)・(重複)・(自動詞形成)](oterke オテㇾケ は [他動] …を踏む。 otetterke オテッテㇾケ はその重複形でくり返し踏むことを表す。) ギュウギュウ踏みつける。 ☆参考 和人社会の暴行は主になぐることとけることだが、 アイヌ社会の暴行は主になぐることと踏みつけることである。 {E: to step on…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
ottena
オッテナ 【名】[< 日本語 おとな(乙名)] ①集落の頭となる役人(「内地の人が決めた」)。(S) ②(和人からアイヌ男子を呼ぶ語)だんな、 (サダモさんの訳によれば)おっさん。 {E: ①the head of a village. ②an Ainu man (when called by a Japanese person.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
ottena
オッテナ 【ottena】 和人がアイヌの男を呼ぶ呼び方. トノ サㇰ オッテナ エ・ネ ルウェー=お得意の殿さまはいないのかい?[ウ] (出典:萱野、方言:沙流)
otu iwan suy ore iwan suy
オトゥ イワン スイ オレ イワン スイ 【o-tu iwan-suy o-re iwan-suy】 ふたつの6回三つの6度:何度も何度も. カニ アナㇰネ テ パㇰノ オトゥ イワンスイ オレ イワンスイ ア・エン・コカンタマ コㇿカ アイヌ コカンタマ カ ケアイカㇷ゚(ク・エアイカㇷ゚)=私は今までふたつの6回三つの6度(何度も何度も)だまされたけれど人をだますことは私はできない. (出典:萱野、方言:沙流)
otu sanaske ore sanaske uwenoye
オトゥ サナㇱケ オレ サナㇱケ ウウェノイェ 【o-tu-san-aske o-re-san-aske u-e-noye】 礼拝する:両手を前へ出して2度3度礼拝する.アイヌ風の礼拝.▷オ=それ トゥ=ふたつ サン=出る アㇱケ=指 オ=それ レ=三つ サン=出る アㇱケ=指 ウ=互い ウェ=それ ノイェ=ねじり (出典:萱野、方言:沙流)
otuwasi
オトゥワシ 【otuwasi】 信頼する,見こみがある. アレㇰアイヌ ク・カㇻク タンペ オッタ(オㇿ タ) アナㇰネ エチ・オトゥワシ ナ.コイカウン ニㇱパ ウタㇻ エ・トモッ ワ エン・コレ アニー=甥である清太郎よ,この度はお前を信頼する.静内の人たちへの応対はよろしく頼む.*昭和10年頃平取村小平という所に父のいとこ姉トマアッノという人の夫である静内出身の月元という人が水死した.その時のウニウェンテ(神々の油断をたしなめる行事)の時,鹿戸ヨンケという人が私の父アレㇰアイヌ(清太郎)に頼んだ言葉.父はその時44歳くらい.ヨンケさんは沙流川でも有名な雄弁家であったが静内から来た人たちへの応対を父に託した. (出典:萱野、方言:沙流)
ouhuy
オウフイ 【o-uhuy】 裾の方から炎が燃え立つ. ウウェペケㇾ ネ ヤ ウパㇱクマ オッタ(オㇿ タ) オキクㇽミカムイ アイヌ カシオピューキ ヒ タ オウフイ ニカパットゥㇱ カリ シㇼ パテㇰ ア・ヌカㇻ シコㇿ アイェㇷ゚ネ=昔話や言い伝えの中に,オキクㇽミ神が人間を助ける時に,裾の方から炎が燃え立つ木の皮の着物が,ちらっと見えたと言うものであった. (出典:萱野、方言:沙流)
Ouhuy-sirka Ouhuy-níkapattus
オウフイ シㇼカ オウフイ ニカパットゥㇱ 【名】[< ouhuy-sirka ouhuy-níkap-attus こげた・刀のさや・こげた・木の皮(の)・厚司(あつし)] [固有名]すそこげ刀すそこげ厚司(または、こげ刀こげ厚司、人間の始祖アイヌラックル(Aynurakkur アイヌラックㇽ)の呼び名の一つ、その父神が天も地も燃やしながらかけめぐっていたことからつけられた)。(Sユーカラ) ☞ouhuy オウフイ (出典:田村、方言:沙流)
owpekare
オウペカレ 【owpeka-re】 真っ直ぐにする. アイヌ イタㇰ アナㇰネ ウハイタ ウㇱケ ポロンノ オカ.ネ イタㇰ オウペカレ ワ カムイ オルン ソンコ アンパ ㇷ゚ イクパスイ ネ ルウェ タパン ナ=人間の言葉は至らない所がたくさんあるものだ,その言葉を真っ直ぐにして神へ伝言を持って行くのが捧酒箸ですよ.テエータ アナㇰネ イヌイェ・アン クㇱネ ヒケ カ ア・エイワンケㇷ゚ カ ケミアン シネ マキリ ア・レウェ ア・オウペカレ ワ ネㇷ゚キ・アン ペ ネ=ずっと昔は彫刻するにも道具が少なく,1丁の小刀を曲げたり真っ直ぐにしたりして仕事をしたものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
oyasi
オヤシ 【名】(人を表す名詞の後に置かれて) …の野郎、 …の畜生(「人間のうんと悪いやつのこと、 にくたらしくて言う」)。(S) sísam oyasi シサㇺ オヤシ 和人の畜生。(S) aynu oyasi アイヌ オヤシ アイヌ野郎。(S) ☆参考 ikkap oyasi イッカㇷ゚ オヤシ などとは言わない。 「どろぼうもそのほかも含めて言うのだから。」 (S) taan oyasi タアン オアシ などとも言わない。(S) ☆参考 樺太ライチシカ方言の藤山ハル氏はおばけを oyasi オヤシ と言う。 (出典:田村、方言:沙流)
pacikoan
パチコアン 【paci-ko-an】 罰があたる. スクㇷ゚ トゥイ カ タ ネユンネユン アイヌ コイキ ㇷ゚ ネ クス パチコアン ワ オンネ オルン マウコウェン ワ イペ ポーカ エイシラㇺネ=一生の間にいろいろと人をいじめたものだから,年をとる方へ運が悪くて,食べることにも不自由している. (出典:萱野、方言:沙流)
panpata
パンパタ 【pan-pata】 下手の方に,下のほうに. チセパンパタ エコㇿアイヌ ネㇷ゚キコㇿアンナ ホトゥイェカㇻワ エㇰ=家の下手の方でお前の父が仕事をしているので呼んで来い. *上手の方という場合は,ペンパタと言う.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
pante
パンテ 【pan-te】 薄める. テエータ オカ アイヌ アナㇰネ ポンノ カ サケ コㇿパ コㇿ カムイノミ パ ㇷ゚ ネ ア コㇿカ タネ アナㇰネ ネノ アン イキ カ ア・パンテ ワ イサㇺ=ずうっと前のアイヌは少しでも酒を持つと神への祈りをしたものだが,今はそのようなことも薄められてしまった. (出典:萱野、方言:沙流)
párimomo
パリモモ 【自動】[pa-rimo-mo 口・をすぼめる・(重複)…している]口をすぼめている。 párimomo kane an パリモモ カネ アン (口を大きく見せたくないために)口をすぼめている。(S) aynu or ta/paye=an ki kor/párimomo parimomo sekor/santa soaso/a=i=ye wa tapne/iruska=an kusu/somo a=ye na アイヌ オッタ パイェアン キ コㇿ/パリモモ パリモモ セコㇿ/サンタ ソアソ/アイイェ ワ タㇷ゚ネ/イルㇱカアン クス/ソモ アイェ ナ 人間の国に行くと口すぼめ、 口すぼめと言われるので腹が立つから言わないよ(きかれたことを教えないよ)(supun スプン《ウグイ》が言う)。(W神謡) (出典:田村、方言:沙流)
parkar 2
パㇻカㇻ 【parkar】 ②焼酎.▷パㇻ=口 カㇻ=作る,しみる *アイヌはこれを飲んだ時に口ヘぴりっと来たので飲んだ時に口ヘぴりっとしみる飲み物と名づけた. (出典:萱野、方言:沙流)
parpesni
パㇻペㇱニ 【par-pes-ni】 アイヌ家屋の中へ入って入口のところの目の前の梁の上に並べて乗せてある2本の棒. ▷パㇻ=梁の上 ペㇱ=たどる,ニ=木 *この2本の棒から火棚を下げる.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
parur/parurke(he)
パルㇽ/パルㇽケ(ヘ) 【parur/parurke(he)】 端,縁. ア・ウタリヒ シトゥ カリ ヘメㇱパ ナイ パルㇽ タ イイェトコウㇱ クニ ア・イェ オヌマン パㇰノ アナン(アン・アン) ア コㇿカ オムケン・アン=私の仲間たちは尾根に登って行き,私は沢縁で待ち伏せするように言われ夕方までいたが何も獲れない.イテキ アイヌヌㇺケ ノ アペエトㇰ ワノ ニワ パルㇽ タ アン ウタㇻ パㇰノ イサㇷ゚テ アン ペ ネ=絶対に人選びせずに横座の方から内庭の縁に座っている人たちまで給仕するものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
paskuma
パㇱクマ 【paskuma】 教える. ペウレクㇽ ウタㇻ ア・エパㇱクマ ヒ アナㇰネ ネユンネユン アン ペ ネ アイヌ イキㇼ エネ アン ヒ ネ ヤ コタン エピッタ アン ナイレ ネ ヤ ポロンノ アン ペ ネ=若い人たちに教えることはいろいろあって,人々の血統とかがどうなっているかとか村中にある沢の名前とかたくさんあるものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
paskur
パㇱクㇽ 【paskur】 烏:シエパㇱクㇽ(糞食い烏)=ハシブトガラス. パㇱクㇽ パㇰペ ヌカㇻヌカㇻ=烏ほどの物を見ろ見ろ.*女性が山で熊に出会った時,前をはだけて黒いものを見せながらこう言うと,熊は恥ずかしそうに目を逸らして行ってしまうという.クンネイワ ノ チセ カ ウン パㇱクㇽ ハウコㇿ.タント アナㇰネ ピㇼカ ヤント エㇰ ナンコㇿ=朝から屋根の上へ烏が声を出した.今日はいい客が来るであろう.*アイヌはカララㇰ(ハシボソガラス)のほうを格神のいい烏と考えていた. (出典:萱野、方言:沙流)
passayo
パッサヨ 【passayo】 走り粥:わずかのヒエとか米などに水を多くして粥を炊くと,煮え立つ鍋の中で米粒が走るように見えるので走り粥という. アエㇷ゚ イサㇺ ヒ タ アナㇰネ チェㇷ゚ルㇽ ネ ペコㇿ カㇺルㇽ ネ ペコㇿ ア・エ オカケ タ パㇱサヨ ア・カㇻ ワ ア・エ ㇷ゚ ネ ヤㇰ ア・イェ=食べ物のない時は,魚汁らしきもの肉汁らしきもの食べた後に,走り粥を煮て食べたものであったそうだ.*このような食べ方をアイヌイペ(アイヌたちの食べ方)と,半ば自嘲気味に言っていたものであった. (出典:萱野、方言:沙流)
pasuysampe
パスイサンペ 【pasuy-sampe】 捧酒箸の心臓:アイヌが神々に願い事をする時に用いるへら状の道具の裏側の先の方につけるくぼみ.このくぼみを,パスイサンペあるいはパスイパルンペ(捧酒箸の舌)と言う.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
peneemo
ペネエモ 【pene-emo】 潰れたいも.▷ペネ=潰れる エモ=いも エモ アナㇰネ トオㇷ゚ フㇱコ トイ ワノ アイヌ ウタㇻ エトイタ パ ワ エモシルㇷ゚ アニ シル ワ エ ヘメㇺ キ ルプㇱカ ワ ペネエモ ネ カ カㇻ パ ワ エ パ ㇷ゚ ネ=ジャガイモは,ずうっと昔からアイヌたちは蒔いていたもので,ジャガイモ下ろし金で下ろして食べたり,凍らせて潰れいもにして食べたりしたものだ.*ひと冬外で野ざらしにして凍ったり溶けたりしたジャガイモのこと. (出典:萱野、方言:沙流)
peniunkur
ペニウンクㇽ 【peni-un-kur】 奥の方の人:二風谷からみると沙流川上流のアイヌをそう呼んでいた. (出典:萱野、方言:沙流)
pepunitara
ペプニタラ 【自動】[pepun-itara (擬音)・(状態が続いていることを表す接尾辞)]にぎやかである。 hekattar haw pepunitara, aynu-pá:kus ヘカッタㇻ ハウ ペプニタラ、 アイヌパークㇱ 子どもたちの声がにぎやかだ、 いいなあ。(S) tanto racio hawehe pepunitara ka somo ki タント ラチオ ハウェヘ ペプニタラ カ ソモ キ 今日はラジオの声がにぎやかでない。(S) {E: to be lively; noisy.} (出典:田村、方言:沙流)
pesakar'usi
ペサカㇻウシ 【pesa-kar-usi】 鹿が集まる谷地. タヌクラン クンネロㇰ・アン クス ペサカㇻウシ ウン アㇻパ・アン ロー=今夜は夜猟のために鹿が来る谷地へ行くことにしよう.*夜,鹿が集まって来て塩分のある泥を嘗める所をペサカㇻウシという.アイヌの狩人はそこへ行って待っていて鹿を獲る.平取町内では額平川の支流で宿志別川の左岸にペサカㇻウシがあるものだと,昭和16年に坂本三太郎というアイヌから聞いたことがある.その人の話では,嘗めるというより体を泥の中へ埋めるようにするものだという. (出典:萱野、方言:沙流)
pikanpikan 1
ピカンピカン 【pikan-pikan】 ①身軽に動く.敏捷な動き(をする). ソンノ ク・カㇻクフ ピカンピカン シリ ク・ヌカㇻ コㇿ アイヌパータ ペウレ パ ワ シコㇿ ク・ヤイヌ=本当に私の甥の敏捷な動きを見るといいものだなあ,若い者たちは,と私は思う.ペウレクㇽ ネ コㇿカ エアㇻキンネ ピカンピカン ワ ネㇷ゚カㇻ ヤッカ エアㇱカイ ワ ア・コプンテㇰ ルウェ ウン=若い者だがとっても身軽に動き何をやっても上手で,人にほめられるのだよ.ソンノ ピカンピカン ペ ネ クス ホㇱキ ホユㇷ゚テㇰ ニセンピㇼ ワ ピッコサヌ イラㇺトゥイパ エオ=全く身軽な者だから先にさっと走って行っては立ち木の陰から飛び出て私を驚かすことをやる.ク・コㇿ キヤンネポ オッタ(オㇿ タ) アナㇰネ ク・ミッポホ トゥン アン ポニケヘ(ポン ヒケヘ) エアㇻキンネ ピカンピカン ワ カトゥ ク・ヌカㇻ=私の長男の所には孫がふたりいて,小さいほうが本当に動きが活発で見込みのある者と思っている. (出典:萱野、方言:沙流)
pikanpikan 2
ピカンピカン 【pikan-pikan】 ②気が利く. イサㇷ゚テクㇽ アナㇰネ シノ ピカンピカン オッカイポ イサㇷ゚テ ㇷ゚ ネ コエトゥレンノ イテキ アイヌヌㇺケ ノ アペエトㇰ ワノ ニワ パルㇽタ アン ウタㇻ パㇰノ イサㇷ゚テ アン ペ ネ=給仕する人は本当に気の利く若者が給仕する,それとともに絶対に人選びせずに横座の方から内庭の縁に座っている人たちまで給仕するものだ.ナー ポン ヘカチ ネ コㇿカ ピカンピカン シリ カトゥフ ア・ヌカㇻノ アン シリ=まだ少年ではあるけれど気の利いたその動きの様子,見所のある様子. (出典:萱野、方言:沙流)
pira
ピラ 【名】がけ(崖)。 pira tapka ピラ タㇷ゚カ 崖の上。 ☆参考 日本語では「崖」とは言わないような低いものも言う。 山田秀三『アイヌ語地名の研究』を参照。 {E: a cliff.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
pisakkunoka
ピサックノカ 【pisakku noka】 北斗七星. アイヌ アナㇰネ ピサックノカ シンナ レヘ "トイタサオッ" シコㇿ カ ア・イェ トイタウシ アン コㇿ トオㇷ゚ ヘリカシ キラ クス ア・イェ ヒ ネ=アイヌ民族は北斗七星の別の名を「畑耕しから逃げる」とも言う,畑時期になるとずうっと上へ逃げるのでそう言われるのだ. (出典:萱野、方言:沙流)
pitnemunciro
ピッネムンチロ §402 アワ 粟 (16) pit-ne-munciro (pít-ne-mun-ci-ro)「ぴッネムンチロ」[pit(小石)ne(状の)munciro(アワ)] 子実 ⦅バチラー、アイヌ人とその説話⦆ (出典:知里植物編、方言:)
poapa
ポアパ 【po-apa】 陰門,女性の外部生殖器.▷ポ=子供 アパ=戸 →子供が出て来る戸 アイヌ アナㇰネ オロ ワ ポ ア・エヌワㇷ゚ クス ポ エㇰ ウシ シコㇿ ヤイヌ レコレ ルウェ ネ=アイヌはそこから子供が生まれるので,子供が来る所と思い名づけたのである。 (出典:萱野、方言:沙流)
póka
ポカ 【副助】[po-ka (指小辞)・も] ①(せめて)…でも、 やっと…は。 sine cise tu cise póka eci=kár yakun シネ チセ トゥ チセ ポカ エチカㇻ ヤクン あなたがたは一軒か二軒だけでも家を建てれば。 tanto póka e=ek wa タント ポカ エエㇰ ワ あなたは(きのうは来なかったが)まあ今日になってでもようやく来て…。(W会話) ikoyyomap póka a=ki rusuy イコイヨマㇷ゚ ポカ アキ ルスイ (子どもがないので)せめて人の子をかわいがることだけでもしたい。(W民話) sonno póka ソンノ ポカ 本当に、 やっぱり、 はたして、 思ったとおり、 聞いていたとおり。 ponno ponno póka k=étoyta kus keraypo ku=kor ruwe un ポンノ ポンノ ポカ ケトイタ クㇱ ケライポ クコン ルウェ ウン ほんの少しだけでもまいたおかげでとれたのだよ。(S) néun póka/nen póka ネウン ポカ/ネン ポカ どうにか、 なんとかして。 nen póka é=iki wa e=epirka kunine ネン ポカ エイキ ワ エエピㇼカ クニネ なんとかしてあなたがえらくなるように。(S) ②(否定で)…さえ…しない。 sapa póka sak cip サパ ポカ サㇰ チㇷ゚ 船首すらない舟。(W民話) a=i=núkare póka somo ki no アイヌカレ ポカ ソモ キ ノ 私に見せてもくれずに。(W民話) {E: ①somehow or other; finally. ②not even.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
pokisir
ポキシㇼ 【名】[概](所は pokisirke ポキシㇼケ)[poki-sir その下・様子](人の)股から下、 足の部分。 aynu pokisir patek a=nukár アイヌ ポキシㇼ パテㇰ アヌカㇻ 人の足の部分ばかり見える。(S) eyáypokisir karkar アエヤイポキシㇼ カㇻカㇻ [雅](きゃはん)を足につける。(Sユーカラ) ☆参考 kema ケマ は物体としての足一本一本を指す。 {E: the lower body; the legs.} (出典:田村、方言:沙流)
poknamosir
ポㇰナモシㇼ 【pokna-mosir】 奈落:裏側の国土,地獄,冥土.アイヌが死んだら行く所と考えていた. (出典:萱野、方言:沙流)
pompo
ポンポ §004.あかご;あかんぼ(30)pompo〔póm-po ぽンポ〕⦅チシマ⦆こども。(→千島アイヌ, p.135)。[<pon(幼い、小さい)+po(子)]。 (出典:知里人間編Ⅱ、方言:)
pon okkayo
ポン オッカヨ/ポノッカヨ 【名】(特殊な状況で)男の赤ちゃん。 aynu-pa-kus pon okkayo kor hawe an! アイヌパークㇱ ポン オッカヨ コㇿ ハウェ アン! いいねえ、 男の子を持った(男の子が生まれた)って。(S) ☆参考 男か女かが問題のときに言う。 普通は okkayo オッカヨ は大人の男性を指す。 {E: a baby boy; a male child.} (出典:田村、方言:沙流)
poncompa
ポンチョンパ 【pon-compa】 小さい升,親指と手首の間にあるくぼみ,舟状くぼみ. ▷ポン=小さい チョンパ=升 *オキクㇽミカムイがくれた穀物,ヒエ・アワ・イナキビなど,大昔はこのくぼみにいっぱい入れただけで鍋にあふれるほどの飯になった.そのヒエ粒をアイヌが数えたので,それが悪いとして,あふれるぐらい増えなくなったので,鍋に入れて煮る物は,アイヌは数えてはならないものとされている.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
poneuka
ポネウカ 【pone-uka】 骨のように堅い堅雪:おとなが堅雪の上を走ってもぬからないのをいう.▷ポネ=骨 ウカ=硬雪 *昭和30年の1月,珍しく二風谷は大雪で深さ3尺はあったであろう.そこへ2月の初めに大雨が降った.この雨のことをキムンカムイ ポフライェㇷ゚(熊の神様が子供を洗う雨)という.その雨の後へもう一度寒波が来て言葉通りのポネウカになった.このような場合は鹿にとっては御難の冬.犬もアイヌも雪の上を自由に歩けるが鹿は腹がつかえ歩けなくなる.そこへ皆が走って行き手づかみにして肉を食べた.あの年の冬はこの村だけで100頭ほどの鹿を獲ったが,警察に引っぱって行くとすれば村人全員なので代表ひとりだけ始末書を書き,残りの村人は不問に付されたものであった. (出典:萱野、方言:沙流)
ponmenoko
ポンメノコ 【名】[pon-menoko 小さい・女] 若い女性、 娘(=pon menoko ポン メノコ)。 ☆参考 主にアイヌ民族の若い女性を言う。 和人の若い女性は ponkurmat ポンクㇽマッ。(W) (S) ☆参考 ペナコリの川上まつ子さんは、 和人の若い女性のことも ponmenoko ポンメノコ と言っていた。 {E: a young girl; a daughter.} (出典:田村、方言:沙流)
porokampi
ポロカンピ 【poro-kampi】 大きい帳場:アイヌの側から魚場へ来ている和人に対して言う. ▷ポロ=大きい カンピ=紙,帳場 *ポンカンピ(小さい紙,帳場)という言い方もある.ウウェペケㇾに出て来る言葉だが,シサㇺウウェペケㇾ(和人の昔話)にも出る.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
porosere(ke)
ポロセレ(ケ) 【poro-sere(ke)】 大方,大半の. アイヌ ポロセレ=大方の人々.イタㇰ ポロセレ=大方の言葉. (出典:萱野、方言:沙流)
porowakka
ポロワッカ 【poro-wakka】 洪水,大洪水:アイヌは何十年も水に浸らなかった所へ水が浸ったらポロワッカと言う. ポロワッカ オカ タ ワッカ シノイェ アシㇼペッ アン ルウェ ネ ノイネ=大洪水の後で水の流れが変わって新しい川が出来ているようだ.ポロワッカ オッタ(オㇿ タ) アナㇰネ アッサㇷ゚ ア・コㇿ ワ アッサエユプ・アン ワ ペッ トモトゥイェ・アン ペ ネ=大洪水の時には櫂を手に持ち強く漕ぎ,大川を渡るものだよ.ケㇱト ケㇱト アㇷ゚ト ルイ シリ ネンカネ ポロワッカ アン オキムンペ ポーヘネ ア・シトマ=毎日毎日すごい雨降りだこと.もしものこと大洪水になりはしないか.山津波はなおさら恐ろしい.イヨーハイ ソモ ポロワッカ アン クス ヘ アシㇰネ ト パㇰノ カ アㇷ゚ト アㇱ クマ オルン イチャリ ヘネ ラチッケレ ヤン=あーあ大変もしものこと大洪水になるのかも,五日ぐらいも雨降っている,外の干し棹へざるでも下げなさい.*雨が降り続き洪水になりそうになったら,外の干し竿ざるを下げて天の神様へそんなに雨を降らせたいならばこのざるがいっぱいになるほど水を溜めろと言うと,天の神はざるを見ながら雨を降らせ,いくら降らせてもいっぱいにならないのを見てあきらめて雨が降りやむものという.昭和10年頃左隣の貝澤オロアッさんがそれをしていたのを見たことがあった. (出典:萱野、方言:沙流)
porse
ポㇿセ 【porse】 表現する. ウェンメノコ セコㇿ ア・ポㇿセ ㇷ゚ カ ネユンネユン アン イスエチレ ウェンメノコ ホカパル ウェンメノコ イロンナピウェ ウェンメノコ イシケオプシ ウェンメノコ=悪女と表現される中でもいろいろあり.陰部の熱い悪い女,灰を飛ばす悪い女,座る時に男にくっつく悪い女,髪の間から私をにらむ悪い女.チカㇷ゚ ケプㇱペ アイヌ ヌカㇻ パ ワ エムㇱ ケプㇱペ ネヤ ヌイェ パ.ユカㇻ オッタ(オㇿ タ) アナㇰネ ケプㇱペ ヌイェ シㇼカ ヌイェ ネㇷ゚キ ネ ア・キ シコㇿ カネ ア・ポㇿセ ㇷ゚ ネ=鳥のくちばしをアイヌたちは見て刀の鞘などを彫刻した,ユカラには鞘を彫り鞘の造りを彫ることを私は仕事にしていると表現されているものだ.ケㇺラㇺカムイ アナㇰネ ポロ ワ オケレ クンネ チカㇷ゚ ネ ㇷ゚ ネ シコㇿ ウウェペケㇾ オッタ(オㇿ タ) ア・ポㇿセ ㇷ゚ ネ=飢饉を司る神というものは大きい大きい黒い鳥の姿をしているものだと昔話の中では描写されているものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
puri
プリ 【名】[概/所][< 日本語ふり(?)] 習慣、 慣習(「ふりあい」)、 やり方、 くせ、 行状。 aynu puri アイヌ プリ アイヌ風のやり方、 アイヌ民族の伝統的な習慣。 sísam puri シサㇺ プリ 和人の習慣/やり方。 {E: habits; customs; ways.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
puytumare
プイトゥマレ 【puytumare】 聞くのがいや,耳ざわり. タネアナㇰネ カムイカㇻナンカ カムイカㇻシリカ アコㇿワクス アイヌイェイタㇰ アプイトゥマレ コヨイラクニㇷ゚ ソモネコㇿカ=今は神が作った顔,神が作った体を持っているので,人間が言う言葉を聞くのがいやであることを忘れてはいないけれど……. *アイヌ風の葬式引導渡しの言葉の一部分.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
racinracin
ラチンラチン 【racin-racin】 ぶらりぶらり,ぶらんぶらん. メノココロペ ハーサ ハーサ オッカヨコロペ ラーチンラーチン=女の持ち物(陰部)がばくりばくりと口を広げ,男の持ち物(きんたま)がぶらりぶらり. *アイヌが祝い事で囲炉裏のまわりを回って踊る時に囃子言葉として言う.(補遺編) メノコ コㇿ ペ ハサハサ オッカヨ コㇿ ペ ラチンラチン=女の持ち物(陰部)がばくりばくりと口を広げ,男の持ち物(きんたま)がぶらりぶらり。*アイヌが祝い事で囲炉裏のまわりを回って踊る時に囃子言葉として言う。 (出典:萱野、方言:沙流)
rak
ラㇰ 【他動】①…の味がする、 …っぽい、 …のけ(気)がある、 …の味/においがある。 sippo rak シッポ ラㇰ 塩気がある。(S) tópenpe rak トペンペ ラㇰ 砂糖気がある。(S) tópen rak トペン ラㇰ 甘味がある。(S) sum rak スㇺ ラㇰ 油気がある。(S) cep rak チェㇷ゚ ラㇰ 魚くさい(魚の味がついている)。(S) toy rak トイ ラㇰ 土のような味がする(1956年当時の「安いマコロンの味」)。(S) sum rak mame スㇺ ラㇰ マメ 油っこい豆(ピーナッツを指してこう言った。) (S) sippo rak ka somo ki, tópenpe ka rak ka somo ki シッポ ラㇰ カ ソモ キ、 トペンペ カ ラㇰ カ ソモ キ 塩気が全然ない、 砂糖気も全然ない。(S) ku=teke kam húra rak クテケ カㇺ フラ ラㇰ 私の手に肉の匂いがついている。(S) ②…を味わう、 (少し)食べる。 pewre or ta a=kar wa a=e rok pe a=rak wa ペウレ オッタ アカㇻ ワ アエ ロㇰ ペ ア ラㇰ ワ (いただいたおかげで)若いときにつくって食べていたものを(今また)味わうことができて。(NK民話) ③(比喩的に)…の部類に属するもの。 (日本語の「…の端くれ」という言い方を思い起こさせる。) nispa rak pe aynu rak pe a=akíhi ne a p ニㇱパ ラㇰ ペ アイヌ ラㇰ ペ アアキヒ ネ アㇷ゚ 弟は長者であり男であるのに。(NK民話) ☆参考 Aynurakkur アイヌラックㇽ 人間っぽい神、 人間の部類に属する人(神)(人間の始祖となった神の子の呼び名)。(Sユーカラ) {E: ①to have a…flavour, taste, scent. ②to taste, appreciate… ③to belong to the class category of…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
ramat
ラマッ 【名】[概](所は ramatu(hu)/ramaci(hi) ラマトゥ(フ)/ラマチ(ヒ)) 魂。 nen póka ne wa ramat kasi a=konítata yakun ネン ポカ ネ ワ ラマッ カシ アコニタタ ヤクン 何とかして魂を押えてもらえば(=命をとりとめさせてもらえば)。(W会話) aynu ramat, ray aynu ramat tama ani kane an tekehe アイヌ ラマッ、 ライ アイヌ ラマッ タマ アニ カネ アン テケヘ 人の魂、 死んだ人の魂の玉を持っている彼の手を。(W民話) pirka isoytak, pirka ramat kor uwepeker ピㇼカ イソイタㇰ、 ピㇼカ ラマッ コㇿ ウウェペケㇾ よい話、 よい魂を持つ民話。(W独話) {E: the soul; the spirit.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
rametokkor
ラメトッコㇿ 【ram-etok-kor】 勇敢な,勇気ある,度胸がある. *アイヌ民族社会では村の長になるための三つの条件があり,それは,シレトㇰ(器量がいいこと),ラメトㇰ(度胸があること).パウェトㇰ(雄弁であること).世襲制ではなく,推薦制であった. (出典:萱野、方言:沙流)
ramramnoka
ラㇺラㇺノカ 【ramram-noka】 鱗彫り:アイヌ民族の彫刻にはこの彫り方の作品が多くある. (出典:萱野、方言:沙流)
ramukuttokore
ラムクットコレ 【ramu-kuttoko-re】 思いをひるがえさせる,逆に利用する.▷ラム=思い クットコ=反対にする レ=させる ウェンカムイ カ ア・イタㇰペカレ コㇿ ラム ア・クットコレ エアㇱカイ ペ ネ=悪い神もその神に合った言葉で対応すると思いをひるがえさせることができるものだ.コシンペ アイヌ トゥレン コㇿ イピㇼカレ ㇷ゚ カ オカ イウェンテ ㇷ゚ カ オカ ㇷ゚ ネ ヤㇰ ア・イェ. ネ ヒ アア・エアラマン ワ ラム ア・クットコレ コㇿ シノ ピㇼカ ㇷ゚ ネ シコㇿ=妖精が人間の憑き神になると憑いた人間をよくする者もいるが悪くする者もいるという.それを覚えて思いを反対にする(逆に利用する)と本当にいいものだということだ. (出典:萱野、方言:沙流)
rataskep
ラタㇱケㇷ゚ 【名】[概] ①野草や野菜のまぜ煮(豆、 粉、 キトピロ等何でもいろいろ入れて煮た食物、 ごはん(mesi メシ )の代わりに食べる、 米や稗は入れない、 現代は豆・カボチャ・ジャガイモ等を使い、 シコロの実(sikerpe シケㇾペ)を入れることもある)。 kina rataskep キナ ラタㇱケㇷ゚ 野菜(野草・菜っぱ)のまぜ煮。 tanto anak rataskep tókap-ipe ne an タント アナㇰ ラタㇱケㇷ゚ トカㇷ゚イペ ネ アン 今日はまぜ煮が昼食になる(=今日の昼食はまぜ煮だ)。(S) sikerpe rataskep シケㇾペ ラタㇱケㇷ゚ シコロの実を入れたまぜ煮。 ②(比喩的に)混血児(たいていアイヌとシサムとの間に生まれた子ども、 大人になってもいう)。 {E: a boiled mixture of vegetables, beans etc. used as food.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
rataskep
ラタㇱケㇷ゚ 【rataskep】 混ぜ煮:豆,カボチャ,イナキビの粉,シコロの実などいろいろな物を混ぜて煮た物. ①エモ ラタㇱケㇷ゚=ジャガイモの寄せ煮.エント ラタㇱケㇷ゚=青エンドウ豆の寄せ煮などいろいろな物を寄せ集めて煮て,塩で味つけをし,イワシ油をたっぷり入れてから上げる.白糠地方のアイヌは,チョスケㇷ゚(それらを入れて煮る物)という.②トアン ポンメノコ ラタㇱケㇷ゚ ネ ノイネ ア・コホヨイセ パㇰノ ピㇼカ ルウェ ルㇱカレウン=あの娘は混血児らしくふるいつきたくなるような美人だこと,よかったねー.*アイヌ語の中でも隠語のひとつ.本来ラタㇱケㇷ゚というのは混ぜ煮のことだが,混ざるという言葉にかけたもの.大抵のアイヌはその意味を知っているし普通に用いられた. (出典:萱野、方言:沙流)
rataskep
ラタㇱケㇷ゚ 【rataskep】 混血児〔隠語〕:人種の違う男女のあいだに生まれた子供に両方の特徴が混じること. ①エモ ラタㇱケㇷ゚=ジャガイモの寄せ煮.エント ラタㇱケㇷ゚=青エンドウ豆の寄せ煮などいろいろな物を寄せ集めて煮て,塩で味つけをし,イワシ油をたっぷり入れてから上げる.白糠地方のアイヌは,チョスケㇷ゚(それらを入れて煮る物)という.②トアン ポンメノコ ラタㇱケㇷ゚ ネ ノイネ ア・コホヨイセ パㇰノ ピㇼカ ルウェ ルㇱカレウン=あの娘は混血児らしくふるいつきたくなるような美人だこと,よかったねー.*アイヌ語の中でも隠語のひとつ.本来ラタㇱケㇷ゚というのは混ぜ煮のことだが,混ざるという言葉にかけたもの.大抵のアイヌはその意味を知っているし普通に用いられた. (出典:萱野、方言:沙流)
raunyaynu
ラウンヤイヌ 【raun-yaynu】 結核.▷ラウン=底 ヤイヌ=病気 →表から見えない底にある病気 *沙流川筋へ肺結核が持ち込まれたのは明治も終わりに近くなって平取本町のあるアイヌの所へ持って来た1枚の古着から始まったと聞いたことがある.聞かせてくれたのは鹿戸まりやさん,昭和年代でぐらいの方でした. (出典:萱野、方言:沙流)
rayetokoyki
ライエトコイキ 【ray-etok-oyki】 死ぬ準備(をする). *アイヌの老人たちはさりげなく死のための準備をする. (出典:萱野、方言:沙流)
raymik
ライミㇰ 【自動】(女性の感謝の仕草の一つ。 右手の人差指を鼻と唇の間に当て、 軽く左から右へ動かす)。 ☆参考 沙流川中流二風谷の萱野茂氏によればこの仕草は etuhu kar エトゥフ カㇻ (ビデオ『アイヌ語会話初級編』)。 川下のワテケさん、 サダモさんによれば etuhu kar エトゥフ カㇻ は《鼻をふ(拭)く》。 {E: the body language of a woman showing appreciation.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
raymik
ライミㇰ 【raymik】 挨拶,女の礼拝. *左手の人差し指に右手の人差し指をそっと添えて,その右人差し指を鼻の下にあて,左から右へすっと擦る(アイヌ婦人の挨拶の仕方). (出典:萱野、方言:沙流)
raytukap
ライトゥカㇷ゚ 【ray-tukap】 死霊. アイヌ ライトゥカㇷ゚ カリ ヤㇰ ア・イェ ナ. クンネ イテキ ソイネ ヤン=人間の死霊が徘徊しているという.夜は絶対に外へ出るな. (出典:萱野、方言:沙流)
rek
レㇰ 【rek】 さえずる,鳴く. クスイェㇷ゚ エネ レㇰ ヒ "クスイェㇷ゚ トイタ フチ ワッカタ カッケマッ スケ ポントノ イペ"=山鳩がさえずる声は「山鳩が畑を耕し,おばあさんが水を汲み,淑女が煮炊きをし,若殿が食べる」.*私萱野茂の父親は,アレㇰアイヌ(ア・座る レㇰ・さえずる アイヌ・人 →座ってしゃべる人,雄弁な人)という名であった. (出典:萱野、方言:沙流)
réko
レコ 【他動】[re-ko 名前・(?)] …に名をつける、 …を…と(いう名で)呼ぶ、 …の名を言う。 aynu réko sinre patek oka ruwe ne アイヌ レコ シンレ パテㇰ オカ ルウェ ネ アイヌが名づけた地名ばかりがあるのです。(S言い伝え) semekatki kotan a=reko セメカッキ コタン アレコ 私はとんでもない村の名前を言った。(S民話) páseni sísam or ta a=reko katu aotamo パセニ シサㇺ オッタ アレコ カトゥ アオタモ パセニは日本人のところで名付けるしかたはアオダモ=日本語ではアオダモと言う。(W) kunneywa an kor hecirasa, tókap an kor ukocupke wa hemuymuye wa an nonno sísam or ta a=reko hi asagao sekor a=reko クンネイワ アン コㇿ ヘチラサ、 トカㇷ゚ アン コㇿ ウコチュㇷ゚ケ ワ ヘムイムイェ ワ アン ノンノ シサㇺ オッタ アレコ ヒ アサガオ セコㇿ アレコ 毎日朝になると開き、 昼になるとしぼんでしまう花を日本語ではアサガオと言う。(S) {E: to name, call…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
rerko 1
レㇾコ 【名】[re-r-ko 三つの・(重複)・日(< to? ト?)] 三日間。 tutko rerko トゥッコ レㇾコ 二、 三日。 rerko ewan to レㇾコ エワン ト [三日・で十の・日]七日間(用例では「十三日」のつもりで言っている)。(S) ☆参考 月の中の日の名前としては re to レ ト が使われるが、 日数の表現には、 沙流川下流のワテケさんは rerko レㇾコ を用いていた。 中流及び新しいアイヌ語の話者は、 両方とも re to/reto レ ト/レト と言った。 {E: three days.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
rerko 2
レㇾコ 【名】(日数の単位、 四日間以上のときに用いる。古い言い方)…日間。 kunne rerko/noiwan rerko/han kakkok kakkok/tókap rerko/noiwan rerko/kakkok cikap/rek kane kor クンネ レㇾコ/ノイワン レㇾコ/ハン カッコク カッコク/トカㇷ゚ レㇾコ/ノイワン レㇾコ/カッコㇰ チカㇷ゚/レㇰ カネ コㇿ 夜も昼も六日六晩カッコウが鳴き続けて。 [雅] (W神謡) henpak rerko ヘンパㇰ レㇾコ 何日間(「はらんばいわるいとき」(憤慨したとき)言う。 henpak to ヘンパㇰ ト は普通に言う)。(S) ☆参考 「一日間」は sine to シネ ト、 「二日間は」 tutko トゥッコ。 ☆参考 月の中の日にちの名称としては to ト《日》を用いて íne to イネ ト《四日》、 henpak to ヘンパㇰ ト《何日》と言う。 日数を表すには、 沙流川下流のワテケさん、サダモさんは rerko レㇾコ と to ト の両方を使い、 ニュアンスの違いがある。 沙流川中流および新しいアイヌ語では、 日にちの名称と日数を区別せず両方とも to ト《日》を使って ine to イネ ト《四日》、 henpak to ヘンパㇰ ト《何日》と言う。 íne rerko イネ レㇾコ 四日間。 {E: a unit for counting days.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
rewarewakkur
レワレワックㇽ 【rewa-rewak-kur】 弱々しい人,あまり頼れそうにない人. *神様がアイヌを助けに来る場合にそのように見えるという.普通の人にはこのような言い方はしないものである[ウ]. (出典:萱野、方言:沙流)
risesseri
リセッセリ §237 アイヌワサビ (3) risesseri (ri-sés-se-ri)「リせッセリ」 根 ⦅A沙流・鵡川・有珠⦆ (出典:知里植物編、方言:)
ronronatki
ロンロナッキ 【ron-ron-atki】 がやがやする. コタン ケㇱ ウン ペウタンケ ハウ ク・ヌ アクス コタン パ ワノ アイヌ エㇰ ハウェ ロンロナッキ=村の下端で危急を知らせる叫び声がするのを聞いたので,村の上手から人の来る声ががやがやする. (出典:萱野、方言:沙流)
rukaneakam
ルカネアカㇺ 【ru-kane-akam】 溶けた金の団子:ユカㇻの中に出て来る武器のこと. ▷ル=溶ける,溶けた カネ=金,鉄 アカㇺ=団子 *アイヌの貯蔵食料の中でオントゥレㇷ゚ アカㇺ(ウバユリの大団子)という物は,直径が7寸に厚さが1寸ほどもあり,その大団子を想像する.(補遺編)▷ル=溶ける,溶けた カネ=金,鉄 アカㇺ=団子 *アイヌの貯蔵食料の中でオントゥレㇷ゚ アカㇺ(ウバユリの大団子)という物は,直径が寸に厚さが寸ほどもあり,その大団子を想像する. (出典:萱野、方言:沙流)
rukani
ルカニ §546.どく(毒)(2)ru-kani〔ru-ká-ni ルかニ〕[ru(とける)+kani(金);水銀のことだとアイヌの古老は言う、猛毒あるものとして古謡にはひんぱんに現われる]⦅ホロべツ、サル⦆【雅―ユ研Ⅱ, pp.354, 702〜703】 (出典:知里人間編I、方言:)
rupuska
ルプㇱカ 【rupus-ka】 凍らせる. エモ アナㇰネ トオㇷ゚ フㇱコ トイ ワノ アイヌ ウタㇻ エトイタ パ ワ エモシルㇷ゚ アニ シル ワ エ ヘメㇺ キ ルプㇱカ ワ ペネエモ ネ カ カㇻ パ ワ エ パㇷ゚ ネ=ジャガイモはずうっと昔からアイヌたちは蒔いていたものでジャガイモ下ろし金で下ろして食べたり凍らせて潰れいもにして食べたりしたものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
ruwe/ruwe(he)
ルウェ/ルウェ(ヘ) 【ruwe/ruwe(he)】 足跡. アイヌ ルウェ=人間の足跡."ウクラン アㇱ アシㇼ ウパㇱ カ タ ポロ カムイ ルウェヘ アン ク・イシトマ クス ク・キラ ワ ク・イワㇰ" セコㇿ ハㇻキソ ウン ウナㇻペ ハウェアン=「昨夜降った新しい雪の上で大きい熊の足跡があり,私は恐ろしくなって逃げ帰って来た」と左隣のおばさんが言っていた.エネ トㇷ゚サㇻ イロンネ ウㇱケ ウン アフン ルウェヘ アン=これほどイタドリが茂っている所へ入った足跡がある. (出典:萱野、方言:沙流)
sakcironnup koraci
サㇰチロンヌㇷ゚ コラチ 【sak-cironnup koraci】 貧相だ.▷サㇰ=夏 チロンヌㇷ゚=狐 コラチ=〜のようだ ソンノ タㇷ゚ イキ ウェンメノコ ア・コサマ ㇷ゚ カ イサㇺ.ア・イェ ロㇰ クニ サㇰチロンヌㇷ゚ コラチ アン=本当に今来て行った悪い女,比較するものもない.言うところの夏の狐のような者だ.*アイヌがいう夏の狐は.毛は抜け落ち所々に抜け残りの毛があって,顔にふくらみもなく,目はつり上がり,それはそれは貧相に見えるもの.それでそのように言う. (出典:萱野、方言:沙流)
sakehe
サケヘ 【sakehe】 繰り返し言葉:カムイユカㇻ=神のほうからアイヌに注文をつけ,話の時に一言いってはサケヘという繰り返し言葉が入る.長いサケヘには,トゥノヤケ レノヤケ クトゥンケ カムイケ カムイチカッポ フㇺフㇺフㇺというのもある. (出典:萱野、方言:沙流)
samormosir
サモㇿモシㇼ 【sam-or-mosir】 日本国(側の国):アイヌ側からの言い方. (出典:萱野、方言:沙流)
sani
サニ 【/sani】 〜の血統. クポニタ(ク・ポン ヒ タ) イセポカ カヌ(ク・アヌ) シネ イセポ クㇰ(ク・ウㇰ) ヒネ ク・イワㇰ アクス フチ エネ ハワニ ケライネクス イソンクㇽ サニ シコㇿ エン・イェ エン・コプンテㇰ ア エン・コプンテㇰ ア=私が小さい時,ウサギの罠をしかけ1匹のウサギを獲って帰って来ると祖母は,さすがに狩の名人の血統だ,と私をほめてくれたほめてくれた.ウェンペ サニ ウェンペ タイペ ネ ロㇰ ペクㇱタ トランネ ワ ホッケ ワ パテㇰ アン イペ ポーカ エアイカㇷ゚=貧乏の血統,貧乏の血筋だからといって,からっぽやんで(骨惜しみして)寝てばかりいて食べることもできない.*ウェンペサニ:これはアイヌ社会での典型的な悪口であって,貧乏するとこのように言われる. (出典:萱野、方言:沙流)
sanke
サンケ 【sanke】 出す. エクㇱネ ホトゥイパ ハウ アㇱ ヒクス ク・ソイネ アクス アイヌ アン ヒクス チㇷ゚ ア・サンケ ア・クサ ワ エカン(エㇰ・アン)=川の向こうで呼ぶ声が聞こえたので外へ出ると人がいたので,私は舟を出し渡して来た. (出典:萱野、方言:沙流)
sápikir
サピキㇼ 【名】[概](所は sápikiri(hi) サピキリ(ヒ))[sap-ikir 出た(者たち)・の集合] 子孫の系統、 血統、 子孫の総体。 aynu sápikir アイヌ サピキㇼ アイヌの系統、 人間の系統。(S) {E: a family line; one's lineage, ancestry.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
Sappoyama
サッポヤマ 【名】[日本語][地名](屈斜路湖畔にある山の名。 アイヌ語名は Kamuynupuri カムイヌプリ《神山》。) {E: place name.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
sarampe tum o urepuni
サランペ トゥㇺ オ ウレプニ 【sarampe tum o-ure-puni】 りっぱな着物を重ね着した神が歩く. アイヌ エクㇺ チトゥナㇱカ プヤㇻオリコ インカㇻアナクス(インカㇻ・アン アクス) サランペトゥㇺ オウレプニ カムイ ネ クス コラーチ アン クㇽ アニネ(アン ヒネ) エネ ハワニ=人が来る足音が聞こえたかと思うと,窓のすだれが上げられ,私が見ると,りっぱな着物を重ね着した神が,神なので,神に相応しい人がいて言うことには….*昔話の1節で,神がアイヌに語りかける時は東側の窓をめくり上げて話を始めるが,多くの場合は夢の中でである. (出典:萱野、方言:沙流)
Sari 1
サリ 【名】[< sar-i 葦原・(所属語尾)][地名]北見の斜里。 ☆参考 アイヌ語古名 Mosirpasari モシㇼパサリ。 (出典:田村、方言:沙流)
sarmowsimosi
サㇻモーシモシ 【sar-mowsimosi】 眠っている男根を目覚めさせる,陰茎を勃起させる. ▷サㇻ=尾,男根に対して陰語的な言い方 モーシモシ=目を覚ませ *昭和36年から42年まで登別温泉ケーブルの観光地でアイヌとして働いていた時代に,一緒にいたエカㇱやフチが笑いながらいろいろな話を聞かせてくださったが,この言葉もその時に聞いたもの.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
sarunkur
サルンクㇽ 【sar-un-kur】 沙流川の人. フナㇰ ワ エ・エㇰ.サルンクㇽ エ・ネ ルウェヘ アン=どこから来たの.お前は沙流川の人なのかね.*年寄りが他から来た若者に出身地を尋ねる時に言う.門別川のアイヌへはモペトゥンクㇽ(モペッ ウンクㇽ),鵡川の人へはムカウンクㇽ,静内川の人へはシペチャリウンクㇽ,新冠の人へはニカプンクㇽ(ニカㇷ゚ ウンクㇽ)と言うという.アイヌが相手を呼ぶ場合にたいていは出身地を先に言うものである.サルンクㇽ萱野茂という風にである. (出典:萱野、方言:沙流)
sas
サㇱ 【sas】 合掌材,アイヌ風の家を建てる時の材料.日本語では垂木.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
sato
サト 【名】[< 日本語] 砂糖。 ☆参考 アイヌ語で砂糖を言うのによく tópenpe トペンペ《甘いもの》と言う語を使うが、 この語はお菓子やお汁粉なども含むので、 お菓子ではなく特に砂糖と限定して言うときに sato サト を使う。 {E: sugar.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
setakpiyapa
セタㇰピヤパ §401 ヒエ (10) setak-piyapa (se-ták-pi-ya-pa)「セたㇰ・ピヤパ」[setak(早生の)piyapa(ヒエ)] ⦅バチラー、アイヌ人とその説話⦆ (出典:知里植物編、方言:)
sicigaci
シチガチ 【名】[< 日本語 しちがつ](月の名) sicigaci cup シチガチ チュㇷ゚ 七月。 ☆発音 g は[N]、 つまり ガ はいわゆる鼻濁音。 ☆参考 昔のアイヌ語では mawcicup マウチチュㇷ゚。 {E: July.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
sigaci
シガチ 【名】[< 日本語しがつ](月の名)sigaci cup シガチ チュㇷ゚ 四月。 ☆発音 g は[N]、 つまり ガ はいわゆる鼻濁音。 ☆参考 昔のアイヌ語では mocup モチュㇷ゚。 {E: April.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
sihapapu
シハパプ §187.かくらん(霍乱)(1)sihapapu〔ši-há-pa-pu シはパプ〕[si(自分を)+hapapu(あやぶむ)]⦅クッシャロ、テシオ;アイヌ医事談, p.92⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
sikonun
シコヌン 【si-ko-nun】 吸い込む.*昔アイヌ女性が口のまわりにいれずみをした時,沼ガヤを管にして粥をすすったという. (出典:萱野、方言:沙流)
Sikot 2
シコッ 【名】[< si-kot 大きい・くぼみ][地名](今の「支笏」という地名のもとのアイヌ語。) ①千歳、 千歳川流域。 ②支笏。 ☆発音 síkot シコッ 1 と違って、 第一音節 si シ の低い普通のアクセント。 {E: place name.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
sikutur
シクトゥㇽ 【sik-utur】 目の間. カムイ シクトゥㇽ(シㇰ ウトゥㇽ) アイヌ シクトゥㇽ トゥㇱマㇰ ワ アㇻウェン トゥカㇷ゚ カリ ハウェ=神の目や人間の目,そのすき間をかいくぐって化け物が徘徊しているのかい. (出典:萱野、方言:沙流)
sinehot
シネホッ 【sine-hot】 20▷シネ=ひとつの ホッ=20 *アイヌが数を数える時は1から20まで行ったら,マッチの棒あるいは印になるものをひとつ置いて,もう1度1から20まで数える.印の物が5個になったらアシㇰネホッ=五つの20,つまり100になる.100のことはシネクンクトゥと言う. (出典:萱野、方言:沙流)
sinna
シンナ 【sinna】 違う,変わる.別の. ペッ シンナ コㇿ イポㇿセ カ ウウェシンナイノ アン ペ カ アン=川が違うと表現の仕方が違うものもある.アイヌ アッパケ ア・エホリッパ シンナ トリ ネ シンナ チカㇷ゚ ネ ア・イ・ヌカㇻ カネ=人々の先頭になって私は踊り、別な鳥として異彩を放つ私を皆は見ている(ユカㇻの中でポンヤウンペの恋人が目立っている様子). (出典:萱野、方言:沙流)
sinnarehe
シンナレヘ 【sinna-rehe】 別名. アイヌ アナㇰネ ピサックノカ シンナレヘ "トイタサオッ" シコㇿ カ ア・イェ.トイタ ウシ アン コㇿ トオㇷ゚ ヘリカシ キラ クス ア・イェ ヒ ネ=アイヌ民族は北斗七星の別の名を「畑耕しから逃げる」とも言う.畑時期になるとずうっと上へ逃げるのでそう言われるのだ. (出典:萱野、方言:沙流)
sinnaynaye
シンナイナイェ 【sir-nay-nay-e】 大地に絵を描くこと,堅くなった土に文字を書き,それを柔らかい土で隠す土遊びの類い. *昭和10年前後,アイヌの子供たちで,字隠しという言い方で遊んだものであった.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
sinotcaor'itak
シノッチャオㇿイタㇰ 【sinot-ca-or-itak】 歌の中の言葉.*アイヌの歌は決まった歌詞はあまりなく,即興的に歌詞を歌いこむものが多い.チソㇿイタㇰ=チㇱ オㇿ イタㇰ=泣きながらの言葉,泣きながらしゃべるという言い方もある. (出典:萱野、方言:沙流)
sinrit-nomi
シンリッノミ 【名】[< 自動][先祖・をまつる]先祖まつり(用例ではお彼岸)。 sinrit-nomi ehanke kusu tayko kik humi as シンリッノミ エハンケ クス タイコ キㇰ フミ アㇱ お彼岸が近いからたいこをたたく音がする(このたいこは日蓮宗のたいこを指している)。(W) ☆参考 アイヌ伝統文化の先祖まつりは sinnurappa シンヌラッパ。 (出典:田村、方言:沙流)
sipe
シペ 【sipe<si-e-pe】 サケ.*アイヌはサケを主食としていたし,定住の場所はサケの来る所までと決まっていた.▷シ=本当に エ=食べる ペ=物 (出典:萱野、方言:沙流)
sir-ukopukrototke
シルコプㇰロトッケ 【完動】[sir-uko-puk-rotot-ke あたり・いっせいに・プツ(擬音の語根)・(音の連続を表す接尾辞)・(自動詞形成)] あたりでいっせいにプツプツプツと音がする。 sicigaci cup wano an pe, tapan Hokkaito, aynu mosir or unno sir-ukopukrototke, sir-yasrototke, uhuy wa paye uskehe oka シチガチ チュㇷ゚ ワノ アン ペ、 タパン ホッカイト、 アイヌ モシㇼ オルンノ シルコプㇰロトッケ、 シㇼヤㇱロトッケ、 ウフイ ワ パイェ ウㇱケヘ オカ 7月からのこと、 この北海道つまりアイヌの土地にまで、 パラッパラッと銃弾の音が鳴り、 バリッバリッとものの裂ける音が鳴り、 燃えていく所があった。(W会話) (戦争中の銃や空襲の被害などの物音を表している。) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
sir/siri 2
シㇼ/シリ 【sir/siri】 ②地.大地,島.アイヌモシㇼ.▷アイヌ=人間,人 モ=静か シㇼ=大地 →人間の静かな大地(北海道の古い時代の呼び名). (出典:萱野、方言:沙流)
síran
シラン 【完動】[sir-an あたり/様子・ある] ①(…で)ある、 状況が(そう)なっている。 maratto an kor síran マラット アン コㇿ シラン 酒宴が行われていた。(W言い伝え) i=etok un aynu sinotcaki haw as kor síran イイェトㇰ ウン アイヌ シノッチャキ ハウ アㇱ コㇿ シラン 私の行く手にアイヌが歌う声がしていた。(S民話) uunukor utar oka híne síran ウウヌコㇿ ウタㇻ オカ ヒネ シラン 母と子が住んでいた。(W民話) a=erámasu no síran pe ne kusu アエラマス ノ シラン ペ ネ クス おもしろいような状態になっているので。(S会話) ene an tennep an hike a=i=núkare póka somo ki no síran hi an エネ アン テンネㇷ゚ アン イケ アイヌカレ ポカ ソモ キノ シラニ アン このような赤ちゃんがいたのにいままで私に見せてもくれなかったんだなあ。(W民話) ②時がたつ。 sóyonpa wa ora setakko síran pe ソヨンパ ワ オラ セタッコ シラン ペ 外出してからずいぶん長くたったのに。(S) iruka síran kor イルカ シラン コㇿ 少したつと。(NK民話) tu to re to hancikiki/síran ki kor トゥ ト レ ト ハンチキキ/シラン キ コㇿ 二、 三日たつと。(HC神謡) ☆参考 民話の冒頭で三人称の登場人物を紹介をするときには、 主語を特定しないこの完全動詞形が用いられる。 ①の最後の例では、 そのあとすぐに主人公の自叙となり、 sine po kor unarpe a=ne híne án=an シネ ポ コㇿ ウナㇻペ アネ ヒネ アナン 私は一人の息子を持つ中年の女性でした、 と、 引用文中の自称(すなわち不定人称形)になっている。 {E: ① circumstances, refers to space and time (B.). ② to take time; for time to pass.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
sirire
シリレ 【siri-re】 地名:あたりの名前:自分たちが暮らしている所から別の方角を言う場合. タ アン ペ アナㇰネ シリレ ネ ヒネ 二風谷小学校 カランケ オカ アイヌ アナㇰネ 萱野茂アイヌ資料館 アン ウㇱケ ヌㇷ゚ シコㇿ レコレ ワ アン ペ ネ ア ワ=これは地名であって,二風谷小学校近くにいた人は萱野茂アイヌ資料館のある場所を,野原と名づけていたものであった. (出典:萱野、方言:沙流)
sirka 1
シㇼカ 【名】[< sir-ka 見えるもの・の上][雅]刀のさやの外側、 刀のさや。 Ouhuy-sirka Ouhuy-níkapattus オウフイシㇼカ オウフイ ニカパットゥㇱ すそこげ刀すそこげ厚司(人間の始祖アイヌラックルの呼び名の一つ。 父神が天地を走り回って地を燃やして歩いたことからつけられた)。(Sユーカラ) (出典:田村、方言:沙流)
sirma
シㇼマ 【sirma】 澱,不純物.*アイヌの悪口の中でウェンペシㇼマというのがある.悪い者の澱,悪い者のかす,悪口そのものであろう. (出典:萱野、方言:沙流)
sirpuri
シㇼプリ 【sir-puri】 あたりの風習,アイヌの風習. シㇼプリ ネ クス ネノ イキ ヤン=あたりの風習なので,そのようにしましょう. (出典:萱野、方言:沙流)
siruskina
シルㇱキナ 【名】[sir-us-kina 地・に生えている・草](?) [植物]アカザ。 ☆参考 「食べられる、 おいしい、 アイヌはこれを食べることを知らなかった。」 (S)〔知分類 p.156〕 {E: wild spinach; pigweed.} (出典:田村、方言:沙流)
sísam 1
シサㇺ 【名】[sí-sam 主な・そば/となり(の人)]日本人(和人)(「シャモ」)(アイヌ民族でも他の少数民族でもない日本人の多数民族を指す名称)。 sísam mosir シサㇺ モシㇼ 和人の住んでいる土地(しばしば本州を指す)。 sísam itak シサㇺ イタㇰ/シサミタㇰ 日本語。 sísam úsey シサㇺ ウセイ [和人・飲用の湯] 和人の飲む湯(「お茶」の訳語として出た)。 húre sísam フレ シサㇺ [赤い・隣国人] 西洋人(「赤毛の人」の意味)。(W) ☆参考 sisam シサㇺ《自分のそば》とはアクセントが違う。 {E: the Ainu term for the Japanese.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
sisirmuka
シシㇼムカ 【si-sir-mu-ka】 沙流川の古い名前.▷シ=本当に シㇼ=あたり ム=つまる,塞がる カ=させる *雨が降るたびに上流から土砂が流出し河口が門別の方へ寄ったり鵡川の方へ寄ったりした.それを河口がつまるとアイヌは考えてあたりがつまる川と名づけた.その説明を聞いた日本人は日本語で,砂の流れる川,砂流川と名づけたがいつの時代からか砂の文字が沙になった. (出典:萱野、方言:沙流)
situmasire
シトゥマシレ 【後副】[si-tumasi-re 自分・の中のいくつかをとる・させる]とびとびに(全部にでなく)。 aynu situmasire korar ora アイヌ シトゥマシレ コラㇻ オラ 皆にあげないでその中のあげる人にだけあげなさい。(S) ☆参考 他動詞の形だが、 動詞のままの用例は未出。 {E: sometimes; here and there.} (出典:田村、方言:沙流)
siyusacari
シユサチャリ 【自動】[si-y-usa-cari 自分・(挿入音)・バラバラに・…を散らす] 散らばる。 toop repun mosir wa cípo he ne ya nep o wa siyusacari p aynu ne wa トオㇷ゚ レプン モシㇼ ワ チポ ヘ ネ ヤ ネㇷ゚ オ ワ シユサチャリㇷ゚ アイヌ ネ ワ アイヌははるか海の向こうの島から舟に乗ってか何かに乗って来てあちこちに散らばったので。(S言い伝え) {E: to be scattered, disordered.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
sorekusu
ソレクス 【副】[sore-kusu それ(日本語)・こそ] それこそ(程度のすごいことを言うとき、 それを導くためにその表現の前に置かれる語の一つ)。 ☆参考 同様の文脈でよく使われる easir エアシㇼ は、 アイヌ語本来の語で、 この語を古老はよく「それこそ」と訳している。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
sumawkor
スマウコㇿ 【su-maw kor】 獲物が手に入る,熊を獲る:鹿や熊を獲っても熊が死んだ,鹿が死んだなどとは言わずにスマウコㇿ・アン(獲物を手に入れた)という.▷ス=鍋 マウ=湯気 コㇿ=持つ →鍋の湯気をたてることができる→食べ物が手に入る タン ト ポン ユㇰ ク・スマウコㇿ=今日小さい鹿を私は獲った.キㇺ タ ポロ ユㇰ スマウェヘ ク・コㇿ ナ カㇺ セ クニ ウタㇻ アシㇰネン パㇰノ エン・トゥラ ヤン=山で大きい鹿を獲ったので,肉を背負う人たち5人ほど私と一緒に来てくれよ(スマウェ ク・コㇿの形もある).オキㇺネ ワノ アイヌ エㇰ ハウ カリカリ ヒクス プヤㇻ カ ア・オㇱマ インカㇻアナクス(インカㇻ・アン アクス) オヤチキ キムンカムイ スマウコㇿ パ ワ ネ アアン=山の方から人が来る声が響いて来たので窓から体を出して見ると,知らなかったが.熊を獲って来たのであった.ナイクスン(ナイクㇱ ウン) アチャポ オサッ エトコホ タ スマウコㇿ ヤㇰ ア・イェ アクス コタヌン(コタン ウン) ウタㇻ ウハウェポポ パ コㇿ ナイ トゥラシ アㇻパ ア ワ=沢の向かいのおじさんがオサツ沢の奥の方で熊を獲ったということで村人たちは大勢でがやがや騒ぎながら沢をのぼって行ったよ. (出典:萱野、方言:沙流)
sunku
スンク 【sunku】 エゾマツ.*民話の中でアイヌを助けるのはこの木が多いので,エゾマツをいう場合スンクトノマッ(エゾマツの淑女)と敬称をつけて呼ぶ. (出典:萱野、方言:沙流)
supuymawkus
スプイマウクㇱ §320 トラツグミ (2) supuymawkus (sú-puy-maw-kus)「すプイマウクㇱ」[アイヌは考えている] ⦅屈斜路⦆ (出典:知里動物編、方言:)
taanmosir a=eokerekor hemantaa=e
タアンモシㇼ アエオケレコㇿ ヘマンタアエー 【taan-mosir a=e-okere-kor hemanta-a=e】 この国土を食べ終わったら何を食べたらいいだろうか. *トゥニンヤイェイソイタㇰ(ミミズの独り言)を表わし,少年時代にアイヌの笑い話として,父が聞かせてくれたもの.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
tak
タㇰ 【tak】 玉,かたまり. カタㇰ=糸玉.キムンカムイ アイヌ ケセアンパ ヒ タ アナㇰネ コイスㇺ タㇰ エクパ アーペコㇿ アン ワ ホユプ ㇷ゚ ネ ヤカイェ(ヤㇰ ア・イェ)=熊が人間を追いかける時には泡のかたまりをくわえたような格好で走るものだそうだ. (出典:萱野、方言:沙流)
tamanko
タマンコ 【名】[< 日本語] 玉子、 鶏卵。 (「たまご」のアイヌ語式発音。)cikap tamanko kor noyne hawkor hawe as チカㇷ゚ タマンコ コン ノイネ ハウコㇿ ハウェ アㇱ 鶏が卵をうんだらしく、 鳴いている声がする。(W) ☆参考 語彙調査当時は、 「玉子」の項でワテケさんは nok ノㇰ と言ったが、 この語は睾丸を指すのにも使われるため、 発音したとたんに笑い出した。 その後は nok ノㇰ という語をさけて tamanko タマンコ を使った。 {E: an egg.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
tane 2
タネ 【副】①今、 今すぐ、 今や、 今はもう。 tane k=arpa na タネ カㇻパ ナ いま/もう行く/出かけるよ、 すぐ行くから。 tane moyre na タネ モイレ ナ もう遅いよ/遅いから。 tane tane タネ タネ まもなく、 そのうちに、 近いうちに。 tane an タネ アン[単]/tane oka タネ オカ[複] 今いる、 今の…。 tane an a=kor puri タネ アン アコㇿ プリ 今の私たちの習慣(=現代のアイヌ民族の習慣)。(S会話) tane oka utar タネ オカ ウタㇻ 今の人々 (HC民話) ②(連体的に使って)今の。 tane utar タネ ウタㇻ 今の人々。(S会話) {E: now; soon.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
taneusikta
タネウシㇰタ 【tane usik ta】 今頃になって. ヘマンタ タネ ウシㇰ タ エㇰ ルウェ アン.ピㇼカ メノコ ネ ヘㇺキ イシネレㇷ゚ ソモ ネ ヤー.サッチポㇿ ヘネ エレ ワ インカㇻ=何者が今頃来たもんだ.おまけに美人すぎる.化け物ではないか,干した筋子でも食べさせてみろ.エカン(エㇰ・アン) ナ エカン ナ シコㇿ ハウェアナナクス(ハウェアン・アン アクス) タネ ウシㇰ タ ヒ タ アイヌ シㇰヌ ワ アン ペ ネ ヤ シコㇿ ア・ウヌフ ハウェアン=来たよ来たよと私が言うと,今頃になってどんな人間が生きているものだと私の母は言った(長く音信不通だった時など). (出典:萱野、方言:沙流)
tantani
タンタニ 【副】[< 日本語] だんだんに。 ☆参考 アイヌ語では uweepakta ウウェエパㇰタ、 uweepakiun ウウェエパキウン など。 {E: gradually.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
tap iki a p
タㇷ゚ イキ ヤ ㇷ゚ 【tap iki a p】 この頃亡くなった者. タㇷ゚イキヤㇷ゚ ウナㇻペ マㇰ ネ ワ ネ ヤカ ア・エラムㇱカリ コㇿカ カリ ヤㇰ ア・イェ アイヌ ウタㇻ ウシトマレ クンネ アン コㇿ ソイネ クㇽ カ イサㇺ=この頃亡くなったおばさん,どうしてか知らないが化けたということで,人々は恐ろしがって暗くなると外へ出る人もいない. (出典:萱野、方言:沙流)
tap uhunak
タㇷ゚ ウフナㇰ 【tap uhunak】 この頃. タㇷ゚ウフナㇰ パㇰノ みさフチ ヤイェラナㇰ ワ アン コㇿカ オンネ ワ イサㇺ ア・コタヌ タ アナㇰネ タネ ア・エラナㇰペ シネㇷ゚ カ イサㇺ ワ=ついこの頃までミサばあさんが病気していたが亡くなったのでうちの村では心配事はひとつもないよ.タㇷ゚ウフナㇰ アン チㇷ゚サンケ オッタ(オㇿ タ) アシㇼ ポン チㇷ゚ ク・カㇻ アイヌ オピッタ オ ワ シノッパ=ついこのあいだあった舟おろしの時に新しい小さい舟を私が掘って,みんなで乗って遊んだ.チ・コㇿ イヨルンクㇽ アッパケ タ アナㇰネ ネㇷ゚キ ㇷ゚ ネ アㇷ゚ タㇷ゚ウフナㇰ アナㇰネ ホッケ ワ パテㇰ アン=私の所の召使いは最初にはよく働いたのに,この頃では寝てばかりいる."アウタ アナ(アン ア) ウタㇻ マキㇷ゚ イサㇺ ルウェ アン?" "ウワー タㇷ゚ウフナㇰ パㇰ アナ(アン ア) ペコㇿ ク・ヤイヌ アㇷ゚ レウシ ノ チェㇷ゚コイキ クス ヘネ アㇻパ パ ルウェ ソモ ネ ウン"=「隣にいた人たち,どうしていないのだろう?」「知らないね,この頃までいたように思うけれど,泊まりがけでサケ獲りにでも行っているのではないだろうか」. (出典:萱野、方言:沙流)
tapanna
タパンナ 【tap-an na】 ですよ. アイヌ イタㇰ アナㇰネ ウハイタ ウㇱケ ポロンノ オカ.ネ イタㇰ オウペカレ ワ カムイ オルン ソンコ アンパ ㇷ゚ イクパスイ ネ ルウェ タパン ナ=人間の言葉は至らないところがたくさんあるものだ.その言葉を真っ直ぐにして神へ伝言を持って行くのが捧酒箸ですよ. (出典:萱野、方言:沙流)
tape
タペ 【助】[< 日本語 だべ]…(hi) tape na ]…んでしょうねえ。(W)…tape se タペセ …でしょうよ。(W独話) ☆参考 日本語だが、 アイヌ語で話しているときにその中にとけこんで使われる。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
tasare
タサレ 【tasa-re】 交換する. ア・タサレ=それを交換する.ウタサレ=互いに交換する.テエータ アイヌ モヨ ヒ タ アナㇰネ メノコ ウタサレ シコㇿ ネ ワ ク・マタキ エチ・コレ ナ エ・マタキヒ エン・コレ セコㇿ アン ハワㇱ カ アン ペ ネ=ずーっと昔に人間が少なかった時代は,女を交換するということで,私の妹を嫁にやるのでお前の妹を私の嫁にくれという話もあったものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
tekeinu
テケイヌ §534.てのひらが病気を治すちからをもつ(1)teke-inu〔te-ké-i-nu テけイヌ〕[teke(その手が)+i(物、神、神力、霊能を)+nu(もつ)]⦅ホロベツ⦆―アイヌに昔"てのひら療法"のようなものがあって、ある特定の人の手のひらには特別の霊能があり、それで患部を押えてもらっていると病気が治ったという。 (出典:知里人間編I、方言:)
tekparparu
テㇰパㇻパル 【tek-parparu】 手招きする.*アイヌの手招きは手のひらを上へ向けて呼ぶ.そのほうが遠くからでもこちらの意思を相手に伝えることができる.肘から上を動かす程度にする. ウトゥラ・アン ワ イラマンテ・アン クス エキㇺネ・アン ア・ユピヒ ニセㇺピㇼ ワ イ・テㇰパㇻパル アプンノ サマ タ アㇻパ・アン ナイ イクスン(イクㇱ ウン) ヤカカ クス インカㇻアナクス(インカㇻ・アン アクス) ポロ カムイ アン ルウェ ネ=一緒に狩のために山に入った私の兄が木の陰から私に手招きをするので,静かに側へ行った,沢の向かい側を指差したので見てみると大きい熊がいた.ア・マチヒ トヨッタ(トイオㇿタ) アン ヒネ イ・コテㇰパㇻパル ヒクス サマタ アㇻパアナクス(アㇻパ・アン アクス) オヌマン パㇰノ ア・オケレ ルスイ ナ キナカㇻ エン・カスイ シコㇿ ネ ワ ア・カスイ=私の妻が畑にいて,私に手招きするので側へ行くと,夕方までに終わらせたいので草取りを手伝ってと言うので,私が手伝いをした. (出典:萱野、方言:沙流)
tekuwenunpa
テクウェヌンパ 【自動】[複](単の用例はない)[tek-u-e-nunpa 手・互い・と一緒に・…を押ししぼる[複]] 両手をすり合わせる(アイヌ民族の伝統的な拝礼の仕方である onkami オンカミ のときの仕草の一つ)。 {E: to rub the hands together.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
tenke
テンケ 【tenke】 飛ばす. アイヌ ウウェカㇻパ ワ ネㇷ゚カ ア・カㇻ ヒ タ アナㇰネ コタンパナウン アチャポ イパウェテンケ クスケライ ネㇷ゚ ネㇷ゚キ カ ウウォマノ=人が集まって何か作る時には,村の上端のおじさんが皆に声をとばし,そのお陰でどんな仕事もまとまって行くものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
teynemosir
テイネモシㇼ 【teyne-mosir】 濡れた国土. イノンチㇼ ウェンカムイ アナㇰネ アッテイネモシㇼ ア・コキル ㇷ゚ ネ=人を呪う悪い神は濡れた国土へ向けてやるものだ.*アイヌが想像しているもので,この国土の裏側にあって悪いことをした神でも人間でも行かされる所.ポㇰナモシㇼ=裏側の国土ともいう. (出典:萱野、方言:沙流)
tomikanuye sirkanuye
トミカヌイェ シㇼカヌイェ 【tomi-ka-nuye sirka-nuye】 前立てを彫り刀の造りを彫り. ▷トミ=前立て カ=上,表面 ヌイェ=彫り シㇼカ=刀の鞘の表面 ヌイェ=彫り ポンヤウㇺペアネワ トミカヌイェ シㇼカヌイェ ネㇷ゚キネアキ=私,ポンヤウㇺペは,前立てを彫刻し刀の造りを彫刻し,それを仕事とした. *ユカㇻの常套語としてしばしば出る言葉.かつてトミを富裕と訳していたが,富裕を彫刻するとはおかしい.アイヌ民族の第一等の宝でトミカムイ(前立ての神)という物がある.それは紛れもなく兜の前立てであったので,トミを鍬形あるいは前立てとした[ユ].(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
tontocip
トントチㇷ゚ 【tonto-cip】 皮船:アイヌが神の国へ迷い込み帰りに乗せてもらう船のこと,昔話に出て来るもの. (出典:萱野、方言:沙流)
toranne
トランネ 【toranne】 怠ける,骨惜しみ(する):苦労することをいやがること. シネ トランネ ヘカチ アン ヒネ ワッカ ア・タレ アクス ピサック アニ イヌンペ キㇰキㇰ コㇿ "アイヌパータ イヌンペ アナㇰネ ケㇱト セトゥㇽ セセㇰ ワ ホッケ ワ アン" シコㇿ ハワン=ひとりのからっぽやみ(=骨惜しみ)の少年がいて水を汲みに行かされたらひしゃくで炉縁を叩きながら「いいものだなあ 炉縁は毎日背中あぶりをして寝ている」と言った.ソンーノ トランネ ㇷ゚ アナㇰネ ネㇷ゚カ ア・カレ コㇿ ホㇱキノ イヨロモメカㇻ ワ エアシㇼ カ トゥトゥルㇱノー アㇱ ペ ネ=本当のからっぽやみ(怠け者)は何かさせると先にぶつぶつ言ってから初めていやいやながら立つものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
torasampe
トラサンペ 【to-raw-sampe】 マリモ.▷ト=沼 ラウ=底 サンペ=心臓 *湖の底にいる化け物と言ってアイヌは大切にはしなかった.食べられない物はアイヌの側からそれほど大切にしないし,重要だとは思わなかった. (出典:萱野、方言:沙流)
tori 1
トリ 【名】[< 日本語][動物] 鳥。 ☆参考 歌の中の対句で、 アイヌ語の cikap チカㇷ゚ との対で使われる。〔知分類 p.222〕 {E: a bird.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
toytausian
トイタウシアン 【toyta-usi an】 畑時季になる. アイヌ アナㇰネ ピサックノカ シンナレヘ "トイタサオッ" シコㇿ カ ア・イェ.トイタウシアン コㇿ トオㇷ゚ ヘリカシ キラ クス ア・イェ ヒ ネ=アイヌ民族は北斗七星の別の名を「畑耕しから逃げる」とも言う.*畑時季になるとずうっと上へ逃げるのでそう言われるのだ. (出典:萱野、方言:沙流)
tuka
トゥカ 【tuka】 束:アイヌ民族が片手で持つ杵の握りの部分=イユタニトゥカ. (出典:萱野、方言:沙流)
tukap 2
トゥカㇷ゚ 【名】幽霊(ゆうれい)。 aynu tukap アイヌ トゥカㇷ゚ 人間の幽霊。 {E: a ghost.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
tukipasuy
トゥキパスイ 【tuki-pasuy】 捧酒箸:アイヌの願いを神に伝えてくれるへら状の道具. 図[トゥキパスイ] (出典:萱野、方言:沙流)
tumta
トゥㇺタ 【tum ta】 〜の中に,間に. ムントゥㇺタ=草の中に.アイヌトゥㇺタ=人の間に. (出典:萱野、方言:沙流)
turen
トゥレン 【turen】 憑く. コシンプ アイヌ トゥレン コㇿ イピㇼカレ ㇷ゚ カ オカ イウェンテ ㇷ゚ カ オカ ㇷ゚ ネ ヤカイェ(ヤㇰ ア・イェ).ネヒ ア・エラマン ワ ラム ア・クットコレ コㇿ シノ ピㇼカ ㇷ゚ ネー シコㇿ=妖精が人間の憑き神になると憑いた人間をよくする者もいるが悪くする者もいる.それを覚えて思いを反対にする(=逆に利用する)と本当にいいものだということだ. (出典:萱野、方言:沙流)
tusmak
トゥㇱマㇰ 【tusmak】 かいくぐる.急ぐ. カムイ シクトゥル(シㇰ ウトゥル) アイヌ シクトゥル トゥㇱマㇰ ワ アㇻウェントゥカㇷ゚ カリ ハウェ=神の目や人間の目,そのすき間をかいくぐって化け物が徘徊しているのかい.ウウェトゥㇱマㇰ=互いに先を争い.イイェトゥㇱマㇰ(イ・エトゥㇱマㇰ)=私よりも先にと急ぐ. (出典:萱野、方言:沙流)
tusu
トゥス 【自動】①神おろし(巫術)をする(神がのりうつって、 神の言葉を言い、 神の力で普通の人にはわからないことを当て、 普通の人にはできないような癒し(いやし)などを行う)。 ②(名詞として)神おろしすること。 ☆参考 1980年代には、 仏式(法華さん)で tusu トゥス をするという人もいて、 「aynu puri アイヌ プリ《アイヌ式のやり方》では仏さんおりない、 法華さんでやるとおりる」とのことだった。 {E: ①to hold a seance (v.). ②a seance (n.).} (出典:田村、方言:沙流)
tuymanokkus
トゥイマノックㇱ 【tuyma-nok-kus】 ぶんとしてあちらを向く,ぶんとしてあごをしゃくる.▷トゥイマ=遠く ノッ=あご クㇱ=通る アイヌエイヌピタラ ノイネ ウナㇻペ トゥイマノックㇱ=人をじゃまに思っているらしく,おばさんはプンとあちらを向いた. (出典:萱野、方言:沙流)
uhayta
ウハイタ 【u-hayta】 足りない(揃っているべきものが).至らない. アイヌ イタㇰ アナㇰネ ウハイタ ウㇱケ ポロンノ オカ.ネ イタㇰ オウペカレ ワ カムイ オルン ソンコ アンパ ㇷ゚ イクパスイ ネ ルウェ タパン ナ=人間の言葉は至らない所がたくさんあるものだ.その言葉を真っ直ぐにして神へ伝言を持って行くのが捧酒著ですよ. (出典:萱野、方言:沙流)
uhetukpare
ウヘトゥㇰパレ 【自動】[u-hetukpa-re 互い・生まれる(複)・させる]皆が生まれる。 oro wa/uhetukpare p/aynu ne kusu オロ ワ/ウヘトゥㇰパレㇷ゚/アイヌ ネ クス そこから人間が生まれるのですから。(Sユーカラ語り) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
ukesanpa
ウケサンパ 【自動】[u-kesanpa (< kes-anpa) 互い・を追いかける] ①追いかけっこをする、 一方が他方を追いかける。 ②(名詞として)追いかけっこ。 aynu kimun kamuy kes anpa wa upas upun uwesinoye hi a=ye hi ukesanpa ne ruwe ne awa アイヌ キムン カムイ ケサンパ ワ ウパスプン ウウェシノイェ ヒ アイェ ヒ ウケサンパ ネ ルウェ ネ アワ 人間を熊が追いかけて雪ぼこりが渦巻くことを言うのが追いかけっこなのですが。(HK民話の中での説明) ☞kes(e) anpa ケㇱ/ケセ アンパ {E: ①to run after; chase; pursue (v.). ②a chase; a pursuit (n.).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
ukoomoinu
ウコオモイヌ 【u-ko-o-mo-inu】 性交(する).▷ウ=互い コ=〜に対して オ=そこで モ=静か イヌ=聞く →それでお互いを静かに確かめ合う タパン イタㇰ エネパカㇱヌ(エン・エパカㇱヌ) フチ レヘ エネ アニ とぅるしの セコㇿ ア・イェ エアㇻキンネ イタㇰ マㇰクㇱテ エアㇱカイ アイヌ イタㇰ アニ ホイェ オカ タ ウコオモイヌ セコㇿ ア・イェ イタㇰ エネパカㇱヌ(エン・エパカㇱヌ) ㇷ゚ ネ ア ワ=この言葉を私に教えてくれたおばあちゃんの名は,トゥルシノというとても言葉の言い回しの上手な方,アイヌ語で猥談を語った後に性交という言葉を教えてくれたものだった.*お互いの性器の部分で静かに聞く,確かめ合う.世界中の人間がそれぞれの国の言葉で表現しているだろうが,これほど具体的かつ上品な言葉は少ないかもしれない. (出典:萱野、方言:沙流)
ukopopkeusi
ウコポㇷ゚ケウシ 【u-ko-popke-usi】 蛇の巣.*太い風倒木や立ったまま空洞になった樹木,あるいは岩穴のような所がそうであった.このような所へ近づいたりいたずらすると罰があたると言ってアイヌは近づかないものとしていた.▷ウ=互い コ=それ ポㇷ゚ケ=温かい ウシ=所 (出典:萱野、方言:沙流)
ukor
ウコㇿ 【自動】[u-kor 互い・を持つ] ①互いを持つ sisak tokuy ne ukor=an シサㇰ トクイ ネ ウコラン 私たちは互いをたぐいない親友として持った=私たちはたぐいない親友になった。 ②夫婦になる、 結婚する。 aynu ohaoka wa ukor eaykap kus アイヌ オハオカ ワ ウコㇿ エアイカㇷ゚ クㇱ 人間同士では結婚することができないから。(S言い伝え) (動名詞として)結婚。 kamuy or ta sonno ukor síno ukor eci=ki kus ne na カムイ オッタ ソンノ ウコㇿ シノ ウコㇿ エチキ クㇱ ネ ナ あなた方は天の神の国で本当の結婚まことの結婚をすることになるのだから。(HC民話) {E: ①to have each other. (couples, friends, etc.) ①to get married (v).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
ukosesek 2
ウコセセㇰ 【u-ko-sesek】 ②蒸れる. アマㇺ ア・チャ ワ ア・セ ワ イワカン(イワㇰ・アン) ヒ タ ナニ ソモ ア・ピサラ コㇿ ウコセセㇰ ワ ウェン ペ ネ.コㇿカ シプㇱケㇷ゚ ネノ トゥッコ レㇾコ ア・サッケ ワ ア・キㇰ ペ アナㇰネ シネ アンチカㇻ ア・アヌ ワ ウコセセㇰ コㇿ トゥイェ ニタン ペ ネ=ヒエなどを穂だけ摘み取って背負って帰って来た時にすぐに広げなければ蒸れてしまって悪いものだ.けれどもイナキビのように二日か三日乾かしてから穂から粒を落とすために(からさおで)叩くものは一晩そのまま置いて蒸れると粒が落ちやすいものだ.*この話は昭和63年アイヌ農耕実習のためにイナキビを耕作した時に青木トキさんが聞かせてくれた. (出典:萱野、方言:沙流)
ukosetane
ウコセタネ 【u-ko-seta-ne】 兄妹で夫婦になる.▷ウ=互いに コ=〜に対して セタ=犬 ネ=になる →互いに犬になる イヨーハイ ヘㇺタウタㇻ ウコセタネ ヤㇰ ア・イェ.ク・ヌー カ ク・イェー カ エチャッケ オルㇱペ=まああきれた,あの者たちが兄妹で犬になったそうだ.聞くのも言うのも汚ない話だ.*アイヌ社会では親子や兄妹でそのような噂だけでもあってはならないこととされる.万が一にもそのような噂が立ったとしたらあの者たちは犬になったと言って最も軽蔑されるという. (出典:萱野、方言:沙流)
uneno
ウネノ 【副】[u-neno 互い・に似て] ①(二つ以上が)互いに似て、 同じく。 kutcama uneno an クッチャマ ウネノ アン 声がそっくりだ。(S) uneno aynu ne wa hńta kusu ene e=hawean hi an? ウネノ アイヌ ネ ワ、 フンタ クス エネ エハウェアニ アン? 私たちは同じにアイヌであって、 どうしてあなたはそのように言うのか。(S) uneno motokor ウネノ モトコㇿ 同じく起源を持つ=起源は同じである。 imatne kur ka iyokkayone kur ka, opitta uneno kewtumu pirka utar ne イマッネ クㇽ カ イヨッカヨネ クㇽ カ、 オピッタ ウネノ ケウトゥム ピㇼカ ウタンネ 奥さんのほうもだんなさんのほうも、 両方とも同じに心のいい人たちだ。(S) ②(連体的に)同じ…。 uneno itak ウネノ イタㇰ 同じ言葉。 ☆参考 性質や有様や状況などが似ていることや同様であることを言う。 これに対し、 数量や程度が同じくらいであることは upakno ウパㇰノ と言う。 ☞néno ネノ {E: ①like; the same as. ②the same …} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
uos'uos
ウオㇱウオㇱ 【u-os u-os】 次々.▷ウ=互い オㇱ=後から ウオㇱウオㇱ アイヌ エㇰ=次から次と人が来た.タント ケキㇺネ(ク・エキㇺネ) ニセンピッタ(ニセンピㇼ タ) ク・ヨコ ワ カナクス(ク・アン アクス) モマンペ ネ ヤ アㇷ゚カ ネ ヤ ウオㇱウオㇱ サン ペ ネ クス ポロンノ スマウェヘ ク・コㇿ=今日山へ行って木の陰に待ち構えていると雌鹿や雄鹿が次から次と出て来たのでたくさんの猟があった. (出典:萱野、方言:沙流)
upas
ウパㇱ 【upas】 雪.▷ウ=互い パㇱ=走る.*雪は天からアイヌの村に競争して遊びに来ると考えていた. (出典:萱野、方言:沙流)
upaskuma
ウパㇱクマ 【upaskuma】 言い伝え,古い話を聞かせる. アイヌ オッタ(オㇿ タ) ウパㇱクマ アナㇰネ ア・エチャヌㇷ゚コㇿ ペ ネ シンリッ オルㇱペ ネ ヤッカ ウルオカタ ウルオカタ ア・エラマン ペ ネ=アイヌの所での言い伝えはそれを参考にすることができるし,先祖の話も子孫へ次の世代へと教えられるものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
upsor 1
ウㇷ゚ソㇿ 【名】[概](所は upsoro(ho) ウㇷ゚ソロ(ホ)) [< upsi-or 内部におおわれている(?)・ところ] ①ふところ、 着ている衣服の中。 ②[慣用表現](家や部屋の)中(保護され守られている内部が、 ふところや衣服の中にたとえられる)。 cise upsor míke kane kurkot kane チセ ウㇷ゚ソㇿ ミケ カネ クㇽコッ カネ [慣用表現]家のふところ(=家の中)が光り輝いている。(W民話) tunpu upsor a=orésu トゥンプ ウㇷ゚ソㇿ アオレス [雅]部屋のふところ(=部屋の中)で育てられた。(W) cási upsor/koyaykar ruwe/ene oka hi チャシ ウㇷ゚ソㇿ/コヤイカン ルウェ/エネ オカ ヒ [雅]城のふところ(=城の中)のつくりようは次のようであった。(Sユーカラ) ☆参考 知里真志保による語源解釈が『分類アイヌ語辞典人間篇』の p.53 にある。 {E: ①the bosom. ②the inside of (a house or room).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
upsor 2
ウㇷ゚ソㇿ 【名】[< upsor 1]女の下帯(昔、 女性は成人すると必ずつけた、 腰部の肌につけ、 夫以外には見せない、 つくり方やつけ方は母系で伝えられた)。 ☆参考 ponkut ポンクッ《小さい帯》とも言う。 日本語では貞操帯と呼ばれたこともある。 くわしい報告や研究が数多くあり、 北海道内の各博物館に実物が陳列されており結び方を示したものもある。〔知分類 人間篇索引 p.649(また口絵に樺太アイヌのものがある。)〕 {E: a female loincloth; a chastity belt.} (出典:田村、方言:沙流)
urespa
ウレㇱパ 【自動】[u-respa 互い・を育てる(複)]皆が育つ。 e=poutari/aynu motoho/népa ki wa/urespa yakun エポウタリ/アイヌ モトホ/ネパ キ ワ/ウレㇱパ ヤクン [雅]あなたの子どもさんたちが人間の始祖になってふえて次々に育って行くならば。(Sユーカラ) ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
urkio
ウㇽキオ 【urki-o】 シラミたかり(である). ウㇽキオ タンチェン ク・コㇿ ペ ネ ナーア ウㇽキオ フートン ク・コㇿ ペー ネ ナーア エメㇱケ チャーワン エメㇱケ ポイシュー ク・コㇿ ペ ネ ナーア "かか なーらんかあ ふふ なら一んかあ…"=シラミのたかった丹前を私は持っている,シラミのたかった布団を私は持っている,欠けた茶碗と欠けた小鍋を私は持っている,「かかあにならないか,夫婦にならないか…」*昭和10年前後の恋歌.わざと日本語とアイヌ語をごちゃまぜにして言う.問違ったふりをしてわざと「欠けた布団に欠けた丹前,しらみたかりの茶碗に鍋」などともいう.おしまいの…では「鳥でさえもかかと鳴く,汽車でさえもふふとなく,かかならんか,ふふならんか」と続いて行き笑いを誘えればそれでよし.このイヨハイオチㇱ(恋唄)は当時のアイヌ青年,二谷栄治さんが語っていたもの. (出典:萱野、方言:沙流)
uruokata
ウルオカタ 【uruokata】 子から孫ヘ,子々孫々. ウルオカタ アコシンヌㇷ゚=子から孫へと伝える宝.アイヌ オッタ(オㇿ タ) ウパㇱクマ アナㇰネ ア・エチャヌㇷ゚コㇿ ペ ネ シンリッ オルㇱペ ネ ヤッカ ウルオカタ ウルオカタ ア・エラマン ペ ネ=アイヌの所での言い伝えはそれを参考にすることができるし,先祖の話も子孫へ次の世代へと教えられるものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
us 2
ウㇱ 【us】 ②履(は)く. ピラッカ ウㇱ=下駄を履く.ケㇾ ウㇱ=鹿皮などを材料にして縫った履物を履く.ホㇱ ウㇱ=脚半を履く.オモンペ ウㇱ=尻の割れたズボン下のようなものを履く.ストゥケㇼ ウㇱ=アイヌ風の耳の多いわらじを履く. (出典:萱野、方言:沙流)
usatoyneno
ウサトイネノ 【副】[usa-toy-neno めいめい(の)・(< 土地?)・によって](?) それぞれ異なって、 めいめい違って。 uneno aynu motoho sinep ne yakka, usatoyneno yakukor katu oka wa ウネノ アイヌ モトホ シネㇷ゚ ネ ヤッカ、 ウサトイネノ ヤクコㇿ カトゥ オカ ワ アイヌのもと人間の起源は一つであっても、 めいめい持たされた役目が違うから。(S言い伝え) {E: differently.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
usikta
ウシㇰタ 【usik ta】 今ごろに. タネ ウシㇰタ ヘマンタ アイヌ シㇰヌ ワ アン ペ アン=今ごろになってからなにの人間が生きているものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
usinnatoyne
ウシンナトイネ 【副】[usinna-toy-ne 別々の・(< 土地?)・として](?) 別々に、 異なって。 usinnatoyne aynu motoho siyusaraye ウシンナトイネ アイヌ モトホ シユサライェ 別々に異なって人間のもとが分かれた。(S言い伝え) {E: separately; differently.}。 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
usipirasare
ウシピラサレ 【自動】[u-si-pirasa-re 互い・自分・を広げる・させる] 皆で広がる。 aynu usipirasare アイヌ ウシピラサレ (子どもがたくさんできて)人間が(ふえて)広がった。(KC民話) {E: to spread out, expand all.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
usitomare
ウシトマレ 【u-sitoma-re】 (皆が)恐ろしがる,怖がる. タㇷ゚イキヤ ウナㇻペ マㇰ ネ ワ ネ ヤカ ア・エラムㇱカリ コㇿカ カリ ヤㇰ ア・イェ アイヌ ウタㇻ ウシトマレ クンネ アン コㇿ ソイネ クㇽ カ イサㇺ=この頃亡くなったおばさん,どうしてか知らないが化けたということで,人々は恐ろしがって暗くなると外へ出る人もいない. (出典:萱野、方言:沙流)
ussi
ウッシ 【ussi】 ウルシ.*若木はアイヌの家を建てる時カヤを押さえるサㇰマ(柴木)として用いる.ウルシに弱い人はかぶれるが,かぶれないまじないは,木をなたで斬りお前は俺より弱いと言う. (出典:萱野、方言:沙流)
usupere
ウスペレ 【名】[< 日本語 うすべり]ござ。(W) ☆参考 アイヌ民族の伝統的なござは toma トマ、 citarpe チタㇻぺ など。 (出典:田村、方言:沙流)
utari(hi)
ウタリ(ヒ) 【名】[所](概は utar ウタㇻ 人々)…の同族の人々、 …の村人たち、 …の仲間たち/連れになっているグループ/組。 k=útarihi menoko utar turano tun ren ci=ne híne タント クタリヒ メノコ ウタㇻ トゥラノ トゥン レン チネ ヒネ 今日は私の同族(アイヌ民族)の人たち、 女性たちと一緒に二、 三人で。(W独話) a=utári ka sísam ka ikopoyke wa アウタリ カ シサㇺ カ イコポイケ ワ 私たちの同族(アイヌ民族)も和人もまじって (S会話) e=se wa e=arpa wa é=utari e=ere yakun é=utari opitta ray kusu ne aan pe エセ ワ エアㇻパ ワ エウタリ エエレ ヤクン エウタリ オピッタ ライ クス ネ アアン ペ あなたが(この魚を)背負って行って(=持って帰って)あなたの村の人たちに食べさせたらあなたの村の人たちはみんな死んでしまうところだったが。(NK民話) eci=utári hosippa ruwe somo ne? エチウタリ ホシッパ ルウェ ソモ ネ? あなたたちの組/仲間は皆帰ったのではないのか。(S) ☆参考 アイヌ民族を指す呼称として「ウタリ」というのは、 アイヌ語で言うときは k=útari(hi) クタリ(ヒ)《私の同族》、 a=útari(hi) アウタリ(ヒ)《私たちの同族》のように人称形で言う言葉である。 {E: of the same tribe, family, village group etc. of…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
utarpake
ウタㇻパケ 【名】[所](概は utarpa ウタㇻパ)[utar-pa-ke 人々・頭・(所属語尾)](次の慣用句の中で) aynu ka utarpake アイヌ カ ウタㇻパケ アイヌ/男の中でも特に威風堂々とした立派な男性。 ☆参考 aki(hi) アキ(ヒ)《(彼)の弟》、 teke(he) テケ(ヘ)《(彼)の手》のような意味での所属形を utarpa ウタㇻパ はつくらない。 {E: a great, exceptional Ainu man.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
utuste
ウトゥㇱテ 【他動】[u-tus-te 互い・自分の夫のもう一人の妻(である)・させる]二人を妻とする。 iteki koyki no/utuste wa/e=an yak easir/aynu mosir sekor/a=eréko kus ne na イテキ コイキ ノ/ウトゥㇱテ ワ/エアン ヤㇰ エアシㇼ/アイヌ モシㇼ セコㇿ/アエレコ クㇱ ネ ナ [雅](二人の女神を)いじめないで二人とも妻としてお暮らしになればあなたに人間の国という名前がつけられるのですよ。(Sユーカラ語り) ☆参考 〔久辞典983 utush 相妻となる、 妾同士 < 相連結する ut 節 ush ついている〕 ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
uwaste
ウワㇱテ 【自動】[u-w-as-te 互い・(挿入音)・立つ・させる](?) (植物が)繁殖する、 (人間でも)子孫が生まれてふえる。 nonno o wa ipeo wa pókor hi koraci aynu ka uwaste ノンノ オ ワ イペオ ワ ポコリ コラチ アイヌ カ ウワㇱテ (木が)花が咲いて実がなるのと同じように人間もふえていく。(S言い伝え) motoho anak sinep ne korka uwaste katu repun iworso atuyso ka wa uwaste hike néno aynu ne yakka usinnayno katkor モトホ アナㇰ シネㇷ゚ ネ コㇿカ ウワㇱテ カトゥ レプン イウォㇿソ アトゥイソ カ ワ ウワㇱテ ヒケ ネノ アイヌ ネ ヤッカ ウシンナイノ カッコㇿ 起源は一つであってもふえ方が沖の方、 海外から妻をめとってふえた者はそれなりに同じ人間であっても姿形が違っている。(S言い伝え) tapan yam e=carpa yakun oro wano yam sekor a=ye p uwaste yakne タパン ヤㇺ エチャㇻパ ヤクン オロ ワノ ヤㇺ セコㇿ アイェㇷ゚ ウワㇱテ ヤㇰネ あなたがこの栗をまけばそこから栗というものがふえていって。(W神謡語り) ☆参考 動物が繁殖することは uwatte ウワッテ。 {E: to breed; reproduce.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
uwastere
ウワㇱテレ 【他動】[自動使役][uwaste-re 殖える・させる] 子や孫が生まれてふえるようにさせる、 子孫をつくらせる。 na ewsayne ewsayne oka kamuy oro wa a=uwástere p aynu ne wa kusu ナ エウサイネ エウサイネ オカ カムイ オロ ワ アウワㇱテレㇷ゚ アイヌ ネ ワ クス 人間は、 まだほかにもいろいろ違った神によってふやされたものだから。(S言い伝え) {E: to make produce children and grandchildren (descendants).} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
uwato
ウワト 【uwato】 系列. アイヌ エネ ウワト ヒ=アイヌの系列,先祖からの血統.ア・ポトノケ イタカン(イタㇰ・アン) チキ ウピㇼカ ヌ ヤン.ア・コㇿ シンリッ ウワト クニ エネ オカヒ…=私の息子殿よ,私の言う言葉をよくお聞きください.私どもの先祖その血統はこうであるのだ…. (出典:萱野、方言:沙流)
uwaynukor
ウワイヌコㇿ 【他動】[u-w-aynukor 互い・(挿入音)・を尊敬/尊重する] 子どもも母も皆で父を「まてえに」(=大切に)して従っている。 uwaynukor=an siri k=érayap ウワイヌコラン シリ ケラヤㇷ゚ 子どもや母が皆で父を大切に尊重しているのに私は感心した。(S) ☞aynukor アイヌコㇿ {E: for mother and children to respect the father.} (出典:田村、方言:沙流)
uweinkar
ウウェインカㇻ 【自動】[u-w-e-inkar 互い・(挿入音)・と一緒に・見る](?) 透視/予見する、 見通す、 そこにないものや未来のことがらが見えてわかる。 aynuramat ne an pe tane a=ne kusu, kamuy siri ne uweinkar koraci inkar=an katu ene an hi アイヌラマッ ネ アン ペ タネ アネ クス、 カムイ シリ ネ ウウェインカㇻ コラチ インカラン カトゥ エネ アニ 私はもう人の魂になっているので、 神さながらに、 見えないことを見通すみたいに、 次のようなことが見えます。(W民話) poro a=yupi uweinkar nupur pe ne kusu siyeye utar oka kor motoho ye ポロ アユピ ウウェインカㇻ ヌプㇽ ペ ネ クス シイェイェ ウタㇻ オカ コㇿ モトホ イェ 私の長兄は見えないことを見通す霊力のある人なので病気の人々がいるとその原因を言い当てる。(NK民話) {E: to see through; foresee.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
uweipakta
ウウェイパㇰタ 【u-e-ipak ta】 だんだん. タント アナㇰネ アクㇷ゚・アン ヒ ケユタラ(ク・エユタラ) ワ アン クス ウウェイパㇰタ アイヌ エㇰ ナンコㇿ ワー=今日は建て前することを村人に知らせてあるので,だんだんと人が来るだろう. (出典:萱野、方言:沙流)
uwekanuhaynu
ウウェカヌハイヌ §356.産―産婆;助産者(5)uwekanuh-aynu〔u-wé-ka-nuh-aǐ-nu ウうぇカヌㇷ・アイヌ〕[とりあげ・人]⦅シラウラ⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
uwekur
ウウェクㇽ 【名】[u-w-e-kur 互い・(挿入音)・を食べる・人] 「食蛮人」。 uwekur mosir ウウェクㇽ モシㇼ 「食蛮人」の国。 ☆参考 「人間が人間(を)食う。 アイヌは熊の頭の数(が)あるほど財産家だが、 彼らは人間の頭の数(が)あるほど財産家だと言う。」 (S) (古老の挙げた民族名の引用は差し控える)。 {E: a savage; a barbarian.} (出典:田村、方言:沙流)
uwepakasnu
ウウェパカㇱヌ 【他動】[u-w-epakasnu 互い・(挿入音)・を教える] …を教え合う、 …を一方が他方に教える。 a=kor hekattar uimak ta uwepakasnu wa, ene aynumotokor hi ye wa アコㇿ ヘカッタㇻ ウイマㇰ タ ウウェパカㇱヌ ワ、 エネ アイヌモトコリ イェ ワ 私の子どもたちよ、 (このことを)次から次の世代に教え伝えて、 アイヌの起源はこうなのだということを言って(…しなさいよ)。(S言い伝え) {E: to teach, tell each other.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
uwepeker
ウウェペケㇾ 【自動/名】[u-w-e-peker 互い・(挿入音)・で/と一緒に・明るくなる] ①[自動]民話(昔話)を語る。 k=úwepeker ciki nu yan クウェペケッ チキ ヌ ヤン 民話を語るから(昔話をしてあげるから)聞きなさい。(S独話) ②[名]民話(昔話)。 uwepeker ye ウウェペケㇾ イェ 民話を語る。 pirka uwepeker ku=ye kusu ne na ピㇼカ ウウェペケㇾ クイェ クス ネ ナ よい(すてきな/美しい)お話をしてあげるからね。(S独話) ☆参考 昔話の中に、 素性や先祖の話、 歴史的な出来事など、 子孫に教え伝える話と、 ただ楽しみのために話したり聞いたりする話とある。 前者を upaskuma ウパㇱクマ と言い、 これを《言い伝え》と訳す。 後者を uwepeker ウウェペケㇾ と言い、 これを《民話》と訳す。 アイヌ民話 uwepeker ウウェペケㇾ には二種類あり、 一つは日本民話にもよくあるようないわゆる「隣の爺型」の昔話、 もう一つは一人の人が自分の身に起こったことを語るという「身の上話型」の物語である。 「隣の爺型」の昔話では、 川下男と川上男、 うちの貧乏和人と隣の貧乏和人などの対(つい)が登場し、 一人が成功して裕福になったのをもう一人が見てまねをして失敗し、 死んでしまう。 だから人まねをしてはいけないという教訓が最後につく。 通常3人称で語られ、 長さは数分から十数分程度である。 「身の上話型」の物語では、 主人公の自己紹介に始まり、 自分の身に起こった出来事を次々に語っていく。 多くの場合、 最後に「…と、 どこそこの村おさが(村おさの妻が/立派な奥様が、 等々)言いながら亡くなりました、 とさ」というような結語がつく。 主人公の話したことを語り手が引用するという形で語られるので、 「私」と訳される人称は引用文の自称の形、 すなわち不定人称形である。 長さも数十分から長いのになると1時間以上かかる場合もある。 どちらの型のものもアイヌ語では同じく uwepeker ウウェペケㇾ と呼ばれるので、 日本語訳でも同じ「民話」という語に訳しておく。 これら二種類の型の民話のほかに、 内容から見ると upaskuma ウパㇱクマ《言い伝え》だと思われる話が uwepeker ウウェペケㇾ として語られることもある。 昔の先祖のことを子孫に伝えるために語るのではなく、 単に昔話として語るからであろう。 また、 人間の話である「民話」に対して神の話「神話」はどうかというと、 アイヌ神話は原則として節をつけて歌われるものであった。 これの多くは「神謡」(kamuyyukar カムイユカㇻ または menokoyukar メノコユカㇻ)と呼ばれる。 ところが昔神謡として歌われたものが散文で語られ、 それが uwepekere ウウェペケㇾ として伝えられる、 というようなことも最近は起こっている。 このように伝承のジャンル名もいまは昔とはだいぶ変わってきている。 ☞upaskuma ウパㇱクマ、 kamuyyukar カムイユカㇻ、 menokoyukar メノコユカㇻ yukar ユカㇻ、 oyna オイナ {E: ①to tell a folktale. ②a folktale.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
uwesamuysamun
ウウェサムイサムン 【自動】[u-w-e-sam-un-samun 互い・(挿入音)・と共に・そば・にいる(重複)]皆で並ぶ。 ociseunpa nokan hike rupne hike opitta uwesamuysamun wa nepki kor patek oka, aynu-pákus オチセウンパ ノカン ヒケ ルㇷ゚ネ ヒケ オピッタ ウウェサムイサムン マ ネㇷ゚キ コㇿ パテㇰ オカ、 アイヌパークㇱ 一家総出で小さい人も大きい人もみんな並んで働いてばかりいる、 いいねえ。(S) (出典:田村、方言:沙流)
uweyokpuri
ウウェヨップリ 【u-eyok-puri】 互いに相手を尊敬する風習,歳下の人に対しても兄あるいは姉と呼ぶ. *クユポ(私の兄),クサポ(私の姉).日本風に言うと自分よりも若い人に兄あるいは姉と言ったら失礼に当たるであろうが,アイヌでは大切な言い方のひとつである.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
uwomare
ウウォマレ 【u-omare】 拾い集める,寄せ集める. ホクレ ホクレ タネ シㇼクンネ ナ.ネッ ポロンノ ウウォマレ ア・セ ワ イワカン(イワㇰ・アン) ナ=早く早くもう日が暮れそうだ.薪にできる流木をたくさん拾い集めろ,背負って帰るから.ヤㇺ ウウォマレ=クリを拾い集める.エモ ウウォマレ=ジャガイモを拾い集める.*少年時代に畑仕事をして帰り際になると母は私にそう言い,薪を集めて背負って家へ帰ってきたものだった.時にはアイヌシケ(アイヌ風の背負い方)といって背負い縄の広い部分を頭に掛けて背負うこともあったが,シサㇺシケ(和人の背負い方)は胸の所で縛るやり方, (出典:萱野、方言:沙流)
uworkopoyke
ウウォㇿコポイケ 【自動】[u-w-or-kopoyke 互い・(挿入音)・の所・にまじる] 互いの中に入りまじる、 まぜこぜになる。 aynu ne ciki sísam ne ciki repunkur, sonno repunkur ne ciki uworkopoyke wa mosir epitta siyusacari アイヌ ネ チキ シサㇺ ネ チキ レプンクㇽ、 ソンノ レプンクンネ チキ ウウォㇿコポイケ ワ モシレピッタ シユサチャリ アイヌも和人(日本人)も外国人、 本当の外国人も入りまじって国じゅうに散らばった。(S言い伝え) ☆参考 ukopoyke ウコポイケ はただ《まざる、 (まぜたものが)まざって均質になる》。 {E: to become mixed.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
uye
ウイェ 【自動】[u-ye 互い・に/を言う] 互いに言い合う。 repunkur sekor uye yakka yaunkur sekor uye yakka aynu motoho anak sinep ne korka レプンクㇽ セコㇿ ウイェ ヤッカ ヤウンクㇽ セコㇿ ウイェ ヤッカ アイヌ モトホ アナㇰ シネㇷ゚ ネ コㇿカ お互いに外国人(海外の人)だ日本人(国内の人)だと言い合っても人間の起源は一つなのだけれど(yaunkur ヤウンクㇽ は多くの場合北海道の人、 通常アイヌを指すが、 この例では外国人に対して日本人を指している)。(S言い伝え) {E: to quarrel.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
wakay
ワカイ 【自動】[日本語] 若い。 ku=wakay ta ki クワカイ タ キ 私が若かったらいいのになあ(日本語の「若い」がアイヌ語の動詞として使われている)。(MM即興歌) {E: to be young.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
watcirewep
ワッチレウェㇷ゚ 【watci-rewe-p】 曲げものシントコ:漆器.このシントコの別名をマサシントコとも言うが屋根裏のマサを連想しての言い方であったのかもしれない.アイヌたちは南隣の日本の国から持ち込まれた漆塗りの道具を見てはその形に合わせていろいろと名づけている.エトゥヌㇷ゚(鼻を使う物・片口),エチユシ(そこにちんちんのある物・酒差し)などなど. (出典:萱野、方言:沙流)
wenaynu
ウェナイヌ 【名】[wen-aynu 悪い・人間/男] 悪い男、 悪党(=wenokkayo ウェノッカヨ)。 ☆参考 wenkur ウェンクㇽ は《貧しい人》、 e=kor wen aynu エコㇿ ウェン アイヌ は《あなた/お前の悪いおとうさん》。 {E: a bad person, man, a villain.} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
wenkur ikor kor
ウェンクㇽ イコㇿ コㇿ 【wen-kur-ikor-kor】 見せびらかす,自慢する:貧乏人が宝を持つ. ウェンクㇽ アナㇰネ ネンポーカ イキ ワ シネ イコㇿ ポカ コㇿ コㇿ オラーノ ヌカラㇻ ルスイ.タパイェ(タㇷ゚ ア・イェ) クニ ウェンクㇽ イコㇿ コㇿ=貧乏人はなんとかしてひとつの宝だけでも持つと,それから誰かに見せたがる,このことを貧乏人が宝を持つ(=自慢する)という.*私がアイヌの生活用具を買い集め始めた当初の昭和28年頃,珍しい物が手に入るとだれかれに出して見せたがった.その様子を見ていた母が「ウェンクㇽ イコㇿ コㇿ]と言ってたしなめてくれたので,それからはそうしなくなった. (出典:萱野、方言:沙流)
wenkut'onne
ウェンクッオンネ 【wen-kut-or-ne】 絶壁,断崖,崖.▷ウェン=悪い クッ=崖 オㇿ=所 ネ=なる →悪い崖になっている所 イㇱカㇻ エトコホ ソウンペッ アナㇰネ イタㇰコラチ ウェンクッオンネ アイヌ カ アㇷ゚カㇱ エアイカㇷ゚=石狩川の源,滝のある川(層雲峡)は言葉通り絶壁なので人間も歩くことができない. (出典:萱野、方言:沙流)
wenpe
ウェンペ 【wen-pe】 悪人,悪者,貧乏人. マㇰタエカㇱ カ イッカ ㇷ゚ ネヤカイェ(ネ ヤㇰ ア・イェ) ア ワ タイペヘ カ イッカエオ ソンノ ウェンペ ネ ハウェ ネ=遠い先祖の祖父も泥棒したものだと聞いたのにその血統も手癖が悪い,本当に悪い者だよね.ネア ウェンペ アン ヒ ア・エラマン ヒ ネ ヤクン エネパカㇱヌ(エン・エパカㇱヌ) ク・コチョラウキ ナ=あの悪者のいる所をお前が知っているのなら私に教えてくれ,これから向かって行くから.イㇱラㇺネ ㇷ゚ ウェンペ シコㇿ ア・イェ ヤッカ アイヌ オピッタ ソモ ネ ㇷ゚ ネ ヤイヌミウェン ペ カ オカ ニサㇱヌ トゥマㇺ コㇿペ オラーノ トランネ ㇷ゚ ソンノ ウェンペ ネ ワー=不自由している者,貧乏人といってもそれらの者全部ではないものだ,病気の者もいるし健康な身体でありながら骨惜しみの怠け者こそ本当の貧乏人だよ.*アイヌ社会でのウェンペ(悪い者)とは,泥棒,手癖が悪いこと.健康な体でありながら働きもしないで食べるにも困るような貧乏している者はアイヌ(人間)とは言わず,ウェンペ(悪い奴)と言う. (出典:萱野、方言:沙流)
wenseku
ウェンセク 【wen-seku】 悪い太り方(をしている). アイヌ オッタ(オㇿ タ) アナㇰネ エイタサ ミムㇱペ オカ コㇿ ウェンセク シコㇿ ア・イェ ア・オラムサッカ ㇷ゚ ネ ヤカイェ(ヤㇰ ア・イェ)=アイヌの所ではあまりにも太った者がいると悪い太り方と言って軽蔑されるものだという. (出典:萱野、方言:沙流)
wensiyeye
ウェンシイェイェ 【wen-siyeye】 悪い病気. アイヌイカラㇱ ウェンシイェイェ ヘネ キ シリ ネ ノイネ イポロホ カ ウェン=もったいない人が悪い病気にかかったらしく顔色も悪い.*昭和10年代には肺結核のことをそう呼んでいた. (出典:萱野、方言:沙流)
wentarapte
ウェンタラㇷ゚テ 【wentarap-te】 夢をみさせる.▷ウェンタラㇷ゚=夢をみる テ=させる →神様が夢をみさせる チセコㇿカムイ ア・ネ,トパットゥミ エㇰ ノイネ シリキ クス チセコㇿクㇽ ア・ウェンタラㇷ゚テ=私は家の守護神であって,夜盗が来る様子なので家主に夢をみさせた.カムイ オㇿワ アイヌ ア・ウェンタラㇷ゚テ クスケライポ アイヌ アナㇰネ ネㇷ゚ ネㇷ゚ アン ペ エラムオカ シコㇿ ウウェペケㇾ オルㇱペ タ アン ペ ネ ワ=神からアイヌたちが夢をみせてもらえるお陰で,アイヌたちはいろいろなことを知ることができると昔話の中にあるものだ.*道東のアイヌは夢のことをチニタ(夢)と言う. (出典:萱野、方言:沙流)
worunpe
ウォルンペ 【wor-unpe】 湧き水にいる蚤と同じ形のクリーム色の虫,水にいる虫. ▷ウォロ=水 オルン=いる ペ=物,虫 *昭和31年に亡くなった父アレㇰアイヌの話では,毒性が強い虫なので矢毒に混ぜると毒の利き目が早く,熊がすぐに死ぬものだと言っていた.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
yaaniyaani
ヤアニヤアニ 【yaani yaani】 危なく,あやうく. イット エキㇺネ・アン ア ㇷ゚ ウパㇱ ユㇷ゚ケ ウパセシットゥライヌ・アン ヤアニ ヤアニ ルプㇱ・アン イキヤナイネ イワㇰ・アン ア・オナハ イ・ケウェホㇺス ルウェ ネ=日帰りと思って山へ行ったのに大雪降りになって雪によって方角を見失い危なく危なく凍死しそうになり,どうにかこうにかして帰って来たら父は私をねぎらってくれた.マチヤ オㇿ タ アナㇰネ エイタサ アイヌ インネ ㇷ゚ ネ クス クトゥラ クㇽ ヤアニ ヤアニ ク・オカトゥライヌ=町ではあまりにも人が多いので一緒に行った人を危なく危なく見失うところだった. (出典:萱野、方言:沙流)
yak a=ye
ヤㇰ アイェ 【yak a=ye】 〜だそうだ,〜という. アイヌイカラㇱ ア・レポカㇻ ヤㇰ ア・イェ. タㇷ゚ イキ クㇽ オナハ カ ア・レポカㇻ ペ ネ アㇷ゚=もったいない人が沖で死んだそうだ.今亡くなった人の父親も海で死んだものであったのに. (出典:萱野、方言:沙流)
yamraytayokoamam
ヤㇺライタヨコアマㇺ §401 ヒエ (11) yamrayta-yoko-amam (yám-ray-ta-yo-ko-a-mam)「やㇺライタ・ヨコ・アマㇺ」[yam-rayta(クリ・いが)yoko(ねらう)amam(穀)] ⦅バチラー、アイヌ人とその説話⦆ (出典:知里植物編、方言:)
yaro
ヤロ 【yaro】 たてがます:ニシン粕を入れるかます. テエタ アイヌ ウタㇻ ウェンヤトイネ ヒ タ ヌカㇻ ワ エㇰ ペ ヤロ シコㇿ ア・イェ シンヌラッパ アン ヒ タ アイヌ オㇿ タ シプイネ ペコㇿ ア・ヌカㇻ ヤッカ カムイ モシㇼ タ シレパ ヒ タ ヤロ シンネ シレパ ナンコㇿ=ずうっと昔にアイヌたちが強制徴用された時,見て来た物がたてがますといった.先祖供養の時に(言う言葉の中に)アイヌの所でわずかのように見えるけれど神の国へ着いた時はたてがますのような量になり届くであろう. (出典:萱野、方言:沙流)
yay'iramure
ヤイイラムレ 【yay-iramure】 おとなしい:身寄りがなくて遠慮深い. *昔二風谷村に貝澤松雄さんという人がいたが,その人が山仕事に行っていてある朝,昨夜見た夢の中で日頃大切に使っていた急須が太股の上へ落ちて割れた夢を見たと言いながら仕事に出た.仕事中に角材と立ち木に太股を挟まれ片足を切断することになってしまった.だによってアイヌは夢を大切にするべしと言われていたものであった.昭和5年頃の話であるがアイヌは夢は神のお告げと思って大事にしていた.また,ウェンタラㇷ゚ オッタ アヌ ユカㇻと言って夢の中でユカㇻを聞かされることがあり,このような場合はそのままもう1度寝るようなことをせずに側にいる誰かを起こしてすぐに語って聞かせる,そうでないと忘れてしまうものだそうだ. (出典:萱野、方言:沙流)
yayantop
ヤヤントㇷ゚ 【名】[yayan-top まじりもののない・竹][植物] 竹の一種(大きい竹、 旗竿ぐらい、 干し竿などにする)。(S) ☆参考 サダモさんは竹の他の種類として huttattop フッタットㇷ゚、 pontop ポントㇷ゚ を挙げている。〔知分類 p.221 チシマザサ(宮部・神保『北海道アイヌ語植物称表』)〕(サダモさんの言う yayantop ヤヤントㇷ゚ は、 チシマザサではない。) {E: a type of bamboo.} (出典:田村、方言:沙流)
yaykaokoymatasum(-i)
ヤイカオコイマタスㇺ §559.ねしょうべん(寝小便)[する](8)夜尿症 yayka-okoyma-tasum(-i)〔jáǐ-ka-o-koǐ-ma-ta-súm やイカオコイマ・タすㇺ〕[yay(自分)+ka(の上)+okoyma(小便する)+tasum(病)]⦅アイヌ医事談⦆ (出典:知里人間編I、方言:)
yaykikkar-cási
ヤイキッカㇻチャシ 【名】[yay-kikar-cási 自分・を防御する・とりで](直訳すると)防御用のとりで(楯の訳語として出た)。 ☆参考 楯は昔のアイヌ伝統文化にはなかった。(W) (出典:田村、方言:沙流)
yaynikorosma
ヤイニコロㇱマ 【yay-nikor-osma】 恥ずかしい.▷ヤイ=自身 ニコㇿ=ひだ オㇱマ=入る →自分の体にひだを作って入る(それほど恥ずかしい)  *日本語で,穴があったら入りたいというのと同じ意味になるがアイヌ語は具体的に聞こえる. (出典:萱野、方言:沙流)
yayramuositciwre
ヤイラムオシッチウレ 【yay-ramu-o-sir-ciw-re】 心を落ち着ける. アイヌ オㇿ タ アナㇰネ インカㇻ イコシンニヌㇷ゚ カ イヌ イコシンニヌㇷ゚ カ アン ペ ネ ワ ネㇷ゚ ア・ヌカㇻ ヤッカ ネㇷ゚ ア・ヌ ヤッカ ア・ヤイラムオシッチウレ ワ ア・ヌ カ ア・ヌカㇻ カ キㇷ゚ ネ=アイヌの社会では見た宝,聞いた宝などがある,何か見ても何か聞いても心を落ち着けて聞いたり見たりするものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
yayresuppo
ヤイレスッポ 【yay-resup-po】 みなしご,孤児. ヤイレスッポ エカㇷ゚ネ エ・スクㇷ゚ ヤッカ アイヌ エ・ネ ㇷ゚ ネ ナ=孤児のような育ち方をお前はしているがりっぱな人間になるんだよ.*そのような子供に直接言うのではなく,あだ名のように呼ぶ時に使う場合と,貧乏な家の子供に上記のような言葉で励まして用いる場合とがある. (出典:萱野、方言:沙流)
yaysermakka koorsutke
ヤイセㇾマッカ コオㇿスッケ 【yay-sermak-ka ko-orsutke】 自分自身の魂を励ます. テエタ シサㇺ トゥミ アン ヒ タ ク・ユピ ポ カ トゥミエイヨロッ ネ ヒ タ アイヌ アナㇰネ セㇾマカハ ユㇷ゚ケ ㇷ゚ ネ ナ シコㇿ ヤイセㇾマッカコ オㇿスッケ・アン ペ ネ シコㇿ ハワン ヒ ク・ヌ=ずうっと昔和人の戦争のあった時に死んだ私の兄も戦争に行かされ,その時にアイヌは魂が強いものだと自分自身の魂を励ましたものだったよと言っていたのを聞いたものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
yaywentarapkokanu
ヤイウェンタラㇷ゚コカヌ 【yay-wentarap-kokanu】 自分自身の夢に耳を傾ける. *昔二風谷村に貝澤松雄さんという人がいたが,その人が山仕事に行っていてある朝,昨夜見た夢の中で日頃大切に使っていた急須が太股の上へ落ちて割れた夢を見たと言いながら仕事に出た.仕事中に角材と立ち木に太股を挟まれ片足を切断することになってしまった.だによってアイヌは夢を大切にするべしと言われていたものであった.昭和5年頃の話であるがアイヌは夢は神のお告げと思って大事にしていた.また,ウェンタラㇷ゚ オッタ アヌ ユカㇻと言って夢の中でユカㇻを聞かされることがあり,このような場合はそのままもう1度寝るようなことをせずに側にいる誰かを起こしてすぐに語って聞かせる,そうでないと忘れてしまうものだそうだ. (出典:萱野、方言:沙流)
ye 1
イェ 【他動】①…を言う、 …を話す、 …に言う。 Aynu itak ye アイヌ イタㇰ イェ アイヌ語を話す。 uwepeker ye ウウェペケㇾ イェ 昔話(民話)を話す。 yúkar ye ユカㇻ イェ ユーカラ(英雄叙事詩)を歌う。 upopo ye ウポポ イェ ウポポを歌う。 sekor ye セコㇿ イェ …と言う。 sekor a=ye セコㇿ アイェ/セコライェ …と(一般に)言う、 …と言われる。 sekor i=ye セコㇿ イェ …と私に言う。 kuni/kunak ye クニ/クナㇰ イェ …すると(いうことを)言う。 yak ye ヤㇰ イェ …した/していると(いうことを)言う。 yak a=ye ヤㇰ アイェ/ヤカイェ …した/しているそうだ。 (使役)+kus(u) ye クス イェ/クㇱ イェ …するように/しなさいと言う。 eun ye エウン イェ …に言う。 hápo eun ye ハポ エウン イェ 母に言う。 kunine ye クニネ イェ …するように言う/話す。 ②☞ram(u) ye ラㇺ/ラム イェ、 sempir(i) ye センピㇼ/センピリ イェ {E: to say, tell…} ⦅テープ⦆ (出典:田村、方言:沙流)
yukar
ユカㇻ 【yukar】 英雄叙事詩. *今までの多くの本にはユーカラと書かれているがアイヌ民族の間ではユーカラと言うのではなしにユカㇻと言う.*ウェンタラㇷ゚ オッタ(オㇿ タ) ア・ヌ ユカㇻと言って夢の中でユカㇻを聞かされることがあり,このような場合はそのままもう1度寝るようなことをせずに側にいる誰かを起こしてすぐに語って聞かせる,そうでないと忘れてしまうものだそうだ. (出典:萱野、方言:沙流)