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凛世の花札風名刺を作りましたメモ

シャニマス大好き!五勺升です。

花札風の名刺を作りました。
完成品はこれです。

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何作るにしてもメモは残してますし、折角なので紹介していきます。


制作の動機

前提:プロデューサー名刺というアイマスの奇習

アイドルマスターという作品には、ライブ現場などでファン同士が名刺を交換するという奇習があります。
これはアイドルマスターという作品において、プレイヤーやファンはアイドルのプロデューサーであるという体を取っているためです。
名刺といっても本名や勤務地が書いてある訳ではなく、SNSのハンドルネームやアカウント名が書いてある、半分はおふざけのような名刺になります。
ただ、実際の名刺ではないからこそ形式は自由であり、担当アイドル(≒好きなアイドル)への愛を表現するべく様々な工夫が凝らされています。

来たる横浜でのライブへ向けて

ということで、7/5, 6に開催されるライブ「THE IDOLM@STER SHINY COLORS 7th UNITLIVE TOUR 円環 -Halo around- second quadrant」へ向け自分も名刺を作ろうと思ったのが今回の制作の動機になります。

今回のライブは全四回に渡って開催されるツアーであり、またアイドルマスターシャイニーカラーズの7周年を記念したライブでもある特別なライブです。
折角なので何か特別な名刺を作りたいという思いが自分の中にありました。
また、去年実装された【ラヴ・レター】杜野凛世では花札をモチーフにした衣装が描かれており、非常に感銘を受けていたため関連する感想なり創作なりを出力したいという思いもずっとありました。

上記のような背景から、名刺に花札を採用してみるのはどうだろうかと思い至り、実際の制作に取り掛かりました。

※【ラヴ・レター】杜野凛世と花札についての関連は以下のnoteに記載してあります。本noteでは以降シャニマスの話はほとんどせず、花札の制作工程について記していきます。



制作コンセプト

折角花札として作るのだからプリントして終わりではなく、極力花札の制作工程をなぞってみたいと思っていました。
とはいえ、完全に再現することは自分みたいな素人ができるほど簡単ではないので諦めます。
また、今回はライブという明確な締切もあったので、自分の実力・使える時間・成果物のクオリティを考慮し適宜妥協しております。普段からアナログでの制作などは行っていないのであらゆる面で素人です。身の程を弁えながら取り掛かっていきます。
気持ちだけでも再現したということに意味を感じる性分なので、自己満足の範囲で頑張っていきます。

ということで、このnoteで説明している作り方はあくまで”今回作った花札風名刺の工程”であり、”本来の花札の製造工程とは全く違う”ということだけご留意していただきたいです。


ちなみに少し方向性は違いますが、本気で再現している例としては以下が面白いです(花札ではなくかるたですが)
これを素人の個人が真似ることは非常に困難であり、どちらにせよどこかで妥協は避けられないことは理解していただけるかと思います。


また、もう少し事前に詳しい人などに制作プランを相談しておけば良かったという反省もあるのですが、こちらも制作にかけられる時間とライブ当日という期限の制約から断念しました。
逆に言うと、制作にあたって花札関係者の方から何か教えてもらうことは一切しておらず、全て手の届く範囲の資料をあたって工程を決めました。



参考

日本かるた文化館

すでに前項でリンクを貼ったページです。
花札に限らず日本の遊戯史、とりわけかるたについて詳細にまとめてあり、そして無料という凄まじいサイトです。
あまりにも内容が膨大なため全ては読めていませんが、大変参考にさせていただきました。この場を借りてお礼を申し上げます。
本note中でこれからも度々引用します。


花札製造工場の動画

花札の老舗である大石天狗堂の生産工場を取材している動画です。
厳密な手作りとは違う部分もありますが、やはり動画で工程を見れるので非常に参考になりました。


『花札 (ものと人間の文化史 167) 』江橋 崇 (著)

花札についての多様な話題を374ページに渡って解説している本です。
工程という面ではそこまで参考にはなっていないのですが、読み物として面白かったです。ザッとしか読んでいないので内容の記憶がおぼろ気です。
購入した当初の主な目的は、前述の「日本かるた文化館」だけを参考にするのは良くないかと思い情報源を分散させるためだったのですが、サイトの管理者とこの本の著者が同一人物でした。
当初の目的は達成できず、異常な熱量で遊戯史を研究している人がいるということがわかっただけで終わってしまいましたが、この熱量は信頼にあたると感じさせられたので情報源を分散させる必要もないだろうと思いました。



以上、明確に参照している箇所は可能な限り引用しますが、記憶として身に着けてしまっている部分もあります。
ただ、自分は記憶力も理解力も悪く、専門の研究者でもないので、間違ったことを話している可能性もあります。本noteで語っていることが正確である保証も上記の参考資料通りである保証もないということはご留意ください。あらかじめ謝罪しておきます、申し訳ございません。
なんだかご留意してもらってばかりですね。もうご留意することはないので安心してください。



製造工程の紹介

それでは順番に工程を紹介していきます。


絵柄を決める

何はともあれ絵柄を決めます。

先述した日本かるた文化館に昨今の色々な花札をアーカイブしているページがあるので、キャラクターを花札のデザインに落とし込む参考にしました。
(このサイトは本当に情報量が異常でビビります)
また、花札が生まれた当初は図柄も日本画のようでしたが、現代では太い主線にフラットな彩色というデザインが主流であり、多数の人に制作物が花札であると認識してもらうためにはそういった花札の特徴を理解することは必須であると思われたので、様々なデザインから現代の花札を花札たらしめている要素も研究していきます。

眺めていると市販品として世に出ているものでも、花札本来のデザインを尊重しているものやそうでないもの、上手く作品に落とし込んでいるものとそうでないものの違いなんかも見えて面白いです。

一例として、本来の花札は工程の都合上彩色が線画をはみ出ることが避けられず、逆にそれが特徴にもなっているのですが、これを再現するか否かも物によって違うようでした。
商品としてどういう方針で何を大切にするか、という部分の話なので優劣の話でもないと思っています。”花札は色がはみ出る”という部分も花札を知っている人からすれば味であり花札らしさだと感じられるかもしれませんが、知らない人からすると純粋に色塗りが雑で整っていない印象になることもあると思います。現代の製造においてははみ出る理由は一切なく、対象を広く取るのであれば特段倣う必要もないのかなと思いました。
と言いつつ自分は今回の制作において彩色がはみ出すことを意識しています。倣う部分は倣いたかったので。自己満足、発動────


というわけで色々と研究し描きました。冒頭で完成品見せちゃってますが。

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下半身の服のディティールがよくわからなかったです。

イラスト自体はデジタルで描いています。
イメージとしてはこのへんですね。
割と素直に【ラヴ・レター】杜野凛世の思い出演出を花札風の絵柄で描いています。スクショには映っていませんが途中で一瞬鹿が通ることからも10月の札を意識していると思われます(と言いつつ袖にある"芒に月"は8月なのでそこまで厳密でなく10月メインの花札全般のイメージなんでしょう)

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以下雑多に描きながら考えていたこと
・帯の月の中を黄色にしようか悩んだのですが、塗ってみたら悪目立ちしたのでやめました。
・紅葉の葉を全て赤色にするか悩みましたが、実際の花札ではそういう例はなかったのでやめました。葉の色は"楓に鹿"を参考にしています。思い出演出において葉が全て燃えるような赤に染まっているのは重要な要素ではあります。
・最初は人がいる札として「柳に小野道風」を参考にして凛世を小さめに描いていたのですが、やはり凛世が大きく見えた方が良いのではないかと思い現在の塩梅に落ち着いています。
・10月の青短であれば右に曲がっているのが正しいのですが、完成してこのnoteを描いている最中それに気づきました。他の季節には右曲がりの青短ものもあるので許してください。
・思い出演出において垂れる青い紐(短冊)を掴んでいるのは実は結構重要な部分なのですが、そこまで長い短冊を描くと花札感が薄れてしまうので悩みに悩んでやめました。掴む直前だとでも思ってください。
・凛世が手で描いている円相についても結構重要な要素ではあるんですが、上手く花札の絵柄で表現するのが難しかったので諦めています。ここは現代の花札のフラットな画風ではなく昔の花札の日本画のような画風にすれば表現できたかもしれません。

花札風の絵柄で描いているだけのただのイラストではありますが、随所に取り入れている元の花札の要素に関しては、あまり元とかけ離れすぎないよう気を付けています。



紙を選定する

紙を買います。
必要となるのは
表紙:実際に絵を描く、花札の表面に出てくる部分)
芯紙:三枚ほど貼り合わせて芯となる紙
裏紙:最後に包むように貼る紙、花札のフチの黒い部分
の三種類です。

知識がないので紙屋さんに行って相談してみました。
「花札を自作してて……どんな紙を使えばいいか悩んでるんですけど……」
「芯の紙ですか?表の絵を描く紙ですか?」
「あっ!えっと全部で……芯は紙を三枚くらい貼り合わせて作ろうとしてて!」
「はいはい、それならとりあえず裏紙はこのあたりですかね……」
「(花札の作り方把握してるの……???)」
といった具合にスムーズに決まりました。
どうも以前にも花札を自作しようとしていた人が店を訪れたそうで、その際に勉強したそうです。ありがとう名も知らぬ奇特な先人、ありがとう勤勉な店員さん。
ということでいい感じの紙を用意できました。



表紙に線画を描く

花札のカード作りの最初の作業は「表紙(おもてがみ))の製作である。ここではまず版木に四十八枚のカルタの線描画を四段、十二行に彫り、それを摺り出す。これが「骨摺り」である。

日本かるた文化館「(五)手作り花札の製作工程」
https://japanplayingcardmuseum.com/112-1-5-making-process-handmadecarta/

表紙に骨摺りで線画を描いていきます。
骨摺りとは版画の技法の一つだそうです。
絵のうちの線画の部分を版画で制作していきます。

とはいえ自分は木版画も彫刻もやったことはないのでちょっと厳しそうだな……と思い、それっぽい代替案として消しゴムハンコを作ってみることにしました(木版のことスタンプだと思ってるの怒られそうです)。

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転写、失敗────

無理でした!ひー!
絵を描いてる途中で薄々思ってたんですが、ちょっと細かい絵にしすぎたんですよね。描いてたら楽しくなっちゃって……へへへ……
消しゴムハンコ上手い人ならできるんだろうなと思うんですが、線画を転写する時点で無理だったので諦めました。
ということで、こういう時どうするか。そう……

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お金を出してなんとかしましょう。
「版画 オーダー」とかで検索してもあまり出てこなかったのでスタンプでなんとかしてみます。なんとかなるかな。消しゴムハンコよりは良いでしょう。

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結構いい感じになった!!!!
ちなみに自力だとここまでは綺麗に押せませんでした。スタンプにもコツってあるんですねえ。
ここを使いました。ありがとうございました。大体6000円くらい。


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ポンポンと紙に押していきます。
なんかそれっぽくなってるんじゃないでしょうか。
正確な寸法でスタンプを押すのは至難だったので、後で切り揃えることにして適当に間隔空けています。
綺麗にスタンプするのも至難でした。和紙との相性が良いスタンプ台をがんばって探しました。



生地を作る

次の作業工程は「生地」作りである。花札は、花札一組四十八枚分の大きさの芯紙三、四枚を合版のように貼り合わせて「生地」に仕立て、乾燥させ、その上から彩色した表紙を貼り合わせて、それを札の大きさに四十八枚に切り分けて作る。
~中略~
ここで使う糊は生麩糊(しょうふのり)で、これに重みと堅さを与えるために砥粉(とのこ)を混ぜる──

日本かるた文化館「(五)手作り花札の製作工程」
https://japanplayingcardmuseum.com/112-1-5-making-process-handmadecarta/

紙を三枚貼り合わせて芯となる紙を作ります。
生麩糊という糊に砥の粉(砥石を砕いた粉や、粘土を焼いて粉砕したもの)を混ぜるのだそうです。

本来適切なサイズに切った紙を貼り合わせるのが正しいと思うのですが、この段階では適当なサイズで貼り合わせておきます。
家に厳密な裁断機がなく、どうしてもサイズに差が出てしまったため、全て貼り合わせた後に紙を切る作戦にしたからです。 

以下ダイジェスト


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まず生麩糊を作ります。
お鍋で温めながら攪拌していきます。ぐるぐるぐるぐる。
15分くらいで固まります。
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糊ができました。
適当にタッパーに入れておきます。
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作った生麩糊を使って紙を貼り合わせました。
砥の粉をどこでどれくらい混ぜればいいかよくわからなかったので
生麩糊を水に溶かした後適当にザーッと混ぜてます。


生麩糊の扱いについては以下のYoutubeを参考にしつつ、適宜アドリブでなんとかしました。



彩色、の前にステンシルシート準備

次に、花札の図像に沿って順次に彩色する工程に移る。上糊を施した骨摺りの紙の上に原紙を載せて刷毛でその色の顔料を塗りつける。

日本かるた文化館「(五)手作り花札の製作工程」
https://japanplayingcardmuseum.com/112-1-5-making-process-handmadecarta/

「カッパ摺り」に使われる顔料の色は、黒色、赤色が中心であるが、その他に「菊」「紅葉」の札の黄色、「萩」「芒」「紅葉」の札の茶色、「菖蒲」「柳」の札の水色、「桜」の札の桃色、「菖蒲」「牡丹」「菊」「紅葉」の紫色などがある。六、七枚の型紙が必要になる。それが揃ったら、表紙(おもてがみ)に「カッパ摺り」(ステンシル)の方法で色を重ねてゆく工程に移る。この工程については少し下で扱う。

日本かるた文化館「(五)手作り花札の製作工程」
https://japanplayingcardmuseum.com/112-1-5-making-process-handmadecarta/

次はいよいよ彩色です。
カッパ摺りという手法で色を塗っていきます。要はステンシルです。
(塗りたい形にくりぬいた紙などを重ねて塗るやつです)

例によって完全にカッパ摺りするのは無理なので、ステンシルシートを用意して色の部分をくりぬいていきます。
本来は和紙をなんか色々やってステンシル用紙も作るのですが、まぁ大変なのでステンシルシートを使いましょう。


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実寸で印刷した絵柄の上にステンシルシートを重ね、色毎に輪郭をなぞっていきます。
上に書いてある文字は気にしないでください。
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なぞった輪郭線をデザインナイフでくりぬきます。
本当に行けるか試したのでちょっと汚れてます。

できました。良い感じですね。
本来は大きな紙を使い花札48枚分の絵柄について同時に骨摺り・カッパ摺りをするようなのですが、今回は絵柄が一種類なので一枚ずつやっていきます。作るの大変ですしね。
スタンプもステンシルも一枚分の大きさです。
塗りが細かい部分や、顔など少しのズレが印象に大きく関わる箇所は手彩色を行うことにし、くりぬいていません。

花札の中でも時代や種類により手彩色を行っているものもあるので必ずしもカッパ摺りを踏襲する必要はないです。自己満足です。
花札ではないですが、以下のようにカルタの復元に際しても彩色の特徴から手彩色を採用しているケースもあります。

天正カルタの場合には、滴翠美術館のカルタの彩色方法を穴の開くほど見たうえで、色塗りがデザインの輪郭に正確に忠実で、最初期の合羽摺りではここまでは無理であったであろうことから、手彩色に決定して、手描きの技法に長けている京都の宮脇売扇庵に依頼した。

日本かるた文化館『「三池カルタ」の復元:(六)骨刷りと色入れ』
https://japanplayingcardmuseum.com/2-1-4-6-miikecarta-woodprinting-colouring/



彩色

用意したステンシルシートを使って塗っていきます。

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良い景色。

塗りました。


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ステンシルで塗るとはこういうことです。
過程の写真を撮り忘れたのでこれはでっち上げです。
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髪や目など細かく、微妙なズレが印象に大きく作用する部分は手彩色です。



花札における彩色のズレについて

工程の途中ですが、「絵柄を決める」の項でも触れた彩色のズレについて少し詳しく説明します。
説明します、と言いつつ引用するだけですが。以下の通りです。

この「ずれ」は、合羽摺りというカルタの制作工程から生じる不可避のポイントであり、カルタ職人の腕前の問題ではない。だから、古い手作り時代のカルタを復元する際には、必ずこの「ずれ」を入れたデザインにしなければならない。

日本かるた文化館『「三池カルタ」の復元:(六)骨刷りと色入れ』https://japanplayingcardmuseum.com/2-1-4-6-miikecarta-woodprinting-colouring/

この問題を理解するために表紙(おもてがみ)の印刷について書いておこう。まず、カルタの用紙は、骨刷りを済ませると、湿気を与えては色を載せてゆくという作業を繰り返す。この段階で乾燥にともなって紙が縮小するので色入れされる部分に狂いがでる。他方、骨刷りした和紙から製作する色入れの台紙は木蝋などの油に浸すので縮小することはない。こうなると、縮まない色入れの台紙で縮んだ表紙(おもてがみ)に印刷することになり、「ずれ」が生じる。それも同じ一枚の表紙でも、中心よりもはじのほうが「ずれ」が大きい。たとえば昔からの版木を使った花札では、はじのほうに配置されている「菖蒲」のカス札、「柳」のカス札、「梅」のカス札などに「ずれ」が大きく出てくる。逆に、これらの札の「ずれ」が小さく、他の札の「ずれ」が大きい場合には、制作工程に何かの違いがあったことを意味する。

日本かるた文化館『「三池カルタ」の復元:(六)骨刷りと色入れ』https://japanplayingcardmuseum.com/2-1-4-6-miikecarta-woodprinting-colouring/

ということで、ズレが生じる理由は和紙の収縮によるものであり、48枚を一度に作る上で端の方に配置されている図柄において起きる現象であることがわかります。

ということは……一枚ずつ彩色している今回の作り方ではズレが起きないのでは……?
はい、その通りです。ズレを再現するというのであれば、札がどのあたりに配置された図柄なのかを意識してズレの方向や量を一様にしなければいけません。

今回の制作方法で彩色がズレている理由は純粋な自分の技量不足と、紙の特性による色にじみによるものです。
ステンシルではなく全て手彩色にすればこのズレは避けられたのですが、自己満足によりステンシルを採用したためこうなっています。

花札のズレを再現しているだけですが?という顔をしておいて実態とかけ離れていることを説明しないのは不誠実だろう、と思ったので本項で説明させていただきました。

ちなみにこれ以外にもズレの理由があるかもしれないのですが、そこまでは解説を見つけることができませんでした。カッパ摺りの職人の腕や台紙の質次第ではシンプルにズレるのでは……?という気もします。どちらにせよ現代ではあまり考える必要のないことかもしれませんが。



表紙と芯紙を貼り合わせ、裁断

ここまでの工程で作った表紙と芯紙を貼り合わせます。
特に指定はなかったのですが、せっかく買ったので生麩糊を使います。
ぐつぐつコトコト。

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一気に貼ったら盛大に反れて剥がれていったのでこの後小分けにして貼り直してます。
紙の扱い難しすぎる。

貼り合わせたら一枚一枚裁断していきます。
前述したように紙を厳密に同じ形にできなかったので適当な大きさで張り合わせていますが、結局ここで花札サイズにカットするんで工程的には別にこれでも良いんじゃないかと思っています。
シンプルに切り落とす部分の紙がもったいないので、そこは紙作ってる人ごめんなさいの気持ちです。

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切りました。
花札感出てきました。



裏紙を貼る

次に、「生地」と裏紙を貼り合わせて、表紙の外側にはみ出した裏紙の部分は折り返して表紙の縁とする。これを縁返し(へりかえし)と呼んでいる。
~中略~
よく、現代に素人が手作りした花札やその他のカルタを見かけるが、いずれもヘリが二ミリ程度まで太くて野暮ったいし、上下左右のヘリの幅も不揃いになりがちで、改めて明治期の職人技のすごさを感じる。

日本かるた文化館「(五)手作り花札の製作工程」
https://japanplayingcardmuseum.com/112-1-5-making-process-handmadecarta/

裏紙を貼っていきます。花札の周りの黒とか赤の枠みたいな部分です。
作った生地より一回り大きい紙の四隅をカットし、生地と貼り合わせた後はみ出た部分を折り返します。
どうもヘリの太さが適切であること・ヘリの幅が均一であることが評価項目みたいなので気張っていきましょう。

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貼りました。
一気に花札になりますね。
ここまで書き忘れていましたが、寸法は
芯紙:54 * 33
裏紙:59 * 39 -> 後に58*39に変更
で作りました。最初そっちの方がかっこいいかなと思って左右のフチの方がほんの少し大きかったのですが、やめました。普通に細い方がかっこよかったです。


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裏紙は頑張って寸法を測って一枚一枚切り出しています。
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裏紙を貼った後ダンボールの上で雑に乾かされる札たち。



名前入れ

忘れてる方もいるかもしれませんが、一応今作っているのは名刺なので、TwitterのIDを書いておきます。
ついでに、スタンプで押した線画の掠れている箇所なども同じペンで手直しします。
PIGMAというペン先0.03mmのほっそいサインペンを使っています。

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ちっちゃくね。一応ね。

文字を入れるにあたり、いくつか過去の花札に倣うことを検討しました。

花札に文字が入れられている例として、まず和歌が描かれているものが思い浮かびます。

日本かるた文化館「江戸中期武蔵野(井上家春作、滴翠美術館蔵)」
https://japanplayingcardmuseum.com/image/hanafuda-musashino01.pdf

また花合わせかるたでは得点が記載されていることがありました。

日本かるた文化館「幕末期手描き花合せかるた(伝狩野芳崖筆、『日本の美術1狩野芳崖』)」
https://jpcm.sub.jp/home/image/hanafuda-hanaawase09.pdf

短冊に月の名前が描かれていることもあります。これは現代の花札にもたまにあるかも。

日本かるた文化館「明治中期武蔵野(制作者不明、レンセラー『悪魔の絵本』)」
https://japanplayingcardmuseum.com/image/hanafuda-musashino-09.pdf

その他、ズバリ名前の記載として、"芒に月"の札に"家春"という屋号を記載した例もあります。
(『花札 (ものと人間の文化史 167) 』江橋 崇 (著) p.85)


いずれにしても、現代花札ではあまり見ない形式であるため、検討したものの真似することはやめました。
英字を使う関係からも、変に絵に馴染ませようとすると悪目立ちするように感じられたので、割り切って花札の世界とは別のものとして、端の邪魔にならない箇所に小さく記載することにしました。



コーティング

乾燥させた後でローラーにかける「艶出し」の工程に進む。江戸時代のカルタ職人を描いた絵には手動のローラーを使っているところが描かれているが、さすがに明治期以降は機械化が進んだ。しかし工程の基本は同じで、カードを椿の木材で作った二つの丸いローラーの間を通して柿渋からつやを出し、二つのローラーの回転の微妙な違いで裏側に少し反った状態に仕上げる。

日本かるた文化館『「三池カルタ」の復元:(五)手作り花札の製作工程』https://japanplayingcardmuseum.com/2-1-4-6-miikecarta-woodprinting-colouring/

どうも最後に艶出しという工程があるのですが、よくわかりませんでした。
椿のローラーを通して柿渋をつけると書いてあるのですが椿から柿渋は出ないです、ローラーに塗っておくということでしょうか。
また柿渋を塗ると少し紙が黄色くなってしまうと思うのですが、どうしているんでしょう。変色するのが正しいのでしょうか。
よくわからなかったのでここの工程は無視することにしました。

ただ、確かに紙で作ったままだと艶はなく、強度的にも不安があったので何かしらの方法でコーティングすることにしました。
名刺として触ったり擦れたりすることを考えると、和紙の毛羽立ちは何かしら対策したいです。

和紙ということで日本画の工程などをさらってみたのですが、どうも日本画は完成した後に表面処理を施したりはしないそうです。そうなんだ。
困ったので知り合いの知り合いである日本画家の方に質問してみたところ、確かに日本画ではコーティングしたりはしないが、何かしたいのであれば紙は気にせず使用した絵の具に合わせたコーティング方法を試すのが良いだろうという返答をいただきました。なるほど。
実は今回は一般的に日本画に使用される岩絵具ではなく、水溶性のアクリル絵の具を使用して彩色していました。これは自分が専門的な日本画のスキルなどはなく、変に本格的なものを使ってみるよりも比較的扱いやすいものを使った方が良いだろうと思ったからです。
ということで、上記を踏まえニスを使用してコーティングすることに決めました。

ということでニスを塗っていきます。
最初は刷毛を使ってニスを塗ろうとしたのですが、縁に使用している黒い和紙の繊維がほどけて絵の白い部分に混ざったりしてしまったので、本来の工程に倣いローラーを使用して塗るよう変更しました。やっぱ色々理由あるんですね。
最初塗りすぎてほぼニスの板になってしまったので、塗る量も試行錯誤しています。表面に薄く一回だけ塗って、裏面には一切塗っていません。側面には筆で毛羽立ちを押さえながらほんの気持ち多めに塗っています。和紙の質感を保ちつつコーティングが出来たかなと思います。

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ちょっと丁寧に干される札たち。
端の方がくっついたりして大変でした。



完成!!

出来ました!最初にも載せましたが改めて完成品を載せておきます。

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なんだかんだで花札っぽくなったんじゃないでしょうか。
たくさん並んでるとそれっぽく見えるなと思います。
市販品の花札と比べてみたのですが、サイズ感もかなり良い感じでした。


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下の白い部分が通常の名刺の大きさです。手作り名刺用の台紙です。
横縦半分よりちょい大きいくらいですね。


ちなみに名刺と比べるとこんな感じです。小ささ伝わりますかね。
名刺入れに入るのかなとか色々不安です。やっぱこれ名刺って言い張るのは無理あるか。



あとがき

ここまで読んでくださってありがとうございました。
改めての注意になりますが、本noteはあくまで自分が見よう見まねで花札を作ってみた工程の説明であり、本来の花札の制作工程とはかけ離れたものであることをご留意ください。
でもなんだかんだそれっぽくなったんじゃないでしょうか。どうかな。

とりあえず一生使わなそうな材料が色々余って困っています。砥の粉とかどうしよう……
生麩糊はタッパー一個分って作りすぎたかなと思ってたんですが、普通に結構使いました。まぁ余りましたけど。
なんか今までやったことない作業が出来て結構楽しかったです。糊って煮るんですね。全行程においてあまりやったことない作業ばかりでした。よくまぁ形になったもんだ。今までで一番手探りで物作ってたかもしれないです。
二周目で作ったものの方が明らかにクオリティ高くて面白いです。もう少し時間があったら絵の具ももっとこだわったりしたかったのですが。ところどころ発色が気に入っていないです。

何はともあれ完成して良かったです。
名刺……と言い張るにはいささか変な部分も多いですが、我慢してもらえるとありがたいです。


なんか作ったよってnoteももう恒例ですね。
今までの制作note達は以下です。改めて並べると変ですねえ。
これからも色々変なことしていきたいなと思っています。
それでは改めて、読んでいただきありがとうございました。


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