広陵高校「いじめではない」と判断、県への報告行わず…“集団暴行”巡る学校の対応に「重大事態にすべき案件」識者が“問題”指摘
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「上級生が下級生に指導をする際に、手が出てしまった」
広陵高校は、筆者の電話取材に応じ、部内で暴力事件があったことについては以下のように「事実」と認めた。 「1月下旬に硬式野球部内で暴力事件がありました。具体的には、上級生が下級生に指導をする際に、手が出てしまった。それは事実です。ただ、ネットで指摘されている中で学校としては事実を確認できていないものもあります」(同校事務長) 「事実を確認できていないもの」とは、主に「性的なことについて」だという。SNS上では集団暴行の中で、上級生が被害生徒に対し陰部をなめるよう指示したなどという話も出回っている。こうした内容については「学校の聞き取り調査では(性的な)行為は確認できていません」(同前)とした。
高野連と保護者に違う「報告書」渡したか
また、保護者のものと思われるアカウントの投稿では、学校が高野連へ送った報告書の内容と、保護者に渡した報告書の内容が違うとの指摘がなされている。 この点について事務長は「(保護者が言う報告書は)中途のもので、最終的な報告書ではないのではないかと思っています。高野連に送ったものが最終的な報告書です」と説明した。 その上で、警察の捜査には学校としても全面的に協力し、学校ではすでに加害生徒に対する処分も行ったという。 「暴力行為が事実と判明した時点で、学校としては加害生徒らに謹慎処分を行いました。内規に関わるため具体的な日数は申し上げられませんが、登校禁止にしました。また、高野連からは、学校に対して厳重注意処分、加害生徒に対しては、対外試合出場停止1か月という処分がありました」(事務長)
「今回はいじめではなく暴力事件」県への報告なし
こうした暴力事件は、いじめ防止対策推進法で定義される「いじめ」(同法2条1項 ※)に当たり得る。また、被害生徒が怪我をし、転校を強いられた点から考えれば、同法における「重大事態」(同法28条1項)に当たる可能性も生じる。 ※児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているもの 重大事態に該当するのは以下の2つの場合である。 1.いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき。 2.いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。 このいずれかに該当する場合、学校法人が運営する広陵高校では、学校を所轄する広島県の知事に報告しなければならない(同法31条1項)。さらに、事案の報告を受けた知事が必要と認めた場合には、附属機関を設けるなどして、学校が行った調査結果について調査することができるとされている(同条2項)。 しかし、学校側は「今回はいじめではなく暴力事件」として、そもそも県への報告を行っていない。 「今回は、指導に伴う単発の暴力です。これもあってはならないのですが…。行為が継続的に行われたわけではないため、学校としてはいじめ、ないしは、いじめ重大事態としては捉えていません」(事務長) こうした学校側の対応について、いじめに詳しい藤川大佑・千葉大学教育学部長は「学校内で行われた本件集団暴行は明らかに『いじめ』です。被害生徒が転校したのなら重大事態にすべき案件でしょう」と指摘。さらに「県への報告も、調査も必要だと思います」と語った。
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