日本国内の鉄道事業者のうち約6割で発覚した輪軸組み立てにおける不正作業は、2024年7月24日にJR山陽線新山口駅構内で発生した貨物列車の脱線事故が発端となって明るみに出た。2025年6月26日、その脱線事故から1年になるのを前に、運輸安全委員会は原因調査の経過報告を公表した1)。原因の特定には至っていないが、破断していた車軸に顕著なかじり傷(ひっかき傷)が付いていたと明らかにしており、通常では想定しにくいところにあったことが分かった。
輪軸は、車軸を車輪の穴に押し込んで組み立てたもので、駆動軸の場合は歯車も組み合わせる。事故をきっかけに、全国の鉄道事業者が輪軸組み立ての際に加えた力が規定通りだったかを点検したところ、多くの鉄道事業者で規定を逸脱した輪軸が見つかり、それが付いた車両を運用していた事実が明らかになった。
経過報告は、運輸安全委員会設置法第25条4項「事故等が発生した日から1年以内に事故等調査を終えることが困難であると見込まれる状況にあることその他の事由により必要があると認めるときは、事故等調査の経過について、国土交通大臣に報告するとともに、公表するものとする」の規定に基づく。同報告の内容から見て、車軸のかじり傷が破断と大きく関係する、と運輸安全委員会は考えていることになる。
大歯車が付いていた部分にかじり傷
この事故で脱線したのは、福岡貨物ターミナル駅発東京貨物ターミナル駅行きの上り貨物2054列車(24両編成)。新山口駅を発車した直後の2024年7月24日12時32分ごろ、先頭の機関車(EF210-341)の進行方向1番目の車軸(第1軸)の車輪が進行方向左へ脱線した(図1)。列車の停止位置は発車地点から300m進行した場所で、その約40m手前から枕木に車輪の通過跡が見られた。負傷者はなかった。
機関車の輪軸には左右の車輪2枚と、両輪の間に大歯車が付く。第1軸では進行方向左寄り、車輪のすぐ内側に大歯車が付いていた。この大歯車取り付け部(歯車座)の外側(左側)寄りで第1軸が破断していた(図2)。
運輸安全委員会は、第1軸から大歯車を取り外し、大歯車がはまっていた歯車座を露出させた。大歯車の取り外しに当たっては、はめ合い面に新たな傷などが生じないように、抜き取るのではなく切削した。具体的には、大歯車のボス部(中心部)が厚さ20mm程度の円筒状になるまで切削で除去した後、残ったボス部を割って車軸から取り外した(図3)。
その結果、歯車座にも、大歯車の軸穴内面にも、圧入方向(軸の長手方向)にかじり傷があった(図4)。さらに軸表面には、破断面から5~10mmの範囲で黒い付着物があった。かじり傷は圧入時に生じたものと考えるのが自然だが、経過報告ではいつ生じたかについては言及していない。















































