那覇市の首里城で令和元年10月、火災で正殿などを焼失したのは指定管理者の沖縄美ら島財団が防火管理上の注意義務を怠ったためとして、県が財団に約2億円を賠償請求するよう求めた住民訴訟の口頭弁論が7日、那覇地裁(片瀬亮裁判長)であった。火災分析などに詳しい技術士が出廷し、火災原因は「照明につながる電源コードのショート(短絡)以外考えられない」と証言した。
証人として出廷したのは、京都市の技術士、鍵谷司氏(80)。火災原因を特定できないとした那覇市消防局の結論を疑問視し、火災原因鑑定書の内容に不備があり、消防研究試験センターの燃焼実験も不十分だったと指摘した。
鍵谷氏によると、出火当時、正殿内の分電盤室には、LED照明2基につながる延長コードが置かれていた。財団が見学通路を分電盤室を通るルートに変更したことでコードが不特定多数の人に踏みつけられ、コードの銅線が損傷、断線した可能性があるという。
正殿の電気系統は午後9時半に自動的にブレーカーが落ちる設定になっていたが、防犯カメラと照明の電源は常時通電状態となっていた。
コンセントからプラグが抜かれた状態だった近くの送風機はコードに溶融痕がなかったため、鍵谷氏は「発火源ではない」との見方を示し、溶融痕のあった照明につながるコードについて、「断線した部分が発熱し、温度が高くなったと考えられる」とした。
令和元年10月31日午前2時半ごろ、正殿から出火し、計7棟が全焼した。漆器などの収蔵品391点も焼失した。当時、正殿にはスプリンクラーがなく、鎮火まで約11時間かかった。創建以来、度重なる火災に見舞われ、焼失は5回目だった。