赤澤経済再生担当大臣は訪問先のワシントンで「相互関税に関するアメリカ側の内部の事務処理で日米間の合意に沿っていない内容の大統領令が発出され、適用が開始されたことは極めて遺憾だ」と述べました。
また、「アメリカ側の閣僚からも今回のアメリカ側の手続きは遺憾だったという認識の表明があった」と話しました。
さらに、「アメリカ側から、今後、適時に大統領令を修正する措置をとる際には今月7日以降に徴収された相互関税のうち日米間の合意内容を上回る部分については7日にさかのぼって払い戻す『遡及効』にしたいという説明があった」と述べました。
大統領令の修正措置が講じられる時期については、「アメリカ側の内部の事務処理ということなので、アメリカ側が判断することだが一般的な理解として遡及する効果がついたまま半年や1年ということは当然ない。常識的な範囲でアメリカ側が対応すると理解している」としています。
赤澤経済再生担当大臣は訪問先のワシントンで先の日米合意の内容が反映されずに一律15%の関税が上乗せされる状況になっていることについて、アメリカの閣僚と会談した結果、アメリカ側から、大統領令を適時修正する措置をとると説明があったと明らかにしました。
また同じタイミングで自動車などの関税を下げるための大統領令を発出することも確認したと説明しました。
目次
“合意文書”についての見解は
赤澤大臣は記者団から、合意文書を作成しなかったことで、日米間のそごが出たのではないかと問われました。
これに対して、「合意内容に沿わない大統領令の発出と適用の開始はアメリカ側の内部の事務処理に際して発生したもので、日本政府が合意の履行を優先した結果、上乗せは25%ではなくて15%で済んでいる。文書を作成していないから何かが起きたというのは、まったく理解できない」と述べました。
その上で「常識的に考えてほしいが、合意文書を作るなら日本に都合のよい『関税率をこうする』ということだけ書いてアメリカ側が署名してくれると思うのか。アメリカ側がファクトシートに書いていること全てについて納得する書きぶりになるまで調整を続けることになり、7月22日に合意し、8月1日の期限に間に合うのか。よく考えてほしい」とも話しました。
赤澤経済再生担当大臣は日本時間の午前9時すぎ、旧ツイッターの「X」に今回のアメリカ訪問についてメッセージと写真を投稿しました。
この中では、会談したラトニック商務長官を「ラトちゃん」と称し「日本愛あふれるナイスガイ、ラトちゃんとの話し合いは割と上手くいきました」としています。
また、ベッセント財務長官を「ベッちゃん」と称し「大親日家のベッちゃんとも旧交を温めました。大阪・関西万博のアメリカ代表団団長として来日された時にプレゼントした、赤松健参議院議員の描いたポートレートを執務室に飾ってくれていました」とつづっています。
赤澤大臣は日本時間の9日午後、帰国する予定です。
武藤経産相「合意が着実に実施されるように求めていきたい」
武藤経済産業大臣は閣議のあとの会見で「引き続きアメリカ側に対し、可及的速やかに相互関税に関する大統領令を修正する措置をとるよう、あらゆる形で強く申し入れていく必要がある」と述べ、企業に対してきめ細かく情報提供を行っていく考えを示しました。
また、同じタイミングで自動車などの関税を下げるための大統領令が発出されると確認されたことについては「合意が実現したとしても15%の税率は残る。ほとんどの自動車メーカーの決算が関税の影響で減益になっていると聞いているので、必要な追加的対応について検討を進めていく」と述べました。
このほかトランプ大統領が輸入される半導体について「およそ100%の関税を課すだろう」と述べたことに関連して、武藤大臣は「今後明らかになる措置の具体的な内容や影響を十分に精査をしながら適切に対応していく方針だ。分野別関税が課されても他国に劣後する扱いとはならないとされているが、日米間で意思疎通しながら合意が着実に実施されるように求めていきたい」と述べました。
小泉農水相「過払い分 確実に払い戻しを」
小泉農林水産大臣は閣議のあとの会見で「アメリカ側も事務的なことについて遺憾の意を表明されたということも含め、今回の赤澤大臣の訪米によって安心された方がいるのではないか。これからは過払い分が確実に払い戻しを受けられるように対応していきたい」と述べました。
自民 小野寺政調会長「米側が事務的ミスを認めたと受け止め」
自民党の小野寺政務調査会長は8日午前、党本部で記者団に対し「アメリカ側が事務的なミスを認めたと受け止めており、速やかに訂正されると思う。トランプ政権に対してはひとつひとつ確認しながら合意を前に進めることが大切で、赤澤経済再生担当大臣にもそのようにお願いした。細心の注意を払って合意が履行されるよう進めてほしい」と述べました。
立民 野田代表「先行きの不透明感を払拭できない」
立憲民主党の野田代表は記者会見で「アメリカが適時に大統領令を修正するということだが、いつ修正されるかも分からず、先行きの不透明感を払拭できない。合意文書を作らなかったことは私は大きなミスジャッジだったのではないかと思っており、この事態において、今なお石破総理大臣とトランプ大統領との会談がまったくないこと自体も奇異に映る」と述べました。
その上で「いずれにしても赤澤経済再生担当大臣が帰国したら閉会中審査を実現し、説明をしっかりと聞かなければいけない」と述べました。
株価値上がり 大統領令 適時修正の説明を受け
株価 値上がり 米関税措置めぐり
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【中継】ワシントンの最新情報は
赤澤大臣と会談したベッセント財務長官は、アメリカメディアのインタビューに応じましたが、話題は中国やインドをめぐる対応が中心で日本への関税措置についての言及はありませんでした。
今回の問題をめぐってホワイトハウスの関係者はNHKの取材に対し、日本には従来の税率に一律で15%を上乗せするという認識だったと説明していて、日本との間では食い違いが生じていたという指摘が出ています。
交渉の関係者は、通商交渉は、合意に達するより、合意の詳細を詰め、実行に移す方が難しいと口をそろえます。
日米の合意内容を実行に移す難しさがあらわれたとも言えると思います。
日本政府が日米合意を文書にしなかったことについてアメリカ政府の元高官などは「詳細な合意内容を盛り込むには時間がかかるためで、自動車への関税の引き下げをできるかぎり早く実現させたいという強い思いが背景にあった」と指摘しています。
赤澤大臣の発言どおり、トランプ政権が日本に一律15%の関税を上乗せしている状況を解消するための大統領令の修正をいつ実行するのかや、そのタイミングで自動車への25%の追加関税の引き下げを行うのかが焦点となります。
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【解説】食い違い解消へ 成果は?
Q.日米の食い違いの解消に向けて、成果はあったのか?
赤澤大臣は、現地時間の7日、ラトニック商務長官とおよそ3時間、ベッセント財務長官とおよそ30分協議したと明らかにしました。
先ほど協議を終えた赤澤大臣が記者団の取材に応じ「日米間の合意内容に沿っていない内容の大統領令が発出されたことは極めて遺憾で、アメリカ側の閣僚からもアメリカ側の手続きは遺憾だったという認識の表明があった」と述べました。
その上で、従来の税率が15%以上の品目は新たな関税が上乗せされないなど、日米で合意していた措置に修正することで一致したと明らかにしました。
赤澤大臣は、今回の合意内容を上回る関税を払った場合、払い戻す措置を講じることでも一致したとしています。
さらに、合意内容に沿った15%の関税が適用されるタイミングで自動車や自動車部品の関税も15%に引き下げることで合意したと述べました。
Q.では、今後どう対応するのか?
赤澤大臣の説明によれば、新たな15%の関税が日米合意にそったものとなった上、自動車関税の引き下げについても確約を取れたということは前進だと考えられます。
ただ、いずれにしても一定の関税率が課されることとなるため、シンクタンクからは、実質GDPが引き下がるとの指摘が相次いで出されています。
ある程度の日本経済への影響は避けられません。
また、自動車への関税も影響が大きいです。
自動車メーカー各社のことし4月から6月までの決算では、営業利益が合わせて7830億円押し下げられ、業績への厳しい影響が表面化しています。
今回の協議で一定の前進をしたとはいえ、そもそもアメリカによる関税措置は、自由貿易の考え方をないがしろにした一方的なものと言えますし、その上、日米での合意もスムーズな履行にならなかったというのは、トランプ政権と対じすることの難しさをあらためて示したと思います。
日本としても、この間の交渉をしっかり検証し、どう今後につなげるかを考えていく必要があるのではないか。
赤澤経済再生相 商務長官らと会談 修正申し入れ
アメリカのトランプ政権は日本時間の7日、世界の国や地域に対する新たな関税率を適用しましたが、日本にとっては先の日米合意の内容が反映されずに一律15%の関税が上乗せされる状況になっています。
こうした中、赤澤経済再生担当大臣は、訪問先のワシントンで日本時間の7日夜から8日未明にかけてアメリカ商務省でラトニック商務長官とおよそ3時間、8日朝にはアメリカ財務省でベッセント財務長官とおよそ30分間、会談しました。
一連の会談で双方は先の日米合意に基づき両国の利益となるような取り組みを着実に進めていく重要性を確認しました。
その上で赤澤大臣は相互関税についての合意内容を改めて確認し、合意に基づき、可及的速やかに大統領令を修正する措置をとるよう強く申し入れました。
さらに自動車など関税を引き下げる大統領令も発出するよう強く求めました。
日米合意の内容反映されず 早期修正焦点に
アメリカのトランプ政権は、日本時間の7日、世界の国や地域に対する新たな関税率を適用しました。
日本にとっては、先の日米合意の内容が反映されずに一律15%の関税が上乗せされる状況になっていて、合意内容に基づいた修正が早期に図られるかが大きな焦点になります。
アメリカは、先月31日の大統領令に基づいて、日本時間の7日午後、世界各国や地域への新たな関税率を適用し、日本の関税率は15%とされました。
これについて日本政府は、先の日米合意のあと、
▽従来の税率が15%未満の品目は税率が一律15%に引き上げられ、
▽従来の税率が15%以上の品目は新たな関税が上乗せされず、これまでの税率が維持される
などと説明していました。
しかし、アメリカの大統領令などにこうした記載はなく、従来の税率に一律で15%上乗せされる状況になっています。
たとえば牛肉の場合、元の26.4%になる見込みだった関税率が41.4%に引き上げられるなど、一部の品目で影響が大きくなるおそれがあります。
石破総理大臣は、7日夜、記者団に対し、「訪米中の赤澤経済再生担当大臣が、アメリカ側との間で合意の内容を改めて確認し、すでに適用が開始された大統領令を修正する措置を直ちにとるよう強く求めている」と述べ、閣僚レベルを含めあらゆる形で働きかける考えを示しました。
政府関係者からは、「アメリカの閣僚の間で、日本への関税率をめぐって認識のずれがあった可能性がある」といった声も出ていて、合意内容に基づいた修正が早期に図られるかが大きな焦点になります。
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