収益悪化が止まらない自販機業界 結局「人手」が必要なビジネスの現実
労働集約的な小売業や外食業界では、人手不足と人件費の高騰が深刻な課題となっている。この状況が今後解消される見通しは立っておらず、労働力人口の減少とインフレ環境の中、従来の延長線上で労働集約的なビジネスを持続することは困難になっている。 【画像】清涼飲料 販売チャネル別構成比の推移。自販機のシェアが明らかに減っている(筆者作成) 当然、小売・外食大手はこうした状況を十分に理解しており、店舗などのオペレーションに関しても、省人化、自動化に向けてさまざまな設備投資を行うというのが大きな流れだ。スーパーなどではセルフレジ、セミセルフレジの導入はかなり進んできたし、外食大手では配膳ロボットの導入も珍しいものではなくなった。省人化、自動化は小売・外食における「生き残りのキーワード」になっている、といってもいいだろう。
自販機ビジネスが、なぜか苦しくなっている
こうした流れの中で、飲料の自動販売機ビジネスが急速に厳しさを増しているという報道があった。清涼飲料の流通において、自販機は昔から重要なチャネルであることは、読者もなじみがあるだろう。しかし近年は売り上げが低迷し、収益的にもかなり悪化してきているのだという。 「自動販売」という名前からしても、省人化、自動化の先端のようなイメージがあるかもしれないが、これが実は真逆の労働集約的なビジネスなのだ。自販機ビジネスがどういったものかについて、簡単に見ていこう。
高収益だった自販機が、なぜ“稼げなく”なったのか
本来、飲料メーカーにとって自販機は、ほぼ「定価」で売ることができる収益率の高いチャネルという意味で、日本ではとても重要な位置付けとなっている。メーカーは自社グループ内に自販機オペレーターという部門を抱えることが多く、グループ内で収益を確保する方針をとる企業が多かった。 独立系のオペレーターもいて、複数のメーカーの飲料を提供する自販機を運営するという形態も少なくない。自販機というチャネルは日本では当たり前のように普及しているが、ここまで広く普及している国は世界的にも他にないという。都市部に集中居住していて、治安が極めて良いことなどがその理由とされているが、道を歩けば自販機にあたるというのは、日本独特の風景であるらしい。