収益悪化が止まらない自販機業界 結局「人手」が必要なビジネスの現実
実は手間がかかる、自販機の“裏側”
ただ自販機のオペレーションは、販売するには人手はいらないのだが、在庫補充、売上金回収、ゴミ回収という工程が必要であり、実際にはそこを全て人間がやっている。それも自販機はかなり分散して配置されているため、ルートを組んで定期的に回りながら一連のオペレーションをこなしていかねばならず、簡単な話ではない。 その上、補充商品、回収ゴミを積んだトラックで回るのだが、自販機のすぐそばに停車できるとは限らない。飲料の箱を何箱も積んだキャリアーを引いて、階段を上がり降りしている補充スタッフの姿を思い出す方もいるのではないか。また、自販機の大半はいまだアナログ的な機器のため、在庫状況も現場に行かなければ分からないものも多く、補充に関してもノウハウが必要なのである。自販機オペレーションの現場では、かなりの労力がかかっているのである。 そんな自販機オペレーションの人件費負担も上昇の一途であり、自販機オペレーターの収益はかなり圧迫されつつある。それでも量が売れているのであれば、採算もとれるのだが、その売れ行きが思わしくない。 図表1は、清涼飲料に関する販売チャネル構成比の推移を示したものである。飲料販売の主要チャネルはスーパー、コンビニ、自販機だ。15年ほど前までは自販機はスーパーと並ぶ存在だったのだが、その構成比は下落の一途であり、存在感はかなり小さくなった コンビニの出店拡大により「近くのコンビニで買う」という消費行動が定着したほか、コンビニコーヒーという強力な代替商品も自販機に打撃を与えた。さらに、飲料容器が缶からペットボトルに移行したことで、携帯性が向上し「すぐ飲むために自販機で買う」という需要も減った。このように、自販機以外で購入する機会が増えた結果、自販機チャネルの存在感は長期的に低下している。
オフィスや工場から消えた“ドル箱”
さらに言うと、コロナ禍によりドル箱であったオフィス、工場などへの出勤者が減り、大きく落ち込んだ時期があるのだが、その後もオフィス、工場の自販機需要は戻らなかった。 その理由については複合的なようなのだが、少なくとも、在宅勤務が増えたことでオフィス、工場の自販機が不採算となり、相当数が撤去されたことは、かなりマイナスに働いただろう。さらに、スーパーで購入した方が明らかに安いことに多くの消費者が気づいたことも大きい。加えて、コロナ後の急激な物価上昇で実質賃金が目減りし、自販機で飲み物を買うという行動自体が見直される傾向にある。こうして、自販機チャネルの売上は顕著な落ち込みを見せている。 そして、これはコロナ後の急激な物価上昇により、実質賃金が目減りする人が急増した今、自販機で飲みものを買うという行動自体が見直しの対象とされていることだろう。そのせいか、飲料の自販機チャネルの売り上げは、顕著に落ち込みを見せるようになったのである。