風真(かざま)いろは、無断転載に振り回される

 2025年8月2日、ホロライブ所属のVTuber「風真いろは」が、「1,111,111登録者見届け歌枠」をTwitterで告知。

 

画像

https://x.com/kazamairohach/status/1951547697326121011

 

 その後「サムネイルに使用したイラストがAIイラストだった」として、投稿を削除。これはVTuberの損得勘定から生じる選択的反AIムーブ(他のAIは平然と使用するが、AIイラストにだけは反対する)なので平常運転である。

 

画像https://x.com/kazamairohach/status/1951656720524353755

 

 この先がやや複雑になる。そもそも公式タグを付けてこのイラストをポストしていた「藤原ひまわり(FujiwaraHima)」は、このイラストの作者ではなく、ただの無断転載者であった。

 

 作者は「なつき(PTwFpdcO4nRymGy)」という別人で、いわゆる「AI絵師」だが、風真いろはの意向に従い、公式タグは使用していなかった。

 

画像https://x.com/PTwFpdcO4nRymGy/status/1951643721092780543

 

www.pixiv.net

 

 つまり本件は、「AI絵師が公式タグを付けてAIイラストをポストした」というシンプルなストーリーではなく、「元々公式の意向に沿ってタグが付与されていなかったAIイラストを、第三者が公式タグを付けて無断転載した結果、風真いろはが掴まされた」という構造になっている。

 

 本件からはいくつかの知見が得られる。

 

VTuberのサムネイル画像収集システムの脆弱性


 根本的な問題として、「特定のハッシュタグが付いたイラストの中からVTuberが適当なものを動画サムネイルとして使用する」という構造に無理が来ている、という指摘が以前からある。悪意のある人間がハッシュタグを付けてポストすれば無断転載物でも何でも掴ませられるというのは、要するにセキュリティホールだからである。

 

 また、ローカルルールの制定、画像のチェック、そして問題が起きた時の謝罪に至るまで、法人であるカバー社が一切関与せず、VTuber本人に責任を投げっぱなしである点も、以前からよく批判されている。

 

② 反AI自身が反AIの作ったルールを軽視している


 「公式タグを付けるな」というのはVTuberが決めたローカルルールで、今回なつき氏はそのルールを守ったわけだが、守っても結局、無断学習罪、あるいはAI使用罪により、反AIの攻撃対象になっている。

 

画像

https://x.com/NoMoreGAI/status/1952045596195569878

 

画像

https://x.com/akari_aikatsuDC/status/1952229272284016826

 

https://x.com/YU__0_25/status/1952224133296869457

 

 「AI使用を明記しろ」というルールを守ったにも関わらず、放火・殺害予告により逮捕者まで出した車折(くるまざき)神社事件と同様の構造である。反AIが作ったルールを、反AI自身が軽く見ており、守っていようがいまいが、何でも見境なく攻撃に行くため、ルールが有名無実なものになり、さらにローカルルールが守られなくなる、という悪循環が生じている。

 

note.com

 

③ 反AIのデマが無断転載者に利用されている

 

 反AIは約3年に渡り、「AIイラストには著作権がないので転載し放題」というデマを流し続けてきた。

 

画像https://x.com/CornHead0079/status/1952224292122624136

 

 このデマを利用すると、「AI絵だと思いました」と言いさえすれば、事実上何でも無断転載が可能になる。無断転載は手描き絵師にとっても積年の問題であるが、反AIは「とにかくAI絵師が損するなら何でもいい」ため、むしろ無断転載を推奨する態度すら見せていた。その中途半端な態度が今回(VTuberから見て)裏目に出ている。

 

 

 本テキストでは便宜的に「AI絵師」という呼称を用いたが、人に対して「AI絵師」という呼称を用いるのは反AIによる誤用である。「AI絵師」とは、人ではなく、システムの事を指す。

 

note.com