さて、ブログ再開にあたって、小話から始めよう。先の「アフリカ開発銀行」アビジャン総会の折、夜に開催された晩餐会の余興で、コートジボワールの漫談家が披露してくれたものである。皆、アフリカ開発ネタになっている。
▼その1
米国人と、フランス人と、アフリカ人が、それぞれ死んで地獄に落ちていた。神様が、まあ時には電話するくらいはいいだろう、と3人を事務所に連れてきた。
「さあ、ここに電話があるので、好きなところに好きなだけ電話しなさい。ただし、電話代はちゃんと払うこと。」
さて、米国人は家族に電話した。
「ダーリン、家族仲良く、ちゃんと幸せにやっているか。」
しばらく話して、電話を切った後、交換手から請求がある。
「15分ですから、5万フラン(1万円)ですね。」
米国人は、遠距離通話だから仕方がない、さっと小切手を切って支払い、立ち去った。
次に、フランス人は愛人に電話した。
「マ・シェリ、浮気などしていないだろうな。」
しばらく話して、電話を切った後、交換手から請求がある。
「30分ですから、10万フラン(2万円)ですね。」
フランス人は、それにしても高いなあと言いながらも、小切手を切って支払い、立ち去った。
最後に、アフリカ人は家族に電話した。アフリカ人の家族は多い。妻も何人もいるし、子供は名前を覚えられないくらいいる。あれよあれよと、時間が過ぎた。電話を切った後、交換手から請求がある。
「えーと、1時間になりましたね。」
アフリカ人は真っ青だ。小切手はおろか、銀行に貯金もない。それで、電話料金はいくらだろう。
「えーと、100フラン(20円)です。」
えっ、1時間話して、たった100フランとは。
「そうですねえ、地獄から地獄への通話ですから、市内料金です。」
▼その2
今度は天国の話である。100フラン玉と、1万フラン札が、同時に死んで、ともに天国に行った。すると天国の入り口のところで、天使や聖人たちが、迎えてくれる。
誰もが、100フラン玉のところにやってきて、どうだった、天国までの道中は苦労がなかったか、お腹はすいていないか、病気になっていないか、と大変な気遣いである。ところが、1万フラン札のところには、誰一人として来ない。100フラン玉は、VIPルームに導かれて特別待遇なのに、1万フラン札は一般の人々と一緒に、受付前の長い行列に待たされている。
1万フラン札は、たいへん頭に来た。それで、神様の事務室に押しかけていった。
「ちょっと、おかしいではないですか。」
何かご不満でも、と神様。
「もちろんですよ、どうして100フラン玉ごときが、あの待遇ですか。アフリカでは、1万フランあれば何でもできることを、ご承知無いのですか。1万フラン札は、100フラン玉の百倍偉いはずです。」
神様は書き物から目を上げて、こう言った。
「そうは言っても、アフリカの教会では、ミサの献金で投げ込まれるのは100フラン玉ばかりで、誰も1万フラン札などお目にかかったことがないものでね。」
▼その3
開発で大事なのは、小学校での教育である。金持ちの家の近所にむらがる、貧民街の子どもたちも、政府の補助で、小学校に行くようになった。金持ちは、真っ白な四輪駆動の新車を持っている。家の前に停めていた。車体に、「4×4」と描いてある。
それをじっと見ていた、貧民街の子供。足下の石をとって、「=16」と書き込んだ。小学校でそう教わったのだ。金持ちは、ああ仕方がない。車を修理工場に運んで、もう一度ペンキを塗って、綺麗にした。
翌日、真っ白な新車は、また家の前に停まっていた。貧民街の子供がやってきて、それをじっと見ていた。と思うと、足下の石をとって、「=16」と書き込んだ。小学校でそう教わったのだ。
それが何度も続くので、金持ちは頭を抱えた。そこで名案が浮かんだ。車を修理工場に運んで「4×4」の後に「=16」と書き込んだのである。
車を家の前に停めた。貧民街の子供がやってきて、それをじっと見ていた。と思うと、足下の石をとって、書き込んだ。
「たいへん、よくできました。」
▼その4
開発で大事なのは、医療である。そこで、アフリカのある村で、医療チームが出張して、村人たちの健康診断を行うことになった。健康診断など、生まれてこの方、一度も受けたことのない人たちばかりである。
「えーと、採血します。」
医者にそう言われた村人。採血というのは、どうするのかねえ。
「指の先を、少し切って、血を採ります。」
ええっ、と村人。そんな、指先を切り取るなんて。医者は、いやこの方法は、WHO(世界保健機関)も認めている、安全な方法ですから。
村人は、部屋の外に出て、この話を別の村人にした。すると、その村人は、飛び上がらんばかりに驚き、わなわなと震えだした。どうしたんだ。
「お、俺は、検尿しますと言われたのだ。」
話が少し下に落ちたところで、今日はおしまいである。
▼その1
米国人と、フランス人と、アフリカ人が、それぞれ死んで地獄に落ちていた。神様が、まあ時には電話するくらいはいいだろう、と3人を事務所に連れてきた。
「さあ、ここに電話があるので、好きなところに好きなだけ電話しなさい。ただし、電話代はちゃんと払うこと。」
さて、米国人は家族に電話した。
「ダーリン、家族仲良く、ちゃんと幸せにやっているか。」
しばらく話して、電話を切った後、交換手から請求がある。
「15分ですから、5万フラン(1万円)ですね。」
米国人は、遠距離通話だから仕方がない、さっと小切手を切って支払い、立ち去った。
次に、フランス人は愛人に電話した。
「マ・シェリ、浮気などしていないだろうな。」
しばらく話して、電話を切った後、交換手から請求がある。
「30分ですから、10万フラン(2万円)ですね。」
フランス人は、それにしても高いなあと言いながらも、小切手を切って支払い、立ち去った。
最後に、アフリカ人は家族に電話した。アフリカ人の家族は多い。妻も何人もいるし、子供は名前を覚えられないくらいいる。あれよあれよと、時間が過ぎた。電話を切った後、交換手から請求がある。
「えーと、1時間になりましたね。」
アフリカ人は真っ青だ。小切手はおろか、銀行に貯金もない。それで、電話料金はいくらだろう。
「えーと、100フラン(20円)です。」
えっ、1時間話して、たった100フランとは。
「そうですねえ、地獄から地獄への通話ですから、市内料金です。」
▼その2
今度は天国の話である。100フラン玉と、1万フラン札が、同時に死んで、ともに天国に行った。すると天国の入り口のところで、天使や聖人たちが、迎えてくれる。
誰もが、100フラン玉のところにやってきて、どうだった、天国までの道中は苦労がなかったか、お腹はすいていないか、病気になっていないか、と大変な気遣いである。ところが、1万フラン札のところには、誰一人として来ない。100フラン玉は、VIPルームに導かれて特別待遇なのに、1万フラン札は一般の人々と一緒に、受付前の長い行列に待たされている。
1万フラン札は、たいへん頭に来た。それで、神様の事務室に押しかけていった。
「ちょっと、おかしいではないですか。」
何かご不満でも、と神様。
「もちろんですよ、どうして100フラン玉ごときが、あの待遇ですか。アフリカでは、1万フランあれば何でもできることを、ご承知無いのですか。1万フラン札は、100フラン玉の百倍偉いはずです。」
神様は書き物から目を上げて、こう言った。
「そうは言っても、アフリカの教会では、ミサの献金で投げ込まれるのは100フラン玉ばかりで、誰も1万フラン札などお目にかかったことがないものでね。」
▼その3
開発で大事なのは、小学校での教育である。金持ちの家の近所にむらがる、貧民街の子どもたちも、政府の補助で、小学校に行くようになった。金持ちは、真っ白な四輪駆動の新車を持っている。家の前に停めていた。車体に、「4×4」と描いてある。
それをじっと見ていた、貧民街の子供。足下の石をとって、「=16」と書き込んだ。小学校でそう教わったのだ。金持ちは、ああ仕方がない。車を修理工場に運んで、もう一度ペンキを塗って、綺麗にした。
翌日、真っ白な新車は、また家の前に停まっていた。貧民街の子供がやってきて、それをじっと見ていた。と思うと、足下の石をとって、「=16」と書き込んだ。小学校でそう教わったのだ。
それが何度も続くので、金持ちは頭を抱えた。そこで名案が浮かんだ。車を修理工場に運んで「4×4」の後に「=16」と書き込んだのである。
車を家の前に停めた。貧民街の子供がやってきて、それをじっと見ていた。と思うと、足下の石をとって、書き込んだ。
「たいへん、よくできました。」
▼その4
開発で大事なのは、医療である。そこで、アフリカのある村で、医療チームが出張して、村人たちの健康診断を行うことになった。健康診断など、生まれてこの方、一度も受けたことのない人たちばかりである。
「えーと、採血します。」
医者にそう言われた村人。採血というのは、どうするのかねえ。
「指の先を、少し切って、血を採ります。」
ええっ、と村人。そんな、指先を切り取るなんて。医者は、いやこの方法は、WHO(世界保健機関)も認めている、安全な方法ですから。
村人は、部屋の外に出て、この話を別の村人にした。すると、その村人は、飛び上がらんばかりに驚き、わなわなと震えだした。どうしたんだ。
「お、俺は、検尿しますと言われたのだ。」
話が少し下に落ちたところで、今日はおしまいである。
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