大学のない地域どうなるか 三重中京大の「最期」見届けた教授の警鐘
毎日新聞
2025/8/7 06:00(最終更新 8/7 06:00)
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地域に大学がなくなるとはどういうことか。
かつて勤務していた地方の私立大学で学生の募集停止を経験した教授は、その影響の大きさを肌で感じた。
急激な少子化で大学の淘汰(とうた)が進むが、「地域に高等教育機関は残さなければならない」と強調する。
その理由は何か。そして、未来の大学はどうあるべきなのだろうか。
充足率8割、唐突だった募集停止
中京大(名古屋市)を運営する学校法人梅村学園が、津市に隣接する三重県松阪市の東部に松阪大を開学したのは1982年のことだった。
設立の経緯を振り返る毎日新聞の記事によると、開学の話が持ち上がったのは7年前の75年。当時、県内の4年制大学は三重大と皇学館大の二つしかなく、社会科学系の学部を持つ大学がなかったという。
政治経済学部(のちに政策学部、現代法経学部と名称変更)のみの単一学部という特徴があり、学生たちの就職先は地元の三重、愛知両県が多かった。
2005年には、中京大ブランドの効果を生かすことなどを目的に、名称を松阪大から三重中京大に変更した。しかしその4年後の春、大学側は10年度からの学生募集停止を公表する。
09年春の入学者は定員200人に対し155人。大学全体では定員800人に対し学生数は657人で、充足率は82・1%だった。唐突な募集停止は、驚きをもって受け止められた。
当時、講師として三重中京大に勤めていた矢尾板俊平・淑徳大教授(45)は「定員充足率も8割あり、学生の募集停止や閉学が現実味を持つレベルではありませんでしたが、…
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