Mrs. GREEN APPLEが刻んだ鮮やかな青と夏――山下ふ頭 野外ライヴレポート

宗像明将音楽評論家
Mrs. GREEN APPLE(撮影:田中聖太郎写真事務所 提供:ユニバーサル ミュージック)

国内ストリーミング総再生回数が100億回を超えるという、前人未到の領域に足を踏み入れたMrs. GREEN APPLE。まさに国民的バンドとなった彼らが、2025年7月26日、27日の2日間、野外ライヴ「MGA MAGICAL 10 YEARS ANNIVERSARY LIVE ~FJORD~」を山下ふ頭 特設会場で開催した。動員人数は、両日合わせて実に10万人だ。配信やライヴビューイングも合わせれば、30万人以上が見たという。

Mrs. GREEN APPLE(撮影:田中聖太郎写真事務所 提供:ユニバーサル ミュージック)
Mrs. GREEN APPLE(撮影:田中聖太郎写真事務所 提供:ユニバーサル ミュージック)

ここでは、初日である2025年7月26日の模様をレポートすると同時に、私が現場で見てきた2025年のMrs. GREEN APPLEの軌跡についても記したい。

2025年3月11日、Mrs. GREEN APPLE側に招かれて私はある試写会会場にいた。Mrs. GREEN APPLEの新曲先行試聴会が行われたからだ。曲名は伏せられたまま、1回目は音のみを聴き、2回目は歌詞とともに聴く趣向。そこで濃厚な死の匂いを感じさせる楽曲を聴いた。後に、映画『#真相をお話しします』の主題歌として発表される「天国」だった。

大森元貴(撮影:田中聖太郎写真事務所 提供:ユニバーサル ミュージック)
大森元貴(撮影:田中聖太郎写真事務所 提供:ユニバーサル ミュージック)

2025年5月22日には、初の開催となる国内最大規模の国際音楽賞「MUSIC AWARDS JAPAN」の授賞式「Grand Ceremony」がロームシアター京都で開催され、私も主催のCEIPAから招待を受けて出席した。Mrs. GREEN APPLEは、アーティストによるパフォーマンスの最後を務め、「ダーリン」を披露。Mrs. GREEN APPLEを囲むように大人数のストリングスが現れるという演出に加え、終盤では金紙が降り注ぎ、壮大なパフォーマンスを見せた。Mrs. GREEN APPLEは「最優秀アーティスト賞」も受賞している。

若井滉斗(撮影:田中聖太郎写真事務所 提供:ユニバーサル ミュージック)
若井滉斗(撮影:田中聖太郎写真事務所 提供:ユニバーサル ミュージック)

2025年6月18日には、「Mrs. GREEN APPLE presents『CEREMONY』」がKアリーナ横浜で開催された。出演はMrs. GREEN APPLE、ATEEZ、日向坂46、HY、LE SSERAFIM、M!LK、My Hair is Bad、the engy、TOMOO。出演者も客席に作られたエリアでステージを楽しむという、異色のイベントだった。しかも約5時間半。最後のMrs. GREEN APPLEのライヴでは、「ライラック」の演奏と歌が実にタフだった。

藤澤涼架(撮影:田中聖太郎写真事務所 提供:ユニバーサル ミュージック)
藤澤涼架(撮影:田中聖太郎写真事務所 提供:ユニバーサル ミュージック)

そして迎えた2025年7月26日は晴れ渡り、35度の気温と直射日光のなか、「MGA MAGICAL 10 YEARS ANNIVERSARY LIVE ~FJORD~」が開催される山下ふ頭 特設会場へと向かった。身体が煮えそうな暑さだったが、山下ふ頭は山下公園側以外は周囲が海なので、潮風が強い。開演の18時を迎える頃には、陽も傾き、過ごしやすい環境となった。

ライヴは「コロンブス」で幕開け。「ビターバカンス」「フロリジナル」「ANTENNA」と続くなか、色付きの噴煙が上がり、ウォーターキャノンによる放水も行われ、野外ライヴならではの大胆な演出が行われた。

Mrs. GREEN APPLE(撮影:田中聖太郎写真事務所 提供:ユニバーサル ミュージック)
Mrs. GREEN APPLE(撮影:田中聖太郎写真事務所 提供:ユニバーサル ミュージック)

「ANTENNA」の演奏後、Mrs. GREEN APPLEの大森元貴、若井滉斗、藤澤涼架はステージ脇から登場した巨大なフロートに乗りこんだ。フロートは会場をゆっくりと進み、5万人のファン全員を喜ばせる。Mrs. GREEN APPLEは、フロートからボールや水も飛ばした。「クスシキ」を演奏しながら進み、まず辿り着いたのはセンターステージ。そこで「アンゼンパイ」が披露された。

Mrs. GREEN APPLE(撮影:田中聖太郎写真事務所 提供:ユニバーサル ミュージック)
Mrs. GREEN APPLE(撮影:田中聖太郎写真事務所 提供:ユニバーサル ミュージック)
Mrs. GREEN APPLE(撮影:田中聖太郎写真事務所 提供:ユニバーサル ミュージック)
Mrs. GREEN APPLE(撮影:田中聖太郎写真事務所 提供:ユニバーサル ミュージック)

そこでステージに戻るのかと思いきや、さらに後方にあるバックステージへとフロートは向かい、そこで「WaLL FloWeR」「道徳と皿」が演奏された。

大森元貴(撮影:田中聖太郎写真事務所 提供:ユニバーサル ミュージック)
大森元貴(撮影:田中聖太郎写真事務所 提供:ユニバーサル ミュージック)

そして、再びフロート上で「Magic」「Feeling」が披露され、Mrs. GREEN APPLEはメインステージ上に帰還。そこで初披露された新曲が「Variety」だった。2015年にリリースされた、メジャーデビュー・ミニアルバムのタイトルは『Variety』。メジャー・デビュー10周年を機にこれまでの歩みを振り返り、そして未来を描くかのような姿勢を強く印象づけた。

藤澤涼架(撮影:田中聖太郎写真事務所 提供:ユニバーサル ミュージック)
藤澤涼架(撮影:田中聖太郎写真事務所 提供:ユニバーサル ミュージック)

「No.7」が演奏された後、会場のモニターには「ここからはPHOTO OK、MOVIE OK」の文字が。ちょっと驚くほどの大盤振る舞いだ。そして、夏にふさわしい「青と夏」の演奏が始まった。

「どこかで日は昇る」「Loneliness」「breakfast」などが披露されていくなか、ひとつの山場と感じたのは「天国」だった。生と死の交錯するこの楽曲を5万人が集まる野外ライヴで歌うところに、Mrs. GREEN APPLEの矜持すら感じたのだ。そして「ニュー・マイ・ノーマル」へ。

若井滉斗(撮影:田中聖太郎写真事務所 提供:ユニバーサル ミュージック)
若井滉斗(撮影:田中聖太郎写真事務所 提供:ユニバーサル ミュージック)

ライヴの終盤は、「ダンスホール」「ケセラセラ」「ライラック」と、大ヒット曲が並べられた。特に「ライラック」は、2025年7月16日公開のBillboard JAPANのストリーミング・ソング・チャート「Streaming Songs」で通算36回目の1位を獲得するなど、近年これほど人口に膾炙している楽曲も珍しい。

アンコールでは「我逢人」、そして「StaRt」が演奏された。「StaRt」は『Variety』の1曲目、つまり始まりの楽曲である。ステージ上では1200機のドローンがドローンアートを描き、花火が打ち上げられた。

Mrs. GREEN APPLE(撮影:田中聖太郎写真事務所 提供:ユニバーサル ミュージック)
Mrs. GREEN APPLE(撮影:田中聖太郎写真事務所 提供:ユニバーサル ミュージック)
Mrs. GREEN APPLE(撮影:田中聖太郎写真事務所 提供:ユニバーサル ミュージック)
Mrs. GREEN APPLE(撮影:田中聖太郎写真事務所 提供:ユニバーサル ミュージック)
Mrs. GREEN APPLE(撮影:田中聖太郎写真事務所 提供:ユニバーサル ミュージック)
Mrs. GREEN APPLE(撮影:田中聖太郎写真事務所 提供:ユニバーサル ミュージック)
Mrs. GREEN APPLE(撮影:田中聖太郎写真事務所 提供:ユニバーサル ミュージック)
Mrs. GREEN APPLE(撮影:田中聖太郎写真事務所 提供:ユニバーサル ミュージック)

ストリーミング100億回再生といい、「ライラック」のロングヒットといい、いまやMrs. GREEN APPLEは巨大な存在だ。10周年という通過点を、夏という季節に刻み込んでいくかのような野外ライヴ。それが「MGA MAGICAL 10 YEARS ANNIVERSARY LIVE ~FJORD~」だった。

Mrs. GREEN APPLE(撮影:田中聖太郎写真事務所 提供:ユニバーサル ミュージック)
Mrs. GREEN APPLE(撮影:田中聖太郎写真事務所 提供:ユニバーサル ミュージック)
Mrs. GREEN APPLE(撮影:田中聖太郎写真事務所 提供:ユニバーサル ミュージック)
Mrs. GREEN APPLE(撮影:田中聖太郎写真事務所 提供:ユニバーサル ミュージック)

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音楽評論家

1972年、神奈川県生まれ。「MUSIC MAGAZINE」「レコード・コレクターズ」などで、はっぴいえんど以降の日本のロックやポップス、ビーチ・ボーイズの流れをくむ欧米のロックやポップス、ワールドミュージックや民俗音楽について執筆する音楽評論家。著書に『BiS研究員 IDOLファンたちの狂騒録』(2025年)、『大森靖子ライブクロニクル』(2024年)、『72年間のTOKYO、鈴木慶一の記憶』(2023年)、『渡辺淳之介 アイドルをクリエイトする』(2016年)。稲葉浩志氏の著書『シアン』(2023年)では、15時間の取材による10万字インタビューを担当。

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