けっこう書いてきたけど、最後に3つ、エピソードを挙げたい。俺のはもう飽きたと思うから、俺がこれまで気になった、"尖がっている"職員を3人だけ紹介する。
いずれも千字程度で収めるようにする。すでに退職してる人達だけど、最低限のプライバシーには配慮させてもらう。性別がわからないように、全員さん付けで表記する。
一人目は能力が低い系の職員Aさんだ。当時は50才もつれだった。
Aさんとは、不動産関係の仕事で一緒だった。事務仕事をしている人だった。
この人は、能力が極端に低いタイプだった。低さの感じとしては、事務自体は進めることができるのだが、ニガテな仕事は極限まで放置だった。
例えば、地元住民から何がしかの仕事の依頼があっても、ニガテな分野だと永遠に放置したりする。いや、本当にそうなのである。放置。それで、最後は窓口でとんでもなく怒られて、同僚や先輩がフォローする。かくいう俺もそのフォロワーだった。
ある時などは、上位組織である県が絡んでいる住民関係の仕事で……どんな業務だったか、確か「○○のインフラをきれいにする」という趣旨の契約書(のようなもの)を3者で締結する。それで、その○○のインフラを住民団体がきれいにすることを前提に、事実上ある程度独占使用できるようになる。そういう制度だったはず。ちなみに民間企業がこの活動をすると、(一般競争入札) 総合評価落札方式において、最初から+3~5点ほどの加算になる。勝負どころの入札においては強い加点だ。
つまるところ、上の仕事というのは、公共インフラを官民共同で維持管理していくための制度だ。
もう想像はつくだろうが、そのAさんは、ある住民団体から受け取った契約書を……約五か月もの間放置していた。机の中に仕舞っていた。それである日、県とのやり取りの中、異変に気付いた住民団体がクレームを入れてきた。いや、こっちが完全に悪いんだけど。
上司が平謝りしていたのを覚えている。神奈川県にも直接抗議文が出されたんだっけ。それで、そのAさんなのだが……実は、何の処分も受けてない。戒告すら受けてない。厳しめの注意だけ。
そのAさんは、いわゆる『無能キャラ』だった。みんなそういう風にAさんを見ていた。それくらい馴染んでいた。まさに"すみっコぐらし"だった。
下手に注意しても逆効果になるという理由で、先輩や上司もAさんを厳しく扱うことはなかった。実際、公務員を能力不足で退職させるというのは不可能である。
はてな民の半分以上は興味があるであろう、パズドラで言うと……十年以上前だと、ドラゴンや天使悪魔、騎士みたいなやつがエースだったと思う。それが時代を経るごとに、シンプル絵のトリッキーなコンボ7倍カードとかに置き換わって、今になると、すっかり萌えカードが最強格になっている。
パズドラにおいて、十年前のエースカードVS最新の萌えカードだと、前者の勝率は0%と言っていい。公務員をクビにするというのは、それほど不可能に近い。
二人目は、反社系のBさんだ。当時、彼は40代半ばだった。別部署だったけど、席が俺とそう遠くないところにあって、バリバリ財産管理の仕事をしていた。エリート部署ではないが、不動産業務の中枢だった。役職なしでもそれなりの立場。
さて、このBさんだけど、いわゆるヤクザみたいな話し方をすることがあった。イメージで言うと、昨年に放送されたアニメ――『ファブル』やったろうか?――そないなアニメがあったと思うんやが――中盤以降、小島というヤクザキャラが出てきて――話し方としては昭和のおじさんだった。
其処は、住民さんとか企業さんと窓口で厳しいやり取りをすることがある。公有財産に関する部署なので。それである日、Bさんが窓口対応中、近くにある別の課の職員が事務作業中に冗談を言って騒いでいたところ。
「うるせえぞっ!!!」
という怒鳴り声が聞こえた。Bさんのものだった。窓口でBさんの目の前にいる不動産会社の人は、澄ました顔をしていた。さすが、こういう場面にも慣れているのだろうと思った。
「黙って働けや」
Bさんはこういう時、明確な殺意のようなものを向ける。それくらい顔がコワい。外見だって、昔のヤンキーに近い風にしている。ポマード?で髪の毛を固めるとかして。暴対の刑事ほどではないにしても。あと、窓口対応でも現場対応でも、必要に応じて住民さんや企業さんに対して、似たような態度を取っていた。
全く別の場面でBさん本人から聞いたことがある。高校時代は本当にヤンキーだったらしい。高校を出た後はプラプラしていたけど、商工会議所の専務だった叔父が役場を紹介してくれて、面倒な多科目の勉強もどうにか乗り越えて合格したということだ。
Bさんに対してクレームが付くことは頻繁にあった。けど、Bさんの上司はそのことを伝えていないようだった。
実際、こういうタイプの公務員も少しは必要だ。たくさんいたら困るが。というのも、地方公務員にも反社と接する部署というのがあって、そういう部署に標準的な公務員(公立学校で高い内申点だったような人・東大早慶など高学歴な人)が行くと、ノイローゼになったり、鬱になって休職してしまう例がある。
そういう職場には、最低一人はBさんタイプの職員がいて――反社であるとか、反社に近い住民さんや不動産会社が来ても対応できる体制になっていた。
ただ、これってやっぱり必要悪という感じはある。
実は、そのBさんも、時代が進むにつれて仕事を進めるのが難しくなっていった。2020年代に入る頃には、そんなムーブが世間的に度を超えたようになり、総務局長やその上の人達の耳に入って……ある日、ついに事件を起こして退職勧告を受けて、停職二か月の処分を受けて、それでも辞めずにしみじみと働いてたけど……結局は辞めていった。
正直、今でもBさんタイプの職員は必要だと思う。今でも俺は建設・不動産の部署にいるけど、窓口でも現場でも「この言動は……ヤクザかな?(^^)」と思うようなことが稀にだがよくあるから。
俺の場合は、反社ムーヴは純粋に「演技」としてやるようにしている。そういう場面が来た時に、やむを得ずという感じでやる。
現場で住民さんに怖い思いをさせることもあるけど、実際、それくらいしないと解決しない場面はけっこうある。お金が絡む仕事なので、致し方ないと思ってる。
3人目のCさんは、正統派の訳アリ職員だった。この人は不動産の部署のはす向かいで働いていた。
数ある建設・不動産分野の中でも、建築ポジションの人だった。当時の俺よりもかなり年上。専門学校を出た後、技術系公務員として研鑽を積み重ねて今に至る。複数の難関資格持ち。
役職は主任~主査級。「公務員業界だとここまでは自動昇進のため、実質的には平職員だ!」と本人が零していた。
この人には口癖のようなものがあった。いくつか挙げてみたい。
「自分にできることとできないことを区別する。できないことは気にしない」
といったものだ。
民間企業では信じられないと思うが、彼は本当に堂々と主張していた。
特に、①番目である。この人は仕事中はゆっくり~まったり~に見えていたし、実際そうだった。けど、俺が見た数少ない場面では……厳しい局面が近づくほどに、少しずつ力を出してるように見えた。実力者だった。
例えば、ある日の早朝に一緒に現場に行くことがあった。朝八時に「増田君。そろそろ車に乗ろうか」と言われて準備してると、Cさんのいる建築部署に電話がかかってきた。
最初はCさんの部署の若手職員が対応していたが、事務職員では埒が明かず、建築技師であるCさんに電話が回った。電話の子機がスピーカーモードになっており、声がよく聞こえた。
どうやら建築会社の作業員からのクレームのようだった。内容はうろ覚えだけど、こんなやり取りだった。
「現場の中に入って、○△設備番号の標識(下水道関係?)が知りたいけど、資材や警備施設があって入れない。いつになったらここが開くのか」
「んん、あと数時間は開かないのよ。自分らがこれから現地に行って、トラブル対応の調査をして、それから業者が入る」
「それは、区役所が言うことじゃなくて、元請けから聞いておくことやない?」
「あ!? お前、こっちは仕事しとんやぞ。いいから現場の鍵開けろや」
「開きませんね」
「あぁ!?何をや、おい!なんじゃお前。公務員が。その対応はなんや」
「お前どこの会社やっ!!」
「……」
「お前どこの会社やて聞いてる。失礼なのお前や」
「知らんよ」
「知らんわけなかろう。おい、答えろやはよお、通報すんぞ。または会社突き止めるからな。そっからは覚悟しとけよ!」
「……竹中工務店です」
「そこの会社さんには見えんの。あんたの態度は。もういい、こっちが行くからそこで待っとれ。話そうや。簡単なことやったらうちが入って調べたる」
※実際は竹中工務店ではない。孫請け以下の会社と思われる。彼は電話を切った後で退散したもよう
ただの乱暴者に見えるけど、Cさんの対応は演技だった。普段はこんなこと絶対に言わない。よくご飯を奢ってくれる、ニコニコおじさんである。
すでにご理解と思われるが、公務員とはいえ土木建築の部署だと、荒々しい気性の住民や企業と接することが多い。CADで図面を引ける人も必要だけど、Cさんみたいなキャラクターも必要である。いろんな意味で現場に強い人が。
ついでに、Cさんは英語が話せた。現場で外国人労働者や外国人住民と会話しないといけない時に心強かった。ただ……あの電話の後で、一緒に車で現場に行く時に、Cさんが言っていた。
「いいか。爪は隠せ。爪が立派だと昇進してしまう。ワシみたいに、爪をうまく隠すと昇進もせんでいいし、楽や。いいか、人事課はな。俺が英語を話せることは知らん。もし英語話せることが知られたら、○○ちゃんみたいに辛くなるやろ~!(※)。ほかにも爪はあるけど、若い頃から必死に隠してきた。増田君もまあ……うまくやれ。係長や次長や課長なんぞに昇進しても、ええことなかろう」
※Cさんと同じ部署に20代で英語を話せる女性職員がいたが、英語関係の事務分掌が増やされてストレス過多となり、退職した事例がある
Cさんの意見は一理ある。ただ、自分が社会のために働けているのって大事なことだと思うので、そこは個々人の判断なのだと感じる。
ところで、Cさんが入庁十年目で一級建築士の資格を取った時も、その後さらに十年以上職場に報告してなかったらしい🤣🤣🤣
公務員業界の役職者というのは、昔は権限があって待遇がよくて、退職金は四千万に届くほどだったという。今では課長級の職員でも退職金は三千万にすら届かない。今、静かな退職とか、出世しない生き方が流行ってるけど、Cさんはとっくの昔にその領域に達していた。
羨ましい限りだった。
今の俺は、中途半端な立場だと思う。あと数年経つと、同世代でも係長になり始める人が出てくる。俺がいる部署の庁内序列というのは、真ん中くらいと思われる。可もなく不可もなく。ということは、自分もいつかは昇進するかもしれない。
ぶっちゃけ、「こいつは昇進させたらダメだろ」という人でも昇進する。それで、多くの場合は途中でやらかして、下の立場に降格になったり、降格しなくても生涯教育とかスポーツ関係とかごみ環境とか防疫とか、人気のない部署に左遷されて万年係長として過ごす。
俺がどうなるかなんてわからないけど、ひとまず昇進は遅れさせるよう今から努力している。やっぱり、コツはCさんだと思う。「自分はこういう人間なんです」って、恥ずかし気もなくアピールできて、それで周りからそしりを受けても、堂々としていられるような――そういう人間になりたいと、Cさんと一緒に仕事をしていて感じた。
いろいろ書いてはきたけど、なんだかんだでこの仕事は気に入っている。ずっと続けていきたいと思ってる。お金持ちになれたとしても、ずっと続ける。
「増田と一緒に仕事するのは嫌だ!」という人は今の職場にもいるだろうけど、気にならない。公務員に向いてない自分自身が気に入ってる。今の査定も、一応は標準以下という感じである。査定シートだと、「能力が高い面はあるものの、性格や人柄に難がある」んだってさwww
でも、それでいい。そういう風に生まれてなかったら、俺が『たましいの仕事』をこうして持てることもなかった。そんな風に俺自身を創ってくれた天に感謝してる。
このあたりで終わりにする。
多分特定まではされないだろう。別にされてもいいけどな。それくらいじゃ公務員の身分はビクともしないし、処分を受けても戒告くらいである。ほかの職員の処分例を参考にするに、そんなものだ。なんかさ、公務員ってさ、『無敵の人』の亜種みたいな気がしてる。
最後まで読んでくれてありがとう。これにて増田を閉じます。俺みたいな公務員の人がいたら、コメントもらえると嬉しいです。バランスもあるので、アンチの人も意見があれば是非コメントお願いします。
さてさて。でもなぜか、公務員人生の二部署目は……広報企画だった。 戦略とかプロモとか、仰々しい名前が付いてる部署。そこで広報紙グループの一担当者になった。例えば豊島区...
先達に倣って増田を投稿してみる。 当方は30代の地方公務員である。関東の役所で働いている。役所の中ではいわゆる最前線。直接住民に接する仕事があるし、そうでない部署でも廊下...
一応読んだけど、横浜市の職員だと思う。○△設計はアイダではないか? プロ野球のスポンサーであるのが本当ならだけど