イヌは気前の良い人か見分けるのが難しい 京都大研究員らが実験

坪谷英紀

 「イヌは人を見る目がある」とよく言われる。だが、実際にはそのようなことはないらしいことを、京都大学のジム・ホイラム特定研究員(動物行動学)らが実験で明らかにした。イヌにとって、目の前の人が気前の良い人か、悪い人かを判断するのは、人間が想像する以上に難しいようだ。

 イヌは動物の中でも最も古くから家畜化され、人間と協調する行動をとるとされている。これまでの研究では、気前の善しあしを見分けられると結論づけたものもあれば、そうでないというものもあり、科学的に定まっていない。

 今回の実験は、ホイラムさんがウィーン獣医大学の博士課程だった、2021年5月から8月にかけて行われた。犬種、年齢(平均年齢5.95歳)もさまざまな飼い犬40頭(雄と雌それぞれ20頭ずつ)が参加。ソーセージを持った2人のうち、「はい、どうぞ」と優しい声をかけてえさをくれる人、もう一人は「だめ」と言い、腕を組んで背を向けてえさをくれない人を演じ、実験に参加したイヌがどちらを選ぶかを調べた。

 その様子を映像に撮影し、体を向けたり、近くにいる時間などを測ったりするなどして専用のソフトウェアで解析し、どちらを選んだかを判定した。

 まず、演じる人間を観察させただけのイヌがどちらを選ぶかをみる実験では、好意的な人を特異的に選ぶことはなかった。さらに、ソーセージをもらうなど人間の演技と直接かかわったイヌがどちらを選ぶかをみる実験でも、2頭が好意的な人を、1頭が冷たい態度の人を選ぶ傾向を見せたものの、全体では好意的な人を選ぶことは統計学的に示されなかった。人とのかかわりがより長い、年をとったイヌでも結果は同じだった。

 ホイラムさんは「成犬の方が人間との経験が多いため良い人かどうかを選べるのではないかと仮定して実験を始めたが、発育や経験による違いは示すことができなかった。飼い犬は人のよしあしを容易に判断していない可能性もあるが、断言はできない。今後は野良犬や介助犬などさまざまなイヌの集団で実験して確かめたい」と話す。

 研究成果は6月28日付の科学誌「アニマル・コグニション」オンライン版(https://doi.org/10.1007/s10071-025-01967-w別ウインドウで開きます)に掲載された。

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この記事を書いた人
坪谷英紀
くらし科学医療部
専門・関心分野
エネルギー、環境、災害、医療、