【福岡・柳川】「お姫様だったのにゼロになった」祖母が大名屋敷を料亭旅館に。受け継いだ18代目の女性当主が目指すもの
約400年の歴史を誇る大名家の末裔が営む、福岡・柳川にある宿「御花」。 この場所を守り、日本から世界へと魅力や価値を発信する18代に、家業を受け継ぎ未来へと渡す意味を語ってもらった。 【画像】百畳の大広間にて。畳を上げた敷舞台で能楽を行ったり、結婚式の披露宴会場になることも。平時は、子どもがかけまわったり、お昼寝する人もいるのだそう。「価値はあるけど”腫れ物”ではない。馴染みがあるほうが大事にする意識も生まれるんだと思います」と代表。ここは幸せな空気に包まれている。
日本の観光や文化財を守り明るい未来へ繫げたい
家業を受け継ぐ、というのは日本中に数あれど、それが大名家の末裔と聞いたらどうだろう。とても興味をそそられないだろうか。 今回お話を聞いたのは、かつて柳川藩主としてこの地(現・福岡県柳川市)を治めていた立花家の18代、立花千月香さん。約400年前の安土桃山時代から続く名家で、先々代から始められた料亭旅館を受け継ぎ奮闘している若き代表である。 「よく重圧はないですか? と聞かれますが、ここに生まれ、この状況が普通だったのであまり感じたことがないのです。むしろなろうとしてなれるものではないのだからラッキーだ、と思う気持ちの方が大きい。コロナ禍で崖っぷちに追いやられたときも、いくつかの素晴らしいご縁があり、結果好転しました。私、強運なんです(笑)」と語る立花さん。 では、常に迷いがなかったのかと思いきやそんなことはなく、2015年に代表取締役を引き継いだころは、御花の本質的な価値を見出せず、危機感に悩んでいたのだそう。 「そうこうしているうちにコロナ禍となり、強制的にリセットしなくてはならなくなったのですが、逆に御花の価値に気づくきっかけに。これからは今までのしがらみにとらわれず、やりたかったことを思い切りやろう、と目指すべき道が開けました。 もともと御花は、結納や結婚式など『家族のはじまり』をお手伝いさせていただいており、その後も皆様人生の節目節目にいらして、思い出を重ねてくださっています。ゆえにここを未来へと繫いでいく使命がある、と思いました。 そこでまず見直したのは御花の文化財としての価値。生まれた時からあるものなので当たり前すぎて気づかなかったのですが、文化財のなかで泊まれたり遊べることって貴重で、唯一無二の魅力なのだとわかりました。 それに異業種から転職してきた人たちの新鮮な視点も刺激に。『お舟で朝食』プランも長年ここにいたら、絶対に思いつかないアイデアでした。そうやって新しい意見を自由に発言できる雰囲気ができ、社員一丸となって改革しようとする機運とともに活気が生まれました。 同時にシステムのIT化をはかり、無駄な慣習を見直し、本来のおもてなしに注力することを可能に。御花の本質的な魅力と向き合い、世界観を整えていく中で、100年後に残すためにどうすればいいのか、少しずつわかってきたのが、現状です。 以前は御花の歴史を語るのは人まかせで、私自身は表に出なかったのですが、今は積極的です。先日もアメリカのコーネル大学のゲストスピーカーとして呼ばれ登壇してきました。以前ならあり得ないことですが、しっかり御花のPRをし、インターンまで引き受けることに」 では今後、どのような展望を描いているのだろうか。 「観光業をもっと魅力的な職業へと改革すること。日本の文化財をマネタイズしてきちんと価値を高め守ること。私、日本中にある文化財を一個でも失いたくないのです。その価値をきちんと言語化し、守っている人たちの一助となりたい。そして何より柳川の人に御花があってよかった、と言ってもらえたら本望です」
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