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「セクシー田中さん」原作者の死~ドラマ化の犠牲者

またテレビの犠牲者が出てしまった。今度は命まで奪われた。やり切れない気持ちでいっぱいです。日テレのドラマ、「セクシー田中さん」の原作者で漫画家の芦原妃名子先生が、自ら命を絶たれてしまいました。

ほんの数日前に芦原先生が突如Twitterアカウントを作り、ドラマ化の舞台裏を告白しはじめたときには驚きました。 9話と10話の脚本を書いたのは脚本家ではなく、原作者本人だったというのです。

私はこの「セクシー田中さん」という作品がとても好きで、コミックを夢中で読みました。ベリーダンスに静かな情熱を燃やす田中さんと、それに触発されて変わっていく周囲の人たちとの関係が、型にはまらない絶妙なバランスでとてもいいんです。

でも、ドラマ化されてたことは知りませんでした。しかも、芦原先生が番組制作側とかなり深刻なトラブルになっていたなんて……このことはTwitterでご本人が明かすまで、世間には知られていなかったのです(Twitterを利用していない人には、今もあまり知られていないかもしれません)。

どうやら芦原先生が大切に作り上げてきたキャラクターもストーリーも、原作者の意図とは大きくかけ離れた形に変えられてしまったようです。陳腐なステレオタイプに押し込めるという、テレビ業界お得意の手口で。

ドラマ化するなら「必ず漫画に忠実に」。
漫画に忠実でない場合はしっかりと加筆修正をさせていただく。

芦原妃名子先生のブログより

こういった条件を日テレ側に出して了解を得たはずなのに、出される脚本が毎回原作を逸脱していたといいます。

・キャラクターはまるで別人。
・あえて王道を外した展開を、ありがちな展開に。
・重要なテーマを描いたシーンを大幅カット。理由を聞いても、まともな返事がない。

などなど。「どこかで聞いたような話だな」と既視感を覚えました。某公共放送はこういう改変・歪曲、ステレオタイプ化を、私(と夫)という生身の人間相手にやらかしましたからね

「枠にハマったキャラクターに変えないでいただきたい。私が描いた「セクシー田中さん」という作品の個性を消されてしまうなら、私はドラマ化を今からでもやめたいぐらいだ」と、何度も訴え、どうして変更していただきたくないのかということも丁寧にご説明し、粘りに粘って加筆修正し、やっとの思いでほぼ原作通りの1〜7話の脚本の完成にこぎつけましたが…。

同上。強調筆者

芦原先生がいかに作品を大切に思っているか、その切実さが伝わってくる文章です。原作者にとって作品はほとんど自分の分身のようなもの。それなのに、登場人物もストーリーも勝手に変えられ、理由を聞いてもまともな答えが返ってこない…そんな状況の中、芦原先生は必死で加筆修正をしますが、それを日テレに渡してもまた改変されて戻ってくる…そんな不毛なやり取りが続いたといいます。聞いているだけで消耗するような話ですよね。

「作品の核として大切に描いたシーンは、大幅にカットや削除され、まともに描かれておらず、その理由を伺っても、納得のいくお返事はいただけない」とあるように、番組制作側が不誠実な態度をとり続けていたようです。のらりくらりとやり過ごしていたんでしょうね、間に立っていたプロデューサーとかディレクターが。局の人ではなく制作会社のスタッフかな?

実はこの作品は、ドラマ化の時点でまだ連載中でした。なので、原作の連載を抱えつつドラマの脚本も書くということで、原作者にかなり負担がかかっていたようです。最後の9話と10話は間違いが特に多かったため、脚本家の降板を日テレ側に要請して、原作者みずからが脚本を書くという異例の事態に。

それに先立って、脚本家の方はInstagramのアカウントで降板への不満をにじませるコメントをしていました。これを受けての原作者・芦原先生の告白だったとの見方もあります。誤解を招くのを避けるため、Twitterとブログで内情を明かしたというわけです(ただし、真偽のほどは明らかではなく、詳しい検証と説明が待たれます)。

こうなると空中戦の様相を呈してきますよね。原作者と脚本家が直接話し合うことなく、別々のSNSで発信している。そうこうする間もそれぞれの関わる組織は、公式なリリースを出すこともなく、沈黙していました。個人間のいざこざにしておきたいんでしょう。

脚本の内容をめぐって原作者との間にトラブルが発生したこと、その結果、脚本家が途中降板してたことを、公けに説明するのにふさわしいのは、原作者でも脚本家でもありません。ドラマ制作の最終的な責任を負う日テレと、原作漫画の版権をもつ小学館がするべきです。

今のところ、小学館には表立った動きが見られませんが、日テレは公式サイトにコメントを載せています。

芦原妃名子さんの訃報に接し、哀悼の意を表するとともに、謹んでお悔やみ申し上げます。
2023年10月期の日曜ドラマ「セクシー田中さん」につきまして日本テレビは映像化の提案に際し、原作代理人である小学館を通じて原作者である芦原さんのご意見をいただきながら脚本制作作業の話し合いを重ね、最終的に許諾をいただけた脚本を決定原稿とし、放送しております。本作品の制作にご尽力いただいた芦原さんには感謝しております。

日テレ公式サイトより


私は事あるごとに口にしているんですが、テレビ業界の人たちに常識が通用しないって、こういうことなんですよ。

これを真摯なお悔やみの言葉だと受け取ることができるでしょうか。人がひとり亡くなっているというのに、しかもそれが番組制作上のトラブルに絡んでいるというのに、自己弁護と保身に終始している。放送倫理も何もあったものではない。報道の自由を標榜する資格はないです。

まさかこのまま幕を閉じるつもりではないでしょうが、もしそうだとしたら、日テレも小学館も、芦原先生のご意向を尊重することなく、その優れた才能と作品から多大な利益を得るために利用しただけ、ということになりますね。これら二つの組織の出方を注視する必要があるでしょう。

何事もなかったことにしないために。そしてこれ以上犠牲者を出さないためにです。


【追記】この件についてご意見のある方は、以下の窓口にお問い合わせなさるとよろしいかと思います。正当な意見や批判は業界を良くする一助となります。ご参考までに。

■日テレご意見窓口  https://ntv.co.jp/pim/toiawase.html
■BPO視聴者意見窓口 https://bpo.gr.jp/?page_id=1119
■小学館愛読者サービスセンター https://www.shogakukan.co.jp/inquiry


【1/30 12時更新】小学館がコメント出しました。

シンプルなお悔やみの言葉のみ。まずはこれで必要十分だと思う。 日テレの即日自己弁護コメントに比べたら、タイミングも内容もまとも。出版業界も斜陽産業だけど、テレビ業界に比べたらまだ良識がある。

【1/30 23時更新】日テレが2回目のコメント出しました。

前回はドラマのページに掲載でしたが、今回は公式サイトのトップページに掲載。SNSを悪者にして逃げ切ろうというのか?

芦原妃名子さんの訃報に接し、哀悼の意を表するとともに、謹んでお悔やみ申し上げます。日本テレビとして、大変重く受け止めております。
ドラマ「セクシー田中さん」は、日本テレビの責任において制作および放送を行ったもので、関係者個人へのSNS等での誹謗中傷などはやめていただくよう、切にお願い申し上げます。

日テレ公式サイトより


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