画像の出典:吉本興業
吉本興業グループの株式会社FANYは2025年1月21日、お笑いに特化した翻訳AIサービス「お笑い翻訳AIサービス」のα版を発表した。
開発には、株式会社ブレインパッドの生成AI技術支援のもと、Googleのモデル「Gemini」が活用された。日本の漫才やコントに見られる特有の表現や言い回しをAIに学習させることで、翻訳の質を向上させ、エンタメコンテンツの海外展開を推進することを目的としているという。
画像の出典:吉本興業
背景と課題
お笑いコンテンツを海外に展開する際、言語や文化の壁が大きな障壁となる。特に、関西弁や造語などの翻訳が困難な表現や、文脈を踏まえた字幕表示のタイミング調整などが課題として挙げられる。従来の機械翻訳では、こうした複雑な要素に対応することが難しかった。例えば、関西弁の「オカン」という表現が「悪寒」と誤認されるなど、文脈を考慮しない翻訳の問題が発生していた。
画像の出典:吉本興業
「お笑い翻訳AIサービス」は、吉本興業が保有する膨大なネタ動画や専門家の知見をAIに学習させることで、こうした課題の解決を図っている。このシステムは、笑いの構造を分析・理解し、会話の文脈やキャラクターの動きを正確に反映する翻訳を実現することを目指している。
サービス概要
このAIサービスでは、ユーザーが動画をアップロードすると、字幕生成が自動的に行われる「カンタンモード」と、翻訳内容を編集できる「コダワリモード」が用意されている。
画像の出典:吉本興業
- カンタンモード :ユーザーの操作は動画アップロードと簡単な質問への回答のみ。自動で字幕を生成し、ファイルをダウンロードできる
- コダワリモード :翻訳精度向上を重視し、修正や専門辞書の活用が可能。字幕内容の細部調整ができる機能も備える。
初期段階では日本語から英語への翻訳に対応しており、今後、中国語や韓国語など多言語への拡張が計画されているとのこと。また、吉本興業のタレントによるYouTube動画やインバウンド公演での実証実験を経て、将来的にはリアルタイム翻訳の実現を目指すとしている。
技術と応用例
本システムでは、従来の翻訳システムでは実現が難しかった「フリ・オチ」や「間」のニュアンスを正確に再現することに注力しているという。例えば、動画中のキャラクターが関西弁を使用する場合、その表現が英語の文化的背景に合わせて適切に翻訳されるよう、AIが文脈を深く理解する仕組みを採用しているとのこと。
今後の展開
「お笑い翻訳AIサービス」は2025年中の正式リリースを予定しており、さらなる機能開発が進められている。対応言語の拡大、専門用語辞書の追加、動画情報の事前入力による翻訳精度向上などが計画されている。
お笑い芸人であり翻訳監修者でもあるチャド・マレーン氏は、「日本のお笑いを多言語で正確に再現することで、人々の想像力を刺激し、笑いの持つ普遍的な魅力を世界中に伝える」とコメントしている。
参考リンク
チョコレートプラネット「業者」
レインボー「史上最強に態度の悪い店員」