「心の糧」は、以前ラジオで放送した内容を、朗読を聞きながら文章でお読み頂けるコーナーです。

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坪井木の実さんの朗読で今日のお話が(約5分間)お聞きになれます。

正しさと優しさ

シスター 山本 ふみり

今日の心の糧イメージ

 暑い夏、8月に原爆が落ちた長崎と広島は、おのずと平和について考える時を持ちます。

 帰天されたフランシスコ教皇は訪日の際、平和を訴えながら被爆者の方々の声を聴き、暖かく抱擁され、長崎では雨の中、広島ではもう随分夜遅くなっても、共に沈黙の祈りの時を持ってくださいました。教皇様が動くと平和も共に動き、何よりも誰よりも平和を訴え、この世に生まれた人間の使命を紐解き、再確認を促されました。

 聖書を開くと、復活された主は、復活をまだ信じきれずにいる弟子たちの真ん中に立ち「あなた方に平和があるように」(ルカ24・36)と開口一番に言われたとあります。この時の弟子たちの心は主がいなくなったことで落胆し、恐れと不安と暗い気持ちでした。そんな中に、主は堂々と復活した姿で真ん中に立ち、これこそが一番大事だと平和を訴えるのです。

 では平和とは一体何なのでしょうか?

 私はある方から「平和が目的であって手段は愛する事だと気づいたよ」と聞いた時、納得がいきました。「平和の祈り」の最後のほうに、すすんでゆるすことによってゆるされ、とか「主の祈り」でも私たちも人をゆるします。と自主的にゆるすことを約束し唱えます。ゆるしが、愛することの最初の鍵なのかもしれません。ゆるしなしには愛することも平和も無い代わりに、ゆるしがあるところには愛がつくる平和があるのだとも証しできている気がします。平和の土台はゆるしであり、それこそが正しさと優しさなのだと実感します。

 神である主が望む平和の為に用いて下さい。と、自分を差し出し祈る時にこそ、そこに正しさと優しさが満ち溢れる本物の平和を実現できる気がします。

「主の平和」 あなたの心に平和。