参政党現象の報道は「逆効果」なのか 記者が悩んだ、報じるべきこと

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メディア空間考 田渕紫織

 自分にも向けられた言葉だと感じた。報道機関の一員として。

 参院選公示から2日後の大阪。駅前広場には大観衆。参政党の神谷宗幣代表は、党が掲げる「日本人ファースト」について、「否定するのは誰だ」と声を張り上げた。「私をボロクソに言い、どんどん発言を切り取っては流す人たちは誰だ? そういう人たちのせいで、日本がだめになってきたんじゃないんですか」。最後に「ふざけるな!」と叫ぶと、「そうだー」。聴衆の声はひときわ大きくなった。

 この選挙中、参政党が掲げる外国人の流入規制や医療保険制度の利用制限、外国人を問題視する発言について、朝日新聞を含む多数のメディアが反差別の観点から報じてきた。しかし、そうした報道を批判する主張に喝采が送られる現場を見て、考え込んでしまった。

 もしかして逆効果なのか。そ…

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    佐倉統
    (実践女子大学教授=科学技術社会論)
    2025年8月5日5時0分 投稿
    【視点】

    新聞記者としての真摯な苦悩がじっくりと伝わってきて、深く頷きながら読んだ。専門家の見解が分かれていたように、新聞のあるべき姿もひとつにスパッと割り切れるものではないのだと思う。こうやって悩みながら試行錯誤する記者さんがいるというのは、朝日新

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    安田菜津紀
    (フォトジャーナリスト・D4P副代表)
    2025年8月5日5時0分 投稿
    【視点】

    「差別を差別だと指摘すること」「デマをデマだと指摘すること」――この当たり前が、選挙期間含めた報道に、むしろこれまで足りなかったのではないでしょうか。選挙運動を抜け道にしてデマやヘイトを垂れ流す候補者がいたこと、それに怯えなければならない市

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