IHI、新潟トランシスと明星電気の2社を売却 航空エンジンに集中
IHIは6日、連結子会社の新潟トランシスと明星電気の2社を売却すると発表した。新潟トランシスはジェイ・ウィル・パートナーズ(JWP)が運営するファンドに、明星電気は防災システムの能美防災に、それぞれ売却する。売却額はともに非公表とした。成長事業の民間航空機向けエンジンなどに経営資源を集中する狙い。
新潟トランシスは鉄道車両や除雪機械を手掛ける。JWPの運営ファンドが設立したジェイ・ケイ・エフ(東京・新宿)に、12月30日に売却する。25年3月期の新潟トランシスの売上高は前の期比15%減の200億円、営業利益は5億1100万円の赤字(前の期は21億円の黒字)だった。
新潟トランシスはJR各社のほか、近年は次世代型路面電車「芳賀・宇都宮LRT(ライトライン)」の車両も手掛けてきた。売却理由についてIHIの大嶋裕美執行役員は「国内の人口減少が見込まれるなか海外展開が必要だが、航空・防衛・宇宙とエネルギーに投資の優先順位がある」と説明した。譲渡先のJWP側は海外展開に意欲的という。
明星電気は気象観測や防災システムなどを手掛ける。2026年2月2日に能美防災に譲渡する。25年3月期の売上高は79億円。主力の気象防災事業では地域気象観測システム(アメダス)といった気象計測機器のほか、月面探査などに関わる観測機器も手掛けてきたが、能美防災とのほうが「シナジーがある」(大嶋氏)と判断した。
IHIは構造改革を進めており、直近では国内造船2位のジャパンマリンユナイテッド(JMU、横浜市)への出資比率を引き下げることも決めた。今回の2社の売却に伴う業績の影響は軽微としている。
【関連記事】