千手扉間に責任を取って欲しいうちはイドラの話   作:藤猫

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卑劣様とラブコメしてるの読みたいなと思ったんですが、好みのが無かったので。見切り発車になります。


責任は責任でもそっちの責任ではない

 

その日、ひどい熱を出していた。

それはうんうんと熱を出して、ふらふらのまま、布団で眠っていた。

それで夢を見た。

 

見覚えの無い部屋、見覚えの無い物ばかりがあふれていた。そこには、なんだろうか、四角い何かがあって、そこには動く絵が映っている。

 

(あー、そうだ、NARUTOももう、最終回近いんだなあ。)

 

知らない部屋で自分はぼんやりと、そんなことを思っていた。そうだ、確か、柱間とマダラの因縁だとか、ナルトとサスケの因縁だとか。千手と、うちはのそれらが明かされ、何故、そうなったのかが明るみになった。

そこでふと、思い立つ。

 

「・・・・柱間?マダラ?」

 

何故だろうか、ひどく、ひどく、覚えがある。夢の中だと自覚しているからこそ、思わず呟いた。

 

「なんで、私、マダラ兄様の話見てるんだろう?」

 

そりゃあ、これは有名な忍者漫画で。マダラは、その漫画における、ラスボスもどきで?

 

「・・・・え?」

 

思わず、口を開いた。だって、そうじゃないか。人気の忍者の漫画。それを自分は知っている、愛読していた。

けれど、それと同時に、理解する。

だって、自分は。

 

「こちとら、うちはイドラなんですが!?」

 

がばりと起き上がれば、汗だくのまま、ぼうぜんと天井を見つめる自分がいた。

 

 

うちはイドラ、マダラとイズナの真ん中の妹であり姉だ。

残念なことに、兄弟ほど優秀というわけでは無く、まあまあという残念な評価を受けている。千手と殺し合いをしすぎて戦場に駆り出されている人間だ。

 

(・・・待って。え、うち、滅ぶの!?)

「・・・イドラ、大丈夫か?」

「え?うん、あれ、うん?大丈夫?」

「姉さん、大丈夫なの?」

 

己の両隣から聞こえるそれにうんうんとイドラは頷いた。いいや、殆ど上の空だった。

だってそうだろう。

これから、兄は闇オチするし、弟はこれから死ぬのが確定している。おまけに、兄は兄で弟の死を飲み込んで守ろうとした一族に背を向けられて、親友にまでそっぽを向かれて死ぬわけで。

 

(待って、私どうなるの!?)

 

記憶に寄れば、マダラにはイズナという弟しかいなかったはずだ。ならば、自分は?

自分という存在は、なんなのだ?

 

(そりゃあ、こんな記憶がある時点ですでにイレギュラーですよ?でも・・・)

 

号令が上がる。それに体はまるで無意識のように動き始める。不思議と、怖いとは思わない。ああ、これから、殺すし、死ぬかもしれないのに。

まあ、そんなもんだよなあと言う諦観。

 

(あー、完全に、この戦国時代に順応してる精神だね!?)

 

そんなことを考えていても、体は動く。その間、イドラはどうするんだと考え続ける。

正直に言えば、木ノ葉の里が出来ることだとか、うちはが千手の下に着くようになることだとか、そこら辺には納得していた。

 

(もう、だいぶ数も少なくなった。)

 

イドラは特異体質なのか非常に体が丈夫だった。基本的に近親婚が多いせいか、体の弱い人間が多い中、イドラは病気一つしたことも無い。

誇りか命ならば、イドラは命をとる程度に生き汚い。どうせ、こんなギリギリの生活なんて出来ないし、これ以上数が減っていくのはキツいだろう。

 

(そうだよ、なら、このままでいいかって言うと、違うんだよなあ。)

 

だって、このまま順調になんとかなったとしても、悲しいかな、滅びるのだ。マダラの家系が滅ぶとかってレベルでは無くて、うちは自体が滅ぶのだ。

 

(それってひどくね?)

 

生き残るための最善策を探して、あの兄は、弟のことが本当に大事な、兄は。ただ、ただ、空っぽの心を、親友と生きていければと思っていたのに。

 

(いや、大体、千手だって、千手だけじゃあ里を作るの無理だったくせに。)

 

そこで、あの、本来の筋書き通りに行ったのか?

それに、頭の中でぽーんと浮かび上がる顔。

銀の髪に、鋭い目。無愛想なあの方。

 

みんな大好き、卑劣様。こいつのせいでは?

 

 

いや、もちろん、卑劣様こと千手扉間は正しい。うちはの性質からして、感情論で動かれては困るし、それはそれとして要職にだってつけてくれた。

別段、扉間自体は間違っていない。全ての原因、それは、みんな嫌いな志村ダンゾウである。

いや、それだって、そう扉間が悪いわけではないだろう。

けれど、もう少し、こう、手心みたいなものはできなかったのだろうか?

 

合理主義のくせにブラコンのせいで熱血漢の理想主義が大好きなために、そりゃあ猿飛みたいなのは好みでしたでしょうよ。

でも、他の面々への教育、もっとどうにか出来ませんでしたか?

その教育のせいでこちとらすごい巻き込み事故にあってるんですが?

いや、巻き込み事故で一族滅ぶってレベルがちがわないですか?

 

ふつふつと、怒りがわき上がってくる。間違いでは無いが、それはそれとして被害に遭う自分たちからすればとんでもない話だ。

乱戦の中で、イドラは攻撃を受け流しながら戦場を駆け回った。千手との戦いだ。ならば、あいつがいるはずだ。

岩場の戦い、妙な既視感があった。

 

(そうだ、たぶん、ここで。)

 

イズナがいた。それに、はっきりと、彼に刃を振う扉間の姿を幻視した。イドラはそれに足に力を込めた。

飛雷神の術、それに合わせるような形で、イドラの拳は扉間の頬にクリーンヒットした。

皆が茫然とした。

扉間、千手の頭領の弟であるそれは、皆から一目を置かれる程度に優秀だ。そんな彼を、さほど名も売れていないうちはの女が殴り飛ばしたのだ。

ぽかんと、口を開けて、宙を舞う扉間を見た。

 

地面に叩きつけられた扉間は急いで体勢を整えるが、体術が一等に得意なイドラから逃れられない。

彼女は扉間の首根っこを掴んで、彼をぐわんぐわんと揺さぶった。

 

「千手扉間!あなた、ちゃんと責任取ってくださいよ!!」

 

責任?

うちはでは物静かなイドラが叫んだそれに同族は思わず動きを止め、そうして、千手もまた扉間にそんな言葉をかける女性に目を向けた。

 

「い、いどら?」

「ねえ、さん?」

 

マダラとイズナは何年ぶりかに聞いた姉の大声に思わず動きを止めた。

 

「き、貴様は、いったい、何を・・・・」

「あのねえ、扉間さん!あなたの性格はよーく、理解してますよ!ええ、ええ、なんでそうしたか、わかりますよ!?でもねえ、子どものことについてはもう少し責任を持ってもらわないと困るんですよ!」

 

扉間はなんだかんだでうちはの子どもだって教育の中に入れていたし、そこらへんはちゃんとしていた。けれど、もう少し、情緒面でどうにかならなかったのだろうか?

猿飛とダンゾウの間にあったあの溝、あれはどうにかできなかったのだろうか?

 

「やることやっといて、逃げるのだって卑怯でしょう!?置いてかれた人間からすればどうすればいいのかなんてわかんないんですよ!大体、合理主義だからって、あんなこと、ひどくないですか!?」

 

扉間が死んだとき、状況としては仕方が無い。彼は彼なりに卑の意思、もとい、火の意思を受け継いで欲しいと想い、自らを犠牲にした。けれど、半端な憧れはダンゾウを怪物にしてしまった。

そのついでにうちはも滅びた。

 

「子どもだって、死んじゃって!可哀想で、わーん!やるって決めたんなら、最後まで責任とってくださいよ!!」

 

あのとき、うちははサスケ以外死んでしまった。可哀想な話じゃ無いか。きっと、彼以外の子どもだって死んでしまった。それが、イドラは不憫で不憫でたまらない。まぶたの奥から、ぼたぼたと涙があふれてくる。

そうして、とうとう、イドラは扉間の掴んでいたそれから手を離して、わーんと泣きじゃくった。

扉間は、ぽかーんとしていた。

 

(な、なんだ、こいつ・・・・)

 

それは仕方が無い。だって、扉間からすれば名前をなんとか認識していた程度の、女にいきなり責任云々を言われて泣かれているのだ。いくら、常に冷静な彼でさえも、もう、意味がわからずに思考を停止してしまった。

 

そんな中、うちはと、そうして、千手の忍たちはイドラの言ったことを改めて考える。

 

やることやった、責任、子どもは死んだ、可哀想。

 

その単語に、かこんと、何かが繋がってしまった。

 

「「とびらまああああああああああ!!!」」

 

激高したマダラとイズナが叫んで、扉間に飛びかかる。

 

「ま、待て待て待て!!マダラ、待て!」

 

柱間も状況を飲み込めず、怒りで目の前が真っ赤になったために身体能力だけで飛びかかるマダラを押さえ込む。

 

「はなせええええええ!柱間、貴様、弟になんという教育をしておる!う、うちの、妹を、き、傷物に!!」

「え、そういう意味だったのか!?」

「そういう意味以外の何があると言うんだ!?」

 

その横では、イズナの腰にしがみつき、泣きながら止めるイドラがいた。

 

「姉さん!止めないで、こいつ、殺せない!」

「うええええええん!ダメですよお!イズナ、それでも、悪い人じゃ無くて!きっと、いい、父親に・・・・」

 

イドラの脳内には、なんだかんだ里の子どもに慕われていた扉間の姿が浮かんでいた。

そのカオスな状況に、扉間は焦って叫んだ。

 

「わしはなにもしておらん!」

 

それは端から聞けば最低で、けれど、扉間からすれば当然と言える一言だった。

 

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