イドラの本音も書かねば
あかちゃん?
千手扉間の、かれこれ幾日ろくな休息が取れていない脳裏に飛び込んできた単語を正確に認識できるまで時間がかかった。
(赤ちゃん、赤ん坊、子ども・・・・子ども!?)
扉間はばっと妻であるうちはイドラこと、千手イドラの肩を掴んだ。
「え、あ、は!?」
「はーい!」
あら、元気なお返事!
イドラはにこにこ笑顔で手を上げて、扉間に小首を傾げた。
そんな中、扉間は回らない頭の中で考えを巡らせる。
(子!?いつの、いや、時期的にあり得る。子、つまりは、あの子が生まれるのか。名前は広間で決まりなのか?男の子か。もう少し、イドラに似ている方が。いや、空気だけはそっくりだったから。次で娘を狙っても。出来れば、イドラに似てる子が。いいや、その前に出産においてのリスクが。イドラは丈夫な方だと聞いているが、うちはの人間はお産で死ぬ人間が多いと。やはり、医療忍術に関して力を入れるべきか。にしても、兄者よりも先に子が生まれるのは。木遁使いであるであるのなら、養子に。いいや、そんなことをすればイドラが。)
頭の中で茫然と、そんなことを考えていたが、ふとそれを見た。
いや、こんなことをしている場合ではない。
扉間はイドラを壊れ物を扱うように抱えて立ち上がった。それに千手アカリやうちはマダラなどがなんだなんだと視線を向ける。
「兄者、マダラ、それにイズナに姉者!少し抜けるぞ!」
「は?おい、扉間よ!?」
背後から兄の声が聞こえるが扉間はそれも気にせずに部屋を飛び出した。そんなことより身重の妻だ。
姉がいなければ仕事をさぼろうとする兄よりも優先すべきだろう。
扉間は家に帰り、イドラのことを考えて一族の女を手配することを算段に入れた。飛雷神の術で帰れば一発ではとは一瞬考えたが、胎児への影響がないとも限らないため、そのまま抱えていくことを選択した。
問題は、置いていかれた人間だ。扉間の強行に始めにアカリがその後を追った。
「待て、扉間!せめて、これの決裁だけでも!」
「は、待て待て!こっちの件どうするんだ!?」
アカリが追っていくのに、マダラもまたその後を追った。残されたうちはイズナと、そうして柱間は顔を見合わせた。そうして、互いににっかりと笑って部屋を飛び出した。
「・・・・これの報告書、誰に出すんだ?」
「ああ、それは確か・・・・」
その時、うちはと千手の二人が報告書の提出先について話をしていた。けれど、遠くに何か、騒がしい声が聞こえてくる。
「うん?」
「あ、は、扉間様!?」
「すまん!」
二人は廊下の真ん中で話している中に、何故か妻を抱えた扉間が飛び込んでくる。それを二人は左右に分かれる形で避けた。
「え?」
「な、なんだ!?」
「ちょっとすまんな!」
「え?アカリ様?」
「どいてくれ!」
「頭領!?」
その次にアカリとマダラが後を追う。それを二人は茫然と見送る。というか、上の人間があんなにも慌てるのだから何かが起こっているのか?
そこにまたばたばたとイズナと柱間が飛び込んでくる。
「はっはっは!すまんの!」
「扉間の奴、はっや!」
柱間たちもまた扉間を追って走って行こうとしたため、うちはの青年は慌ててそれに声をかける。
「と、扉間殿はどうされたんでしょうか?」
それにイズナが立ち止まり、答えた。
「いやあ、仕事させすぎて壊れちゃったみたいでさ。」
それに千手とうちはの二人ははあと目を見開いた。
扉間は本当に飛ぶような速度で走り、そうして、家に到着した。もう、内心はうっきうきだった。
子ども、青年になった息子にはすでに会っているという異常事態はおいておくとして、会った青年は可愛かった。
表面的にイドラに似ているというのが大変に良い。
「扉間様ー、下ろしてくださいー・・・」
そう言ってイドラが腕の中でちたばたとするが、扉間が不機嫌そうに腕の力を強くした。
「何を言っている、身重の体でそのようなことが許されるはずがないだろう!?」
それにイドラはきょとんとした顔をした。それに扉間はようやくわかったかと頷きながら家に入っていく。
「ともかく、一族の者から手伝いの者を選ぶ。初期が一番大事だからな。ワシもさすがに休むことはできんが、これからは夜には帰ってくるように周りに押しつけ、いいや、頼むようにしよう。」
言っては何だが、扉間は浮かれていた。
なんだかんだで子どもの好きな男だ。弟たちのことも有り、庇護すべき幼い子どもは大好きなのだ。そんな中、当人は認めていないがハチャメチャに可愛がっているイドラの懐妊に、男は浮かれていた。
足下が明らかに弾んでいる中、イドラがまたぺちりと頬をはたいた。
「何だ、イドラ、どう・・・」
「私は妊娠してませんよ?」
「は?」
何を言われているのかわからずに、腕の力が弱くなる。それにイドラはするりと、地面に下りた。そうして、めちゃくちゃに得意げな顔でイドラが家の中に扉間を招き入れた。
「ふふん、ご安心を。イドラがちゃんと保護しておりましたので。」
「ま、待て!イドラ、お前は何を言っている!?」
「何って、扉間様だってわかっているはずなのに!でも、安心してください。このイドラ、全力で扉間様の幸せのために協力しますので!」
そう言って連れてこられた部屋には腹の膨れた黄金の髪の女がいた。
「波風ウミ様です!」
イドラがはちゃめちゃに良い笑顔で言った。それに扉間は女を凝視した。
誰?????
頭の上にはてなが三つとか四つとか、それぐらい出ていた。
ウミと呼ばれた女は、怯えるように己を見ていた。それに、イドラが慌てて女の元に向かい、そうして、女の背を撫でた。
「大丈夫ですよ、扉間様はお優しい方ですから。私が、あなたのことも、子のことも守ってあげますからねえ。」
イドラはまるで母のように女に微笑んでいた。それを見ながら、扉間は考える。
いや、誰?
(子が、ワシの子が出来て。いや、イドラの腹にはいない?それで、この女は?)
徹夜と連日の疲労、そうしてイドラの発言でハイになった精神には現状はあまりにもぶっ飛びすぎていた。そこでイドラが少しだけ不機嫌そうな顔になって扉間の方に近づいた。
そうして、扉間の背中をぺちぺちと叩いた。
(扉間様!お声ぐらいかけてくださいよ!)
「・・・・待て、イドラ、一度話を聞かせろ。これは、なんだ?」
それにイドラはぷくりとほっぺたを膨らませた。
「何を言ってるんですか!扉間様の子を孕んでいるんですよ!そんなことを言うなんて!」
それにぶわああああああと扉間の背中に嫌な汗が浮び、イドラを見た。
待て待て待て待て待て!!!??
まったくといって良いほど覚えがない。というか、子どもは?
扉間はがんと頭を殴られたような気分だった。完全に浮かれきっていた分、衝撃がすごかった。
がっかりした、ひたすらに、がっかりした。けれど、はっと気づく、そんなことを気にしている状況じゃねえと。
そうして、扉間は叫んだ。
「違う!!」
「何がですか?」
扉間はイドラの肩を掴み、必死に言葉を重ねた。
「確かに、お前と会う前はそれ相応に、その、商売女と関係を持ったことはある!だが、お前との婚姻が決まってからは、そういった類いのものとは縁を切っている!」
イドラはそれに不思議そうに首を傾げる。
「お前とてわかっているだろうが!この婚姻は何があってもケチが付いてはならんことぐらい!ならば、ワシがそんなことをするはずがなかろう!?」
その様は、言っては何だが非常に情けなく映った。完全に浮気が妻にばれた夫でしかなかった。
が、扉間からすれば本当に覚えがない。扉間は黄金の髪をした女を憎々しげに睨んだ。怯えるように体を震わせる様は小動物のようだが、扉間にとっては忌々しいことこのうえない。
大体、何故、本妻であるイドラが夫の子を孕んだと言ってくる女をかくまってるんだ?
「大体、その女の腹の子がワシの子だという証拠はあるのか?」
扉間は必死に弁明をした。まあ、弁明をしなければ命の危機だ。背後に赤毛の姉が迫っている気がした。
が、扉間のそれにイドラは揺るがない。悲しいかな、それの脳裏には元気に飛雷神の術で飛びまくっている波風ミナトの姿があった。が、そんなことを扉間に説明しても埒があかないこともわかっている。
イドラは無言で扉間を廊下に押しやり、そうして障子を閉めた。おそらく、女への配慮でのことだろう。
「ですが、扉間様、考えてみてください。こうやって、わざわざ訪ねてくるぐらいの覚悟を持っておられるのですよ。嘘であるのなら、このようなことを行うなんてあり得ません!」
ちょっと扉間も黙り込んだ。けれど、いいやと頭を巡らせる。
なんとか、なんとか、現状を打破しなければいけない。眠っていないせいでぼんやりとする頭を動かす。
頭を悩ませる扉間に、イドラは淡く微笑んだ。
(扉間様の様子からして、たぶん、今回のお子は事故みたいなものなのかもしれません。ですが、それはそれとして責任は取らねば!)
ふんと息を吐き、イドラは扉間の肩に手を置いた。
「扉間様、そんな顔をなさらないでください。愛がなくとも子は生まれますし。一夜の過ちというのなら、私もそれを支える覚悟です。ともかく、アカリ様たちに伝えても殺されない方法を考えましょう?」
「いや、どう足掻いてもワシが死ぬぞ!?」
なんで父親であるという自分よりも、イドラの方が先に腹を決めてしまっているんだ?
というか、この女、間女についての感覚として腹が据わりすぎているだろう?
「イドラ、貴様はなんとも思わんのか!?」
「なんとも、とは?」
「ワシが外で子どもを作ったことに関してだ!」
それにイドラは少しだけ、目を伏せた。
「私は・・・・」
「それは、私も聞きたいなあ。」
背後から聞こえてくるそれに、扉間は肩をふるわせた。わかる、背後にいる存在。怒れる存在が、確実に存在する。
扉間は咄嗟にイドラを掴み、そうして、飛雷神の術で逃亡した。
「おい、どうした!?」
一歩遅れて到着したマダラは、扉間の家にて声をかける。けれど、誰も出てこないために、庭方面に面した部屋のほうに声をかけた。何故か、家の障子や襖が開け放たれており、中を覗くと、そこには一目で怒っているとわかりきったアカリと、そうして見慣れない黄金の髪をした女が一人。
女は怯えるように体を震わせている。アカリはその女に何もしないと声をかけた。
そうして、アカリはマダラに無表情でもわかるほどの怒気を孕ませて言った。
「マダラ殿、うちはの人間を借り受けてかまわないか?」
「は?何を・・・」
「愚弟の捕獲に、人手がいるのでな。」
怒れる焔のような女の気迫に、マダラは思わず、はいと頷いてしまった。
ぼんやり考えてる原作世代の子達
狭間
情は深いが、シンプルに性格が悪い。気に入っている人間ほどいじめたがる部分がある。広間譲りの木遁使い。祖父からの禁術の研究を受け継いでいる。固有の瞳術は○○しないと出られない部屋
マヒル
マダラの二番の目の子の長男。マダラのクローン。自分にも他人にも厳しくてめちゃくちゃに怖い。ただ、面倒見はいい。狭間が止まらないときは殴って止める。
オビト
マダラの直系の中での良心。周りのストッパーで慕われている。別名トラブル処理係。カカシとは幼なじみ。基本的にマダラの残した家を継いで、管理をしている。
カグヤ
一番のイレギュラー。中におばあちゃんが一人いる。柱間並の木遁と生命力を持っている。おばあちゃんとの仲は良好。固有の瞳術は某人狼みたいな存在の希釈能力。
柱間のひ孫
見た目は柱間の女バージョン。曾爺様そっくりなのに木遁使えないため周りに色々言われている。そのため、ネガティブな性格。マヒルを兄上を慕っている。
原作ルートだけカグヤ以外みんな死ぬ。人数はおいおい増えます。