千手扉間に責任を取って欲しいうちはイドラの話   作:藤猫

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感想、評価、いただけました嬉しいです。

はい、やらかしました!ごめんなさい。朝、見て、一気に覚醒しました。
ばれたので諦めて匿名外しました。

それでは、改めまして。藤猫と申します、よろしくお願いします!(やけくそ

蛸の見た夢もどうぞよろしくお願いします!


今日も生えるよ、誤解が一つ

 

「とーびーらーまーのおーじーうーえー・・・・・」

 

唐突に聞こえてきた怨霊のような声に皆は肩をふるわせた。そこには、据わった瞳で千手扉間を睨むカグラの姿。

扉間はそれに思わず後ずさる。顔面があまりにも妻であるイドラに似ているせいか、後ろめたいこともないのに戦いてしまう。

それは、他の人間も同じだった。大人組は、そうそう見ることもないカグラの怒りの表情に固まってしまう。

 

「カグラ!貴様、万華鏡写輪眼でこっちを見るな!」

「瞳術つかっているのだからしかたがないでしょう!?というか、んなもんはどうでもいいんですよ!!扉間の伯父上、あんた、広間の側でナニしてんですか!?」

「何の話だ!?」

「昨日!広間と、叔母上と一緒の部屋だったんでしょう!?」

「だから、何の話だ!?」

 

扉間は写輪眼をかっぴらいて己に迫ってくるカグラに後ずさりする。さすがに、写輪眼にガン見されるのは辛いと、カグラの顔を手で掴んで遠ざける。

 

「あんた、寝てる広間の隣でイドラの叔母様に手を出しただろう!」

「「はあ!?」」

 

扉間に混ざって、うちはマダラと、うちはイズナも叫んだ。

 

「てめえ、息子の隣でなにしとんじゃ!?」

「出来るか!そこでやる気になるほどすきもんじゃないわ!!」

 

思わず固まったマダラとイズナもいやいやさすがにと、扉間の言葉で正気に戻る。

確かに扉間は色々とやらかしている。けれど、さすがに広間ほどでかくなった子どもの横で、そんな、おっぱじめることはないだろう。

安心して欲しい、その疑惑というか、やらかし自体は実際に存在しないのだ。

 

「はああああああ!?殺し合ってた敵対氏族の女口説き落として、やることやったくせに!?」

 

それにマダラとイズナは何も言えなくなる。いや、それを言われると、まあ、確かに。

外野からの胡乱な視線に扉間は焦る。

だめだ、また、段階の違う誤解が生まれようとしている。

扉間は目の前の火の玉娘を睨んだ。

くそが、変なところで父親に似よってからに。

 

「それとこれとは別だろう!?大体、何の証拠があってそんなことを言っとるんだ!?」

 

マダラとイズナ、そうして目の前のことが処理しきれないうちはオビトは扉間とカグラを交互に視線を向ける。

どうなんだ、どうなんだ、真相は?

 

「はあ!?イドラの叔母様の首元とかにあんなえっぐい痕残しといて何言ってんの!?病気じゃないかってびびったわ!」

「はあ!?首の・・・・」

 

そこで扉間は思い出す。そう言えば、朝にかぶれたとめそめそするイドラがいたはずだ。

 

ぴたりと思い出して、動きを止めた扉間の様子にマダラとイズナは、こいつ覚えがあると理解した。

視線が確実に、疑いラインから確定ラインに変わったことに気づき、扉間はマダラとイズナに叫んだ。

 

「違う!」

「違わねえよ、アウトじゃボケ!!」

 

その言葉と共に、マダラとイズナがその諍いに加わった。

 

「てめえ、正式に夫婦になったからにゃあ、俺も口出しできねえが!最低限のもんがあるだろうが!」

「お前に倫理観とか気してないけどさあ!けどさあ!どうなんだよ!」

「どんだけ我慢できなかったの!」

「しとらんわ!貴様ら、人のことなんだと思っとるんだ!?」

「扉間の伯父様がどんな人かなんてわかってます!冷静で、理性的で、情熱的で!」

 

積み上げられる好感を覚えるだろう単語の後に、カグラは目を見開いた。

 

「でも、叔父様、イドラの叔母様に関してだけはタガが外れるじゃないですか!」

「どんだけ欲に狂っとると思っとるんだ!?」

「自分が結婚するまでに積み上げたもろもろに関して私だって知らないわけではないのよ!?」

 

オビトは目の前でわちゃわちゃと、うちはの三人が扉間の胸ぐらをそれぞれ掴んで騒ぐ現状にめまいが起きそうだった。

 

(え?え?どうしよう!?)

「えっと、どうされましたか?」

 

騒ぎに慌てて駆け寄ってきた広間に気づいて、オビトはわらにも縋るように言った。

それに気づいたのは、扉間だった。

 

しめたと思った。

広間ならば自分の潔白を証明できる。朝起きた折の様子も知っているはずだ。

 

「広間、昨日の夜だ!」

「昨日の夜?」

「そうだ、あのとき、ワシは・・・・」

 

そこで広間の顔が真っ赤に染まった。気まずそうに視線をそらした。それに皆の動きが止まった。完全に何かあった顔だった。

固まったそれに、広間は首元をさすりながら気まずそうに言った。

 

「あの、えっと、昨夜はすみません。でも、夫婦水入らずに割り込んだ私が悪いですし。えっと、朝だって、私が悪いので。その、すみません・・・」

 

淡く顔を染めて、恥ずかしそうに視線をそらすうぶなそれ。

昨夜に何があったのか知っている扉間は、広間の発言の意味を正確に察する。

広間の謝罪は、イドラが愚図ってチューしてと叫んだことを聞いたことだし、朝だって広間の布団に潜り込んだイドラの件だ。

もう、良い年だというのに母の胸の中で爆睡してしまったことを広間は酷く恥じていた。

が、そんな一幕を見ていない周りからすれば、その発言がどう聞こえるのか。

 

マダラは思った。広間のそれに、確信した。

 

(つまりは、なんだ。扉間の奴、夫婦水入らずの夜だからって息子の隣でおっぱじめたと?そうして、朝の乱れきった状態を見られたと?)

 

マダラは静かな視線を扉間に向けた。そうして、淡く微笑んだ。

 

「扉間、お前を殺して、俺も死ぬ。」

「なっんでだ!!??」

「うるせえええええええ!!元はといえば、元はと、言えば!俺がお前の毒牙にイドラがかかったのを知らなかったせいだ!ならば、こんな痴態をイドラに強要するお前を殺し、責を取る!」

「うわあああああ!!父様、父様!落ち着いて!!」

「そうです、父様が死んだら、皆、悲しみます!!」

「兄さん、気持ちはわかるけど、落ち着いて!?」

 

三人に引き留められてなお、引きずりながらマダラは扉間に向かう。それに扉間はその場からの逃走を考える。

 

その時だ、マダラの肩を掴む存在がいた。

 

「ま、マダラの伯父上!落ち着いてください!どうされたんですか?」

「おま、広間!お前こそ、あんなことされてどうして止める!?」

「ええっと。朝や昨夜のことですよね?あんなことなど。私は、嬉しかったんです。」

 

びりびりとした殺気混じりの空気の中で、広間は淡く微笑んだ。

その纏う空気は、本当にイドラによく似ていた。穏やかに、柔らかで、ぽけぽけとしたその笑みは肩の力が抜けていくようだった。

 

「二度と見れぬと思っていた、二人のなかむつまじい姿を見れたんです。それだけで、どれほど嬉しかったでしょうか。」

 

そう言って、穏やかに微笑むものだから。その場にいた人間は、健気さにちょっとぐずっと鼻を啜った。

その年頃ならば、寝てる隣で両親がそんなことをしだしたらガチ切れしてもおかしくないのに。

 

「広間!!」

 

カグラは感極まったかのように、広間に抱きついた。まるで木にへばりつく蝉のように、広間の胸に抱きついた。

 

「お前の、お前のことは、私が守ってやるからな!そうだ、お前と、オビトがいるんだ!どんなことが待っていても、それでも、どんなことがあっても守ってやるから!!」

「・・・・扉間、今回は、甥っ子の健気さで赦してやる。だが、同じことしてみろ。わかるな?」

 

それに扉間の額に青筋が浮かんだ。

は?

こちとら、どんだけ我慢したと思っとるんだ?

ようやく、ようやく、手が出せると思ったら何故か産まれてもない息子と同室になって結局お預けである。

 

理不尽だ、なんだこの理不尽は!?

扉間は思わず、誤解の根源である広間を見た。母親と同じ事をしやがった息子を見る。

けれど、息子はイドラによく似た、どうだ犬っぽい眼で扉間を見ている。

どうしたの?怒ってるの?

カグラの背を撫でて自分を見てくるそれに、そんなものを幻視した。

怒れなかった。

広間の経歴を考えると、怒るのも、どうかと思う自分がいる。

 

そうして、扉間の経歴にまた不名誉な風評が重なったのだ。

 

 

ちらりと、オビトはしごく幸福そうにカグラの頭を撫でる広間を見た。

 

一度、オビトは広間に聞いたことがある。

 

「兄様、扉間の叔父様とイドラの叔母様の大恋愛って本当なのかな?」

「・・・うーん、多分、嘘だろうね。」

「へえ、嘘かあ。え、嘘!?」

 

その時、広間は何か書き物をしており、ぶらんと庭に面した障子にもたれかかるようにしていたオビトは驚きに叫んだ。

 

「う、嘘なの?」

「んー・・・父上が母上にベタ惚れなのは事実だけど。でも、氏族を越えた大恋愛は嘘なんじゃないのかな?」

「お、じさまが言ってたの?」

「いいえ、ただの予想というか、察しているというのか。」

 

広間は平然と手仕事を続けていた。それにオビトは問いかける。

 

「どうして、そう思うの?」

「父上の考えならある程度理解できるから。あの人は、例え運命にあっても、恋愛だとか執着に狂える人じゃない。というか、狂うって選択肢が元々ない人だからね。」

 

何より、あの人が本当に母上が欲しいと思うなら、氏族同士の争いを終わらせてから、狩りをするみたいに追い込んでたと思うよ。

広間は面白そうに笑って、文机に肘を突き、楽しそうに笑った。

婀娜っぽいその仕草は、妙に艶ややかな印象を受ける。

 

「大方、氏族間での抗争を止めるための建前か。それとも。」

「それとも?」

「母上がとんでもないことやらかしたのか、とかかな?」

 

楽しそうに広間は笑った。それにオビトは思わずというように言った。

 

「でも、いいの?その、叔父上、結構、不名誉なあだ名をつけられてたりするけど。」

 

誰が呼んだか、卑猥様なんて言う人間もいるのだ。

 

「もう、叔父上が叔母上のことを好きだったのは証明されてるし。なら、不名誉な風評はないほうが。」

「・・・オビト。交渉だとか、戦いをするとき、都合の良い事ってなんだと思う?」

「え、なんですか?」

「相手に侮られていることだ。」

 

広間はそう言ってくすくすと笑った。

 

「忍のくせに、恋愛に現を抜かす愚か者。それを疑っているにしろ、信じているにせよ。それは侮りと成り、隙になり、そうして、こちらの有利になる。だから、父上の評判はそれでいいんです。」

 

オビトはそれに黙り込んだ。何と言えばいいのか、わからなかったのだ。

そんなオビトの顔を見て、広間は笑みを深くした。

 

「それに。」

「それに?」

「その話を振られたときの父上の苦虫を噛みつぶしたときの顔、可愛らしくて好きなんですよ。」

 

オビトはちらりと、広間を見た。

けれど、オビトはなんとなく、昨日の夜は何もなかったと察している。

けれど、広間はその誤解を止めない。

何故って、簡単だ。

欠点とは、ある意味で人が親しむきっかけになる。オビトは、父とイズナの性格については知っている。

本来、リアリストな扉間と二人の相性はよくない。

けれど、イドラを情熱的に愛しているという特性が、二人の、いいやうちはの人間の懐に入り込むきっかけになる。

うちはは、愛してくれた事実にあらがえないから。

 

広間は幸せそうに、カグラの頭を撫でながら、ちらりとオビトを見る。そうして、にっこりと笑った。

それにオビトはああ、やはりと思う。

どこまでも、その兄はやるべきことをやる人で、どこまでも正気で居続けるのだと。

 





正直、あと一年ぐらい扉間さんにお預け食らってて欲しい。
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