もうしわけありません、改めて挨拶をします。
私は千手広間と申します。ええ、千手扉間の長子になります。
はい、知っておられるとおり、ウツシキの力で未来から参った者です。
・・・・はい。
今回、全ての企みについては私と、そうして、カグラが考えました。
ええ、ええ、そうですね。
最初に、あの黒い存在がなんであるのか。
え、ご飯ですか?
あー私は特には。はいはい。え、じゃあ、ご飯とお汁を。はい、はい。
で、続きですが。
・・・・あれは、ゼツと呼ばれる者です。我らも全てを把握しているわけではないのですが、ずっと昔からうちは一族の周りを探ってはいらぬことをしていたようで。私たちは、あれをなんとか滅するか、それができないのであれば封じるためにやってきました。
はい、母上と、そうして伯母上達の生存のために。
あ、ありがとうございます。
あとで、冷めるから食え?あ、はい、いただきます。
・・・・おいしい。
あ、すみません。それで、何があったのか。
私たちが幼い頃にはある程度、里も出来ており、多くの氏族も集まっていました。その中でも、その、私やカグラは誰よりも強かったのです。
同い年ほどの子で、組み手などで本気を出すほどの存在もなく。
なので、いつも、私とカグラで遊んでいたのです。他の子とも遊んでいましたが、大体は二人で。
その時です。
声が、聞こえてきました。
・・・・父上達に知らせておくべきでした。けれど、私たちは当時、とても傲慢で。何があっても大丈夫だと盲信していました。里の中であるから、安全だとも思っていたのです。
声だけの友人と遊ぶのは、楽しかったんです。
魚釣りの穴場だとか、食べられる木の実の場所だとか。そうやって、警戒心を解いて、黒い影は私たちに秘密基地だと、そう言って、洞窟の場所を教えてくれたんです。
それで・・・あ、時雨煮。
カグラ、時雨煮はいらないのか?携帯食だけじゃ体が持たんぞ。
いらない?
あ、ほら、御茶もあるってさ。そうだ、お茶漬け。食べるか?
よし、少しだけでも食べような。
オビトもお食べ、ああ、私も食べてるから。
・・・すみません。
ああ、いえ。
それで、ああ、それで。
秘密基地だと、私たちは、散々に遊びほうけまして。ええ、ずっと、そうやって、遊びほうけまして。
それで、あまりにも帰らない私たちを心配して、母上と伯母上たちが迎えに来てくださったんです。その時、オビトが道案内をして。
・・・・洞窟が、崩れました。
・・・・私と、カグラだけは母上達が助けてくださって。オビトは、洞窟の前で待っていて。
その時、崩れていくそれに混じって、声がしました。友達の、声が、しました。
ご苦労様と。
・・・・うちはと、千手に亀裂が入りました。
父上や柱間の伯父上とマダラの伯父上にイズナの叔父上たちが仲良くされていたので。ええ、家族を、失った者同士だからと。
なので、表立っては、大丈夫だったのでしょう。
でも、噂は止まりませんでした。
洞窟が崩れたのは、本当に偶然だったのか。
千手の次男は非道なところがあるからと。
うちはの頭領は何を考えているのかわからないと。
・・・・カグラ、オビト。
ほら、あまり茶碗を握りしめるな。割れたら怪我を。すぐに治ってもだ。ほら、離しなさい。
大丈夫だ。ゼツは影の中だろう?
そうだ、変わった。だから、大丈夫だ、な?
「・・・すみません。色々ありまして。」
静かな部屋の中、雁首そろえた中で、千手扉間はそれに頭をかいた。目の前には、己そっくりの、息子と名乗る青年に、どう見ても妻であるうちはイドラの血縁であるだろう二人の姉弟。
うちはカグラとうちはオビトと名乗った二人はひどく顔色が悪い。当たり前かと扉間はため息を吐いた。
話を聞く上では、里の状態はあまりよくないのだろう。
里の中でも上位になるだろう二つの氏族の身内が死んだのと、おまけに同時に。それに何かの策略を感じない人間はいないはずだ。
そうして、うちは姉弟の様子からして相当の精神的な負荷がかかっているのは理解できた。カグラは、広間が語っている間黙り込み床に視線を這わせるのみだった。
広間が世話を焼こうとするとにらみ付けて拒否するが、広間の気にしない態度におれて最終的に茶碗を受け取っている。
普通ならば、先ほど、カグラの影の中に放り込まれたゼツに怒りの一つでもわき上がるのだが。
扉間も、そうしてその場にいた面々はそんな気分にはなれなかった。
何故か。
扉間の隣で丼飯をかっくらうイドラがいるせいだ。
「イドラ殿、おかず、まだ残っているが。」
「煮魚!」
「もう、宴も終ったからな、厨房にあったおかず持ってきたんだが。」
「姉上、俺も!」
「なんだ、柱間、お前も腹が減ったのか?マダラ殿とイズナ殿はどうする?酔い覚ましになるかと味噌汁もあるが。」
「あーくれ。」
「俺もなんか胃に入れたい・・・」
扉間はなんか死んだ目をしていた。
もう少し、こう、冷えた空気になっても良いはずなのに。
なあ、イドラ。お前、何をどんぶり飯を食べてるんだ。姉者もおひつを持ってくるな。おかわりを聞くな。兄者も何を一緒に丼飯をくっとるんだ。時雨煮が美味い、じゃないんだが?
マダラにイズナ、お前らも味噌汁啜って息を吐くな。
もう、完全に酒飲んだ次の日の朝食だった。時間は夜中だったが。
見てみろ、アカリなんてろくに食事をしようとしないカグラにさじを使って食べさせようとしている。あーんとしている場合か!?
けれど、止められない。
されている側のカグラがちょっと嬉しそうなのだ。あの、そのとか言っているが素直に食べさせられてるし、なんか眼にハイライトが出てきている。
オビトと広間なんて、あのカグラがご飯を、と感動している。確かに、うちはの特有の上着を着ているそれは、数少ない露出部分を見ると非常に痩せている。
ちらりと扉間は隣でもりもりと食事をする女を見た。
出会った当初、ごたごたがあった時は少し痩せていたが、今を見ろ。
千手でたくさん食べさせたせいか、ふくふくとしている。女は肉付きのいいほうがいいだろう。
そんなことを考えていると、扉間はなんだか腹が空いてくる感じがした。
「姉者、ワシも茶漬けをくれ。」
「ああ、待てよ。」
「・・・それで、なんだが。」
結局、夜中の夜食会になったその時、己の娘だというカグラに茶漬けを食わせている千手アカリが口を開いた。
平然と、唐突に増えた三人に動揺もせずに迎え入れた女だ。
「私の、子ですか。」
そう言ってカグラとオビトを見たアカリの最初の反応はなんだろうか?
アカリは無言でマダラの元に向かい、そうして、彼の両手を取った。
「マダラ殿、是非とも結婚しよう。」
プロポーズである。
その場にいる人間は、二人の背後にバラが咲き乱れているのを幻視した。それにマダラは固まった。そうして、顔を真っ赤にして叫んだ。
「な、なんでだよ!?」
「あなたと結婚すれば、マダラ殿の顔を眺め、おまけにこんな好みの顔に囲まれるんですが!」
「か、顔が好みで結婚なんてありえねえだろ!?」
その言葉にアカリはふむとうなずき、そうして、言った。
「顔以外に理由があれば受けてくださる、と?もちろん、顔以外にもありますが。」
「そ、そういうことじゃなくてな!」
イズナはちらりと己の甥に当たるらしいカグラとオビトを見た。彼らは、なんだか感動するように目を潤ませて鼻水を啜っている。
「・・・・親のこういうとこ見るのやじゃない?」
「母様と父様が仲良くされているならそれでいいです・・・」
「あー、そうだよね!俺が悪かったから!」
ぐずりと鼻水を啜るオビトにイズナは申し訳なくなった。そこで、ふと、カグラが口を開いた。
「・・・イズナの叔父様は。」
「うん?」
「父様のこと、可愛いと思いますか?」
「どうしたの、突然?」
「一度だけ、母様が言っておられて。」
それにイズナはちらりと兄を見た。そこには無表情の赤毛の女に口説かれて慌てている兄の姿があった。それに、イズナはふむと首を傾げた。
「兄さんは、昔から可愛いとこがあったよ?」
それにカグラは少しだけ驚いた顔をして、ちらりと二人を見た。そこに、遠い昔の記憶を重ねているように。
「お前達はどうしてその、黒い影の名前を知ってたんだ?」
もぐもぐとそれぞれが披露宴の食事の残りで飯をかっくらう中で、広間が口を開いた。
「実は、母上から聞いたんです。」
それに部屋の中の視線は丼飯を平らげて暢気にご飯おいしいーとるんるんしていたイドラに向けられた。
彼女はそれに冷や汗が流れ落ちた。するりと、己の腰に手が回される。手の持ち主の方を見ると、そこにはにっこりと微笑む扉間がいた。
「イドラ?」
どういうことだ?
話した、そりゃあ、もう洗いざらいだ。
といっても、話せることなんて微々たるもので、何を話していいかもわからないために簡潔であるが。
うちはと千手が元々とある兄弟から派生したこと、その仲を引き裂こうとしたゼツという存在がいること、そうしてそれがうちはにずっとつきまとっていたこと。
何故知っている?
それにイドラは全力で六道仙人のせいにした。
六道仙人、おとぎ話のような話ではあるが皆が皆知っている話だ。
六道仙人がなんでそんなことを伝えたかについては、千手とうちはの兄弟が彼の弟子に当たるからだと言った。
(どれぐらい伝えて良いんだろ?でも、うちはの先祖が六道仙人って知ったら調子に乗りそうなのがいるから伏せといていっか。)
「なんか、なんか!私は、その、色々と相性が良くて!これを伝えられたそうで!」
嘘くせー。
んなもんイドラだってわかっている。けれど、実際、ゼツという存在があるのならば真実であるのだろうと、一応は皆、納得した。
そこでイドラはあと口を開いた。
「それで、オビト!あなたのその目はいったいどこで?」
「ああ、輪廻眼については、その。実は六道仙人様にもらいまして。」
「え、どこで会ったの!?」
「時空間を移動しているときです。迷子かって突然現れまして。」
すげえな仙人。いや、確かに彼の仙人ならいけそうだが。
「いや、でも、その。なんで、その目を?」
「あの爺さん、私たちのことも知ってたみたいで。それで、ゼツがこの目を狙ってるって教えてくれたから。全力で媚びて、貰ってきた。」
「ぜんりょくでこびてもらってきた!?」
イドラは思わずオウム返しのように叫んだ。それにカグラとオビトが頷いた。
「何でも、私たちの顔、仙人の奥さんだった人にそっくりらしくて。上目遣いで一発だった。」
「なんか、色々捨てすぎじゃ?」
「いいの、母様のためだもの。」
そんな会話を聞きつつ、イドラはそれでも息を吐いた。だって、少なくともゼツは自分たちの手の中だ。
少なくとも、このまま進めば良いはずだ。
そう思っていたとき、ふと、思い出す。
NARUTOも終わり、次は息子の世代のアニメか、漫画が始まったはずだ。
それを、イドラであった存在は夕方に流し見していたはずだ。
そこで、思い出す。この星を滅ぼしにやってくる、遠縁の存在について。
(お、大筒木のこともあったんだ!)
もしも、千手兄弟とうちはきょうだいの性別が反転してたら
記憶を取り戻してパニックになったイドラ(男)が扉間(女)のことを幻術欠けて攫って、数日後に泣きじゃくりながら責任取りますからって泣いてるイドラをつれた扉間が目撃されるって話を考えてた。