今回はモブが多めです。そろそろゼツさん出さねば。下ネタ多めです。
これ、子ども生まれた場合、柱間さんと扉間さんと、マダラとイズナに可愛がられるんですよね。とんでもねえ子になるのかな。
その日、千手の一族に衝撃が走っていた。
何故って、あの千手扉間が高価なかんざしをいくつか買ったというではないか。
え?あの、扉間様が?
見合いが来ればそんな暇が無いと一喝し、言い寄るくのいちには時間の無駄と切り捨て、そうして、そういった店の女との関係なんて処理に等しい。
いっそのこと、扉間様って柱間様のことが好きなのでは?
そんな噂が立っていたぐらいだ。
そんなこんなで、おそらく扉間は結婚もしなけりゃ、子どもも作らないんだろうというのが千手一族の総意だった。
事実、古老たちは優秀な扉間に結婚させようと必死だったが、扉間はそれを切り捨てた。そのため、古老たちは諦めてともかく柱間にだけは子を残して貰おうと奮闘していたが。残念ながら、柱間も柱間でうちは一族に夢中でそちらに心血を注いでいる。
そんな中にきら星のように現れたのが、うちはイドラである。
あの扉間様が!?どんな女だろうと皆が気になった。
あの場にいた人間たちは、基本的に大泣きしている部分しか知らないのでその女の本質については知らない。
もちろん、千手内でもざわつきがあった。うちはとの死合いで身内を亡くしているものはなおさらにこの婚姻に反対していた。
けれど、女が吐いたそのこと。
それに、思い出す。
子を亡くし、兄弟を亡くし、親を亡くし、夫を亡くした女の嘆きを。いいや、女だけではない、男の嘆きも思い出す。
怒りがあるのはもちろんだが、きっと、それ以上に。
もう、うんざりしていたのも事実だったのだ。殺し合うことに。
何よりも、あの扉間が惚れた女なんて酒の肴になりすぎる話題には皆が食いついた。
それは若い人間の多い、殆ど無礼講の酒の席だ。
どんな女なんだ?
綺麗なおひいさんだって。
でも、料理も掃除も完璧らしいぞ?
へえ、うちはっておひいさんでもそんなことするのか。
まあ、本当に一族全体が血族だからな。うちみたいに、他の氏族との交流だとか婚姻があるわけでもないし。
そんな会話の中、とある人間が呟いた。
「扉間様って、けっこうあっちの欲も旺盛なんだな。」
それに酒の肴の下ネタは楽しいとどんどん話も進んでいく。
「でも、扉間様、そんな逢瀬をするような暇あるか?」
「お前、あの人の得意忍術知ってるか?」
「あーそうか、影分身と飛雷神の術かあ。え、あの人、姫さんとの逢瀬のために!?」
きゃーと、女みてえな野太い声が広がった。それに、こそりと一人が口を開いた。
「うちの叔母さん、族長のところで飯とか作ってるんだが。」
「え、じゃあ、おひいさんとも会ったのか?」
「うん、というか、一緒にご飯とか作ってるらしい。すげえにこにこしてるし。あとさあ。うちはの族長がおひいさんのことを連れてきたときあっただろう?」
「ああ、俺もこっそり見に行った!すげえ美人だったあ。はにかんでるとことかさあ。」
その日に、あれだ。族長達がいた屋敷でいっぱつやろうとしたらしい。
「きゃあああああああああああ!!」
「ほんと!?」
「あの扉間様が!?」
実際ものすごいダミ声が部屋に響き渡る。それは、女達の姦しい声とそう変わらない。
「えー意外すぎ!あの人、女買ってもやることやったら速攻帰るような人だろ?」
「お前、敵の一族の姫、一回孕ませてるんだぞ?おまけに、逢瀬のために術まで作って。」
「・・・俺さ、扉間様に用があって訪ねたときがあったんだけどさ。なんか、その時、うっすら汗かいてて、薄着だったときがあったんだけど。もしかして、そーいうことしたときの後だったのか!?」
「絶対そうじゃん!あーなんだろ、すげえ、どきどきしてきた。」
もちろん、汗をかいていたのは少し鍛錬をしていただけなのだが。まあ、このぐらいの誤解は今更だろう。
大の男がきゃーきゃーと頬を染めて言い合っているのは非常に暑苦しく、見苦しいとも言えたが、まあ、それはご愛敬だ。
何はともあれ、下ネタはどんどん加速していく。
「つーかさ、うちはのおひいさん、俺も見たんだけど。あのほっそい体で、扉間様につきあってんの?大丈夫?体力持つの?」
「おま、そりゃあ、おひいさんだって戦場にいたんだろ?」
「でもさあ、あの柱間様の弟君だし。なんだかんだで、あの人も体力化けもんじゃん。」
「我慢してるのか?」
え、めっちゃ扉間様健気じゃん。
数人が口を挟んで扉間を哀れんだ。
これ以上無いほど不名誉な誤解を今日も扉間は背負って生きていた。まあ、当人に知られなければそれは存在しないのと一緒だろう。
そんな中、黙り込んで酒を飲んでいるのが一人。気になった者が話しかければああと頷いた。
「実はさ、新しい術を扉間様が考案、したんだけど。」
「へえ、どんなのだ?」
「結界術なんだけどさ。結界の中の音を外に漏らさないってのなんだけど。」
「すごいな!隠密とかに使える奴。なんか、疑問でもあるのか?」
「いやさ。」
うちはのおひいさんとの逢瀬のために作ったのかと思うと、こう、複雑で。
それに酒の席の人間があああああああああと震え出す。
「止めろよ、生々しいだろ!?」
「なるほど、行為が激しくて、ばれないように。」
「扉間様もけっこう普通の男だったのか。」
「本命にはガツガツするタイプなんだなあ。」
まあ、術の開発についてうちはイドラが理由なのは間違っていない。イドラの声が漏れないようにするための術であるのはあっている。
用途はまったくといって良いほど違うが。
「つって実際さ、和平を早めようとする策略じゃねえの?」
そんなことを言う奴がいた。
確かに、そういっている者もいた。あの扉間だ。もしかすれば、自分の誇りなんてものは度外視に策略を立てているのでは無いのかと。
扉間が聞いていれば、そこまで全てを投げ出してねえと怒鳴りつけていた。というか、策略なんてものはなく、どこまでも不幸な誤解しか存在していない。
そんな男の言葉に、一人が得意げに指を回した。
「それでさ、この前、珍しく柱間様たちの家に商人が来たじゃん。」
「ああ、あれな。」
「それどうも、細工職人だったらしくてかんざしとか売りに来たんだけど。扉間様がおひいさんに贈るための物買ったんだって。」
「でもさあ、それぐらいは別に。」
「あの、あの!扉間様が直々に、かんざしを選んだとしても?」
それに皆の間に衝撃が走る。そうして、かぶり付くように詰め寄った、
「なんだよなんだよ!」
「実はさ、俺も婚約者にかんざし買いたくて声をかけたんだけど。」
扉間とおひいさんは一緒に商人を出迎えたそうだ。そうして、扉間は並べられたかんざしを一つ一つ、イドラに髪に合わせてじっくりと選んでいたというのだ。
これでもない、これでもないと、大分考え込んでいたという。
「おま!どっかのやつの幻術にでもかかってたんだろ!」
「あの人がそんな時間をかけるなんてありえないだろう!」
「そうだろ!よくても一つとか!いいや、金渡して好きなの買ってこいとかだろ!?」
「そうだよ、あの人が、そんな、選ぶなんて!」
恋じゃん!!!
うおおおおおお!と雄叫びを上げながら酒も回りまくった変な空気感のままに叫んでいた。扉間がいれば、水遁でも叩き込んでいただろう空気がその場には漂っていた。
あああああああ!あの堅物落としたお姫様に早く会いてえ!
酒飲み達はそんな戯れ言を吐きながら、それでも婚姻の日を楽しみに夜も更けていく。
まあ、そんな甘い雰囲気なんてなかったわけなのだが。
(・・・・扉間様、怖かったなあ。)
イドラはその日、せっせと洗濯物を畳みながらそんなことを考えていた。彼女の脳裏には自分に覆い被さる扉間の姿と、そうして、ドスの利いた声を思い出した。
怖かった、柱間の木遁に追いかけられたときも怖かったが、それはそうとして、その時の扉間も怖かった。
いいか、浮気を疑われるようなことはするな。
それはうちはの女に代々伝わる話だ。
いや、何を当たり前のことを、と思うだろう。が、これはどちらかというと、もう少し複雑な話だ。
うちはが血継限界などを持っていたとしても、どうしても外の商人との関わりを断つことはできない。
また、子どもたちにお金の使い方を教えるために出入りの商人が存在する。
そこまではいい。けれど、あるとき、悲劇が起きたのだという。
商人の一人が、とある人妻に惚れてしまったのだという。
「それ、どうなったんですか?」
思わず聞いたイドラに、話をしてくれた一族の女は苦笑いで首を傾げた。
なに、ねえ、何があったの?怖いんですけど?
とまあ、言っても教えてはくれなかった。基本的に惚れれば一途なうちはの人間間では浮気なんてものはそうそうない。
まあ、一族全員親戚なので、結婚相手を裏切ってまで浮気をしようぜという精神も持てなかった部分があるのだが。
そのため、イドラも反省していた。自分自身、疑われても仕方が無いことをよくよく客観視すればしていた。
が、その後が酷かった。
誤解が解けて、イドラが泣き止んだ後、扉間はともかくと部屋を出た。そうして、会ったのが二人のことを心配していた千手柱間だった。
柱間が見たのは、目の腫れたイドラの姿だ。それに、柱間は早かった。扉間もいろいろなことがありすぎて反応が遅れた。
「とびらまああああああ!!貴様、またイドラ殿を泣かしたのか!?」
「はああああああああああ!?根源的には兄者のせいだろうが!」
柱間は扉間に関節技をかけて拘束し、締め上げる。それを扉間が切れながら応戦した。
イドラは突然始まった兄弟げんかを収めるために慌てた。
「あ、あの!柱間様!違うんです!私がうちはの者にかんざしを買ってくるように頼んでしまって!それで、あの、不義理を働いていないかと怒られて!」
「それは・・・」
扉間もひとまず誤解が解けたのかと考えた。そうして、柱間にイドラとうちはの人間の話を聞こうとした。
柱間といえば、健気に扉間を庇うイドラに目をうるうるさせた。そうして、思う。不義理云々で言うのならば、最初に子のことさえもしらばっくれた扉間の方が罪がでかくないのかと。
「不義理云々でいうのならば、お主が先であろうが!」
「ワシは何にもしておらんと言っておるだろうが!!」
柱間はなんのそのと扉間への関節への力を強くした。それに扉間はわめく。
「大体、イドラがうちはの人間にかんざしを頼んだことについて、兄者は知らなかったのか?」
それに柱間は少し考えた。そう言えば、何か、うちはの使者とイドラに許可を求められた時、いいぞおと了承した気がする。
会話も変なものではなかったはずだ。
「そう言えば・・・・」
「あんたのせいだろうが!!」
「でものお、夫の家にいながら、実家にかんざしを頼むようにしたお前も悪くないか!?」
柱間の必死の言い訳に、扉間はうっとなった。
確かに、マダラを巻き込んでいる時点で後々で何かしら小言を言われる可能性もある。そのために、扉間は彼女にかんざしを買うことにしたのだが。
もう、必死だった。
下手なものは贈れねえ。腐っても、うちはの姫なのだ。おまけに、無駄に顔も良いため、直に扉間の見る目が試される。
下手な価値のものを贈れば、うちはの人間から不満を買う。何よりも、どれが良いと言っても、扉間様の好きなので、なんて言うぽっやぽやの女しかいないのだから、もう覚悟を決めるしか無かった。
選んだ、必死に選んだ。もう、妻に物を買うような顔では無かった。戦のための忍具選びでもしてるんですかなんて言われそうな顔だった。
が、イドラは扉間の好みがわかると、始終にっこにこなのだから、夫にかんざしを贈って貰えて喜ぶ健気な妻と、真剣になりすぎている夫になるのだから世界とは不思議だ。
ちなみに、扉間は毎日のようにかんざしをつけて似合いますかと微笑む姿にああと頷いている。自分のセンスの確かさについて安堵していた。
そうして、幼い子どもが気に入りの服を自慢しているのを眺める気分であった。
イドラは、いくつか普段使い用と、そうして祝い事に使えそうな華やかなものを贈られた。
ちなみに、ヒカクの選んだものは没収された。誤解を生むだろうと危惧してのことだった。
扉間がそのかんざしを速攻で処分したのは、イドラの知らないところである。
まあ、仕方が無いと思いつつイドラは今日も、頭上で輝く、月の銀細工が施されたかんざしにるんるんになっていた。
(・・・・朝のるんるん気分、返して欲しい。)
イドラの目の前には、千手の古参たちが彼女を威圧するように座っていた。それにイドラはちょっと涙目になりながら姿勢を正した。
次、マダラのラブコメも描きたいな。