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コートジボワール日誌

在コートジボワール大使・岡村善文・のブログです。
西アフリカの社会や文化を、外交官の生活の中から実況中継します。

新体制の発足

2010-03-02 | Weblog
マンベ選挙管理委員長は、「詐欺事件」の責任をとる格好で、更迭された。野党側は、彼の罷免に反対して、全国各地で示威行動を繰り出すなどしたのであるが、最後にコンパオレ大統領の裁定を受け入れて、選挙管理委員長と4人の副委員長を総入れ替えするということに合意した。2月25日に、新しい選挙管理委員会の構成が決まった。委員長には、バカヨコ前外相が選ばれた。

新内閣については、その前日に半分だけ閣僚が任命され、やはり2月25日に第二次ソロ内閣が発足した。残り半分の閣僚は、野党が誰を送り込んでくるのかを待つ、ということになって空席のままである。だからまだ、「片足だけの(unijambiste)政府」とは呼ばれているけれど、政府は政府である。内閣が解散されたまま、ずるずると政府のない状態がいつまでも続くのでないか、と恐れていた私は、とりあえずほっとする。なぜなら、政府がないというのは、私の仕事の相手がいない、ということである。年度末までに、片付けなければならない仕事が、いくつか残っていたのだ。そういう仕事を、これで何とか進めることができそうだ。

さて、新しい選挙管理委員長が決まり、新しい閣僚が決まった。バカヨコ選挙管理委員長は、前外相だから、私も当然よく知っている。新しい閣僚の顔ぶれをみると、ボウン・ブアブレ開発相、コフィ経済財務相、アマニ・ヌゲサン国防相、ブル・レネ国民教育相、ドゥアティ漁業相と、これまでの仕事で親しく付き合ってきた閣僚が、けっこうそのまま残留になっていて、たいへん助かる。ドッソ技術教育・職業訓練相が代わったのはちょっと残念なのだが、彼は横滑りで産業相に任命され閣内に留まった。とりわけ「道路はゴミ箱じゃない」以来親しくしてきたメレッグ都市衛生相が、青年スポーツ相に横滑り任命されたのは、助かった。今月の後半に、空手選手権大会を主催しようと考えている。これはぜひ、メレッグ青年スポーツ相にも力になってもらおう。

私は、一人一人にお祝いの手紙を書く。そして、シャンペンを1本づつ付けて、それぞれの役所に届けた。手紙だけでは、ファイルに埋もれてしまう。こういうときには、何か小さくてもいいから、お土産を付けるのが効果的である。はじめは花束にしようと思ったけれど、花だとすぐ枯れてしまう。だから、シャンペンにした。そして、先方が落ち着いたころを見計らって、これから順番に挨拶に訪ねていくこととしよう。

ともあれ、こうして新体制が発足した。それで、肝心の選挙の見通しはどうなるのか。ブルキナファソのコンパオレ大統領は、2月22日にアビジャンまでやってきて、バグボ大統領、ソロ首相、べディエ元大統領(PDCI党首)、ウワタラ元首相(RDR党首)の全当事者を集めて間を取り持ち、事態打開のための裁定を行った。その後に声明を発表した中では、これからの日程について、次のとおり示している。

3月1日から21日まで:異議申し立ての追加受付
3月22日:「確定版」選挙人名簿の作成
4月末から5月初:大統領選挙の第一回投票

声明では、この日程で進められるように、これからよく検討してください、という言い方である。きちんと正式に決められた日程ではないけれど、当事者の間でのおおよその共通理解と考えていいだろう。それにしても、昨年12月には「2月末から3月初」と合意されていた選挙の予定日が、また2ヶ月ほど先延ばしになった。2005年以来、何度も延期され続けてきた。私が着任してからだけでも、2008年11月30日2009年11月29日、「2月末から3月初」、と3回も「予定日」を通り過ぎてしまった。今度もどうなるやら。

そこで、さっそく国連コートジボワール活動(UNOCI)のチョイ代表の意見を聞いた。チョイ代表は答える。
「4月末から5月初というのは、準備期間が限られるので、ちょっと無理がありますかね。でも、5月末から6月というのであれば、技術的には十分実現できますよ。あくまでも、技術的には、です。」
技術的な面以外で、不安があるのですか。
「どうもねえ、選挙に向かう政治的意思がちゃんとあるのか。これが心配です。でも、国際社会として傍からいろいろ言っても、これだけはコートジボワール側の問題ですからね。ともかく今は、確定版の選挙人名簿が、着実に出来上がることを期待して、作業を見守ることです。確定版さえ出来上がれば、あとは大統領選挙を妨げる障害は、ほとんどなくなることになります。」

「5月末から6月」とチョイ代表は言うけれど、6月になると、こちらでは雨の降る時期にはいってしまう。雨が降ると、舗装のないこちらの道路では、水溜りや泥濘ができ、また時には水の流れに分断されて、車が通れなくなる。つまり、全国各地の村々で、投票が行えなくなる恐れが大きくなる。雨季が続く6月から8月くらいまでは、選挙はありえないというのがこちらの常識である。だから、「5月末から6月」ならば技術的には間に合うといわれても、あまり喜べないのではないかな。私は、どうも選挙に向けて、長丁場になりそうな気配を感じている。

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