先月29日にクジラ4頭が打ち上げられた館山市の平砂浦海岸で調査を行ったのは、クジラの研究を行う「日本鯨類研究所」の調査員などおよそ20人です。
調査は、日本近海のクジラの生態系を確認するために行われ、DNA鑑定に向けて皮膚や歯を採取したほか、体の大きさを測ったり性別を確認したりしました。
海岸に打ち上げられたクジラ4頭を研究機関が調査 生態系確認へ
先月、千葉県館山市の海岸で、クジラ4頭が打ち上げられたのを受けて、5日、クジラの研究機関が現地調査を行いました。調査員によりますと、2頭以上が同時に海岸に打ち上がる事例は珍しく、生態系の確認につなげる方針です。
調査の結果、4頭のうち1頭は骨だけとなっていましたが、残りの3頭は体長12メートルから14メートルのマッコウクジラであることが分かり、いずれもオスだったということです。
調査員によりますと、2頭以上が同時に海岸に打ち上がる事例は珍しいということです。
日本鯨類研究所の田村力参事は「地形的にこのあたりは過去にクジラの漂着が複数回確認されている。今回のデータをクジラの資源管理に使っていきたい」と話していました。
これまでも全国各地で報告
クジラが海岸などに打ち上げられた例はこれまでも全国各地で報告されています。
去年2月に沖縄県国頭村の海岸で子どものザトウクジラとみられるクジラ1頭が見つかったほか、2022年には神奈川県小田原市の海岸で体長6メートルほどのクジラの死骸が漂着しました。
複数のクジラが打ち上げられた例では、2002年に鹿児島県の海岸で14頭のマッコウクジラが確認されています。
日本鯨類研究所によりますと、国内では去年、40頭のクジラが打ち上げられたと報告があり、マッコウクジラの漂着は年間平均10頭ほどだということです。
専門家「3つの条件が当てはまりクジラのソナーが効かなかった」
クジラの生態に詳しい東京海洋大学の加藤秀弘名誉教授は、クジラの特性について、「クジラは、自分の身の回りは、音が跳ね返ってくるものを感知する。自分で音を出しながら跳ね返ってきて岩や崖があるとみて動く」と話しています。
そして、クジラが打ち上げられやすい3つの条件を挙げ、「遠浅であることと、砂泥であること、それと『地磁気』の等高線という天気図の等高線みたいなものが海岸線と直交に近い場合は非常に座礁が起こりやすい」と話していました。
具体的には、「遠浅では、自分の音があまり跳ね返ってこないし、砂だと音がそのまま吸収されてしまう。仮に障害物があっても海のつもりでそのまま進んでしまう」と説明しました。
また、『地磁気』の等高線について、「北海道まで行こうというような回遊移動の大方針は『地磁気』の同じ等高線をたどりながら行くが、等高線が砂浜と直交していると自分はどんどん進みいつの間にか陸地に上がってしまう」と指摘しました。
その上で、「今回の現場も遠浅のように見え、3つの条件が当てはまったのでクジラたちのソナーがよく効かなかった。千葉県の九十九里など、今回の現場の北方に続く海岸線は3つの条件が当てはまっている」と説明しました。