4回戦、エンザンは無事にシゲルの試合を観戦する時間の確保に成功した。
「レアコイル、戦闘不能!ゴローニャの勝ち!」
対戦相手のトレーナーは3体目のポケモンにまで追い詰められたがそこから巻き返さんと言わんばかりにゴローニャでレアコイルを倒した。1体目のポケモンが倒されたもののシゲルは特に慌てることはせずにレアコイルをボールに戻す。
「いけ、ニドキング!」
「ニド!」
シゲルの2体目のポケモンはニドキングだった。
ゴローニャは既にロックカットを使っているので素早い状態にある、ニドキングよりも素早いのでどういう風に立ち回るのか?
「ニドキング、にどげりだ!」
高くジャンプし、ニドキングはゴローニャににどげりを叩き込む。
一発、二発と叩き込んだが相手はいわタイプのポケモンである。そう安々と突破は出来ない。しかし今のでしっかりとダメージを与えれた。がんじょうは破れたので余計な事は考えなくて済む。
「ゴローニャ、じしんだ!」
「ニドキング、尻尾を使ってジャンプだ!」
ゴローニャがじしんを使ってくる。岩のバトルフィールドには逃げ場は無い。
ニドキングは尻尾を地面に叩きつけて通常よりも遥かに飛んだ。じしんの衝撃波を見事に回避した。
「バブルこうせんだ!」
技のデパートの異名を持つニドキング、使える技はとにかく豊富である。
口からバブルこうせんを放ちゴローニャに当てればパチンパチンと泡が弾けておりゴローニャは苦しそうな顔をする。
「バブルこうせんだ!」
ゴローニャは最後の1体だがシゲルは下手な事はしない。
なにか違うことをして想定外のおかしな出来事に合うのはごめんだとバブルこうせんを当て続ければゴローニャは倒れた。ニドキングのバブルこうせんで戦闘不能になった。
「ゴローニャ、戦闘不能!ニドキングの勝ち!よって勝者、マサラタウンのシゲル選手!」
「ふ……君は決して弱くはない。ただ運が悪かった、僕が強すぎたんだ」
ゴローニャの戦闘不能によりニドキングが勝利し、シゲルの勝利が決まった。
見事に4回戦を突破したシゲルは運が悪かったねとキザな笑みを浮かべているがそれは何時もの事なので特に気にはしない。
「シゲルは勝ち進んだか」
俺が居る以上はなにかしらのバタフライエフェクトかなにかが起きるのは分かっていた……まぁ、この世界だから特にそういうのは気にしなくていいんだがな。
ライトノベルや漫画にありがちな読者の心を引き寄せる為の悲しい出来事はこの世界ではあるかないかで言えばあるかもしれないが、それでもなんだかんだでハッピーエンドは迎える。だからバタフライエフェクトでなにか特別な事が起きたとしても意味は無い。
「おぉ、ここにおったか!」
「来たんですね」
「うむ!研究が一段落したからの!テレビもいいがやはり生で見るのは堪らんの」
シゲルについて色々と考えていたが、自分の試合があることは忘れていない。
そろそろ自分の試合が行われる水のフィールドに向かうかとスタジアムを後にしたらオーキド博士と遭遇した。研究が忙しくて1からポケモンリーグを見ることが出来ないと言っていたがなんとか研究を一段落させて来ることが出来た。
「今からサトシの試合じゃ、応援せんとな」
「残念ながら俺の試合もあるので……サトシの試合を楽しんでいってください」
オーキド博士がサトシの依怙贔屓をするのは何時もの事なので特に文句は無い。
エンザンの試合もあるのか?とオーキド博士はどっちを見ればいいのかを考えるがエンザンはサトシの試合を見るように言ったのでサトシの試合を見ることに。もしエンザンに次があればと考えるが5回戦以降は全てセキエイスタジアムで行われるので見ようと思えば全試合見れるのである。
『さぁ、4回戦もいよいよ大詰め!この水のバトルフィールドで行われる4回戦はこの試合で最後となっております!』
「これよりカントーリーグ・セキエイ大会4回戦を行います!」
バトルフィールドに向かいトレーナーが立つ場所にエンザンはスタンバイ。対戦相手のトレーナーもスタンバイ、セキエイ大会の4回戦が行われると審判は宣言する。
対戦相手はアキラ、珍しいポケモンは持っていないがどのポケモンも非常にレベルが高い。
「先行はエンザン選手から!」
「いけ、サンダース!」
「ダース!」
「サンダースか、だったらお前だ!サンドパン!」
「サァン!」
水のバトルフィールドなのでみずタイプのポケモンは出てくるだろうとエンザンはサンダースを登録していた。水のバトルフィールドなのでみずタイプは当然出てくる、そしてそのポケモンの対抗策にでんきタイプが出てきてそのでんきタイプ対策のじめんタイプが出てきた。
「試合開始!」
「サンダース、いきいきバブルだ!」
「サンドパン、ステルスロック!」
試合開始の合図が宣言されればサンダースはいきいきバブルを使う。
こっちの方が早く動けているのにアキラは慌てずにステルスロックを使う。いきいきバブルに対して特に驚いていない。それどころかいきいきバブルを何事もなく平然と受けた。苦しい表情を見せずに余裕な顔をしている。
「俺のサンドパンは水を克服したんだ!」
「…………みずタイプの技に対して痩せ我慢しているんじゃないか?」
「コレを見てもそれは言えるか?きりさく攻撃だ!」
みずタイプの攻撃を克服したと自慢げに語るアキラ。エンザンは色々な事を考えアキラを軽く煽れば乗ってきた。水が大丈夫じゃないポケモンは浮島の足場に乗って移動しなければならないがサンドパンは水なんて怖くない、平気だと一直線に水に入って泳いできてサンダースに飛びかかる。
「10まんボルトだ」
「バカめ!じめんタイプのサンドパンには10まんボルトは通じない!」
「通常の場合はだ……この場合のダメージ計算が分からないな」
「サァ!?」
『な、なんと!通じています!じめんタイプのサンドパンに対してでんきタイプの10まんボルトが通じています!コレはどういうことか!!』
アニポケだから許されること、水に濡れているのならじめんタイプは電気が通じる。
理論で言えばみずびたしでタイプをみずタイプに変換しているのと同じか?
エンザンのサンダースが放った10まんボルトがサンドパンを苦しめる。
今までみずタイプに対してしっかりと対策はしていたが、そもそもで通じないであろうでんきタイプは全くと言って対策はしていない。ここに来ての理外の理、でんきタイプの技にダメージを受けるサンドパンが生まれた。
「戻れ!」
『おっと、ここで引いたぞ!』
「まさか俺のサンドパンにそんな弱点が……だが、こいつならどうだ!いけ、ラッタ!」
「……」
最初のステルスロックが痛いな。
全ての相棒技を使えるサンダースなので基本的にはなにが出てきても問題はないが、何事にも例外はある。ノーマルタイプに対して有効打は一応はにどげりがあるがサンダースの物理攻撃じゃ心細い。普通ならばここでポケモンの入れ替えをするところだろうが、ここで一番最初に使われたステルスロックが響いてくる。
「ラッタ、でんこうせっかからのいかりのまえばだ!」
「サンダース、どうせ来るのは分かってるんだ!浮島の周りに10まんボルトだ!」
ラッタの攻撃は分かったのならばどうにか出来る、でんこうせっかを使われる前に自分が立っている浮島の周りに10まんボルトを撒き散らしてそもそもで近づけない状態にする。しかし残念か、でんこうせっかは10まんボルトよりも先に出てはサンダースの間合いを詰めラッタはいかりのまえばで噛み付いた。エンザンは慌てない。何故ならばいかりのまえばは敵を倒せない技だから。
「10まんボルトだ!」
「ラッタ、ひっさつまえばだ!」
間合いを詰められようがやることは変わりはない、10まんボルトを浴びせるだけだ。
アキラのラッタはサンダースの10まんボルトを直撃するがそれでもまだ倒れずそれどころかひっさつまえばを使う。噛みつかれてもサンダースは10まんボルトをやめない。ラッタも噛みつくことをやめず、両者共に倒れた。
「ラッタ、サンダース、両者共に戦闘不能!ルールに則りアキラ選手から次のポケモンをお願いします!」
「いけ、スピアー!」
「スピ!」
「スターミー、バトルスタート!」
「ヘァッ!!」
アキラの3体目のポケモンはスピアー、それに対してエンザンは前の試合ではあまり活躍出来なかったスターミーで挑む。
「スピアー、こうそくいどうで撹乱しろ!」
「スターミー、かげぶんしん……全ての浮島にだ」
先ずはお互いに動く、スピアーはこうそくいどうでスターミーの周りを移動して翻弄しようとするがスターミーはかげぶんしんを使う。かげぶんしんを全ての浮島に作り出せばスピアーはどうすればいいのかわからなくなった。
「スターミー、ねっとうだ!」
「ヘァッ!!」
「ス、スピ!?」
「…………スピアー、こうそくいどうで素早さを増やせ!」
「ならばこちらはかげぶんしんだ」
なにか考えたアキラはスピアーにこうそくいどうを更に使わせる。
なにが狙いなのかは分からないがかげぶんしんは使う、浮島に1体ずつ居たかげぶんしんも気付けば2体居る。
「スターミー、ねっとうだ!」
「スピアー、シザークロス!」
動きが速い、いや、反応が速い!
スピアーの背後に居るスターミーが本物のスターミーだった。
エンザンは気付いていないが動きが単調になっていると言うか何時でも奇襲出来るようにとスターミーをスピアーの背後に向かわせていた。アキラは直ぐに気付き、エンザンは気付かれた事に気付いた。
「傷は浅いか……スターミー、かげぶんしん!」
「無駄だ!今のスピアーなら攻撃してくるタイミングでカウンターを当てれる!」
「だったら当てればいい!みがわりだ!」
「な、なに!?」
無数のかげぶんしんがドロンと煙を出して身代わりを置いた。
この世界では余程の事ではみかけないであろうみがわりを使ってきたので驚くアキラ。無数のかげぶんしんの中に1体だけ本物が潜んでいるが一撃で倒すことだけは不可能だ。こんなのは今まで相手にしたことがないと動揺を隠せない。
「ねっとうだ!」
背後の分身でなく真正面の分身のみがわりが本物だった。
スピアーに向かってねっとうを浴びせればスピアーは水のフィールドに落ちた。
「スピ……」
「スピアー、戦闘不能!スターミーの勝ち!」
「戻れ……お前に全てを託す!いけ、サンドパン!」
「サァン!」
再び舞い戻ったサンドパン。サンダースとのバトルのダメージは多少は抜けたものの、全快とは言い難い。スターミーもシザークロスで大きなダメージを受けてからのみがわりで意外と体力は残っていない。
「サンドパン、じしんだ」
みがわりは動けない、サンドパンの放つじしんの衝撃波に全ての分身が破壊される。
だがまだ一手残っている、まだスターミーは技の枠を1つ残している。ねっとうは通じないのだからそれを使うしかない。
「れいとうビームだ!」
「ヘァッ!」
「サンドパン、じわれだ!!」
れいとうビームを放つスターミーに向かって一筋のじわれのパワーが飛んでくる。
水のフィールドの水がパカッと真っ二つに裂かれる。じわれパワーがスターミーに命中すると同時にサンドパンにれいとうビームが当たった。
「スターミー、戦闘不能!サンドパンの勝ち!」
「サァッ……」
れいとうビームでサンドパンを削り切る事が出来なかった。
サンドパンは息を大きく乱しながらも立っておりエンザンの3体目のポケモンが出てくるのを待っている。
どうやら俺は思っていた以上にマヌケの様だな
スターミーをボールに戻し、3体目のポケモンが入っているモンスターボールを取り出す。3回戦までの相手が思っていたより拍子抜けだったのでこんなものかと思っていたがそれはエンザンの慢心だった。カントーリーグはまだまだ猛者が潜んでいる。自分自身が天狗になっていたと自覚し、心の垢を落とすと決めた。
「ジャラランガ、バトルスタート!」
エンザンの3体目のポケモンはジャラランガ、通常よりも一回り大きな個体だ。
ジャラランガはやっと自分の出番が来たなと喜び雄叫びを上げる。ステルスロックにやられる。サンドパンはコイツさえ倒せばと踏ん張る。
「ジャラランガ、最初からいくぞ!」
エンザンはZパワーリングに装着されているジャラランガZを見る。
何をするのか分かったジャラランガは呼吸を整えZパワーを受け取り、ジャラランガZのZワザの体勢に入った。
「ブレイジングソウルビート!!」
「っ!!」
心にあった余計な垢を擦り落とす為にもエンザンはブレイジングソウルビートを使う。
Zワザはまだまだ知名度が低いが、それでも知っている奴は知っている。アキラはコレは今まで見たどの技よりも威力が高くて回避は不可能だと察した。サンドパンはブレイジングソウルビートを真正面から受けて倒れた。
「サンドパン、戦闘不能!ジャラランガの勝ち!よって勝者、マサラタウンのエンザン選手!」
『スゴい!スゴいぞ!!コレが噂に聞くZワザ!圧倒的なパワーでサンドパンを撃墜!エンザン選手、5回戦に進出だ!』
「…………そろそろ貯金は使い果たすか」
今まで楽々と勝てていたのはアローラ地方で猛特訓をしたから。
勿論、俺以外も特訓はしている。だからこのアローラの猛特訓分を帳消しにするほどの実力者がこれからの相手…………面白いな。
エンザンはやっと面白い展開になったと嬉しい気持ちになった