ポケットモンスター チームオブブルース


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作:局務事通交ピルア
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第28話


 

 3回戦にエンザンは無事に駒を進めた。1回目はまぐれだが2回目は本当の実力、3回目からが本番だなんだと言う言葉を何処かで聞いた気もしなくもない。

 

 

 

3回戦の対戦相手はまだ分からないのだが、今までよりもレベルが高い筈だろう。

 

 

 ここまで楽々と勝ち進んでいるエンザンだったがここだからこそ疑心暗鬼を抱いている。2回戦で戦ったサイゾウは弱かったが何もかもが弱いというわけではない。ガラガラだけを見れば自分のポケモンと負けず劣らずの強さを持っている。あのレベルがこれから当たり前になっていくと考えれば、ポケモンのパワーでなくテクニックを見せないといけない。

 

「へい!チャーシュー麺のチャーシューとネギのトッピング、玉子抜きお待ちどうさま!」

 

 連日連夜続いているカントーリーグ・セキエイ大会、エンザンは出来ることは全てやったとアローラで特訓している。今更になってああだこうだ言って言い訳や逃げる事はしない。連日連夜続くカントーリーグ、休息らしい休息があるのかと言われれば自分の試合が無い時間が休息だ。大抵のトレーナーは敵情視察をするが、エンザンはラーメン屋に来ておりチャーシュー麺のチャーシューとねぎのトッピング、玉子抜きを頼んでいた。

 

 

コレを喜ぶオリンピック選手達が居たな。

 

 

 日本でオリンピックやバレーボール等の国際競技が行われる際に外国から招待されている外国人選手が日本の飯が美味すぎるだろう!と結構な確率で騒ぐ。カントーリーグにはカントーの有名な飲食店のアンテナショップが並んでおり、出場選手及び関係者はタダなのでエンザンは遠慮なく豪勢なトッピングをしラーメンを啜る。

 

『おーっと!氷のフィールドが溶けて水のフィールドになった!』

 

 ラーメン屋のテレビにサトシが映っている。3回戦に駒を進めたサトシは対戦相手のウィンディ、そして氷のバトルフィールドに苦戦を強いられている。

 

 

やっぱりクソギミックだな

 

 

 氷のフィールドなので炎を当てれば水のフィールドになる、中々にクソなギミックである。溶けない氷的なので出来たバトルフィールドじゃないのかと思いつつもエンザンはラーメンに胡椒を入れてサトシの試合を見る。

 

 

発想力、アドリブ力は既に一級品だが……分かりやすい成長はしていないな。

 

 

 最終的には試合を勝利したのはサトシだった。氷のフィールドが水のフィールドに変わっても動じることなく逆にフィールドを活かしてやるとウインディを水に落としてピカチュウに10まんボルトを指示した。その結果、ウインディは倒されてサトシは勝利したが咄嗟の思いつき、発想力や想像力はサトシはとても強いのだとエンザンは認識する、それと同時にサトシは技や進化という目に見えて分かる分かりやすい成長はしていないと思った。

 

「これよりカントーリーグ・セキエイ大会3回戦を行います!」

 

 ラーメンを食べ終えた後に向かったのは草のフィールドがあるスタジアム。

 

 エンザンは自分の試合が行われるのでやってきており、昼をラーメンにして正解だなとお腹を擦る。

 

『さぁ、ここ草のフィールドでは今から3回戦が行われる模様!ここまで破竹の勢いで勝ち進んでいるエンザン選手、対するはポケモンゼミのマニュアルを全て納めてここまでやってきたセイヨ選手!果たしてどちらに軍配が上がるか!』

 

「オーッホホホ……ここで当たったのが残念ね!でも勝負の世界は過酷なのよ!」

 

「五月蝿い女だな」

 

 卒業するだけでカントーリーグに自動的に出れる全寮制の学校であるポケモンゼミを卒業したトレーナー、セイヨ。自分を優秀なトレーナーだと認識しておりここでぶつかるエンザンが可哀想だと言っているのだがエンザンは普通に五月蝿いと思った。

 

「先行はエンザン選手からです!」

 

「スターミー、バトルスタート!」

 

「ヘァッ!」

 

「いけ、ゴローニャ!」

 

 ルーレットでエンザンが先にポケモンを出すのが決まり、スターミーを出した。スターミーに対してセイヨが出したのはゴローニャ、明らかに相性が悪いポケモンだ。経歴からしてサトシの様に相性なんて関係ない!と言うタイプではない。

 

「スターミー、なみのりだ!」

 

「ゴローニャ、だいばくはつよ!」

 

 津波を巻き起こし、ゴローニャを飲み込もうとするスターミーに対してゴローニャはだいばくはつを使った。津波に乗っているスターミーはゴローニャになみのりを当てるのだがゴローニャは特性のがんじょうで攻撃を耐えてはだいばくはつを巻き起こした。

 

 

現実でやれば思っている以上にクソだな

 

 

 だいばくはつの1:1の等価交換は立派な戦術だとエンザンは認識している。開幕のだいばくはつに対してなにかしらの批判はするつもりはないのだが、これから色々としようとしている中でのだいばくはつ、相手と問答無用に引き分けになるこの技は強い。そしてクソだ。

 

「スターミー、ゴローニャ、両者共に戦闘不能!……ルールに則りだいばくはつを使ったセイヨ選手からポケモンを出してください!」

 

「出てきなさい!」

 

「ガラッ!」

 

「ガラガラか……カメックス、バトルスタート!」

 

「ガメェ!!」

 

 セイヨの2体目はガラガラだった。サイゾウのガラガラには一歩劣るがそれでもレベルが高いのが分かる。なるべく相性通りの戦術で行きたいのでエンザンはここでカメックスを出せばセイヨが驚いた。

 

「なっ、なんでカメックス!?」

 

「俺がなにを選ぼうが勝手だろう」

 

「でも、スターミーが……3体しか選べなくてフィールドの恩恵を得られないのよ!?」

 

 みずタイプのスターミーが入っている以上はみずタイプのポケモンは重複されない、バトルフィールドが水ならば話は別だが今回は草のフィールドだ。みずタイプの売りである泳いでの戦闘は不可能であり、エンザンの様にバランス良く育てているトレーナーならば出てこないと予想していたがエンザンは出した。あえて出したのではなく、そもそもでスターミーとカメックスでは仕事が違うと理解しているからカメックスを選んだ。

 

「っく、まぁいいわ。ガラガラ、ホネブーメラン!」

 

「カメックス、あくびだ!」

 

 自分の予想が外れた事で少し動揺するが持ち直すセイヨ。

 

 ガラガラは自慢の骨を投げるのでカメックスは頭部を引っ込めて回避。そこからあくびの泡を放つ。ガラガラはウトウトとしており返ってくるブーメランを掴んだ頃には意識がボーッとしていた。

 

「っ!」

 

「カメックス、からをやぶる!」

 

 

判断が鈍ったな。

 

 

 あくびを受けてもうすぐねむり状態になるガラガラを見てどうすればいいのかセイヨは判断が鈍った。ここでガラガラを戻すのが1番だがセイヨはモンスターボールを手にしていない。交代してもあくびがある以上は厄介なカメックスであることには変わりはない。判断能力が鈍っている間にすかさずからをやぶるを使い能力を上げる。

 

「ガラ……」

 

「戻りなさい。いけ、ワタッコ!」

 

「ワタ!」

 

 ガラガラはねむり状態に陥ってもう戦えないと判断したセイヨはボールに戻す。戦闘不能ではないが眠っているので使い物にならない状態、そんな状態でガラガラからワタッコに切り替えた。

 

「カメックス、アクアジェットだ!」

 

 相性が悪いワタッコが出てきてもエンザンは動じない。からをやぶるは嘘をつかないのだとアクアジェットを指示した。カメックスはアクアジェットで突撃し、ワタッコに激突、突き飛ばす事に成功したがワタッコはまだ倒れない。

 

「ちからをすいとる!」

 

「アクアジェットで回避しろ!」

 

 ちからをすいとるを使って体力と力を奪ってくる。からをやぶるを1回使っている、それで上がった能力を奪われるわけにはいかないのだとアクアジェットで回避する。紫色の怪しいオーラがワタッコから飛んでくるが右に左に避けるカメックス、エンザンに一瞬だが視線を向ける。

 

「……目の前で止まれ!」

 

「今よ!」

 

「れいとうビームだ!」

 

 カメックスのアクアジェットに翻弄されているワタッコ、どうにかしてちからをすいとるを当てたいが早すぎて当てられない。そんな中でカメックスが目の前で止まってくれた。千載一遇のチャンスが来たと思ったがそんな事は無かった。カメックスはゼロ距離のれいとうビームをワタッコに叩き込みワタッコをカチンコチンに凍らせた。

 

「ワタッコ、戦闘不能!カメックスの勝ち!」

 

「っ……戻れ……まだよ……まだ終わっていないわ!!」

 

「熱いものは持っているな」

 

 

だが、それだけで届かないのがポケモンバトルだ。

 

 

 セイヨは最後の一手まで諦めないのだとガラガラが入っているモンスターボールを構えた。ガラガラは出てきたのだが、寝たままだった。セイヨが目を覚まして!と声を掛けるがガラガラは何も反応しない。

 

 最後の最後まで勝負を諦めない、それが例え蜘蛛の糸のようなか弱い糸であろうとそれに賭けようとする覚悟や負けられないという思いは立派だが勝負は勝負だ。

 

「アクアジェットだ」

 

 眠っているガラガラめがけてアクアジェットを叩き込む。

 

 ガラガラはフィールドの隅にまで突き飛ばされて……そのまま起き上がる事なく戦闘不能になった。

 

「ガラガラ、戦闘不能!カメックスの勝ち!よって勝者、マサラタウンのエンザン選手!」

 

『決まったぁ!エンザン選手、余力を残した上での勝利!彼の快進撃を止める事が出来るトレーナーは果たしているだろうか!』

 

「……」

 

 

コレはどっちなんだ?

 

 

 3回戦も無事に突破することが出来たエンザンは勝負に勝ったのは喜べた、だがそれと同時に物足りないと言うか相手が思っていたより弱くないか?と疑問を抱いた。

 

 自分が今いるのは3回戦、まぐれだけで3回戦にまで勝ち進むトレーナーは早々に居ない。セイヨのだいばくはつは少し予想外だが充分に巻き返しが出来る物だった。セイヨは3回戦にまで進んだだけの実力はあるがそれでもエンザンは軽く上回った。それはエンザンが物凄く強くなったか?もしくはセイヨ達が弱すぎたのか、どちらかが分からない。

 

「勝ったというのに随分と拍子抜けな顔だね」

 

「ホントにこれでいいのかと疑問を抱いているところだ」

 

 セントラルのポケモンセンターに向かいカメックスとスターミーを治療している。

 

 別のスタジアムで試合をしていたシゲルもポケモンの回復に来ており勝ったのにあまり顔に出さないようにしているだけでなくなにかが満たされていない状況でつまらないとエンザンは感じているのだと気付いた。そして呆れた。

 

「おいおい、君、それは嫌味かい?」

 

「嫌味もなにも俺が勝てているという実感は無い…………刺激が足りないな」

 

 とある漫画で人は生きている事を実感したいが為に死のリスクやスリリングな事を味わいたいのだと言っていた。今のエンザンはポケモンバトルで大激闘を繰り広げての勝利をしたいと思っているのだが、アローラの修行でエンザンのトレーナーとしてのレベルは大きく上がった、そのせいか物足りないと感じており、ここに来るまで必死だったトレーナー達にとっては最悪なことである。

 

「まぁ、君が満たされないならば……僕が君を倒してみせるよ」

 

「そうか……次は負けるなよ?」

 

「そこは次もでしょ?」

 

 エンザンは知っている、シゲルがカントーリーグでは4回戦で負けてしまうのを。

 

 自分という異分子が関わったことでなにかしらのバタフライエフェクトの1つや2つ、起こっているんじゃないのかとエンザンは考えた。しかしそういうのは考えていても仕方がない事なのだと時間が空いたのならばシゲルの4回戦の試合を見るかと考えた。

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