ポケットモンスター チームオブブルース


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作:局務事通交ピルア
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第27話


 

「こういう世界ははじめてだな」

 

 カントーリーグ・セキエイ大会の1回戦が終わった。全ての試合が終わり、2回戦に駒を進めたエンザンだがあまり見ていて気持ちいいものじゃないもの、念願のポケモンリーグで成果らしい成果を出せずに1回戦で敗北した。ただの涙でなく大きな差をつけての大敗も中にはあり、一歩間違えれば自分も同じ立ち位置の人間になっていたなと認識する。

 

 

ガチの部活動はこういうのが当たり前か。

 

 

 エンザン自身は真面目に上を目指しているが、エンザンがエンザンになる前はそういうバチバチとした競争の世界には居なかった。

 

 いい歳したおっさんが健康的な汗をかく為のスポーツをしているので、本気で勝利する為に一食で白米を1kg食べないといけない寮生活のガチの部活動な世界に入り込んで異界に迷い込んだんじゃないのかと一瞬だけ考えるが直ぐに余計な思考をしないでおこうとした。

 

「あ、エンザン!」

 

「ヒロシか」

 

 2回戦の対戦相手が誰なのかの確認をしに行こうとすればヒロシと再会する。エンザンはヒロシを見て面倒なのが来たのだと思うが声や顔には出さない。ヒロシはエンザンがここに居るという事に関してとても喜んでいた。

 

「ここに居るって事は君もカントーリーグに出てるんだよね?」

 

「それ以外でポケモンリーグに行く理由は無いだろう。お前がここに居ると言う事はお前も出場条件を満たしてここに居るんだろ?」

 

「勿論さ……あ、そうだ。見てくれよ」

 

「ドォ!」

 

「……前にも言ったがそれは興味が無い」

 

 エンザンに思い出したかの様にヒロシはサイドンを見せる。

 

 エンザンが求めていたサイドンとは違うサイドンでありヒロシはエンザンにエンザンが使えないと思っていた奴は育てれば一級品の実力を!と言いたいのだろうが、エンザンはサイドンには興味は無かった。エンザンが興味を抱いているのは最初からハードロックドサイドン、もっとも既にドリュウズをゲットしているので今はそこまで欲しいとは思わない。

 

「カクのおかげで危ないところを何度も救われたよ」

 

「ここはポケモンバトルをする祭典だ、だからポケモンとの惚け話は不要だ」

 

「もう、釣れないな」

 

「エピソードは無い奴は無いんだ」

 

 エンザンの素っ気ない態度にもう少しあるんじゃないかと軽く対応するが、エンザンはエンザンで冷静に対応する。

 

 

そもそもでゲットに何かしらのエピソードがある方がおかしいだろう。

 

 

 アニポケでポケモンがゲットされる際に高確率でこのトレーナーなら信頼出来る!と人間ドラマを挟む。しかし旅をして分かったがそういうのはホントに稀少だ。極々僅かであり、なにかしらのエピソードが人間ドラマがある方がおかしい。

 

 エンザンが今までにゲットしたポケモンの殆どがエピソードらしいエピソードは無い。必要なポケモンだからゲットした、ただそれだけだ。コイツには拘りがある!と言うフェチは否定しないが、それはそれ、これはこれである。

 

「ここに居るという事は2回戦の対戦相手の確認だろう?」

 

「お前だったら簡単に倒せるんだがな」

 

「それはこっちのセリフだよ、って言いたいんだけど僕の対戦相手は君じゃないんだ……これからジックリと詰めないと」

 

 ヒロシを軽く煽りながらも次の試合について語る。ヒロシも2回戦に進んでいて2回戦の対戦相手は別にいる。自分ではないのかと少しだけ残念だと思った。ヒロシは2回戦の対戦相手に対してどういう風に対抗しようかと考えるべく選手村の自分の部屋に戻る。エンザンは受付の人に自分の2回戦の対戦相手について聞いた。

 

「君の2回戦の対戦相手はサイゾウ選手、フィールドは岩のフィールドよ」

 

 2回戦の対戦相手が誰で何時に行われるかを知ればエンザンはセントラルのポケモンセンターを後にする。

 

 選手村の自分の部屋に戻り、パソコンを起動してサイゾウのデータを確認する。1回戦はガラガラで3タテした。インタビューで「拙者とガラガラにかかれば容易いもの!」と言っている。この発言からガラガラがサイゾウのエースな可能性がとても高い。

 

 ガラガラをどういう風に倒すかが今回の勝負の分かれ目、そうなると巨大な一撃が必要になる。

 

 

出来ればまだまだ隠していたいが、奥の手を奥の手のままも意味が無いからな

 

 

 エンザンは自分の腕に嵌めているZパワーリングを見つめる。Zワザという他はあまり持っていない武器をエンザンは持っており、これで優位性を奪う試合運びをしたい。しかし、Zワザを持っていると認識されれば何処かの段階でZワザが飛んでくると思われる。公式戦でのZワザの使用は無いのでここで手の内は晒したくはないが、そうやって出し惜しみしていると痛い目に遭うのをよく知っている。

 

「バタフリー、ロズレイド、ミミッキュだな」

 

 色々と考えて出すポケモンを決める。

 

 パソコンをカタカタと操作し、2回戦に出場させる3体のポケモンを登録した。他でどんな試合が行われているのかが気にはなるものの、余計な雑念に捕まってはいい試合は出来ない。予想外の強敵とかが登場したりして余計な事を考える。余計な情報は今は入れずにシャットアウトする。

 

「エンザン、どうだ?」

 

「相手がよかったな」

 

 岩のバトルフィールドがあるスタジアムに足を運べば試合が行われていた。

 

 2回戦に駒を進めたサトシが戦っており勝ったのだが、エンザンから見れば育てが足りないポケモンだった。相手がよかったと本心をポロッと言えばサトシはずっこける。

 

「オレの実力だからな!」

 

「ああ、そうだな。お前の実力は中々だ」

 

「じゃあなんで相手がよかったって言うんだよ?」

 

「俺にとっての実力はいい結果を残せる能力を持っているかどうかだ、お前は結果的には勝利という最高の結果を出した。ただ世間一般で言う強いや弱いの枠組みで嵌めれば俺もお前もまだまだ弱い。今回勝てたのはお前の運がよかった」

 

 

運も実力のうちと言うのならば、サトシの実力は中々なものだろう。

 

 

 エンザンはスパッと言い放ち、岩のフィールドの選手が立たないといけないところに立った。

 

 サトシは純粋な強さで勝利したと言いたそうにしたが、なんだかんだで運の要素が絡んでいると心の何処かで認めていた。だったらホントの強さってのを見せてもらおうじゃないかとサトシは観客席にいるタケシとカスミと合流する。

 

『さぁ、こちら岩のバトルフィールド!先程マサラタウンのサトシ選手が見事な勝利を納めてくれました!続いてもマサラタウン出身の選手!エンザン選手です!』

 

「どうも」

 

『対するは圧倒的な強さで1回戦を突破したサイゾウ選手!これは見ものです!』

 

「全国に見せてやるでござる!拙者の力を!」

 

「これよりカントーリーグ・セキエイ大会2回戦を行います!使用ポケモンは3体のシングルバトル!交代はお互いにあり!Zワザ、テラスタル、メガシンカは何れか1回のみ!」

 

 どちらが先にポケモンを出すかのルーレットが回転する。ルーレットは緑色に止まった。

 

 緑コーナーに居るのはサイゾウ、サイゾウはモンスターボールを構えた。

 

「ゆくでござる!ドードー!」

 

「ドォ!」

 

「バタフリー、バトルスタート!」

 

「フリャア!」

 

『サイゾウ選手の1体目はドードー!対するエンザン選手の1体目はバタフリー!互いに違うポケモン、どの様に動くのか!』

 

「試合開始!」

 

「先手必勝!みだれづきでござる!」

 

「バタフリー、飛べ!」

 

 試合開始の宣言がされればドードーは動く、見た目通りの足の速さと思ったがバタフリーの方が先に動けた。

 

 連続でつついてくるみだれづきをバタフリーは空を飛ぶことで回避している。回避されたことにドードーは慌てるが、エンザンは気にしない。

 

「ちょうのまいだ」

 

「フリャア!」

 

「ならばこうそくいどう!」

 

 ちょうのまいで能力を上げるバタフリーに対抗してきてこうそくいどうを使う。

 

 元からバタフリーの方が素早さが上でちょうのまいを使われれば手に負えないと判断した上での行動だろう。だが、その勝負に乗っかってはいけない。能力を上げる技を使ってきたのならばなにが上がるのか等を熟知しておかなければならない。素早さだけはドードーが上回るが特殊攻撃と特殊防御力はバタフリーが遥かに上だ。

 

「バトンタッチだ!」

 

 3回ちょうのまいを使ったのでバタフリーにバトンタッチを使わせた。

 

 バトンを残してモンスターボールに強制的に戻るバタフリー、次に出すポケモンは決めているとモンスターボールを出す。

 

「ロズレイド、バトルスタート!」

 

「ロズ!」

 

「ムムム!見ないポケモンでござるな……」

 

「この地方じゃあまり見ないポケモン、だが知らないは通じない世界だ」

 

「しかしその見た目からくさタイプなのは明らか!ドードー、つばめがえし!」

 

 サイゾウはロズレイドに関する知識は無かった。ただロズレイドの見た目が如何にもくさタイプなのは直ぐに分かった。

 

 さっきはバタフリーが飛んでいたので出来なかった事だがロズレイドは地に足をつけているのだとドードーでつばめがえしを仕掛けに行く。つばめがえしは必中技、回避することは不可能……だが、逆を言えば確実に向こう側がこちらに対して接触してくれる。

 

「ヘドロばくだんだ!」

 

 それを利用する。ヘドロばくだんをロズレイドは放ち、ドードーに当てた。爆発したヘドロばくだんの煙が舞ってドードーが見えなくなったがドードーはロズレイドに向かって攻撃はしてこない。

 

「ドォ……」

 

「ドードー、戦闘不能!ロズレイドの勝ち!」

 

「っく、なんというパワー」

 

 ロズレイドの圧倒的な特殊攻撃力から放たれるヘドロばくだん、それだけでも強いがちょうのまいの効果を引き継いでいる。通常の倍以上の威力を出しており並大抵のポケモンでは耐えられない。サイゾウは悔しそうにしながらもドードーを戻した。

 

「いくでござる、メノクラゲ!」

 

「メノ」

 

 サイゾウの2体目はメノクラゲ、これを見たエンザンは思った。

 

 

サムライの方が強いな

 

 

 メノクラゲはどくタイプのポケモンでもあるので少し厄介なポケモンだが、さっきのドードーとメノクラゲを見て1回戦で戦ったサムライの方が強いのだと感じる。サムライの方がレベルが高い、こいつは弱いのではないのか?と疑問を抱きながらも手を出す。

 

「じんつうりきだ」

 

 頭からロズレイドは光線を放つ。メノクラゲは動く前に光線に当たり苦しい表情を浮かび上げて倒れた。

 

「メノクラゲ、戦闘不能!ロズレイドの勝ち!」

 

「なっ……一撃で」

 

「悪いがちょうのまいは嘘をつかないんだ」

 

 積み上げたちょうのまいをロズレイドに託したがそれは間違いではなかった。じんつうりきの一撃でメノクラゲは倒された。

 

 この世界はホビーアニメのお約束か一部の技を軽視しているところがあるのだがエンザンはその技の価値についてはしっかりと知っている。自分自身で相手のポケモンを倒さずに盤面を整える為だけのポケモンを知っている。バタフリーはそれが可能なポケモンなのも知っている。

 

「ならばお前にすべてを託すのみ!ゆけ!ガラガラ!」

 

「ガラッ!」

 

 サイゾウの3体目のポケモンはガラガラ、さっきまでの2体と比べて明らかにレベルが違う。信頼出来る相棒だから頼りになるポケモンだからガラガラを使い続けた。そんな感じでガラガラに戦闘経験を多く積ませて他のポケモン達の育成を怠った、エンザンはそう考えてガラガラを見つめる。

 

 

小手調べは出来ないか。

 

 

 あのガラガラは強いガラガラだと認識した。既にロズレイドはじんつうりきとヘドロばくだんを使っていて残された技の枠は2つ、エナジーボール辺りでガラガラを突破しようという考えが一瞬過るがあのガラガラは強いのと3体目なので後を気にしなくていい。

 

 ロズレイドが倒された場合はミミッキュでカバーする、今回はミミッキュZを装備しているので抜かりは無い。だが、まだミミッキュZは見せたくない。

 

「ガラガラ、ホネこんぼう!」

 

「ねむりごなだ!」

 

 自慢の太い骨を持って突撃してくるガラガラ、動きは速いが割と単調でありねむりごなは撒き散らすだけで良かった。

 

 ねむりごなを吸い込んではいけないと呼吸を止めるが目から来るものもある。ガラガラの目にねむりごなが入ってガラガラは眠った。

 

「リーフストームだ!」

 

 ねむり状態になったガラガラを見てこれで終わりだと最後の技の枠をリーフストームで埋めた。

 

 無数の葉っぱが突風を巻き起こしながらとんでいく、まさにリーフストームでありガラガラはその中に飲み込まれ葉っぱが何処かに行けばガラガラは倒れていた。

 

「ガラ……」

 

「ガラガラ、戦闘不能!ロズレイドの勝ち!よって勝者、マサラタウンのエンザン選手!」

 

『決まったぁああ!!エンザン選手、バタフリーのちょうのまいによって強化されたロズレイドを巧みに扱いサイゾウ選手のポケモンを倒した!サイゾウ選手、エンザン選手のロズレイドを前に手も足も出ない!強いぞロズレイド!』

 

「…………」

 

「失礼します」

 

 負けたという現実を受け入れるのにサイゾウは時間がかかるとエンザンは判断した。

 

 ガラガラをボールに戻す行為をせず、バトルフィールドの中に入ってガラガラに駆け寄る。ガラガラは自分は負けたのかと激しく落ち込んでいる。

 

 

ミミッキュZを温存出来たのは大きいな。

 

 

 エンザンは岩のバトルフィールドを後にしながらZパワーリングを見つめる。ガラガラは強いからつるぎのまいからのぼかぼかフレンドタイムで倒せないか?とミミッキュを今回登録していたが、ロズレイドでなんとかなった。まだ対戦相手にはミミッキュの存在もミミッキュZの存在も認知されていない。

 

「……バタフリーが居なかったらあやしかったな」

 

 ガラガラだけ明らかにレベルが違うサイゾウの手持ちだったが、ガラガラは文字通り強い。

 

 バタフリーのちょうのまいを無しでロズレイドに挑んでいたら負けていた可能性もある。やはりこういう積み技は大事なのだと納得し、ポケモンセンターに向かった。

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