ポケットモンスター チームオブブルース


メニュー

お気に入り

しおり
作:局務事通交ピルア
▼ページ最下部へ


26/31 

第26話


 

 カントーリーグ・セキエイ大会が開幕した。疲労が溜まっていたトレーナー達はファイヤーの聖火により全回復した。

 

「俺の1回戦の対戦相手は?」

 

 開幕したのでやることは1つ、戦って勝つことだ。エンザンはバトルフィールドや対戦相手が発表される施設に来た。普通はこういうのはメインのセントラルのポケモンセンターで行うものなのだがセキエイ大会は無駄に金がかかっているので施設も無駄に多い。

 

「このボタンを押してください」

 

「はい」

 

 受付の女性にとりあえずボタンを押すように言われたのでボタンを押せばルーレットが回る。草、水、岩、氷の4つのフィールドの中から選ばれる。選ばれたのは氷のバトルフィールド、氷のバトルフィールドがあるスタジアムの場所を教えてもらい

 

「対戦相手は彼よ」

 

 対戦相手のトレーナー、サムライについて教えてもらった。

 

 エンザンがポケモンを貰って間もない頃に出会った虫取り少年なトレーナー、トキワの森での対戦は今でもハッキリと覚えている。原作では使い捨てキャラだったがあの後無事にカントーリーグに出場することが出来たのかと思いながらもどうするのかを考える。

 

「まさか1回戦の対戦相手がお主であったとは!」

 

「対戦相手が誰なんて気にしてどうする?ここには勝つために来たのだから、誰であろうと倒すだけだ」

 

 自分の対戦相手が判明したという事は相手が自分と戦うという事が判明したのと同じである。サムライは1回戦でエンザンに当たることが分かったので声をかける。1回戦で戦うとは思っていなかった様だがエンザンは対戦相手がなんであれ勝つ、ただその為にここに居るとキッパリと言い放つ。

 

 

相手が誰であろうと勝つ、ここはそういう場所だ

 

 

 1回戦から懐かしい顔に遭遇してもそれは変わらないとエンザンは自分に言い聞かせる。

 

 

しかし、よりによって氷のバトルフィールドか……明らかに不要だろう

 

 

 水のバトルフィールドと岩のバトルフィールドはまだ理解出来るが、氷のバトルフィールドは明らかにおかしいと感じている。氷のバトルフィールドが得意なポケモン、大体はこおりタイプのポケモンである。水中とかならともかく露骨にこおりタイプが得意なバトルフィールドだなとエンザンはポケモンセンターに向かう。

 

『待っておったぞ。誰にする?』

 

 エンザンは持っているポケモンをオーキド博士に預けていた。今回の相手であるサムライやカスミの様に何かしらのタイプを好んで使うタイプのトレーナーならともかくそうでないトレーナーも普通に居る。そんな中でポケモンを見てこいつならば行けると思い込むのはよくないこと、ポケモンのコンディション最高=そいつを出そう!と視野を狭めたくなかった。一時の感情に身を任せたくなかった。

 

「ロズレイド、ドリュウズ、リザードンでお願いします」

 

『うむ、では送るぞ』

 

 モンスターボール転送装置に電気が走り3つのモンスターボールが送られてきた。

 

 ロズレイド、ドリュウズ、リザードンの3体が無事に送られてきた。一応は顔を見ておくかとモンスターボールから出した。3体ともやる気に満ちているのでメンタル面は問題は無いなとモンスターボールに戻せばシゲルと遭遇する。

 

「やぁ、ここに居るって事はお祖父様に連絡かい?」

 

「ああ。手元にポケモンを置いていれば判断をミスする可能性があるからな……1%でも勝てる可能性を上げる為にしている」

 

「勤勉だね。僕はもうすぐ試合だから……エンザン」

 

「なんだ?」

 

「こんなところで負けるなよ……君やサトシがこんなところで負けてからの僕が勝ったじゃなんの意味も無いんだ」

 

「そっくりそのまま返してやりたいな……俺にとってあのモンスターボールはそこまでの価値が無かったりするが、まぁ……待っているぞ」

 

 エンザンはシゲルに背を向けた。やっぱりエンザンはサトシとは違うタイプであるなとシゲルは感じる。だからこそ油断がならない。エンザンは何時の間にかメガバックルとZリングを装備している。修行と言っていた時間にホントに徹底的に修行をしている。サトシとは対抗心を剥き出しにする関係性だが、エンザンに対してはその背中に手を伸ばして追い抜きたいという関係性に近しい。

 

『さぁ!カントーリーグ・セキエイ大会!ここ氷のフィールドは氷の冷たさなど関係無いのだと言わんばかりに熱狂に包まれています!先ほどはマサラタウンのシゲル選手が快勝を決めたところ!そして次の試合もまたまたマサラタウンのトレーナー!シゲル選手と同様に今年ポケモントレーナーになった猛者です!』

 

「そんなにすごい事なのか?」

 

 ポケモンリーグに出れるトレーナーはそれなりに居るのでポケモンを貰って直ぐにポケモンリーグに出てもおかしくはないだろうと疑問を抱いたが、どうもエンザンの感覚はまだ狂っている。地方リーグに出れるだけでも凄まじいのがこの世界である。とは言え、エンザンが目指しているのは上澄みも上澄みの最強ってやつだ。だから地方リーグに出てベスト4等になって満足したということにはなってはいけない。

 

「これよりカントーリーグ・セキエイ大会1回戦を行います!使用ポケモンは3体のシングルバトル!交代はお互いにあり!Zワザ、テラスタル、メガシンカは何れか1回のみ!」

 

 審判が時間が来たので旗を手に持った。この試合のルールについて宣言し、エンザンとサムライは電光掲示板を見る。どちらが先にポケモンを出すのかを決めるルーレットが回転しエンザンが先にポケモンを出す事が決まった。

 

「リザードン、バトルスタート!」

 

 エンザンが1体目に出したのはリザードン、開幕のリザードンである。サムライが使うのは主にむしタイプのポケモン、なのでここは定石通りほのおタイプのポケモンで攻める。リザードンは地面が氷で出来ていると分かれば翼を仰ぎ空を飛ぶ。自分が氷のバトルフィールドに立っていればややこしい事になるのだと判断している。

 

「リザードンでござるか。ならばここはバタフリー!お主の出番でござる!」

 

「フリ!」

 

 リザードンを見て相性が良いポケモンを出さなかった。登録していない可能性があるのかどうかは分からないがサムライの1体目はバタフリーだった。バタフリーを見たエンザンは1手行動してから即座にポケモンを入れ替える等は考えない。先ほど行われた試合でシゲルはポケモン1体で3タテした。そしてサトシのキングラーの唯一の見せ場として有名な3タテがここで行われる。だったら自分もそれぐらい出来るようにならないといけない。

 

「試合開始!」

 

「バタフリー、ねむりごなでござる!」

 

「リザードン、かえんほうしゃで焼き尽くせ!」

 

 試合開始と同時に動いたのはバタフリーだった。サムライはリザードンを相手に下手な手は使えないと判断しまずは状態異常でじっくりジワジワとと言った戦法でいくつもりだった。リザードンはねむりごなを放つバタフリーに向かってかえんほうしゃをねむりごなごと浴びせる。バタフリーが放ったねむりごななので眠ることが無いのだがねむりごなにかえんほうしゃが被弾し一気にボォ!と燃え上がりバタフリーに対してかえんほうしゃの炎が向かった。粉塵爆発の様な事が起きてバタフリーは怯み、かえんほうしゃが直撃し……バタフリーは墜落した。

 

「フリャア……」

 

「バタフリー、戦闘不能!リザードンの勝ち!」

 

『な、なんと!早い!たった一撃で!試合開始早々のダウンです!』

 

 

コレはどっちだ?

 

 

 自身のリザードンでバタフリーを一撃で倒した。マサラタウンに帰った時と比べて少しはパワーアップしているだろうと思っていたが一撃でバタフリーを倒せるとは思っていなかった。サムライもまさか一撃で倒されるだなんて!と驚きを隠せておらず、エンザンはサムライが弱いのか自分が強くなったのかのどちらなのか?と疑問を抱いた。

 

「っく……やはりむしタイプではほのおタイプとは相性が悪いでござるな。しかしそれでめげる拙者ではござらん!いくでござる!ツボツボ!」

 

「ツボォ!」

 

「……」

 

 

また玄人向けな厄介なのが出てきたな。

 

 

 エンザンは2体目に出てきたツボツボを見て少し考える。

 

「リザードン、かえんほうしゃだ!」

 

「ツボツボ、パワートリックでござる!」

 

 リザードンにかえんほうしゃを指示した。リザードンはかえんほうしゃを浴びせるがツボツボは全くと言って苦しんでいない。こと、耐久力に関しては右に出るポケモンが居ないツボツボ、パワートリックを使い防御力と攻撃力を入れ替えた。

 

 これでツボツボは尋常ではない攻撃力を手に入れた。特殊攻撃力と特殊防御力に関しては特に変化が無い。

 

「コレは厄介だな」

 

 物理攻撃をしてと言っている状態のツボツボだが、物理攻撃の殆どが近接攻撃だ。そこを狙ってのカウンターの一撃、特にリザードンはいわタイプに対して滅法弱い。ツボツボはいわタイプのロックブラストを覚えるのでそれが全弾命中すれば負けるだろう。

 

「ツボツボ、ロックブラスト!」

 

「リザードン、避けろ!」

 

 予想通りかツボツボはロックブラストを使ってきた。ロックブラストの岩自体はそこまで速くない。リザードンでも回避する事が可能なのだとリザードンに回避を専念させてロックブラストを全て回避する。当たればその時点で終わりなのは分かっている。今回登録しているポケモンでツボツボに相性の良いポケモンはいない。

 

「リザードン、おにびだ!」

 

 リザードンだけでどうにかして倒すために居るのだから使える手は使う。リザードンはおにびをツボツボに向かって放った。おにびはツボツボに命中しツボツボは苦しそうな表情を浮かび上げる。やけど状態にすることに成功した。これでツボツボのパワーは半減する。

 

「リザードン、りゅうのいかり!」

 

「ツボ!?」

 

 その上でりゅうのいかりをぶつけた。りゅうのはどうはそのポケモンのパワーにより変動するがりゅうのいかりは誰がどう使っても同じ威力であるドラゴンタイプの必殺技。受ける側も同じダメージしか受けないのを逆手に取ってりゅうのいかりをぶつけた。その時、ツボツボは沈んだ。リザードンが最初にかえんほうしゃを浴びせた際に氷のフィールドが若干だが溶けた。ツボツボが立っているところが溶けておりりゅうのいかりがぶつかることで凹み、ツボツボは氷水の中に浸かりりゅうのいかりが爆発した。

 

「ツボ……」

 

「ツボツボ、戦闘不能!リザードンの勝ち!」

 

 ツボツボを無事に倒した。サムライはまだエンザンのリザードンにダメージすら与えられていない事に対して焦りを抱く。それと同時にエンザンは自分自身が焦っていることに気付く。

 

 

おにびは無駄打ちだったな。

 

 

 ロックブラストを最初から回避する事が出来たのだからおにびをわざわざ使う必要は無かった。限られている力や技を無駄打ちしてしまったと少し反省しつつも3体目のポケモンを待つ。

 

「ゆけ!カイロス!」

 

「カイカイ!」

 

 3体目に出てきたのはカイロス、最初から最後までむしタイプで統一だ。

 

 同じむしタイプのポケモンでも方向性が違うのは分かっているがむしタイプ統一なのでやりやすい。

 

「カイロス、まずは同じ土俵に立たせるでござる!うちおとす!」

 

「リザードン、低空飛行でかえんほうしゃをフィールドに放て!」

 

 空を飛ぶことが出来ないカイロスはまずは同じフィールドに戦わせようとうちおとすを使う。

 

 リザードンは低空飛行、地面スレスレであり右に避けるか左に避けるかの平面な回避に絞りかえんほうしゃを氷のバトルフィールドに当てる。するとカイロスが立っている場所を含めて数個の氷を残して氷のバトルフィールドが氷水のバトルフィールドに切り替わった。

 

 エンザンはリザードンに低空飛行を止める様に言えばリザードンは飛んだ。カイロスはうちおとすを使おうとするが、上手く岩を投げる事が出来ない。

 

「かえんほうしゃだ」

 

 逃げ場を失ったカイロスに対してかえんほうしゃをリザードンは浴びせた。かえんほうしゃを浴びたカイロスは地面に背中を向ける。要するに氷水の中に突っ込んでプカーと浮いた。立ち上がることはなく審判はそれを見て頷いた。

 

「カイロス、戦闘不能!リザードンの勝ち!よって勝者、マサラタウンのエンザン選手!」

 

『決まったぁああ!!圧倒的!エンザン選手、サムライ選手のむしポケモンを寄せ付けない圧倒的な強さで勝利した!』

 

「はぁ、強くなったと思ったのでござるがな……あの時は同等でござったが今では大きな差が広げられたでござるな」

 

 試合が終了したらサムライはカイロスをモンスターボールを戻して大きなため息を吐いた。最初に戦った時は同等の強さだったが、この試合でエンザンとの間に大きな力の差があるのだと感じ取った。リザードンで華麗に3本奪われたのでぐうの音も出ないのだとサムライは素直に負けを認め、エンザンに握手を求めた。エンザンはそれに応じたが直ぐに気付く。

 

 

震えているな。

 

 

 自分と握手を交わす手から伝わる震え、1回戦でいきなり敗北したのは心に来るものがある。エンザンは察したがなにも言わない。自分がすべきことなのはサムライが勝てなくても当然だと思えるぐらいに勝ち進み強さを証明する事だから。

26/31 



メニュー

お気に入り

しおり

▲ページ最上部へ
Xで読了報告
この作品に感想を書く
この作品を評価する