「ブレイジングソウルビート!!」
クチナシからZリングをもらいカプ・ブルルにZパワーリングに改造してもらったエンザンは修行に励む。
別にZワザはアローラでしか使えないものではない。他に強いトレーナーが居るバトル施設に挑みに行くのも手だったが、今の自分の限界を見てみたいのだと鍛錬に励んでいる。ジムに憧れを抱いている者がジムを作ったりしていたのだが今まで戦ったジムリーダーの中で誰よりも歯応えが無い。アローラは良いところだ。だが、外の地方を知らなさすぎる。アローラの腕自慢もアローラの外にはごまんといる。そんな印象だった。
大体はこんな感じだな。
エンザンはアローラ以外には向かわずZクリスタルを下手に増やす真似はせずに修行に励んだ。そして満足の行くレベルにまでレベルが上がった。
「どうやらちょっとはマシな顔になったみてえだな」
「クチナシさん……」
「あんちゃん、そろそろセキエイ高原向かわねえとヤベえだろ?マジの大事な場所なんだから場の空気ってやつには馴れとかねえと」
ウラウラ時まで特訓をしているとクチナシが現れた。そろそろセキエイ高原に向かわないとカントーリーグ・セキエイ大会に出場そのものが出来なくなる。出場条件であるジムバッジ8個を満たしているのに現場に辿り着かなったは笑い話にならない。しかしエンザンは割と余裕を持っている。今から向かえば余裕でセキエイ大会に参加は出来るのだがクチナシは会場の空気に馴れないと飲み込まれる事を言ってくる。
めんどくさがり屋だけど世話好きな人なんだな。
自分がウラウラ島で大試練を受けようとした際にしまキングとして大試練を!としなかった。やりたいならば他所に行けよと適当に扱っているクチナシだったがなんだかんだでエンザンの事は見守っていた。バトルの修練に向いていないほのぼのとしたアローラにわざわざ足を運んだ。目的はZワザでありそれを渡すに相応しい実力を持っている。だからこそつまらないところで負けてはいけない。
クチナシはクチナシなりの応援をしているとエンザンは感じればエンザンはジャラランガをボールに戻した。会場の空気というのを知っておいて損は何処にも無い。会場の空気に飲み込まれて本来の力を発揮する事が出来なかったは何処の世界でもある話だ。
アローラで特訓をしたエンザンはマサラタウンに帰った。家に帰ることは出来たのだが、今家に帰ってしまえばなにもかもが終わってしまうそんな気がするのでエンザンは家に帰らずにカントーリーグが開幕されるセキエイ高原に向かう。
「……」
「って、おい!」
「なんで無視するのよ!!美味そうなフルーツでしょう!!」
セキエイ高原に向かえばバナナやぶどう、リンゴ等の定番なフルーツが入っているフルーツバスケットが置かれていた。道のど真ん中に置かれているのでエンザンは明らかにおかしいと少しそれた道に入ろうとすればロケット団が現れた。コレはロケット団の罠、ロケット団がジムバッジを奪ってコレクターに売りさばいてやろう!そんな考えのもとで仕掛けた罠である。
普通、怪しむだろう。
ロケット団はエンザンが反応しなかったどころか無視した事について言ってくるのだがエンザンは呆れている。こんなところに不自然に果物が置かれているのならば誰だって怪しむ。そもそもで現時点でお腹は空いていないのでフルーツバスケットに触る理由は何処にもないしよく分からない果物を口にするほどエンザンはバカじゃない。
「って、よく見たらタマゴボーイ!」
「そういや、あんたもカントーリーグに出場だったわね」
「ちょうどいいニャ!おミャーからバッジとポケモンを奪ってやるニャ!」
「はぁ……ポリゴンZ、はかいこうせんだ」
「「「ぎゃああああ!!やな感じぃいいい!!」」」
結局こういうオチがつく……サトシは毎回こういうのに巻き込まれているのだから大変だろうな。
エンザンのポリゴンZのはかいこうせんで星になった。エンザンは追いかけることはしない。アレは相手にしても意味は無い、そもそもで相手にするのがめんどくさい厄介なエネミーだ。そういう風に割り切ってカントーリーグが開催されるセキエイ高原に辿り着いた。
「出場登録をお願いします」
カントーリーグ・セキエイ大会で使われるポケモンセンターに向かい身分証明証であるポケモン図鑑と出場条件であるジムバッジを提示する。ポケモン図鑑は機械に入れられる。ジムバッジは本物かどうか確認する為にジムバッジ専用の特殊な金属のみを探知する金属探知機で確認を行う。
「マサラタウンのエンザンくんね。登録は完了したわ。コレが大会のマニュアル、こっちは選手村の鍵よ。無くしちゃダメよ」
「そんな事はしませんよ」
エンザンは大会のマニュアルと選手村の鍵を受け取れば、自分に与えられた選手村の部屋に向かう。この世界での大きな一大イベントであるポケモンリーグ、金は当然掛かっており選手及び選手の関係者は破格の待遇を受ける事が出来る。具体的に言えば全て無料である。エンザンはコーヒーマシンを見つけたのでコーヒーを淹れる。
「来てみたのはいいが……祭り騒ぎだな」
カントーで何かしらの大きな大会やイベントが起きる時は決まってセキエイ高原でやる。ポケモン関係のイベントだと会場の使い回しとかそういうのが出来たりする。エンザンはコーヒーマシンで淹れたコーヒーを飲んで窓の外から見えるセキエイタウンを見て感想を述べる。
これだと会場の空気とかそういうのがわからないな
場の空気に飲み込まれないように早めに会場入りした方がいいとクチナシから勧められていた。来てみればセキエイタウンはお祭り騒ぎであり、1つ1つが大事な一戦、負けたらその時点で全てが終わりな世界とは程遠い。会場の大事なしっかりとした空気を噛みしめる事は出来ないのだと少しだけ困る
対戦相手でも確認するか。
既にカントーリーグ・セキエイ大会の出場登録をしているトレーナーのデータを確認する。まだまだ大会への参加申し込みのトレーナーは増えるのだがそれでも既に50人以上が大会に参加を申し込んでいる。そういえばカントーリーグ・セキエイ大会は誰が優勝したのか詳細な描写がされていないなと、要注意人物等が居ないかの確認をするがおかしなポケモンを持っているトレーナーは居ない。
ここまで来ているだけあり、しっかりと育成をしているトレーナー達が多い。この中から一番になるのは中々に難しいが、優勝する為にここまで来たのだからああだこうだ言っていられない。
「聖火ランナーか」
大会出場者限定で聖火ランナーになれる、かもしれないクジがあった。エンザンは迷いなくクリックをすれば当選結果が発表される。当選結果は当たり、エンザンは聖火ランナーに選ばれた。具体的に何処から何処まで走り誰から聖火を受け取るのか渡すのか等を確認する。こういう事は後で色々といい経験になるものだとエンザンは少し喜び僅かだが表情を変える。
そんなこんなで数日後、ファイヤーの聖火がナナシマのともしびやまからセキエイ高原に向かってやってくる。エンザンは特別な格好はせずに何時も通りにしており、聖火を灯す灯火棒を持っている。
「ほっほ、緊張してるのかの?肩に力を入れすぎてたら、堪らん試合は出来んぞ?」
「なにせこういう場所ははじめてですので」
タマランゼ会長から間もなく聖火が届く云々について説明が入っているとエンザンが緊張している事を見抜かれる。タマランゼ会長が堪らんと滾る様な熱いバトルをしてくれるトレーナーの1人だとエンザンを期待しているがエンザンは普段以上の力が入っている。ただの聖火ランナーなのだがそれで力が入るということは知らず知らずの内に場の空気に飲み込まれていた証だろう。
緊張しているのか。こういう場所はホントにはじめてだからな、来るところまで来たという証か。
エンザンはファイヤーの聖火を受け取った。聖火を灯す棒に聖火を移せば走り出す。エンザンが走るのはセキエイ高原中間からセキエイスタジアム等のバトルフィールドがあるセキエイタウンの入口付近までだ。聖火を貰ったエンザンは聖火ランナーとして走る。セキエイタウンまでそこそこ距離があるがそれでもありがたいものであるファイヤーの聖火を一目見ようというセキエイ大会目当ての観客達が来ている。
「オレ達を歓迎してくれて」
「邪魔だ!」
「あぎゃ!?」
「……なにをしているんだ?」
セキエイタウンまで辿り着けばサトシ一行と遭遇する。サトシ一行は聖火ランナーの自分もといファイヤーの聖火を一目早く見ようと歓迎してくれている観客達をセキエイ大会に挑もうとしている自分達を歓迎していると勘違いをした。自分達は見向きもされてないのかよとサトシは落ち込んでおりエンザンは呆れる。
タマランゼ会長がファイヤーの聖火を持って走っていることをサトシ達に伝える。ファイヤーの聖なる炎なのか!と羨ましそうにサトシはエンザンを見る。
「悪いが、順番を譲るつもりは無い。コレは早く来たトレーナー限定だ」
サトシは聖火ランナーをやってみたいなと言う思いはあったが無理なものは無理だと跳ねられる。エンザンは聖火ランナーとしての仕事を続ける。途中にロケット団がファイヤーの聖火を奪いに来たのだがエンザンは軽々と撃退した。
「ご協力、ありがとうございます!」
今回はしっかりと逮捕をしないといけないな。
エンザンはロケット団を撃退しただけでなくそのまま逮捕した。ロケット団が介入してきてカントーリーグが邪魔される、それだけはあってはならない。何かの拍子で自分を妨害してきたらその時点で終わりだ。エンザンはロケット団をジュンサーさんに引き渡す。そしてジュンサーさんにポケモンリーグが無い地方の監獄にでも送り込んでくれと頼む。
「オーッス!未来のチャンピオン!」
開会式に挑めばポケモンリーグ協会の副会長が出てきた。この中から未来のチャンピオンが現れる事を期待し、トレーナーらしく正々堂々と戦い切磋琢磨して競い合えと何かしらの大会でよくある無難な言葉で纏めている。そんな中だった。
「ファアアアアア!!」
「なっ!?」
ファイヤーの聖火が姿を変えた。炎の鳥と呼ぶに相応しい姿に変えたファイヤーの聖火はセキエイスタジアムで開会式を迎えているトレーナー達のもとに向かった。聖火は揺らめきセキエイ大会に出場するトレーナー達を一気に燃やす。その炎に包まれたトレーナー達は回復した。今日まで必死に特訓をしてきたトレーナー達、ポケモンのコンディションのメディカルチェックはしっかりとしているがトレーナー側は特にしていない者が多い。口にはしないが疲労が溜まっているものもそれなりに居たのだがファイヤーの聖なる火に包まれた事で今までの疲労が吹き飛んだ。
「なんと!コレはファイヤーが我々のバトルを期待してくれているという証!!カントーリーグ・セキエイ大会の開幕をここに告げる!」
「……俺は思っていたより疲れていたのか」
ファイヤーの聖火を浴びたことでエンザンに溜まっていた疲労が完全に抜け出た。エンザンは休むべき時は休んでいるつもりだったのだが、それでも練習量がとにかく多い。そのせいで本人は疲れていると自覚出来ない疲れがあった。それが一気に回復した。エンザンはそれをはじめて自覚した。ただ、これだけやっても勝てないのが残酷な現実、厳しい練習と量が正義ではない。
「元々あの状態で挑むつもりだった、礼は言わないぞ」