ポケットモンスター チームオブブルース 作:局務事通交ピルア
飛行機に乗ってやってきたのは常夏の南の島、ワイハー……ではなく、アローラ地方。
「アローラ!君がエンザンくんだね。ワシがポケモンスクール校長のナリヤ・オーキドじゃ」
アローラ地方の空港で荷物検査を終えれば色黒なオーキド博士、通称オーキド博士(アローラの姿)……ポケモンスクールの校長であるオーキド校長だ。オーキド博士との関係性は従兄弟、アローラ地方でポケモンサイエンス学を子供達にレクチャーしている。
髪型以外オーキド博士と瓜二つ。オーキド博士アローラの姿と言われるだけはあるな。
「ユキナリから話は聞いておルナトーン!ソルロック!よくぞ修行の地にアローラ地方を選んでくれありがトルネロス!」
す、スゴい……いったいどういう原理で出来ているんだ!?
ギャグ描写と言われればそこまでだがオーキド校長は韻を踏みポケモンの名前を出すと同時に顔をポケモンそっくりにしている。一流のモノマネ師でもここまでポケモンにそっくりな顔にはなれない。これは相当な鍛錬を積んだ証。究極の一発芸だなとエンザンは驚くが顔には出さない。
「アローラに伝わるZワザを会得とアローラのポケモンをゲットしたいと思っていました」
「うむ!シゲルとは少し違うが中々の覚悟!しかしZワザは手に入れたくても簡単に手に入るものではない……長く飛行機に乗ってて疲れたジャローダ、まずはアローラを楽しみナットレイ」
「……」
修行の地として選んだアローラ地方で修行を!と考えていたエンザン。オーキド校長は温かく受け入れてくれるのだが、まずはアローラ地方を楽しむ様に言った。アローラ地方は常夏のバカンスの土地として有名な地方で遊ぶところは沢山ある。エンザンは遊ぶ為にアローラ地方にやってきたのではない。Zワザの会得やカントーでは見かけないポケモンのゲットにやってきた。
「ハッハッハ、ハトーボー!まだまだ青いノズパス!」
顔に出していないがエンザンは修行しに来たのだと考えている事をオーキド校長は見抜いた。それを見てエンザンはまだまだ青い子供であるのだと直ぐに気付く。自分は修行する為にここまで来ているのにいきなり遊べと言われてもなと思っているが、それこそが青い。
「ユキナリの研究テーマは知っているかの?」
「人とポケモンの共存ですよね」
「そう。人とポケモンの共存、それが最も出来ていると言われておるのがこのアローラ地方!確かに強くなる為に力を求めるのは自然なこと。しかし力を使うにはそれ相応の心を持たなければならん……おそらくは今のエンザンを見て護り神はZワザに必要なZリングもZクリスタルも渡してはくれんゾロアーク!」
「……」
そうは言われてもな……俺は俺なりに向き合ってきているつもりなんだがな。
ロゼリアやクロバットの進化条件であるなつき度を満たしての進化をエンザンは軽々としている。ゲームでは重視されていないが、この世界だと絆が必要なメガシンカもエンザンは使える。中身はおっさんなので比較的に落ち着いているエンザンは自分なりにポケモンと向き合おうとしている。ポケモン達もそれに応えているし、コンディションのチェックもしっかりしている。
しかしそれでもまだまだ足りない。オーキド校長はエンザンに心のゆとりが無いことを指摘する。アローラ地方の護り神達はきっとZリングやZクリスタルを託してくれない。そう考えておりオーキド校長が運転をする車に乗って宿舎に案内をする。
Zワザだがマイナーなものの公式大会では普通に使用していい物だ。しかしここで1つ非常に厄介な事がある。それはZワザに欠かせないZクリスタルとZリングがアローラ地方でしか手に入らない事だ。他の地方では出ない。人工的にZクリスタルを作る!なんて考えもあったが、失敗に終わっている。だがそれでもZワザは強い。
場所を選ぶダイマックス、タイプを入れ替えるテラスタル、ポケモンを選ぶメガシンカ。この3つと違ってZワザは誰でも使いこなせる。文字通りの必殺技を会得出来る。かゆいところに手が届く感じである。ただ能力が上昇するメガシンカや厄介なタイプを切り替えるテラスタル、全てに追加効果があるダイマックス、この3つ、合わせて4つを試合中に1回しか使ってはいけない。
3つが強すぎてZワザの需要が少ないのだが、それでも求めているトレーナーは居る。Zワザを求めてアローラ地方に来るトレーナーが泊まる宿舎に案内、社食的なのは出ないので全て自炊だと言われる。エンザンはホームステイ型じゃないので少しだけ安心する。
「ユキナリよ、エンザンが来たぞ」
『無事に辿り着いたかの……エンザンよ、お前さんは今手元にポケモンが居ないが誰を』
「……一度、1体ずつ見せてください」
『では、リザードンから送るかの』
自分にはまだまだ足りないものがあるみたいなのなにが足りないのか、外に意見を求めるのでなく内側に意見を求めるかと決めた。
「グォウ!」
「お〜実によく育てられているリザードン、ドンメル、ルンパッパ」
まずは1体目、リザードン。オーキド博士から最初に貰ったポケモン、ヒトカゲの最終進化系である。強い奴と戦うのが好きな好戦的な性格をしているがエンザンがヒトカゲからじっくりと育てた。エンザンが時折する無茶な指示でもそれを簡単にこなす。エンザンの最初のポケモンで、エンザンの持っているポケモンで一番レベルが高い。
「フリー!」
2体目はバタフリー、エンザンが一番最初にゲットしたポケモンだ。戦闘は勿論のこと、戦闘以外で役立つことが多い。いとをはくが色々と便利すぎる。王道的なバトルも出来るが変化技を主体に戦う考えた戦闘で戦う。パワー不足な事はバタフリー自身も理解しているのでエンザンのバトルには不満を抱いていない。スパイス系が好物である。
「ロズ!」
3体目のポケモンはロズレイド、性別は♀である。将来的にロズレイドがゲット出来ればいいなと思っていた矢先にスボミーをゲット出来た。嬉しい誤算である。スボミーの頃はパワー不足に悩まされたがロゼリアで技を会得しロズレイドに進化させた事で強力なパワーと強力な技を携えた。真面目な性格であり、いたずら好きのゲンガーにポケモンバトルの世界を教えた。
「ヘァッ!」
4体目のポケモンはスターミー、欲しいと思っていたポケモンの1体だ。ヒトデマンの頃に教えれる技を教えてからスターミーに進化させた。スターミーに進化してからはバトルで大活躍。受けから攻めまでなんでも出来る万能なポケモン。子供みたいな性格は苦手なタイプで冷静なエンザンを気に入っている。
「ロバット!」
5体目のポケモンはクロバット。リザードンとバタフリーの中間の役割をこなすポケモンであり貴重な飛行戦力。純粋な素早さだけならばエンザンのポケモンで一番であり高い機動力を活かしたりタイプであるどくを活かしたり、真正面からのバトルと変則的なバトルを両立出来ている。感情に動かされやすいタイプであるがエンザンがフォローしている。
「ドゥ!」
6体目のポケモンはドリュウズ、本来ならばドサイドンをゲットしようと考えていたのだが目当てのいしあたまサイホーンが見つからない中でかたやぶりモグリューを見つけてこいつだとゲットした。ストーンエッジを覚えないものの、パワー自慢のポケモン……なのだが、オーキド博士の研究所に居るときは地中に引きこもっている。エンザンのポケモン以外に心を開いていないと言うか人付き合いが苦手である。
「ゲンガ!」
7体目のポケモンはゲンガー。原作で出てくるポケモンタワーに住んでいるゲンガーである。いたずら好きの性格であり自分が追い込まれるまでポケモンバトルをしていると言う自覚が無かったのだが真面目な性格のロズレイドと何度も何度もぶつかった事でポケモンバトルの楽しさに気付いた。
「ダーッス!」
8体目のポケモンはサンダース。偶然にも出会った全ての相棒技を覚えることが出来るイーブイを進化させた。イーブイ時代に人体実験をされており人に対してあまり心を開かない。人付き合いが苦手ではなくエンザンがゲットしたポケモン達とは交流している。しかしそれ以外はするつもりがない性格である。エンザンの指示に従っており、1人を好む。
「ギュルル!」
9体目のポケモンはポリゴンZ。何処でゲットすればいいのかが分からずもしかしたらゲットすることが出来ないかもしれないと思っていたのだがナツメの千里眼のおかげでゲットすることが出来た。進化に必要なアイテムの入手も同時なので即座に進化させた。エンザンの持っているポケモンでメガシンカ等を除けば最高の火力を出すことが出来るポケモン。サイバー世界と現実を行き来出来るので結構エンザンにパシられるが本人的にはハッキングがスリリングで楽しんでいる。
「ガメ!」
10体目のポケモンはカメール。グレンタウンがあるグレン島のすぐ近くの離島にあるカメックスが長を務めるカメールの島に生息していた1体のカメール。サトシのゼニガメと仲良くしていたのとはまた違う個体だ。実は既に200歳とかいうジジイであるがエンザンは全くと言って知らない。200年生きているけれども威厳とかそういうのが無くて群れの長争いとかそういうのもめんどくさいと思っている。
「少し、歩くか」
ポケモン達を確認の後にリザードンとドリュウズの2体を手持ちにしメレメレ島を歩く。
商店街は賑わっており、のほほんとした日常がある。とても長閑なところであり自分がポケモンバトルの修行に選んだところなのかと思わず疑ってしまうほどに平穏である。
こういう空気はなんだかんだではじめてだな。
エンザンになってから真面目にコツコツとやっていた。息抜きをする時も自分なりの息抜きをしている。のほほんとしたほのぼのな日常があるアローラの空気は今までポケモンバトルに必死になっていた自分が感じなかった空気だ。それを感じてこの空気に馴れたりしたらZワザが会得出来るのか?とエンザンは考える。そして直ぐにバトルに繋げているなと脳筋な事に気付く。
バトルジャンキーではないがバトルは好きな方だ。楽しいとも思っている。他人には押し付けないが自分は挑戦者なのだから勝たないといけない……
「勝ちたいじゃなくて勝たないといけないか」
コイツにだけは負けられない!と張り合うライバルはいない。コイツと熱いバトルをしたい、コイツにだけは負けたくない、そんなライバルがエンザンにはいない。敵が居るからこそ勝負は盛り上がる。1人だけがとんでもなく強いのは面白味に欠ける。どうせそいつが勝つのだろうと思われる。
エンザンは自分自身が勝たないといけないと思い込んでいる。勝負の世界なのだから勝ち負けは重要だ。だから、勝ちたい!と思うのは当然だがエンザンは勝たないといけないと脅迫概念がある。その根底にあるのはもしかしたら明日、目覚めれば全ては夢だったかもしれないというオチが迎える事に対する恐怖から来ている。
「……人とは形は違う。でも、俺はポケモンが好きだ。ポケモンバトルも大好きだ」
エンザンは自分が向けている感情は一般的なトレーナーとは違うものだと理解している。どうしても前世の記憶でこのポケモンはこうである等の認識がある。この世界では少し違っているのだが記憶にあるポケモンに捕まっている。でも、それでもポケモンやポケモンバトルが大好きだという思いは本物だ。
このズレを直すつもりは無い。これは俺が俺であってエンザンでない事をしっかりと忘れないための戒めでもある。
もしかしたらここでZワザの会得は出来ないかもしれない。無理ならば無理で受け入れる……ただ修行だけは忘れないでおこう。