飲食求人・飲食店転職グルメキャリー首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)

首都圏版
最終更新日
毎週木曜UP!

飲食店で働く人の求人・転職サイト「グルメキャリー」
首都圏版(東京・神奈川・埼玉・千葉)

MENU

UP! 毎週木曜更新

ひさのわたるの飲食業界の労務相談

法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

今回のご相談内容

仕事で使う備品を労働者に負担させることはできるか

 飲食店に就職しました。そのお店では調理場勤務だと長靴を、ホール勤務だと専用シューズを、自腹を切って購入しなければいけないことになっていたのでした。それを聞かされたのはすでに勤務を始めてからだったので、渋々購入はしましたが...。でも、仕事に必要なものは会社の方が経費で準備するべきではないのですか?従業員に負担させることは違法ではないのですか?
【23才 女性】
1.jpg

 意外に思われるかもしれませんが、業務上必要なものを労働者に負担させること自体は、それが「労働契約の内容になっている」限り、原則として法律違反にはなりません。そして、その「労働契約の内容になっている」と言えるためには、「雇入れ時に負担に関する事項を明示していること」と「就業規則にもその負担事項を記載していること」の2点が必要です。一つずつ見ていきましょう。

 まず、使用者(お店の側)が労働者を雇入れる際、重要な労働条件となる一定の事項について明示することが義務づけられています(労働基準法15条)。その一定の事項の中に「労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項」が挙げられています(労働基準法施行規則5条1項6号)。この時点で、少なくとも業務で必要なものを労働者に負担させることが、必ずしも法律違反にならないことはお分かりいただけるかと思います。

 ところで、この雇入れ時の労働条件明示について、特に重要な事項については、書面によらなければならないとしています。(この書面のことを一般に「労働条件通知書」と呼んでいます。)今回問題となっている、「労働者に負担させるべき作業用品等に関する事項」については、実は書面への記載までは義務づけられていません。しかし、口頭での明示だけでは後からトラブルになりかねないので、実務上はやはり書面での明示に含めるべきでしょう。

 次に、就業規則についてです。就業規則に記載しなければならない事項についても法令で定められています。そして、「労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる」ことをその事業所でルール化するのなら、記載しなければならないとされています(労働基準法89条5号)。

 もっとも、雇入れ時の明示と就業規則の記載さえしていれば何でもかんでも認められるかと言えば、そうとも限りません。例えば、塾講師のアルバイトの場合、その塾でしか使わないテキストを自腹で購入させることについて、合理性を否定される可能性が高いでしょう。また、数万円にものぼるような備品を購入させるのも無効となる可能性が高いでしょう。

 さて、以上の点を踏まえて、ご質問のケースを検討してみましょう。そのお店を退職して、長靴やホール用シューズを持ち帰ったことを想定してみると、実際に使うかどうかはともかくとして、店舗勤務とは別の用途に使うことは可能です。その点では、塾講師のオリジナルテキストとは事情が異なります。また、長靴やシューズだと、金額的にも千円、二千円のレベルでしょう。

 そのように考えると、雇入れ時の明示と就業規則に記載がある限り、長靴やシューズを自腹で購入させること自体は違法とはなりません。

 ただし、ご質問のケースで最大の問題は、入社した後で長靴代の負担を聞かされたという点です。雇入れ時に労働条件通知書を交付しなければならない趣旨は、入社後に労働条件に関して「言った言わない」の争いを避けるためです。別の見方をするなら、労働条件通知書に長靴の負担が明示されていたなら、労働者が「そんなセコい会社はこっちから願い下げだ!」と入社を拒否するチャンスがあったということです。

 ご質問のケースでは、入社時に労働条件通知書はおろか、口頭でも長靴代の負担は明示されていなかったようです。いわば後出しジャンケン的に長靴代を請求されたわけです。結論としては、明らかな労働基準法違反です。

イラスト

 今回のケースは、お店側の立場からすると惜しかったですよね。キチンと労働条件通知書と就業規則さえ整備していれば、長靴代を負担させること自体は、まったく問題なかったのですから...。

2019年 06月06日 掲載

>>前回までのご相談内容

グルメキャリーへの求人掲載はこちら
飲食店オーナー・経営者のみなさまへ
飲食業に強い社労士です!
久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

ひさの社会保険労務士事務所〒173-0004 東京都板橋区板橋1-44-5栗林ビル203

業務案内:給与計算、労働・社会保険の手続き代行、就業規則の診断・作成 店長・管理職対象労務研修の実施、人事・労務相談

お問い合わせはお気軽に! E-mail:info@SR-hisano.com URL:www.SR-hisano.com TEL:03-6909-6960 FAX:03-3906-2722
まずは会員登録

会員登録をすると、毎回の応募がとってもカンタン!
応募のやり取り、プレ応募、お気に入り、「スカウトサービス」、希望求人メールなど便利な機能がご利用いただけます。

会員登録はこちら

お気に入り一覧