米カリフォルニア州のサンフランシスコ沖に浮かぶアルカトラズ島は、脱獄が困難な刑務所として映画の題材にもなった。現在は観光地となっているが、トランプ大統領が刑務所の再開案を明かしたことで注目された▲香港でもかつての刑務所が観光施設として公開されている。後にベトナム建国の父となるホー・チ・ミンが1930年代に収監されたこともあるセントラル地区の旧ビクトリア監獄だ▲隣接する裁判所や警察署とともに改修され、ギャラリーやカフェも並ぶおしゃれなスポットに生まれ変わった。内部の見学も可能な歴史的建造物が、刑事司法の歩みを今に伝える▲では、近年の法執行は後世にどう評価されるのか。香港国家安全維持法(国安法)が中国主導で施行されて今月末で5年。民主派への弾圧は苛烈を極め、政府に批判的な報道やデモは封じ込まれている▲東京を拠点に民主化運動を続ける「レイディー・リバティー香港」代表理事の李伊東(アリック・リー)さんは、2019年の大規模な抗議活動に参加し、国安法施行後は香港に戻れないままだ。昨夏には当局からとみられる脅迫の手紙が香港の両親に届いた。圧力を感じつつも、「自由と民主主義を求める声を上げなければ香港人のアイデンティティーは失われてしまう」と語る▲収監される政治犯は増え続け、刑の長期化も目立つ。ビクトリア監獄が再開されることはないと信じたいが、華やかな施設が民主化問題への関心をそらすための装置にも見えてくる。
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