・過剰診断論唯一の論拠:『The New England Journal of Medicine(NEJM)』誌(マサチューセッツ内科外科学会発行)に14年に掲載された「韓国の甲状腺がんの多発――スクリーニングと過剰診断」(仮邦題)と題するレポート
・そのレポートによれば、韓国政府は1999年にがん検診を国の計画として始め、甲状腺がんの超音波検査が数十ドルの追加料金で受けられるようになったため、受ける人が増えた。早期発見に対する賞賛の声が上がった一方で、やがて少数の医師が甲状腺がんの過剰診断の懸念を示し、検査を禁止すべきだと意見表明した。2011年の甲状腺がんは、1993年の時と比べて15倍に増えた。このレポートを書いた医師のメッセージは、韓国の教訓は世界で活かされるべきだというもので、それがつまみ食いされ「過剰診断論」擁護の材料となっていた。
・このレポートから読み取るべきメッセージはほかにあった。第1に、韓国のがん検診の対象は成人だ。100万人に2~3人と言われる子どもの甲状腺がんとは別の話である。
・第2に、韓国の例が「スクリーニング効果」だったとしてもその効果は15倍でしかない。福島では104人の時点で約61倍、172人になった今は、異常な多発にほかならない。
・第3に、韓国のレポートには「過剰診断」の内容が書かれていた。ガイドラインは直径0.5センチメートル(㎝)未満の腫瘍手術はしないよう奨励している。直径1cm未満で切除された患者が1995年には14%だったが、10年後に56%に増えたというもので、いわば、診断した後の「過剰治療」の問題である。一方、福島県では手術を受けた7割以上がリンパ節転移または1㎝以上の腫瘍となっており、肺転移や再発例も報告され、「過剰診断」や「過剰治療」の根拠は示されていない。
『週刊金曜日』2016年9月9日第1103号「特集:甲状腺がんを追え!東京電力福島原発公害」内記事「異常な多発は放射線の影響を否定できない まさのあつこ」より引用
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室月淳Jun Murotsuki
@junmurot
甲状腺検診が多数の過剰診断をおこすいう事実はこの10年でわかってきたことです。韓国では国家プロジェクトで甲状腺検診をおこない、それまでの15倍のがんを見つけたにもかかわらず、死亡率は変化しなかったと報告されたのが2014年でした。福島の検診は2012年からなので、その後中止を決めるべきでした x.com/umekata/status…
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