機動戦士ガンダムーRavens descend on U.C.ー   作:シャア、あんたちょっとセコイよ!

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ブルーくんは一首チョンパされただけなのですぐに直されました。つまり、出そうと思えば出せますね!!


Chapter 3.Escape Under Gravity.
21.attack without rest


 そこは場末の酒場、カウンターの席に座り浴びるように酒を飲む美丈夫がそこにいた。

 シミのない上等なカジュアルスーツを纏い、短く揃えられた金髪に目元を強めのスモークの入ったサングラスで隠した男、ジオンの赤い彗星シャア・アズナブルである。

 

 普段であったなら凛々しい雰囲気を纏っていたはずだと言うのに、今の彼は何処か自暴自棄のような退廃的な雰囲気を漂わせながらグラスを傾けた。

 

『ガルマは死んだ! 何故だ!?』

 

「ふっ、坊やだからさ」

 

 テレビで演説する仇の1人の言葉に吐き捨てるように言った後、不意にシャアは我慢しきれなくなったように肩を震わせて笑い声をあげる。

 

「ハハッ、ハハハハハ!!! そうさ! これでいいんだよ! 私が望んだ結果だろう!? 仇の1人が死んだのは喜ばしいことだろうさ! 

 ハハハハハハ!! …………クソっ!!! なんなんだこの気分は!? 畜生、畜生ッッ!!」

 

 グラスの中の酒を一気に煽ったことにより、アルコールで喉が焼け堪らず噎せるがそれでも全くシャアには足りなかった。

 ガルマ、ガルマ・ザビ。シャア・アズナブル……否、キャスバル・レム・ダイクンにとって父親の仇たるザビ家の末弟。

 

 いつかはこの手で始末するはずだった1人が、ただ偶々連邦の蒼いモビルスーツに討たれた。寧ろ手間が省けたとばかりに喜ぶべきだろうにキャスバルはちっとも喜べなかった。

 

『シャア! 今度こそ君を超えてみせるぞ!』

 

 士官学校での一幕が蘇る。

 

『実際さぁ、公王庁のデザインどう思う? ……だよなぁ! 家族だから言うのは憚られるけど、僕の家族たちって趣味悪くないか!?』

 

 何気ない会話の一幕が。

 

『シャア、一足先に僕は地球に行くよ。君は僕の参謀になる男なんだ。絶対に死ぬんじゃないぞ?』

 

 士官学校を卒業し、交わした約束。

 

『僕は誰よりも偉くなって、彼を……キャスバルを迎えに行きたいんだ』

 

 暫く会ってない間に随分と立派になった友の姿を。

 

「ッッッッ!! マスター! いちばん強い酒をくれ!! この最悪な気分を忘れられるくらい強いやつをな!!」

 

 そこまで思い出し、抑えきれないモノが溢れ出したところでキャスバルは雑に目元を拭い酒を急かす。

 

「馬鹿野郎……お前が死んだら、意味ないだろ……!!」

 

「おや、荒れてますなシャア・アズナブル少佐。この酒は私が奢りましょう」

 

 そんな叫びが地球の重力よ宙へ溶けて消えたところで、そんな声が響いた。

 キャスバルは仮面(シャア)を被り、サングラスの奥でジロリとその人物を睨む。

 

 そこには何処か胡散臭い笑みを浮かべるスーツの男が立っており、被っていた帽子を外すと小さく会釈した。

 

「隣、座っても?」

 

「……勝手にしろ」

 

 シャアはぶっきらぼうに言い、視線を戻すとマスターが持ってきた酒瓶をひったくるように受け取るとグラスへ注ぐ。

 

「……親衛隊が、キシリアの犬が何の用だ?」

 

「驚いた、よくお分かりで」

 

「臭いだ。陰謀家らしい黴臭い臭いが漂ってるぞ」

 

「おやおや、これは随分と嫌われたものだ」

 

 おどけたように肩を竦め、隣に座る男を一瞥せずにシャアはグラスを傾けた。

 あの夜、ガルマと共に飲んだ酒に比べれば安っぽい味とアルコールは今だけはシャアにとっての恋人であり、この抱いた感情を洗い流してくれる薬だ。

 

「さて、私としては親交を深めるために話したいところですが忙しい身ですので要件だけを伝えます。

 シャア・アズナブル少佐、キシリア様が貴方の力をお求めです。時が来ればお迎えに行きますのでご用意をお忘れなきように」

 

「……私のような奴が必要だと? ガルマ・ザビをみすみす討たれ、直属の上司から左遷させられた私をか?」

 

「あれについては仕方ないことかと。何故ならあの蒼いモビルスーツにはEXAMが積まれてましたので」

 

「EXAM……?」

 

「はい。とあるジオンの科学者が作り出したシステムですよ」

 

 詳しい性能は知りませんが、男はそう言うと懐から書類の入った封筒を取り出すとシャアのすぐ手元へ置いた。

 

「現在キシリア様はとある部隊を編成しております。貴方にはその隊長になってもらいたい」

 

「キシリア閣下はまた特殊部隊を作るのか? 一体幾つあの人の元には秘匿部隊があるのやら」

 

「ハハハ、それについては同意いたします。……こほん、とにかく今回編成される部隊は肝いりでしてね。

 話は変わりますが、少佐。ニュータイプ……と言うのをご存知ですか?」

 

「……ジオン・ズム・ダイクンの提唱した新人類と言うやつだったかな?」

 

「えぇ、はい。その認識で構いません」

 

「いきなり何を言い出すんだ? ニュータイプなど眉唾……いや、待て。そんなことを出すといことは……」

 

「ご明察。キシリア様はそのニュータイプを集めた部隊を作っています」

 

「胡散臭いな」

 

「おや、貴方がそれを言いますか?」

 

「何が言いたい?」

 

 クツクツと男は笑い、封筒の表面を叩く。シャアは怪訝な表情を浮かべながらその封筒を手に取り、封を解いた。

 中には数枚のA4サイズの書類と写真が入っており、シャアは流し読みでその内容を精査する。

 

「……ガンダムとガンキャン、蒼いモビルスーツ、ブルーディスティニーのパイロットはニュータイプだと?」

 

「はい。どうやらその3機……詳細にいえばガンキャノンとブルーディスティニーという名のモビルスーツのパイロットは同一人物のようですが。とにかく、両名のパイロットはニュータイプの可能性が高いというのがフラナガン機関の科学者の見解です。

 貴方はその2人と戦って不自然な体験をした覚えはあるでしょう?」

 

「……」

 

 そう聞かれ、シャアは思い出す。ガンダムのパイロットから逆流したような感情を……まるで自分の考えが読まれてると思うほど正確な迎撃を。

 

「その顔は心当たりがあるようですね。では、私はこれで失礼いたします」

 

 男はグラスの酒を飲み干し、代金を置くと帽子を被り椅子にかけていたコートを羽織ると足音を立てることなくその場を後にした。

 そして、1人残されたシャアは徐にグラスを掴み一気に煽る。

 

「……ガルマ、必ずお前の元にこいつらの首を届けてやる」

 

 誓うように、シャアは呟いた。

 

 

 

 

「封印ですか……」

 

「あぁ。幾らお前があのロクでもないシステムを制御下に置いたと言っても、一歩間違えれば危険なことには変わりない。オマケにジオンに賞金をかけられたからな」

 

「……ホワイトベースの戦力はどうするのですか?」

 

「何とかガンキャノン2号機とガンタンクの修復を急がせてはいる。その間はアムロに頼りきりになるだろうな」

 

「…………」

 

「ガンタンクに乗って戦うのはダメだぞアリア?」

 

「まだなにも言ってませんよ?」

 

 ホワイトベースの格納庫の奥のブロック、厳重に四肢を拘束されたブルーディスティニーを見上げるテムとアリアの2人。

 先の放送で大々的にブルーディスティニーがジオンの賞金首として放送されたのと、EXAMの暴走の危険を加味してアリアには出撃を暫く控える事態となった。

 

 アリアからすれば警戒しすぎのような気がしないでもないが、言っていることも尤もなので異論は無い。

 まぁ、危なさそうと思ったら速攻飛び出すつもりではあるが。

 

「ということでお払い箱になりましたよミアさん」

 

「何がということなのか分からないけど、アリアちゃんが危険な目に遭わないなら私は嬉しいかな……?」

 

 目を瞬かせながら微笑むミアにアリアはなんとも言えない顔(傍から見れば無表情)を浮かべた後に彼女の側へ向かうと座り、徐にノートPCを取り出す。

 

「なにしてるの、アリアちゃん?」

 

「はい、モビルスーツに搭載予定のCOMを組んでます。やることが無いので前から構想中だったものを形にしようと思ったので」

 

「はぇ〜……」

 

 アリアが高速でタイピングを行うとPCの画面には無数の文字列が表示されていき、覗き込んだミアはよく分からないがアリアちゃんは凄いな〜と呑気に思った。

 

「その、こむ? って何ができるの?」

 

「はい、機体のエネルギー残量や兵装の残弾を知らせてくれたり、機体の自動操縦を可能とします。加えて、各種情報処理もしてくれますよ。要するに雑用です」

 

「…………アリアちゃんって私と同じ11歳だよね?」

 

 ミアはなんとなくだが、アリアがやってることは結構すごい事なのでは? と思いながら尋ねると彼女は不思議そうな顔をしながらもタイピングを続けるという無駄に器用なことをしながら首を傾げる。

 

「そうですよ? おかしなことを言いますねミアさんは」

 

「うーん……私の中の常識とアリアちゃんの常識が食い違ってる気がする」

 

「常識という多数のマイノリティ集まって出来ただけのマジョリティの別の言い方ですから。私にとっての常識が違うというのは仕方ないことです」

 

「そうかなぁ……?」

 

 何処か釈然としない様子のミアだったが、彼女にとってアリアは同年代の子達よりも変わっているのはいつもの事だったので深く考えるのはやめにした。この程度で驚いてたら親友など名乗れないとも言えるが。

 

「ん〜♪ んん〜♪ ら〜♪」

 

 ミアの鼻歌をBGMにアリアは作業を進める。束の間の平穏だが、アリアはこの時間も悪くないと思うのだった。

 

 

 

 

 地球の空を飛ぶ楕円のようなシルエットの船がいた。それらジオンが運用する唯一の大気圏内外両用『ザンジバル』級機動巡洋艦。

 そのブリッジに2人の男女が入ってくる。

 

「木馬を見つけたか?」

 

「ハッ、識別信号に間違いがなければ例の木馬ですラル大尉」

 

「先の決戦での不始末、ドズル中将からガルマ様の仇討ちの命令をこなすチャンスでしょう」

 

 北米でホワイトベース攻略作戦に参加したジオンのエース、青い巨星の異名を持った男『ランバ・ラル』は先の作戦での失態を埋めるようにドズルからホワイトベースの追撃とガルマの仇討ちの命令を直々に受けた。

 

「そう急かすなハモン、全く……中将にも困ったものだな。先の決戦で休む間もなく命令をしてくるのだから」

 

 歴戦の猛者でもあるラルであっても、大きな戦いをしたばかりで疲労も溜まっているためにその蓄えた髭も何処か萎びて見える。

 

「せめて赤い彗星も共に居てくれれば良かったのですけどね」

 

「仕方ないだろう、シャアは左遷されてしまったからな。フェアリー部隊のお嬢さんたちも配属地に戻ってしまった……その上で比較的自由に動かすことが出来る我々に白羽の矢が立つのも仕方あるまい。

 ……せめてもう1日くらい休ませては欲しいが」

 

「あら、なら見逃すのですか?」

 

「ふっ、軍人は上の命令には逆らえないからな。加えて直々の命令だ。みすみす見過ごす気などないとも」

 

 不敵に笑い、ラルは足を組む。

 

「それに木馬は見たところ先の戦いで傷も癒えてないようだ。ここである程度削らせてもらうとしようか」

 

「蒼いモビルスーツには勝てますか?」

 

「戦ってみない限りにはどうにもならんさ。私のグフをあしらったやつの力は脅威だしな。

 …………改修を施しはしたが、それも通じるか未知数だ」

 

「頑張ってください、あなた」

 

「スパルタだな、お前は?」

 

「あら、尻を蹴りあげる女はお嫌いですか?」

 

 内縁の妻たるハモンは妖艶な笑みを浮かべて尋ねれば、ラルは笑みを浮かべて肩をすくめた。

 

「まさか、それでこそ私が愛した女だ。

 射程圏内に入ったら仕掛けるぞ! 総員、第一種戦闘配置!!」

 

『ハッ!!』

 

「コズン、アコース! 準備しろ! 私も出る、グフ・カスタムの準備を急げ!!」

 

 ホワイトベース隊は再び、青い巨星と相見えることとなる。

 

 

 

 ズズン……! 

 

「きゃっ!」

 

「おっと、ご無事ですか?」

 

 凄まじい揺れが走り、姿勢崩したミアを抱きとめたアリア尋ねると顔を淡く染めたミアが小さく頷く。

 

「う、うん大丈夫だよ」

 

「それは良かったです。先の振動が確かなら───

 

『敵襲! 総員、第一種戦闘配置! 繰り返す、総員、第一種戦闘配置!!』

 

「やはり、敵の襲撃ですか……困りましたね、ホワイトベースの稼働率は万全とは程遠いですし。現状、戦えるのはガンダムだけです」

 

 アリアの乗機であるブルーディスティニーも封印中。もしや割とピンチなのでは? 

 

 慌ただしくなった艦内でアリアはノートPCを閉じ、頭痛を堪えるようにこめかみを小突いた。

 

「はぁ、ひとまずは避難しましょうか」

 

「そうだね……」

 

 ミアの手を取り、アリアは予め知らされている避難場所に向けて歩き出す。

 現状アリアはやることは出来ない。せめて、アムロが無事に帰ってくることを願うだけだ。

 

「本当に危なくなったら今度こそ私がカタパルトハッチをぶち抜かないといけませんかね……」

 

 そこまで考え、またテムにぶたれるのは嫌だなぁと思うアリアであった。




ラルさんの乗るグフ・カスタムはガトリングシールドではない普通のシールドですね。一応その下には3連装ガトリングはあります
加えて右腕にもシールドを装備してますが、トールギスⅢのシールドみたいにヒートロッドが搭載されてるタイプです。
どうでもいいことですが、本作のガルマのグフもこのヒートロッド内蔵型シールドを装備してました。使っても速攻アリアにぶった切られましたが。

後継機

  • 既存機体を魔改造
  • オリジナル機体
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