機動戦士ガンダムーRavens descend on U.C.ー


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作:シャア、あんたちょっとセコイよ!
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20.Avenging and Contempt


そんなに大事なら戦場に出さなけりゃいいのにバカみたいですよねぇ?


「…………」

 

「いや、その、だな? お前があんなことをするわけないと思ったのだから、それを確かめるためにあの機体に乗ったのだ。

 私としては、ほんの軽ーくのつもりだったんだが……」

 

「…………」

 

「…………済まない」

 

「…………」

 

「あいた……アリア、頼むから頭突きはやめてくれ。いたた……グリグリ頭を擦り付けるのもやめてくれ…………」

 

「なぁ、アムロ。あの二人は何をしてるんだ?」

 

「父さんのヤラカシに怒ったけど、自分を信じていてくれてたのが嬉しい。けど、それはそうと自分には散々無理をするなと言ったくせして当の本人が無理をしたのが許せない。だけど、父さんにぶたれたから素直に心配の言葉を出せないけど甘えたい葛藤から出た感じですね。

 良かったですねブライトさん、あの状態のアリアって滅多に見れませんよ?」

 

「えぇ……」

 

 目の前で発生している珍妙な光景を前にブライトは目を点にしてアムロに聞くと、携帯食料のブロック状のものを齧りながら彼が説明する。それにブライトは余計に困惑を重ねてしまったらしい。

 ともあれ、咳払いを行いブライトは少し前に聞かされた話の内容を思い出した。

 

「しかし、話を聞いた時はなにかの冗談だと思ったが……先の戦いを見ていれば事実だと認識できるな」

 

「まさかモビルスーツがパイロットの意識を乗っとるなんて、ですか?」

 

「……あぁ」

 

 ブライトが思い起こすのはブルーがガンダムへ襲いかかる出来事だ。ブリッジから見ていても唐突すぎて訳が分からなかったが、戦闘を終えて両機を回収した後に頭部のないブルーのコクピットから引きずり出されたテムが負傷しながらも事情を説明する。

 

 テムの言った内容と懲罰房にいたアリアから事情を説明し、改めて彼女から聞き出した情報のすり合わせを行うことでそれから判明したことだが。あの機体、ブルーディスティニーに搭載されている特殊システム『EXAM』が原因と推測。

 

 一先ずブルーは格納庫の奥で厳重にアムロによって断ち切られた頭部を修復した後、封印する手筈となる。

 

「はぁ……まさかこんな事態になるとはな」

 

 ありえないような出来事による頭痛でブライトはガリガリと頭を搔き、たかだか軍歴1年未満の若造に色々とやらせすぎだろと内心愚痴った。

 

「でも良かったです。アリアはあんなことをする子じゃないって作業員の人たちも分かってくれて」

 

「それは、そうだが……」

 

 先のテムと暴走とEXAMの話、アリアの説明を聞いた当時現場にいた作業員たちの皆は納得した様子であった。

 なぜそんな簡単に信じるのかアリアが聞くと『そりゃ、確かに腹は立ったさ。けど、普段の様子を見てれば絶対しないだろうから』と言われ、面食らった彼女の顔が印象に残っていたりする。

 

「……はぁ、それにしてもどうしたものか」

 

 まさかの一番の技術者であるテムが負傷したことや、戦力のひとつが封印することになってしまった。

 ただでさえ敵の迎撃に不安の残るホワイトベースだというのに勢力圏でもある北米から抜けれてもこれでは次に攻め込まれたら不安しかない。

 

「……できれば変な気を起こさないでくれよジオンの連中も」

 

 半ば祈る気持ちでブライトのそんな呟きが宙へ溶けて消え、その視線の先にはいつの間にかアムロも合流してテムの腹に頭突きを繰り返すアリアを窘める姿が映る。

 

 地球におりたばかりでの戦闘で2人の活躍ぶりに畏れの思いもあったがこの光景も見れば人間なのだと多少安心出来る思いがブライトに湧いた。

 

『ぶ、ブライト中尉! 至急ブリッジに上がってください!!』

 

 と思っていると、やけに焦ったフラウのアナウンスが響く。

 

「………………」

 

 筆舌に尽くし難い表情の後にブライトは壁に備え付けられた受話器を手に取るのだった。

 

 

 

 

 

 ジオン公国首都ズムシティの中心にある、良く言えば前衛的というか悪く言えば趣味の悪いデザインの公王庁内部の謁見室に彼らはいた。

 

 1人は玉座に座る禿頭の眼鏡をかけた豪奢な衣装に身を包む老人、もう1人はすぐ側に控えているやたら黒を基調とした派手装飾の軍服姿で丸刈りにした眉のない男の2人。

 

「ガルマの死を無駄にする訳にはいかないのです! ザビ家末代の沽券に関わるのですから」

 

「…………ギレンよ、儂はただ───」

 

「恐れながら、ドズル・ザビ様及びキシリア・ザビ様の両名、只今前線よりご到着致しました!」

 

 眉なしの男、ギレンの言葉に禿頭の老人、デギンは何かを言おうとするがそれを遮るよう扉を守る衛兵が敬礼とともに告げると、巨大な扉が開かれ奥から無駄に刺々しい装飾の着いた緑の軍服の巨漢の男と紫を基調とし脇に金の角飾りの着いたヘルメットを抱えた女が室内へと入る。

 

 彼らこそジオン公国を束ねる者たちであり、この一年戦争を引き起こした原因でもある首魁『ザビ家』たちだ。

 

「……早かったな、2人とも」

 

「父上! ッ〜……さぞ!!」

 

「残念です。あのガルマが連邦軍のモビルスーツの前に倒れたと……」

 

 2人を迎えるようにデギンが声をかけ、それに巨漢の男、ドズルと紫の女、キシリアがその表情を悲しみに歪めた。

 

「兄貴! 俺はまだ信じられん! 今にもあいつは顔を出すんじゃないかと……!」

 

「……過去を思っても戦いには勝てんぞドズル」

 

 ギレンの言葉に僅かにドズルはたじろぐ。

 

「しかし! アイツは少し見ない間に立派な漢に成長したんだぞ!? ジオンの未来を思い、そのためにプライドもあっただろうに俺たちに頭を下げて!! 

 その時に俺は思ったんだ! アイツは俺すら使いこなす将になると……!! なのに、なのにっ!!」

 

 その大きな手を軋むほどの力で握り締め、目尻に涙を浮かばせながらドズルは叫べば悼む表情とともにデギンは顔を伏せた。

 

「ドズルの言う通りだ。だから、ギレン。ガルマを静かに、丁重に……あの子の冥福を祈ってやってくれまいか?」

 

 その願いに大して実質的なジオンの指導者でもある総帥ギレンは冷ややかな視線を向け、微かに目を閉じる。

 

「それはできません」

 

「……何故だ?」

 

「ここでは息が詰まります。一旦、外に出ましょう」

 

 そう言うとギレンは謁見室のすぐ近くにあるズムシティを一望できるバルコニーへと歩き始めると、それに続くように3人は歩き出した。

 

「……ギレンよ、なぜ我ら王家だけで悼むのがなぜいけない?」

 

「父上、今は戦時下です。国民や兵たちの戦意高揚をより確かなものにするためにも国を上げての国葬こそが最も相応しいはずです。

 加えて、ガルマはドズルが言ったように自分自身のプライドを捨て、利を取るほどの成長を見せました。

 ガルマならば己の死を利用し、ジオンの勝利のために使うことも望んでいましょう」

 

「私もギレン兄上に賛成です。あの子は木馬を討つために自分の出来ること全てに手を出しました。

 ならば、我々もそれに応えなければなりません。でなければ犠牲が無駄になります」

 

「俺は政が分からん。だが、このままガルマの仇を討てないのが我慢ならん!! 

 あの蒼いモビルスーツを必ずこの手で始末しなければ!! オマケにシャアとランバ・ラルだ! 態々アイツらがいながらガルマを守れないなどっ!!!」

 

「その者たちの処罰は貴方の権限ですればいいでしょう? ……父上、大事なのは儀式なのですよ」

 

「ガルマは国民や兵たちに大変人気がありました。彼の国葬を行うことによって……国民や兵たちの地球連邦への憎しみを掻き立てることこそ肝要ではないのですかな?」

 

「…………」

 

 デギンは己の子達が悼むのではなく、それすら利用するということに微かな寂しさを覚える。

 確かに家族仲はいいとはいえなかった。けれども、1番の末っ子たるガルマが死んだ時だけは険悪な仲を忘れて静かに悼むのではないかと……そんな考えはどうやら裏切られたらしい。

 

 そんな思いで口を継ぐんでいたデギンに焦れたようにギレンは僅かに語気を強めた。

 

「父上!」

 

「……シャアやラル家の倅のことはドズル、お前に任せよう」

 

「父上、今ここで公王としてご決裁を!!」

 

 

 

 

 

「いや、どうすんだこれ……?」

 

 地球、南米ジャブローの将校は手に持った報告書を目にして思わず呟く。

 

「民間人を徴用? それがほとんど未成年でオマケにジュニアスクールに通ってるような子すら戦力にしてる…………? 人に余裕が無いとはいえ舐めとんのか……!?」

 

「うーむ……」

 

 その隣にいた将校も似たようなか顔をしており、同じく目を通している資料にはアリアが無表情でネームプレートを持った姿の写真の隣にはガンキャノンがザクをぶちのめしている遠望写真が。

 

「ほかの民間人はまだいい。流石にこの女の子を戦わせるのはダメだろレビル将軍?」

 

「そうだ! 次の補給で非戦闘員含む彼女も降ろした方がいい!」

 

 彼らとで軍人、それが必要なら飲み込むが流石に限度がある。その場にいた将校たちの胡乱な視線を向けられた男、レビルは動じた様子なく口を開く。

 

「アリア・レイはこのまま協力した方がよろしいでしょう」

 

「あ"?」

 

 その言葉に将校の1人が咥えていた葉巻を握り潰した。

 

「彼女含むホワイトベースの戦闘記録は貴重なものです。加えて、この少女の能力は驚嘆に値する! 

 この報告書を見た貴方々なら理解してるであろう? 白兵戦用機でもないガンキャノン、挙句にはガンタンクでの戦果を! 

 彼女たちが戦えば戦うほどその戦闘記録を参考にすれば連邦はジオンに勝つための希望が出てくるのだ!」

 

「それは、そうだが……」

 

「キャノンはまだ理解できなくもないが、タンクの挙動はどうなってるんだ?」

 

「……開発部門のテストパイロットが試しに真似したらしいが、数分でコクピットの中でゲロ吐いたらしいぞ?」

 

「そもそも、タンクはこんな運用想定してねぇよ……!! なんで11歳の女の子が冷静に評価しながら戦ってんだよ! いや、参考にはなるけど! 

 …………でもやっぱりタンクでやることじゃねぇ!」

 

 単独でザクおよびマゼラアタックを大量に撃破するという戦果、これは正しく今の連邦にとって兵たちの士気高揚となる情報だ。

 加えて、マチルダが回収した戦闘記録を見た者は目を疑い科学者はその場で『頭おかしいんじゃねーの!?』と叫ぶほど。

 

 余談だが、彼女の音声記録を参考にしたガンタンクの改良型が試作中という胡乱な噂が立っているが今はどうでもいい。

 

 レビルの発言は良識ある軍人にとっては受け入れがたいもので、幾らジオンが鬼畜畜生の化生の類であっても幼子を戦場に投入したとあればこの戦争の正当性を連邦が失ってしまう。

 

「巫山戯んな! 私たちの役目は力のない人達に変わって戦うことだぞ!? 我々の不手際で住んでいる場所を追われた子供を言うに事欠いて、こんな小さな子を戦争に勝つための尖兵にするだと!? この外道が!」

 

「外道でも鬼畜でも好きに言えばいい! ジオンに勝つためなら魂すら私は悪魔に売り渡してやる!!」

 

 互いに1歩も譲らない意志のぶつかり合い。このままいけば互いに殴り合いの喧嘩に陥りそうな空気の中で会議室の扉が勢いよく開かれた。

 

「なんだ! 今は会議中だぞ!?」

 

「も、申し訳ありません! 参謀本部より将軍閣下たちに至急報告が!!」

 

「ふむ、言いたまえ」

 

「はっ! ホワイトベースがジオン地球方面軍司令官のガルマ・ザビを討伐致しました!!」

 

『なっ!?』

 

 その報告にその場にいた将校全員が絶句する。加えて、その報告をしてきた参謀本部所属の士官の後ろからまた別の士官がやって来ると泡を食ったように報告する。

 

「し、至急ご報告したいことが!!」

 

「今度は一体何だ!?」

 

「とにかくモニターをご視聴ください!!」

 

 士官は言うとモニターを起動すると、そこにはジオン総帥ギレン・ザビの姿が映し出されていた。

 

『見よ!! この蒼い死神が諸君らが愛してくれたガルマ・ザビを殺したのだ! 

 この死神には必ずやジオン国民たちの怒りの鉄槌が下されるであろう!』

 

「なっ、はぁぁっ!?」

 

「なんと……!」

 

 映し出された巨大モニターの映像にはセンサーを妖しく光らせ、戦場を縦横無尽に駆け回りザク達を切り裂き破壊する姿が映っていた。

 そして、最後には装飾のされたグフのカスタム機の背後に周り、ビームサーベルで貫いた所で終わる。

 

 会議室の空気は物議騒然となるのだった。

 

 

 

 

「……あらまぁ」

 

「なんてこったい……」

 

「"レビル将軍への罵詈雑言"!!!」

 

 アリアはテレビに映る映像を見て微かに驚いたような反応を示す。

 

「兄さん兄さん、私全国デビューしましたよ。笑えますね」

 

「いや、そうしてる場合じゃないだろうアリア!? お前、ジオンの連中に指名手配されたんだぞ!?」

 

「そうは言いましても、賞金が掛けられても私が身バレしたわけではありませんし……ね、ハロ?」

 

『ハロ! アリア、マイペース! マイペース!』

 

「ゴーイングマイウェイですね。自分のことを見失わないのはいい事ですよ」

 

「……僕の妹ながら肝が太すぎるよ」

 

 兄の様子にアリアはほんの少しだけ微笑むが、この程度のことC4-621(もう1人の自分)の記憶する限り大したことでは無いと思う。

 

(仇討ちなんてくだらないですね。そんなに大事なら戦場に出さなければいいのに)

 

 彼女にとって家族は大切で愛しいものだから、戦場に出すという考えを理解できない。いや、したくない。

 だから彼女はテレビに映るジオンの人々を、その赤い瞳で冷ややかに見つめ吐き捨てるのだった。




BD「出せよ!こっから出せよ!!」

おっちゃん「往生しろやこのスカタン!!また首はねたろか!?おぉん!?」


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