機動戦士ガンダムーRavens descend on U.C.ー   作:シャア、あんたちょっとセコイよ!

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BD「うぉー!ニュータイプだぶっ殺す!」


19.Death in vain and out of control

 ガンダムとブルーは共にホワイトベースのカタパルトから飛び降り、ブースターを吹かすことで行く先を塞ぐように航行するガウの編隊へと進む。

 

『僕が先行する! 父さんは援護を頼む!!』

 

「わかった!」

 

 ガンダムの大容量ブースターに任せた大推力でカッ飛んでいくのを見送りながらテムはブルーに持たせたガンキャノンのビームライフルを構えた。

 

 肉薄するガンダムを迎撃のために機体上部から出てきた機銃へ狙いを定め、引き金を引く。

 

「よしっ!」

 

 ガンキャノンのビームライフルはガンダムのものと違い、バレルが長く射程もそれに準じており重力の影響で多少はズレるが狙ったとおり、ガウの船体へと着弾。巻き込まれた機銃は内部の弾薬に誘爆したのか内側から割れ爆ぜた。

 

 弾幕が途切れたことによりガンダムは一気にガウへ降り立てば手早く解体し、ビームジャベリンを突き刺してあっという間に3枚に下ろしと、空母の体を成さないそれへテムはライフルでトドメを指しておく。

 そして次のガウへ狙いを定め、飛び移ると同時にテムもようやくガウへ降り立った。

 

「悪いとは思わん。お前たちも覚悟の上だろう!」

 

 脹脛部分の装甲が展開し、格納されているビームサーベルを引き抜きテムはその紫の船体へ突き刺す。

 

 程なくして2機目のガウを地面へ叩き落としたところで不意にテムは違和感を覚えた。

 

 ───ガルマ様の仇! 

 

 ───おのれ、地球の引力に魂を引かれた連邦の犬め! 

 

 ───ジークジオン! 

 

「なんだ、これは……!?」

 

 突如として頭に誰かの声が響き、テムは思わず周囲を見渡すがガウにジャベリンを突き立てているガンダムの姿しか見えない。

 ならばどこからこの声が? と思い通信回線を見てみたが、回線が混線してる訳では無い。

 加えて、通信の場合はエコーなどかかるわけなくテムは訳が分からず頭を悩ませていると……

 

 ───殺せ! ニュータイプを! 殲滅しろ! 人類の敵を!! 

 

「ぬぉぉ……!?」

 

 酷い耳鳴りと共にテムの意識を揺さぶる叫びが響きわたる。

 

 テムの意思に反してその手は操縦桿を動かし、ブルーに向けて背を向けているガンダムへビームライフルの引き金を────

 

「やら、せる……かぁ!」

 

 ───引く直前、銃口を逸らすと同時にビームが発射されガウの装甲を射抜いた。

 

 危うくアムロを殺しかけた事実に冷や汗を流しながらテムは確信を得る。この機体のシステムが原因だと。アリアがあんな凶行をするわけがないと。

 

 ───また私の支配を拒むやつが!? 一体どうなってるの!? 

 

「えぇい、キンキンと喚くな!! 親が子を殺してたまるか!! それよりもお前だなアリアを可笑しくさせたのは!!」

 

 ───お前もしかしてあの頭のおかしい奴の親!? 

 

「誰が頭おかしいだと!? モビルスーツのくせに私の可愛い娘を侮辱するなどいい度胸だな!!」

 

 ───うっさい! そんなの知るか! こうなったら無理やり操作を奪ってやる!! 

 

『父さん!? さっきから何叫んでるんだ!?』

 

 

EXAM SYSTEM STANDBY

 

「ぐぁぁぁぁアッッ!!?」

 

『うわぁ!?』

 

 アムロは咄嗟に感じた悪寒に従い、身を投げるようにガンダムを飛ばすと先程までいた場所をブルーが切り裂いた。

 

『父さん!? いきなり何するんだよ!』

 

「ぐぅぅっ……! 逃げ、ろ。アムロッ!!」

 

 テムは脳内に走る殺意を抑え込みながら絞り出すように告げる。視界が赤く染っていき、胸の内に滲み出すように湧き出すのは憎悪のみ。

 

「───ニュータイプヲ殺ス!!」

 

『ッ!? お前、誰だ!!』

 

 ビームの刃が互いにぶつかり、ガウの上で鍔迫り合いをしながらアムロは目の前の存在が父ではなく、その意志を乗っ取ったナニカだと理解する。

 

「ォオオオオオオ!!」

 

『ぬわぁ!?』

 

 空いていた手でブルーはガンダムの頭部を殴りつけ、姿勢が崩れたところを胴体を蹴りつけガウから蹴落とした。

 上空へ投げ出されたガンダムの追撃のためにブルーがガウか降りようとした瞬間。

 

 ────蒼いモビルスーツ、ガルマ様の仇!! 

 

 敵意を向けられ、条件反射のごとくブルーはビームライフルの銃口を向けると躊躇なく引き金を引いた。

 

 ビームはガウのブリッジの半分を消し飛ばすが、それを見向きもせずにブルーはガンダムに向かって飛び降りる。

 

 

 

「……何だかやけに長引いてますね」

 

 止まらぬ振動にアリアは唯一使える片手で持った電子書籍から顔を上げ、訝しげに眉を少しだけ寄せた。

 その隣では不安げなミアがアリアのもう片方の手に抱きついている。ちなみに、これのおかげでアリアは片手で電子書籍を読む事態になっていたりする。

 

 ともあれ、幾らホワイトベースがズタボロでも先の決戦で北米ジオンの戦力は致命的な出血を強いられた。

 今回の襲撃も殆どろくな戦力もないはずだろうからアムロがガンダムですぐに撃退すると思ったのだが、何故か今も戦闘が続いているらしい。

 

「大丈夫かな……?」

 

「────」

 

 どうでしょうか、そう言おうとしてアリアは口を噤む。真実を告げることも大切だが、この場合においてはそれは悪手に入る。

 どうしたものかとアリアは持っていた電子書籍を横へ置くと徐にミアの手を撫でた。

 

「大丈夫ですよ。兄さんが居ますから」

 

「アリアちゃんのお兄さんが?」

 

「はい。兄さんとガンダムなら相手がなんであれ、かならず勝てますよ」

 

 表情は変わらないがその声には確固たる信頼の想いが宿っており、ミアはアリアがそこまで言うのならと信じることにしたらしい。

 

「……」

 

 けれど、アリアの胸中には言いようのないざわめきが走っている。

 

(なにも、起きないといいのですが……)

 

 不安を紛らわせるようにアリアは友人の腕から伝わる温かさを確かめるようにその腕へと触れるのだった。

 

 

 

「うっ……ぐぅ…………!」

 

 イセリナは目を覚ます。呻き声とともに何とか体を起こし、隣にいた兵士へ声をかける。

 

「ダロタ中尉……なに、が……ヒッ!?」

 

 そこには何も無かった。ただ、焼け焦げ丸い穴が続いており、中を覗くと奥の空間には空が見えたことから貫通しているのがわかった。つまり、さっきまでその場にいた存在は───

 

「おえっ……!!」

 

 喉の奥からせり上る感覚に思わず手で塞ぎ、懸命にイセリナは飲み込む。覚悟はしていたつもりだった。でも、こうしてすぐ真横で命が消えるのを実感し、今自分がいる場所がどんな所か遅れて実感をし始めたのだ。

 

 心身が冷え、ガチガチと歯の根が合わない音が響く。精神を落ち着けようとイセリナは薬指の贈り物を触ろうと……

 

「あれ、あれ……?」

 

 何も無い。そこにあるべき感覚がイセリナの手にはなかった。

 

 ダメだ、見てはいけない、見たら戻れなくなる。

 

 思考の隅で冷静に忠告の声が響いた。けれど、イセリナは錆び付いたブリキ人形のごとく首を軋ませながらソレを見た。

 

「あ、ぁぁあっ……!」

 

 左手が、手首から先に当たる部分は何も無い。ただ、断面が焼けこげたように炭化しており流れる血も出ない。

 それを認識した途端にイセリナの脊髄を針金でグチャグチャに通った神経を引きずり出すかのような激痛を脳が知覚する。

 

「あっ、がっ!? ぎぃぃいっっ……!!?」

 

 痛い、痛い、いたい、痛い、イタイイタイイタイ!!!!? 

 

 飲み込んだモノが喉奥から再びせり上がり、汚らしい水音と嗚咽が風の通しの良くなったガウのブリッジに木霊した。

 

 数分ほどそれが続き、イセリナの着ていた服には斑なシミの柄が新しく作られ足元からは湯気が登りアンモニア臭が漂う。

 

「……して、やる……殺してやるゥぅぅうっ……!!!!」

 

 怨嗟の声と共に目尻から零れた熱い液体を拭うことすらせずイセリナはガウの操縦桿を片手だけで握りしめ、勢いよく押し込んだ。

 途端に内臓が浮くような浮遊感が襲うが、イセリナは構わずに更に奥へと押し込む。

 

 その視線の先には白いモビルスーツへ襲いかかる蒼いモビルスーツの姿が見え、イセリナの整っていたはずのその顔は凄絶な笑みへと歪む。

 

「あは、あはは……アハハハハハハハァッ!!!!」

 

 狂ったように笑い声を上げ、紫の巨体は憎き怨敵へ─────

 

 ────イセリナが見たのはピンクの刃をぶつけ合っていた白と蒼の機体がほぼ同時に銃口を向け、奥から桃色の光が見えたのを最後に何も映ることはなかった。

 

 

 

 2つの光が空へ登り、空中でガウが爆散するのを見ることなくアムロはブルーの剣戟を捌く。

 

「クソッ、父さんが乗ってるから下手に攻撃ができないぞ!?」

 

『オオオオオッ!!』

 

 獣のごとく雄叫びをあげるテムと負荷を無視した機動で迫るブルーに大して攻めあぐねるアムロ。

 これがただのジオンであったならば楽だが、面倒なことに襲ってくるのは一応友軍機でパイロットは父だ。

 

 下手に攻撃を加えれば間違いを犯すかもしれないが故にアムロは攻めることは出来ない。けれど、相手はそんなことは関係ない様子で全力でこちらを殺しにかかってきている。

 

「手足を落とすか……!?」

 

 ホワイトベースの戦力は下がるが、背に腹はかえられない。アムロは操縦桿を握る力を強め、覚悟を決めて迎え撃つことにした

 

「まずはライフルを落とす!」

 

『ガァァアッ!!』

 

 突撃しながらブルーはガンダムに向け左手のライフルを連射するが、それをシールドで防ぎつつアムロは待ちの姿勢をとる。

 程なくしてブルーはガンダムへ肉薄し、右手のビームサーベルを振りかぶった。

 

「ッ!」

 

 シールドを掲げ、ビームサーベルを受け止めるがものの数秒でルナチタニウムのシールドは溶断されてしまう。

 

『!?』

 

 けれど、その後ろにいるはずのガンダムはおらず、驚愕したようなブルーだったが既の所でブーストを吹かす───その一瞬の隙に回り込んだガンダムがブルーのライフルを握る手を半ばから断ち切った

 

「せやぁ!!」

 

 続けて背部ランドセルから二刀めのビームサーベルのグリップを引き抜き、もう片方の手を断ち切ろうとするがその斬撃は空を斬る。

 

 大きく距離とったブルーは断ち切られた右腕を見遣り、その身に纏う殺気を強めてガンダムを睨みつけた。

 

「どうした! 随分とお粗末な動きだな? 北米でアリアが操縦してた時の方が強そうだったぞ?!」

 

『殺ス!!』

 

 どうやら煽り耐性は低いようでアムロの安い挑発に憤慨した様子でブルーは焼き直しのごとくガンダムへ飛びかかる。

 

 アムロはサーベルを一刀に戻し、刃を後ろに向ける脇構えを取った。

 

 程なくしてブーストによる加速で放たれたブルーの突きをアムロは上半身を僅かに傾ける。ガンダムの胸部の増加装甲を傷つけたが、その下の装甲には届かずアムロはカウンターのようにブルーの首を切り飛ばす。

 

『なっ……あぁ!?』

 

「お前はアリアに比べたら攻撃が直情的すぎだよ」

 

 吐き捨てるような呟きとEXAMの本体とも言えるコアチップが埋め込まれた頭部を落とされ、残りの胴体部はガンダムの背後で墜落しそのまま動くことはなかった。

 




アムロ、おっちゃん「ぺっ、あまちゃんが!!」

テムさんは全身の打撲と多少の骨折がありますが元気です。・・・・・これ以上に暴れ回ったブルーに乗ってたアリアがケロッとしてるの化け物やな。

後継機

  • 既存機体を魔改造
  • オリジナル機体
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