機動戦士ガンダムーRavens descend on U.C.ー 作:シャア、あんたちょっとセコイよ!
アリアは不意に変な感覚を覚え、ガンキャノンを停止させる。
「なんだ……?」
センサーには反応を示していないのに、どこからとも無く響く耳鳴り。
「五月蝿いな……」
こめかみに指を当てて顔を顰める。まるでアリアを誘導するかのようにその耳鳴りは響き続けた。
「行けばいいんでしょう……」
幸いにも哨戒任務も折り返しで、ホワイトベースの元へ帰路に着いている最中。耳鳴りの誘導も何故かそのルートを示しており、アリアは誰に答えるでもなく呟くとガンキャノンを走らせる。
『どうしたアリア? ルートから僅かに逸れているぞ? おい、聞こえているのか?』
なにか声が聞こえるが、今のアリアにとってこの耳鳴りを黙らせるのが優先事項となっており意図的に無視を行い、山中を駆けた。
『クソッ、聞こえてないのか!? オイ! ッ、熱源反応? まさかジオンの連中を見つけたのか? 戦闘は控えるように言っていた筈だぞアリア!!』
「見つけた……!!」
モニターに映る3機の紫色のザク、その内のバズーカを背負ったザクに注視するとアリアは狙いを定め、ビームライフルの引き金を引く。
銃口からビームが放たれ、その光はザクを撃ち抜────く寸前にそのザクは身を翻し、間一髪避けた。
『ッ、誰!?』
「ッ〜……! うる、さい! 頭に響くんだよ!!」
更に強くなった耳鳴りに黙らせるように叫び、アリアはようやく自分が何をしたかに気が付く。
「なんでザクがここに……? いや、そもそもわたしは何を……」
途端に熱を帯びていた頭が冷めていき、アリアは自分がやらかしたことを悟ると舌を打った。
明らかに先程までの自分は冷静ではなく、錯乱しており戦闘を控えるように言われていたはずのに自分から仕掛けるなどしてしまう。
おまけに不意打ちをしたと言うのに1機も落とせず、こちらの居場所を晒した始末だ。
「クソッ、見たところただの陸戦型のザクと見た事のないタイプのザクか……多分新型?」
向こうは警戒して近づいてこないが、こちらも動けない。様子見を行いつつ、アリアはすぐに思考を切り替える。
「自分で仕掛けておいてなんですが、見逃す理由がありませんね」
敵意も殺意も必要ない。この瞬間に向けるのはただシンプルな意思。それは目の前の
「ッ!」
ガンキャノンが崖から飛び降り、ビームライフルとショットガンを構え引き金を引く。
ビームと散弾がザクたちへと降り注ぐが、散開することでアリアの攻撃をかわすと各々の役割をきちんと理解しているのか、前中後衛と慣れた動きでポジションを移行しアリアを取り囲んだ。
(……コイツら面倒だな)
油断なくヒートサーベルを構えるザクと森林に紛れてこちらを狙う狙撃機に砲撃機。
アリアはすぐに狙撃機に向けてキャノンを放つと牽制ついでに砲撃機へショットガンを撃ち、それぞれが回避を選択すると一気に前衛のザクへ突撃。
『早い!! でも!』
たじろいだような動きが見えたが、即座に構えていたバズーカと左腕のミサイルポッドで迎撃する。
飛来してくるミサイルたちをアリアは頭部バルカンでバズーカの弾頭を撃ち抜いた。撃ち抜かれた弾頭は空中で爆破し、その爆発に巻き込まれるようにミサイルは誘爆。巨大な黒煙を生み出して視界を埋めた。
『ハァァァッ!!』
その黒煙を切り裂くのはヒートサーベルだが、その切っ先はガンキャノンを捉えず空を斬るに留める。
『いない!? どこに……!』
姿が見えなかったとはいえ、目の前から消えたガンキャノンにザクはすぐに周囲を索敵するその背後にビームサーベルを展開したガンキャノンが。
『アルマさん! 後ろ!!』
ガンキャノンの横なぎをすんでのところで聞こえた声に従い、ザクの巨体を前へと投げ出す。
それによりビームの刃はザクのランドセルの表面を微かに切りつけるに留め、追撃を仕掛けようとしたところに弾丸が飛来し、仕方なく追撃を諦め地面を滑るように……否、実際に滑って距離を取りつつビームライフルをそれぞれに1発ずつ放った。
『どわぁぁあっ!!』
『危な!?』
『ひゃぁ!?』
伏せていたザクは無様に転がり、狙撃機は大きく後退し、砲撃機は横へ移動することでビームをかわすと、融解した地面や木々を見て中のパイロットたちはその表情を引き攣らせる。
アリアは脚部のブースターの出力を調整しながら擬似的なホバー移動で後退しながら立て続けにキャノンを撃とうとした瞬間、再び耳鳴りが発生し狙いが逸れあらぬ方向へと砲弾が飛んでいった。
「チッ、またこれか……!」
『な、何この音……!?』
堪らず機体の操縦が疎かになり、林の中へガンキャノンが突っ込み姿勢が崩れる。
───せ、……を、せ……!
「ぐっ……うるさいっ……!」
頭に鳴り響く耳鳴りに声を荒げながらもアリアはガンキャノンを動かし、林から飛び出ると姿勢を正していたザクへ飛びかかった。
『ぐぅぅ!? こ、のっ!!』
ビームサーベルとヒートサーベルが鍔迫り合いによる火花が飛び散り、ガンキャノンとザクの頭部がぶつかり合うほどの至近距離で互いを睨みつける。
「貴方ですか、喧しい耳鳴りの発生源は!?」
『女の子!? って、耳鳴りってこの音のこと!?』
───せ! ……イプを、……ろせ!!
「『あぐっ!?』」
再び発生した耳鳴りにアリアとザクのパイロット、アルマは顔を顰め、レバー握る手が緩み機体が弛緩した。
それを見て狙撃機、ヘレナと砲撃機、ミアがアリアのガンキャノンへ攻撃を仕掛ける。
『アルマ!』
『離れてください!!』
「うるっ、さい!!」
『うわぁ!?』
アリアはアルマのザクの胴体を蹴り飛ばし、機体を後方へと跳躍させヘレナの狙撃とミアのミサイルをかわし、お返しとばかりに右肩のミサイルコンテナからミサイルとガトリングを放った。
『すばしっこいなコイツ!』
『大丈夫ですかアルマさん!』
『う、うん!』
ミアがアルマのザクへ手を貸して立たせ、ヘレナが次々とガンキャノンの向けて狙撃ライフルを放つが、アリアはその弾道が見えているかのように最小限の動きでかわしてみせる。
「チッ、面倒くさいなコイツら……」
モニターに映る3機のザクを睨み、アリアは舌打ちを零した。
それぞれがそれぞれをカバーし合い、死角や隙を潰している。強引に攻め込めば連携も崩せるだろうが、それを邪魔するかのように───
───こ、ろ……せ! ニュ……イ、プを……ろ、せ!!
喧しい耳鳴りが発生し、それにより操縦が疎かになり攻め手を継続できない。
おまけに耳鳴りの頻度も段々と多くなっており、その音も少しずつ明瞭となっていく。
それに比例するようにアリアの集中も途切れており、被弾も増えてきていた。それでも明確なダメージがないのは一重に彼女の卓越した操縦技術のおかげだろうか。
けれど、それも長く続かないことは彼女自身が理解しておりアリアは落ち着かせるように深呼吸を行う。
連携は巧いが、個々の実力はアリアよりも下だ。喰らいついているアルマもだが、それはアリアが耳鳴りによって不調だからこそ何とかなっているだけでしかない。
「タイムリミットは敵の増援が来るまで粘られることか……」
こうしている今も耳鳴りは続いており、視界にも何か変なモノが見えてきた……というか何だかザクたちのパイロットの声のような幻聴が聞こえてきたので、アリアはちょっとヤバいなと思ってきたりもする。
「父さんに叱られますかね。まぁ、その時はその時ということで…………」
レバーを握り直し、アリアはもう一度深呼吸を行う。
───ニュータイプを殺せ!!
「知りませんよ、そんなの!」
ついにハッキリと聞こえたその声の内容にアリアは突っ込みつつ、ペダルを勢いよく踏み込んだ。
アリアの指示に従い、ガンキャノンはブースターを全開にさせるとその巨体を加速させ前進させる。
「まずは貴方です!」
『ッ、そりゃ鬱陶しいやつから狙うよな!!』
狙撃で邪魔をしてきたヘレナに狙いを定め、当然邪魔をしようとアルマがその進路上に。ミアが砲撃を。
「邪魔です!」
『急に動きが!?』
斬りかかってきたアルマのヒートサーベルをアリアはシールドで受止め、サブアームを操作しシールドが溶断される前にその力の方向を受け流す。
大気圏でシャアがやったことをアリアが見様見真似で再現したことをやられ、アルマのザクはつんのめるようにガンキャノンのそばを通り過ぎていった。
「そこで寝てなさい」
体勢を崩したザクを振り返ることなく、ショルダーガトリングの砲門を向けその背中へ弾丸を叩き込む。
弾丸は口径の大きいものではないが、それでも連続して装甲の薄い箇所に叩き込んだことでランドセルの推進器を破壊され、アルマのザクのランドセルは推進剤に引火し爆発。
『うわぁぉぁっ!!?』
幸いにも機体のAIが判断し、内部にまで火が回るのを防いだがそれでも重要な部分を破損したためにアルマは少しの間行動不能となる。
『アルマ! チッ!!』
仲間がやられ、ヘレナはそちらに注意が向きそうになるが自分が狙われている為に、ミアへ任せ距離をとるためにライフルを撃ちながら後ろへジャンプする。
だが撃った弾丸はシールドによって阻まれ大した足止めにはならず、加えて機体性能の差で距離はあっという間に詰められていった。
「ッ!」
『クソッ、狙撃手に近接戦なんてやらせんなよ!』
そしてついにヘレナへと追いつき、アリアはビームサーベルを展開。ヘレナも近接武器のヒートナイフを取り出した。
一度目の左腕の袈裟斬りはライフルを盾にし、ヒートナイフで突く。それを上から右手による掌打で打ち据えられ防がれる。
二度目の切り上げは上体を逸らすことでかわそうとしたが、避けきれず胴体表面を一直線に切り裂かれ、負けじと引き戻したナイフで脇腹を切り裂こうとした所を脚を払われ、姿勢が崩れ不発。
三度目に頭部を切り飛ばされ、続けてナイフを持った右腕をシールドから発生させたビーム刃で肩口から切り落とされた。
四度目は胴体を蹴られ、地面へ仰向けに倒れるコクピットへショットガンの銃口を押し付け引き金を引こうと────
『駄目ぇぇええ!!!』
「っ!?」
コクピットを激しい振動が襲い、モニター全面に表示されるザクの顔を見てアリアは僅かに見開いた。
どうやらミアの駆るザクハーフキャノンがガンキャノンへタックルをしたことで、引き離したらしい。
「邪魔!」
『うぁぁぁぁっ!!』
接触回線により、コクピット内に響くミアの叫びに顔を顰めながらも全身のブースターを稼働させることで地面へ倒れるのを防ぐ。それでもザクの質量によるタックルはガンキャノンの姿勢を崩し、木々を押し倒しながら後退していく。
アリアはその横っ面へガンキャノンの拳を叩き込み、引き剥がそうとするがザクの腕はがっちりとガンキャノンの胴体を掴んでおり、緩む気配がなくアリアはビームサーベルを展開し、その背中へ突き立てようと────
した所をどこからともなく飛来してきたヒートホークが右腕を半ばから切り飛ばした。
「なっ!?」
『間一髪間に合ったか……!』
「お前は……!」
モニターに映るのは崖の上に立ち、こちらへとヒートホークを投げつけたと思わしき赤いザクをアリアは忌々しげに睨みつける。
「いい加減、退け……!!」
『あぐっ!?』
シールド裏のサーベルを起動させ、ミアのザクの片腕を切り落とし拘束が緩んだところを胴体に膝蹴りを叩き込んで引き剥がし、ブースターの出力を強めるとアリアはガンキャノンを立たせた。
「チッ、時間を稼がれたか……」
地面へ伏せる3機のザク達を睨みながらアリアはこちらを見下すザクの正体を看過する。
「本当に空気を読めませんね、シャア・アズナブル」
『……少しぶりだな連邦のパイロット。ガルマの援軍をやられるわけにはいかないのでな、加えて手傷を負ったお前を見逃す道理はない!』
互いに声が聞こえる訳では無いのに、会話をしているよう聞こえる呟きを零しながら赤いザク、シャアは崖から新しい乗機を飛び降りた。
「この程度の損傷なんてハンデにしかなりませんよ!」
先のタックルにより、ビームライフルとショットガンは何処かへ飛んでいった為に残った武装のキャノンと残り少ないミサイルとガトリングを放つ。
『甘い!』
その攻撃をシャアはブースターを噴射させることで弾幕の隙間を縫うように飛翔し、落下の勢いを乗せてガンキャノンに向けてヒートサーベルで切りかかった。
「いつも鬱陶しいんですよ貴方は!!」
左腕のサーベルを展開し、アリアはシャアの斬撃を受け止める。
衝突音と共にガンキャノンが押し込まれ、地面に2本の轍を描きながらもアリアはシールド裏のサーベルを展開。切りかかった。
『フッ!』
「ッ!」
2本目のヒートサーベルをサイドアーマーから抜き取り、シールドのサーベルを受け止められるがアリアはショルダーガトリングで動けないシャアのザクの顔面へ至近距離で重撃する。
『不意打ちにもならん!』
「チッ!」
脚部の大形ブースターを吹かし、ガンキャノンを飛び越え背後に回ることでガトリングをかわし、アリアは咄嗟に回し蹴りを放とうと────
───殺せ! ニュータイプを殲滅しろ!!
「あぐっ!? こんな、時にッ……!!」
耳鳴りにより、身体が一瞬だけ硬直し操作が途切れたガンキャノンは不自然な姿勢で停止する。
『? まぁ、いい。ここで落ちろ!!』
「こ、のっ……!」
シャアは訝しむが、目の前の隙を見逃すつもりはなくヒートサーベルを振りかぶる。左腕が肩口から切り飛ばされ、踏鞴を踏むがアリアは咄嗟にブースターによって姿勢制御を行うことで転倒するのを免れ、反撃の為にキャノンを───砲門が半ばから切り落とされた。
「チッ!」
ならばガトリングを撃とうと───した所を青いザクのような機体の指先から放たれた弾丸が突き刺さり、弾薬に誘爆。内部から破裂し、その破片がガンキャノンの頭部センサーをズタズタに引き裂く。
「メインカメラが……!?」
モニターの映像が途切れ、砂嵐に支配されたことに驚愕するがサブモニターやセンサーの情報を頼りにシャアのいる方向へシールドのサーベルを────振るったところでサブアームを切り裂かれた。
「グッ、舐めるなぁ!!」
『見苦しいな!』
兵装のほとんどを失って尚、アリアは吠える。だが、満身創痍のガンキャノンでは無理があり、容易くいなされると脚部を斬られ、立つことすら出来ずに地面へ倒れ込む。
激しい振動と共にアリアの小さな体が揺さぶられ、ヘルメット越しとはいえ頭を打ち据え意識が一瞬だけ暗転したが、意志の力でねじ伏せて己を見下ろす赤いザクを睨んだ。
『こうして見ると、呆気ないものだな連邦のパイロット』
足元に転がる宿敵のひとりを見てシャアは呟きながら、ヒートサーベルを逆手に持ち替えて切っ先をガンキャノンに向ける。
『こんな決着の仕方は好みでは無いが、これも私の目的のためだ。
…………許しは請わん、恨めよ』
コクピットに向けて赤熱した刃を振り下ろされ────ようとした瞬間、咄嗟に機体を後ろへ跳躍させた。
『シャァァァアッッ!!!!』
『やはりお前か、ガンダム!!』
そして響く叫びと共に空から飛来するのは白い機影は地面へと着弾し、土煙を引き裂いて現れたガンダム。
「にい、さん……?」
ノイズ走るモニターを見つめ、アリアは呟く。
『アリア、大丈夫か?』
「はい……すみません、兄さん。こんな無様な姿を……」
『お前が無事ならそれでいいさ。それより、父さん怒っていたぞ?』
「ごめんなさい……」
『色々言いたいけど、今は目の前の連中をどうにかしないとな』
アムロはガンダムの中で澄んだ表情をしていた。しかし、その内心はドロドロに融解した鉄のように煮えたぎっており今すぐにでも爆発しかねないほどの熱を帯びている。
「……よくも僕の妹を殺そうとしたな」
操縦桿が軋みかねないほどの力で握りしめ、アムロは吠えた。
「後悔させてやるぞ、ジオン!!」
BD「ムムッ!ニュータイプが近くにいるぞ?引き合わせて相打ちさせてやろう!!おら!喰らえ毒電波!!」
アリア、アルマ「「ぬわー!?」」
ガンキャ「お前、まじ許さんからな(ガチギレ)」
ガンダム「いけー、やったれ!アムロのぼん!!ジオンのクソどもなんていてこましたれー!!」
だいたいこんな感じ。EXAM出し毒電波くらい飛ばせるやろ
後継機
-
既存機体を魔改造
-
オリジナル機体