機動戦士ガンダムーRavens descend on U.C.ー 作:シャア、あんたちょっとセコイよ!
ガルマ三部作は見てない人は必見の価値アリですよ。
ホワイトベース内で襲撃の警報が鳴り響くより少し前、成層圏を悠然と巨大な飛行機が飛んでいた。
その全体のシルエットは海にいる鯨がまるで翼を生やしたかのような何処か愛嬌を感じられる姿のソレはジオンが地球で運用しているガウ攻撃空母だ。
そのブリッジにて一応の重力戦線の責任者の肩書きを持つガルマ・ザビは険しい目付きでモニターを見つめている。
モニターには大気圏を突破したばかりのホワイトベースが映っており、現在ガルマは友人からの連絡でスクランブルを実行し襲撃をかけようとしているのだ。
戦力としてはガウ含むドップが多数の航空戦力と、地上には待ち伏せのためにマゼラアタックというジオン製の戦車と重力下仕様のザクJ型を展開させている。
加えて、ガウの中にもう1機とある機体を収納しているがそのパイロットはもうじき届くはずだ。
「ガルマ様、コムサイが降下してきました!」
「収容しろ!」
部下からの報告にガルマは指示を送り、降下してきたコムサイがガウの後部に収容される。
程なくして何処か疲れた様子を見せる見慣れた仮面とヘルメットを付けた赤い軍服姿の男がブリッジへ姿を現した。
「やぁ、長旅ご苦労だったねシャア。道中は楽しめたかい?」
「楽しむかどうかは別として得難い経験だったのは事実だよガルマ。……これは正しくないな、地球方面軍司令官ガルマ・ザビ大佐とお呼びしても?」
「君と私の仲だ。ガルマでいいさ」
そう言い、ガルマが手を出すとシャアも同じように手を出して固い握手を交わす。
「それでガルマ、木馬は?」
「現在は後方上空に陣取っているが、襲撃しようにも手をこまねいているところだ。
実際に目にしてわかったが、君に言う通りあの艦には言葉に出来ないが妙な圧力を感じるよ」
「そうか、ならば君がわざわざ足を運んだ苦労もあったというわけだな」
「だな。けれど、友人を迎えに行きたいという気持ちも嘘ではないぞ?」
「ハハハ、むず痒いことを言ってくれるな。コホン、話は戻すがあの艦の性能も凄まじいが、厄介なのは中のMSだぞガルマ」
「君から送られてきたデータを見た時は目を疑ったよ。白いヤツと赤いヤツ……ガンダムとガンキャノンだったかな?
機体の運動性や堅牢さ……何よりも中のパイロットの技量がズバ抜けている。あの動きを見てたら我が軍のエースですら霞むようだよ」
「おまけに戦う度に白いヤツの動きは洗練されている。近いうちにジオンで奴にかなう奴はいなくなるだろうな」
「だからこそ、今この時、この場で奴らを数で囲んで叩くのだよシャア。
圧倒的な個であっても、物量の前では無力なのは古今東西の歴史書が証明している。
MSとそのパイロットが強かろうが、帰る
「それもそうだな。ガルマ、話は変わるが私が頼んでおいたものは用意できているか?」
「勿論だ。ちょうど君に見せたいと思っていたからな。着いてきてくれ」
ガルマはシャアを連れ、ガウの格納庫へ向かう。
「この機体が、現在君に贈れる最高の機体だ」
格納庫の一角に鎮座するソレを見上げ、ガルマはシャアへとその名を教えた。
「『MS-06G 陸戦高機動型ザク』、現在重力下で我がジオンが運用している陸戦型ザクIIに開発中の後継機『MS-07B グフ』のポテンシャルを移入して改修を施し、より運用を先鋭化させた機体だ」
「ほう……」
「といっても、グフと被る要素が多いし正式にグフが採用された為に50機しか運用されてないが……ザクに乗り慣れた君のために用意したんだ。恩着せがましい言い方になってしまうが、どうかな?」
「ふっ、確かに君の言う通りいきなり全く別の機体を渡されるよりも乗り慣れた機種のほうがやりやすいな。君のその心遣いに感謝するよ」
ご丁寧にパーソナルカラーの赤に塗装された陸戦高機動型ザクから視線を外し、シャアは笑ってガルマに返す。
「ありがとうガルマ。私は良い友をもった」
「喜んでくれたようで何よりだ。頭のおかしい連中が両手にヒートロッドを備えた腕部に変えようとしたところをスパナでぶん殴って止めた甲斐がある」
「そうか……うん? どういうことだガルマ?」
シャアは発言に引っかかりを覚え、思わず横を見ると苦々しい顔色をしたガルマが見えた。
ガルマはため息をこぼし、シャアに愚痴るように口を開く。
「……君が乗っていたザク、あるだろ?」
「オウル・イェーガーだ」
「やけに食い気味に訂正するな……ゴホン、とにかくそのオウル・イェーガーをデータを参考にこのザクを重力下仕様に改修をするよう整備班に言ったんだ。
ついでに連邦のMSとの戦闘記録を見させたのがいけなかったのか……奴らの何の琴線に触れたのか分からないが、やけに対抗心を燃やしてね。
『そっちが
「………………なんて?」
シャアは聞き間違いだと思ってガルマに聞き返すが、突然ガルマは地団駄を踏む。それはもう見事なもので、ジオンの首都のズムシティの通行人が見れば、100人中100人が首を揃えて縦に振るレベルで綺麗な地団駄を踏んだ。
「僕に聞かないでくれ! お陰様で意味のわからん理由で友にゲテモノを渡すんじゃないと整備士連中をシバキ回すハメになったんだ! しかも、そのせいで殆ど改修できない素体のまま渡すことになったんだ!!
というかなんなんだジオンの技術者連中は! ザクに次ぐ後継機を作るのはまだいい……それがなんで格闘戦特化のグフになるんだ!! いずれ来たるべくモビルスーツ同士の接近戦を考慮してだと……? そんな簡単に接近できてたまるかバカがよォ!!
いや、格闘戦に重きを置くのはまだいい。問題なのは武器だ武器!! なんで複雑な可動部のあるマニュピレーターを射撃武器にした!? ザクマシンガンじゃダメなのか!? オマケに打ち切ると基地か母艦に戻ってばらさないと弾を補充できないとか舐めてんのか!
ヒートロッドもそうだ! 敵の意表を突くという着眼点はいい。それがなんで鞭になるんだ!? 振りがデカすぎて隙になるし無駄に構造を複雑化させてるだけじゃねぇか!
というか後継機は普通にザクの強化型かそれを踏まえたヤツでいいだろ! 何が必要なのか理解してない本国の連中は1回全員前線に来いってんだッッッ!!!!」
頭を掻き毟って叫び散らかす友の姿にシャアはドン引きした。総司令官というのは大変なんだなーと漠然とした考えではあったが、ガルマのこの様子を見たら己の想像はちっぽけなんだと理解させられる。
ひとしきり溜め込んでいた不満を吐き出し、深呼吸をなんどかした後に顔を上げたガルマの顔は何処かスッキリしたようにも見えた。
「さて、話は戻すが一応最低限の手は加えてある。君好みのピーキーな操作感だが問題は無いかね?」
「あ、あぁ。可能なら試運転もしたいところだが、今はシミュレーターで我慢しよう」
「そうか、まだ木馬を狩場に追い込むまで時間はある。存分にやってくれ」
「そうさせてもらうとしよう」
キャットウォークを降り、シャアは新たな乗機の元へ向かうが、先の狂乱は無かったかのように会話を再開させたガルマはちょっとだけ怖かったと、後にシャアは語ったとかなんとか……
時は戻り、揺れるホワイトベースの中で格納庫に続く通路を駆けるアリアは別の通路からやってきたアムロと合流した。
「アリア、放送は聞いたな!?」
「ええ、はい。パイロットは機体で待機ですが、私のガンキャノンは……」
現在、アリアのガンキャノンはオーバーホール中のため出すことは叶わない。
それはつまり、アムロが1人で戦うことになるのだ。
アリアのその内心を読んだのか、アムロは微笑んでその頭を撫でながら不敵な笑みを浮かべる。
「確かに1人で戦うのはこれが初めてだけど相手は戦闘機だけなんだ。強化したガンダムなら簡単に蹴散らせるさ」
「ですがモビルスーツは陸戦兵器ですよ兄さん?」
「推力を強化したから短時間なら飛べるから問題ないよ。じゃ、行ってくる」
ガンダムの元へ向かう兄の背をアリアは見送り、そこでアリアは格納庫にスタンバイしていた戦車のような機体……ガンタンクに気がついた。
「…………ふむ」
アリアは少し考えた後、周囲を見渡して小さく頷く。
「ガンダム、準備はいいか?」
『はい、いつでも行けます!』
ブライトはアムロからの返答に頷き、振り返る。
「いつでも出撃できるそうです」
「なら早く出せ! さっさと鬱陶しい羽虫を落とすんだ!」
艦長席に座り、ふてぶてしい態度で唾を飛ばすのはホワイトベースの地球降下を誘導していた降下艇の乗組員のリード・ラウド大尉だ。
ブライトは鬱陶しそうな表情をしながらもその命令に従い、アムロへ指示を下す。
「だ、そうだアムロ。現在ホワイトベースに攻撃を仕掛けている敵戦闘機ドップの撃破を頼む。……アリアはどうした?」
『アリアは乗れる機体がないので待機です。だけど、戦闘機程度ならガンダムで十分ですよ』
「何を食っちゃべっている! さっさと出撃しろ!」
「……喧しいやつだな。ンンッ! 総員戦闘配置!! 迎撃を密にして敵を近づけさせるな!」
「アムロ、行きまーす!!」
ホワイトベースの右舷ハッチが展開され、ガンダムはカタパルトから射出されると青い空へ放り出され、進路上にいた玩具のような見た目をした戦闘機、ドップへキックを放つ。
ガンダムの質量をもろに受けたドップは爆散し、ブースターから炎が迸りガンダムの巨体を空へ浮かばせた。
「まずは1つ! 2つ!」
『う、うわぁぁぁっ!?』
『モビルスーツが飛んで!?』
ビームライフルの一撃がまたひとつふたつ空に火球を生み出し、別のドップを足場替わりに踏みつけることで高度を稼ぎアムロは次々と撃ち落としていく。
ホワイトベースの周りには数えるのも面倒なほどドップが飛び回り、正確に狙いをつけずともアムロの腕なら簡単に撃ち落とせた。
加えて、推力を重点的に強化したガンダムならば陸戦兵器であっても短時間は飛行を可能とし、適宜ドップを足場にして高度を維持して戦える。
『後ろから当てればひとたまりも無いだろ!?』
「残念!」
背後を急襲したドップは肩のアームに懸架したビームライフルが貫き、飛んできたミサイルを頭部バルカンで迎撃。
「空は自分たちだけの領域と思ったかジオン!!」
アムロは吠え、またひとつドップを叩き伏せた。別の戦闘機を狙おうとしたところで……
「地上部隊だと!?」
高度を落としたホワイトベースを狙って多数展開したマゼラアタックの部隊を見たアムロは目を見開く。
「クソッ、邪魔だ!!」
戻ろうとするが、それをドップが妨害して行かせないようにしてきた。
「どうにか持ちこたえてくれよホワイトベース!」
「タンクタイプのACとは多少違いますが、同じタンクですし問題ないですね」
アムロが上空でドップを相手に鴨打ち状態をしている時、アリアはガンタンクのコクピットに忍び込んでいた。
ガンタンクは分類上MSだが、本質的には戦車をモビルスーツサイズにしたような兵器だ。
そのため、機体の操縦担当と攻撃を担当する砲手の2人で運用する為に操縦席が胴体と頭部にひとつずつあるが、一応はどちらのコクピットでも機体の操縦と攻撃も可能である。
「まぁ、航空部隊だけなら出番は無さそうですが」
保険としてこうしてみたが、アムロひとりで十分そうだと思ったところで不意にアリアは背筋を這うような不快な感覚を覚えた。
直ぐに手元のスイッチを押してブリッジへ通信を行う。
「ブリッジ聞こえますか? 直ぐに発進準備を」
『あら、アリアちゃん? 貴方、待機のはずじゃ……』
「フラウさんですか。保険としてガンタンクの中にいたんですが……とにかく、格納庫のハッチを────
『おい、なんで子供の声がするんだ!?』
アリアの発言を遮るかのごとく、フラウと後ろから聞こえてきた怒鳴り声にアリアは僅かに顔を顰めた。
ガンタンクのシステムを手早く起動しつつ、アリアは告げる。
「とにかく敵の攻撃が地上から来ます。迎撃に出せるのが現状この機体だけなのですから
『ブライト中尉! アリアちゃんが敵が来るから出撃したいと言ってます!』
『どういうことだアリア?』
「言葉通りの意味です。あえて説明するなら勘です」
『そんな曖昧なものを信じろというのか!?』
『……本当なのか?』
「問答してる暇があるのですか?」
動きのトロイ様子に少しだけ辟易したアリアだったが、一際大きな振動がホワイトベースを襲い、遅かったかと呟いた。
『ち、地上部隊です!!』
「……だ、そうですが? 良かったですね、向こうが証明してくれましたよ」
皮肉を込めて言うと、ブライトの苦虫を噛み潰したような声色が聞こえてくる。
『迎撃急げ! ……高度はあるが、行けるか?』
「問題ありません」
『わかった。アリアの乗っているガンタンクの出撃準備を! 砲手にリュウを乗せろ!』
「必要ありません」
『なっ、ガンタンクは2人で運用する機体だぞ!?』
「別に1人で動かせますから。それと」
アリアはガンタンクのOSを1人用のものに変更させ、シートベルトを閉めると視線を前へ向けた。
「多分、動きに着いて来れなくて吐きますよ」
『発進準備できました! 格納庫ハッチ開きます!』
そしてハッチが開閉されると進路上に何も無いことを確認してアリアは勢いよくペダルを踏み込む。
ギャリリリリッ!!!
履帯が勢いよく回転し、ブースターが点火すると凄まじい速度でガンタンクが空中へその巨体を投げ出した!!!
「アリア・レイはガンタンクで出ます!」
実際、ACのガチタンみたいな動きしたら速攻フレームとかいかれそう
後継機
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既存機体を魔改造
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オリジナル機体