機動戦士ガンダムーRavens descend on U.C.ー   作:シャア、あんたちょっとセコイよ!

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伸びてて嬉しいです。


Chapter 2.Gravity pulled my body along.
7.A maiden thinks


「はぁぁぁぁあっ…………生きた心地がしないな……」

 

 警告音鳴り響くオウル・イェーガーのコクピット中でシャアは力無くシートに背を預け生気の無い声色で呟く。

 大気圏突入のためについ先程、コムサイへと収容されたシャア含むオウル・イェーガー。本当ならさっさと叩き落とした白と赤のモビルスーツが大気圏で燃え尽きる様子を確認した方がいいのだが、今のシャアにはそれをするだけのスタミナが残っていなかった。

 

 手を動かすことすら億劫だったが、最低でも連絡くらいは入れた方がいいと思いシャアは通信のスイッチを入れる。

 

「ドレン、目標は?」

 

『はっ、その事なのですが……』

 

「どうした?」

 

 操縦席にいるドレンのやけに歯切れの悪い声にシャアは眉根を寄せて再度問うが、思考の冷静な部分では朧気ながらも答えを察していた。

 

 シャアの急かす声にドレンはやがて観念したように答える。

 

『敵MSはどちらも大気圏を無傷で突破した後、木馬に回収された模様です』

 

「……そうか」

 

『はっ、驚かれないので?』

 

「いや、充分驚いているさ。だが、リアクションをするほどの体力が無いだけだ。

 ……そうか、あれだけの準備を行い、ザクを7機も投入し、改修した私の機体を用いても1機すら落とせないとは逆に笑えてくるよ」

 

 たかがモビルスーツ2機と戦艦一隻に過剰過ぎる全力を投入したはずが、その全てを鎧袖一触で蹴散らされ危うく宇宙の藻屑になりかけたシャアは乾いた笑いを零しながらドレンも同意したように嘆息する。

 

『まったく、厄介なものです連邦の新型は』

 

「心の底から同意する。それで、木馬の予測降下地点は絞れたか?」

 

『はい、南米に降りるコースから外れグランドキャニオン辺りかと』

 

「そうか。なんとか降下地点をズラすことに成功したみたいだな」

 

『ええ、我々の勢力圏に引き込めればどうとでもなるでしょう』

 

「だといいがな。……無線が回復次第、北米大陸司令官のガルマ大佐を呼び出してくれるか?」

 

『了解しました』

 

 通信を切り、シャアは漸くオウル・イェーガーのコクピットから外へ出る。

 コムサイのタラップを踏み、シャアは酷使させた己の機体をゆっくりと見上げた。

 

 全身の装甲には無数の裂傷が走り、左腕は肩口から先は無く内部の機構が露出しオイルがコムサイの床を汚し、広がった水たまりがブーツの先に触れる。

 

「……済まないな、お前を再びボロボロにしてしまって」

 

 塗装が剥がれた装甲へ触れればまだ微かに暖かく、その感覚がまるで落ち込んだ自分を励ましているような錯覚を覚え、シャアは苦笑した。

 

「可能なら直してやりたいところだが……不可能かもしれないな」

 

 コクピットから降りる前に見た機体コンディションはレッドゾーンを通り越して最早爆散する寸前まで悪化しており、パイロットの知識からしても直すくらいなら新造した方が早いほどだったのを記憶している。

 つまりは苦楽を共にした愛機とは地球に降りればお別れということだ。

 

 何処と無くノスタルジックな感情になりながらもシャアは名残惜しい感覚を振り払い、その場を後にする。

 操縦席へ向かうその背中を2つのモノアイが見つめ、そして扉が閉じられ静寂が訪れるのだった。

 

 

『よう、なんだい? 赤い彗星』

 

「その呼び名は返上しなくっちゃならんようだよ、ガルマ・ザビ大佐」

 

『ハハハ、珍しく弱気じゃないか?』

 

「敵の『V作戦』は聞いたことはあるか? その正体を突き止めた……といえばどうする?」

 

『なんだと?』

 

 モニターに映る青年はシャアのその声を聞き、前髪を弄っていた手を止める。

 整った顔立ちだが、どこか甘さの感じれる青年ことジオンを牛耳る一族の1人、地球方面軍司令官ガルマ・ザビ大佐は改めて向き直るとシャアに向けて続きを促した。

 

「とにかく、私はその過程でザクを11機も落とされてしまったよ。加えて私自身も2度も落とされかけた」

 

『酷いものだな……まさか君がそこまでの事になるなんて。そんなに凄いのか?』

 

「口で説明するより見た方が早い。後で戦闘ログを送ろう。

 決死の作戦でどうにか連中をソチラへとたたき落とした。君の手柄にするといい。私たちは後ほどそっちへ向かう」

 

『わかった、君の好意は素直に受け取るとしよう。ガウを直ぐに迎えに寄越すよ』

 

『は!』

 

「ああ、それとひとつ頼みたいのだがいいだろうか?」

 

『うん、なんだシャア? 友の頼みとあらば出来る限りのことをしようじゃないか』

 

 柔らかい笑みを浮かべ、ガルマがそう言うと相変わらず甘い坊ちゃんだ、と親友の変わらない姿に笑みを返しながらシャアは言う。

 

「出来れば陸戦用のMSを用立てて欲しい。後ほど送る私が使った機体のデータを送るから可能ならこれと同じくらいの性能のやつがいい」

 

『いいだろう、君ほどの奴がそこまで言うくらいなんだ。ただのザクでは歯が立たないだろうからな。

 丁度試作段階のやつがある。君が送ってくるデータを元に手を加えておくよう言っておくから、それを回そう』

 

「すまないガルマ、恩に着る」

 

『君と僕の仲だ。これくらいどうって事ないさ。おい、話は聞いたな? 動かせる部隊は全て回せ! 緊急出動だ!!』

 

『ハッ!』

 

 それを最後に通信が終わり、シャアはコムサイのシートに座ると誰に聞かせるでもなく冷笑を浮かべて呟いた。

 

「さぁ、お手並み拝見だガルマ。ザビ家のお坊ちゃんでないことを見せてみろ」

 

 

 

 

 

 

 

「それで、赤いヤツはどうやって大気圏を突破したんだ?」

 

「はっ、遠望から見た感じですがシールドとザクを盾にして大気摩擦による熱を防いだ模様です」

 

「そうか。シールドとザクで……なんだと?」

 

「はい、シールドとザクをこう足で踏みつけて降下の盾にした感じです。

 雑にですが絵に表すとこんな感じですよ」

 

「やけに上手いな…………頭おかしいんじゃないか赤いヤツは?」

 

「えぇ、はい。見ていてドン引きしました。幾らなんでも人のやることなのか? ……と」

 

「たしかこれに乗っていたのはクラウンだったな?」

 

「ええ、はい。出来れば安らかに眠って欲しいです」

 

「……死んだ後もこんな扱われ方では浮かばれんからな」

 

 

 

 

 

「ガンキャノンのメンテが先だ! 目立った外傷は無いが突入前に被弾した状態で大気圏に突入したんだ、内部にかなりのダメージが蓄積していてもおかしくないからな!」

 

 格納庫でアリアがコクピットから出ると聞こえてきたのはそんなテムの怒鳴り声だった。

 足場の上から下を覗けば、ガンキャノンの足元を何人もの整備士が群がっているのが見える。

 

 その中でテムがアリアに気がつくと手を挙げて声をはりあげた。

 

「アリア! よく無事だった!」

 

「はい、ガンキャノンの堅牢さのおかげです」

 

 労うように赤い装甲を撫で、アリアはタラップを降りる。

 

「2人とも、疲れてるところ悪いが改修した機体たちはどうだったか聞かせてくれるか? 

 突貫で仕上げたから不具合が出ていてもおかしくないからな」

 

「幸いなことに特にそんなことはなかったよ父さん。おかげでシャアと渡り合えたからね」

 

「はい、どの兵装も問題なく機能しました。……ですが幾つかは消失することになってごめんなさい」

 

「それくらいどうって事ないさ。ガンキャノンに追加したのはどれも取り外しがしやすいものだからな」

 

 少しだけ気落ちしたアリアだったが、その頭をテムとアムロが優しく撫でる。

 

「そうそう、1人で殆どのザクを落としたんだ。それくらいの損害なんてお釣りが来るレベルさ」

 

「喪失したものはすぐに補充しておくとしよう。あぁ、それとアムロ。ガンダムとガンキャノンの高機動装備は重力下だと機動力が落ちる。

 その調整をしたいから手伝ってくれ」

 

「わかった」

 

「私はどうすればいいでしょうか?」

 

 アリアが尋ねるとテムは神妙な顔になってため息をこぼした。

 

「やむを得ず地球への降下角度がズレたせいで敵の勢力圏に入ってしまった。恐らくジオンの連中がちょっかいを出してくるだろうからパイロットは交代で休息をとることになる。

 アリア、お前は今のうちに休みなさい」

 

「わかりました。父さん、兄さんもご無理はなさらないでくださいね?」

 

「言われなくても番になったら休むよ。じゃないと前みたいにアリアに絞め落とされるからね」

 

「……アムロ、お前は私がいない時に何があったんだ?」

 

「ハハハ、ノーコメントで。……いや、ホント聞かないで父さん」

 

「実は寝る間も惜しむどころかトイレ行くのを面倒くさがって、ペットボトルに────」

 

「わぁー!! アリア、それは言わないって約束しただろう!?」

 

 アムロは慌てたように叫び、己の痴態が父親の耳に入る前にアリアの背を押して強引にエレベーターへ押し込みボタンを押すのだった。

 危機は去ったと額の汗を拭い、アムロは振り返るとそこには腕を組んで青筋を浮かべるテムの姿が見え、拭ったはずの汗がダラダラと流れ始める。

 

「…………アムロ」

 

「な、なんでしょうか」

 

「とりあえず、作業を始める前にそこに直りなさい」

 

「……はい」

 

 何を言っても逆効果だと察し、アムロは言い訳をせず素直にその場で座ると項垂れるのだった。

 

 

 

 アリアが休むために与えられた個室に向かっていると、通路の奥から見知った少女が歩いてくるのを発見する。

 それと同時に向こう側もアリアを見つけ、その顔を明るくするのだった。

 

「アリアちゃん! っとと……」

 

「走ると危ないですよミアさん。それで、どうしてこちらに?」

 

「えっとね軍人さんたちがアリアちゃんが帰ってきたことを言ってたから迎えに来たの。おかえりなさいアリアちゃん」

 

「そうだったのですか」

 

 駆け寄ってきたミアだったが、立ち止まろうと転びそうになったところをアリアが受け止める。

 アリアが理由を尋ねると、ミアのその言葉に微笑んだ。

 

「お部屋に戻るんでしょ? 一緒に行こっか」

 

「ええ、そうしましょうか」

 

 手を繋ぎ、2人は通路を進む。

 

「お兄さんはどうしたの?」

 

「兄さんは父さんと共に機体のメンテナンスと調整のお手伝いです。

 パイロットは交互に休むように言われたので、先に私が休ませて貰いました」

 

「そっか……やっぱり怖い?」

 

「いえ、兄さんが一緒に戦ってくれますし父さんが機体を整備してくれますから平気ですよ」

 

「本当なら軍人さんたちが乗るものなんでしょ? 何時までアリアちゃんが乗らなきゃいけないのかな……」

 

「正規のパイロットがいませんし、ホワイトベースを動かすにも人がカツカツですし、機体の整備もあります。どこにも余裕がありませんからね。

 ジャブローまでは乗ることになるでしょう」

 

 アリアが特に気にした様子もなく言うと、不意にミアが立ち止まり手を繋げていたためにアリアと釣られて止まることになった。

 

「? どうなさいました、ミアさん」

 

「……私、怖いよ。アリアちゃんが死んじゃうかもしれないから」

 

 俯いたミアの表情は分からないが、その声を震えており空いている手は服の裾を掴んで震えている。

 

「ミアさん……」

 

「コロニーにジオンの人達が攻めてきた時、アリアちゃんが居なかったら私が死んでたかもしれない。パパとママも会えなかったかもしれないと怖くて仕方ないの……

 でも、でもね。アリアちゃんが死んじゃうって思ったらもっと、もっと怖くて怖くてたまらないの……」

 

 痛くなるくらいアリアの手をミアは握りしめるが、アリアは顔色を変えずに彼女の言葉を聞いた。聞いた上で、アリアは告げる。

 

「人は死にます。どう足掻いても平等に。数秒後かもしれないし、明日かもしれません」

 

「ッ……」

 

「ですが、今こうして私は貴方とここに居ます」

 

「───!」

 

 アリアはミアと繋いでいた手を解き、彼女の手のひらを自分の頬へ触れさせた。

 

「どうか、私の無事を祈っていてくれますか?」

 

「ずるいよ、そんなことを言われちゃったら……女の子なのに勘違いしちゃうよ?」

 

「? どういうことでしょうか……」

 

 何が変なことを言っただろうか、アリアはミアの反応に首を傾げる。そんな様子がおかしく映ったのか、ミアは吹き出して笑い声を開げる。

 

「アハハ、アリアちゃんは強いね」

 

「はい、こう見えて喧嘩は得意ですよ」

 

「そういう事じゃありませーん。アリアちゃん、汗臭いよ〜?」

 

「む、さっきまで戦ってましたから仕方ないじゃないですか。……ですが汗をかいてるの事実なのでシャワー浴びてから仮眠を取ります」

 

「あ、じゃあ着替え持ってくるね」

 

「お願いしますミアさん。部屋の番号は───で、着替えの入ったバッグは机のすぐ横に置いてますので」

 

「うん、わかった机の横ね」

 

 アリアとミアは会話を終わらせ、別れるのだった。

 

「はぁ……アリアちゃんの馬鹿」

 

 ミアの呟きは空気に解けるように消える。




テム「・・・・・こりゃ暫く出すのは無理そうだな」

ガンキャノン「あ、あかん・・・・全身の関節がヤバい・・・テムのおやっさん、はよなんとかして!!」

???「僕の出番か」

後継機

  • 既存機体を魔改造
  • オリジナル機体
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