機動戦士ガンダムーRavens descend on U.C.ー   作:シャア、あんたちょっとセコイよ!

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3.First battle

 暗く、広く、何処までも続く世界。その中でアリアはガンキャノンのコクピットに収まり、機体を動かす。

 

「マニュアルは流し読みしたが、やはり実際に戦ってみないことには分からないか……」

 

 ブースターを吹かし、四肢の動作でバレルロールを行い機体の慣熟を行いながらアリアは武装を確かめた。

 

 右手にライフルを握り、左手にモーニングスター。両肩の大口径キャノン。可能ならばキャノンを取っ払い、代わりにミサイルとシールドが欲しかったが、そこはガンキャノンの装甲と性能に期待しよう。

 

 機体のレスポンス確認も程々にアリアはモニターに映る白い機影を見付け、回線を開いた。

 

「ガンダム、聞こえてますか? 兄さん、私です」

 

『アリア!? なんでお前がここに……』

 

「兄さんだけだと心配でしたので。父さんに無理を言って出してもらいました」

 

『っ〜! あぁ、もう! 親父は何をしてるんだ!』

 

「あまり怒らないでください兄さん。父さんもすごく渋ってましたから」

 

 ガンダムの隣で停止させ、アリアは前を見すえる。

 

「言いたいことはあるでしょうが、まずは目の前のことを片付けましょう」

 

『・・・わかった。絶対に無茶はしちゃダメだぞアリア?お前は女の子なんだから』

 

「もちろん、父さんには必ず帰ると約束してますので」

 

 

 

 シャアは愛機の中で表情を険しくさせていた。先の偵察でザクを3機失い、加えてその後に行った連邦の秘密作戦の情報を得るためにコロニーへ忍びこんだはいいが、そこでも部下のひとりを失った。

 数時間のうちにかなりの戦力を失い、挙句には秘密作戦のデータすら得られていない。このままでは己の野望が遠ざかってしまう。

 

 故に、自然と操縦桿を握る力が強まりシャアはモニターの奥で映し出される白と赤の機影を睨みつける。

 

「……見せてもらおうか、連邦軍のモビルスーツの性能とやらを!」

 

 まずは挨拶がわりにバズーカを放ち、呟くのだった。

 

 

 

 

「行きます!」

 

『あぁ!』

 

 ガンダムとガンキャノンは二手に別れ、迫ってきた弾頭を交わし背後で爆発。

 右手のビームライフルを構え、アリアは引き金を引いた。ライフルの銃口からは桃色の光芒が放たれ、敵機へと向かっていく。

 

『甘い!』

 

 だが、それを見切る赤いザクは即座に脚部のブースターを吹かせ、上昇すればお返しとばかりにバズーカを連射。

 

「……!」

 

 それを見たガンキャノンの2門ある内の片方のキャノンから砲弾が放たれた。赤いザクの放った弾頭に向け迎撃の為に撃ち出された砲弾は中ほどの距離で爆発。爆風と共に内部から小型の金属球が飛び出した。

 それらは高速で弾頭にぶつかり穴だらけにすると爆発し、宇宙空間に爆炎の花を咲かす。

 

 その光を切り裂いて内部から2機のザクが突っ込み、ガンダムとガンキャノンに向けて赤いザクは残弾のないバズーカを投げ捨て、腰部からマシンガンを取り出し引き金を引き、続くように僚機の緑のザクが大型の実弾ライフルを放った。

 

 曳光弾の輝きが宇宙を彩り、アリアとアムロは機体のブースターを稼働させ射線から外しながらそれぞれの武器の引き金を引く。

 

 桃色の光芒は進むが、先程と同じように2機のザクは散開し攻撃を交わし距離を詰めながら銃弾を放ち続け、ガンダムとガンキャノンは円を描くような動きながら銃弾を避けつつ、ビームを撃った。

 

 途中敵の弾がガンキャノンとガンダムに直撃することはあったが、どちらも堅牢な装甲だった為に有効打にならず戦闘行動に支障はない。

 

 それを数度繰り返したところでアリアは赤いザクに向けて叫ぶ。

 

「この角付き、速い!!」

 

『撃っても簡単に避けられてしまう……コイツはエースだ!』

 

『どうやら機動性と加速性はこちらが上のようだな!』

 

 赤いザク、シャアは専用機の中でガンキャノンの性能を見てほくそ笑む。

 白い方はガンキャノンよりも性能は高いが、中のパイロットが素人なのだろう。ガンキャノンに比べて狙いと動きが甘い。

 乗っているのが逆だったならば危なかっただろうが、ジオンが誇るエースたるシャアには余裕だった。

 

『マチュウ! お前は白い方を抑えろ! 私は赤い方をやる!!』

 

『了解です少佐!』

 

 部下に指示を送り、アリア(ガンキャノン)へと狙いを定めたシャア。

 

『近接武器ならばその装甲も抜けられるだろう!』

 

 ヒートホークを抜き放ち、その刀身を赤熱させ一気にガンキャノンへと飛び込んだ。

 

「堕ちなさい!」

 

 迎撃のために2門のキャノンから砲弾を放つが、シャアは最小限の動きで機体を斜めにすることで砲弾と砲弾の間を通り抜けるという神業を披露。ガンキャノンの懐へ飛び込んだ。

 

『もらった!!』

 

『アリアッ!!』

 

 確信持って取れたとシャアはヒートホークを振りかぶり、やらせまいとアムロがガンダムを飛ばす。だが、それを緑のザクが邪魔をする。

 

「フッ!!!」

 

『なぁ!?』

 

 既のところ、ガンダムハンマーの鉄球がヒートホークを握るザクの腕を殴り砕いた。

 ガンキャノンは鎖と鉄球の接続部を掴み、分厚い鉄の塊を即席の篭手へと使用しアリアはそれでザクの腕を殴ることで迎撃を成したのだ! 

 

「ハァッ!」

 

『ぐあっ!?』

 

 あらぬ方向へ吹っ飛んでいくヒートホークを他所に、つんのめるような体勢の赤いザクに向けてガンキャノンの膝蹴りが顔面へと突き刺さる。衝撃に内部のシャアが悲鳴をあげた。

 強制的にかちあげられたザクに向けて両肩のキャノンを────放とうとしたところで、即座に後方へ機体を移動。両者の間に光点が通過する。

 

『シャア少佐! ご無事ですか!?』

 

『すまない! あの赤いの、なかなかにやるぞ!』

 

『ハッ!』

 

 素早くザク達は距離を取り、ガンダムはガンキャノンの側へ近づいた。

 

『アリア、無事か!?』

 

「問題ありません、兄さん敵が来ます!」

 

『了解!』

 

 ガンダムはライフルをガンキャノンがキャノンを構え、ビームと砲弾を放つ。

 ビームと砲弾はザクたちへと放たれるが、それをザクは左右に別れて躱しお返しとばかりにマシンガンを放った。

 

『えぇい! ザクマシンガンでは抜けないか!!』

 

『このままじゃジリ貧だぞ!?』

 

「鬱陶しい!」

 

 互いに有効打を与えられず、ジワジワと削られていく有様に両者は冷や汗をうかべる。

 その最中でアリアはアムロに向けて叫んだ。

 

「兄さん!」

 

『何だアリア!?』

 

「合わせてください!!」

 

『……わかった!』

 

 兄妹として時間を過ごしたが故か、アリアの考えをアムロは察し、即座にブースターを吹かし加速。

 

『逃がすか!!』

 

 ガンダムに緑のザクが、ガンキャノンに赤いザクが張り付き追いかける。

 機体の出せる限界の速度を維持し、緩やかなカーブを描くようにガンダムとガンキャノンは突き進んだ。

 

『何をする気だコイツは!』

 

『血迷ったか!?』

 

 そしてザクたちは気がついた。ガンダムとガンキャノンはお互いの進行方向を塞ぐように直進を続てることに。

 その背後をガンダムに緑のザクがガンキャノンには赤いザクが迫りながらそれぞれの武器が火を噴く。

 

「兄さん!!」

 

『あぁ!!』

 

 コンマ数秒で激突するところを両者はほぼ同時に一瞬だけ最大出力でブースターを吹かす。それにより、上昇と下降を行うことで軌道から逸れることとなった。

 

『『なにっ!?』』

 

 そしてシャアたちは気がつく、自分たちは誘い込まれたということに。

 ガンダムの進路上には赤いザクが、ガンキャノンの前には緑のザクが。

 ガンダムはランドセルからビームサーベルを引き抜き、ガンキャノンはハンマーの鎖を伸ばし、機体全体の片方のブースターを稼働し、機体を回転させる! 

 

『間に合えぇえぇえ!!』

 

「砕けろ!!」

 

『ぬぅぅぅうっ!!』

 

『おおおおお!!?』

 

 加速によるGに顔を顰めながらアムロは加速の勢いを乗せた斬撃を赤いザクへ振り下ろす。

 アリアは遠心力を乗せたハンマーの横なぎがザクの胴体をぶち抜き、抉り砕いたことで爆散。

 

『マチュウ!?』

 

 シャアはギリギリ回避が間に合ったが、避けきれずに残った左腕が肩口から溶断されガンダムのすぐ真横を通り抜けていく。

 

『すまないアリア! 赤いザクを取り損ねた!!』

 

「カバーします!!」

 

 アムロからの通信を受け、アリアはその場でガンキャノンを急速ターン。高速で飛来する腕のないザクにむけてキャノンを放った。

 

『舐めるなぁ!!』

 

 両腕を失い、機体バランスが崩れたことで姿勢を安定させるだけでも一苦労だというのにシャアは極度の集中力を発揮。即座に機体を安定させ、迫り来る砲弾を再び間を縫うようにかわしてみせる。

 2度の神業を成したシャアだったが、アリアは冷静にビームライフルによる狙撃で打ち抜く為にライフルを構えようと……した所で銃口を下ろし、そのすぐ真横を赤いザクは通り過ぎていった。

 

「……ライフルの残弾がありませんね。砲弾も、推進剤もカツカツです」

 

 サブモニターに表示される機体ステータスどれも補給を必要としており、アリアは追撃をすることが出来なかった。

 相手の悪運の強さに遠ざかる機影を睨みながらアリアは近づいてきたガンダムに通信を送る。

 

「申し訳ありません兄さん、残弾管理を怠ってしまい取り逃がしてしまいました」

 

『いいや、今は生き残れたことに安心しようアリア。……ホワイトベースに戻ろうか』

 

「ですね。兄さん、申し訳ありませんが曳航してもらっても?」

 

『勿論だよ。エスコートは任せてくれお姫様』

 

「ふふっ、頼みますよ騎士(ナイト)様?」

 

 差し出したガンキャノンの手をガンダムが優しく握り、きちんと握り返すのを確認するとホワイトベースに向けて進み始めた。

 

 

 

 

「クソッ、連邦のモビルスーツは化け物か!?」

 

 レッドアラートが鳴り響くザクのコクピットでシャアは先程の戦闘において戦慄を隠せず、脅威の叫びを上げる。

 

「……特にあの赤いやつが最後に撃ってきたら終わりだった」

 

 脳内に浮かぶ2機のモビルスーツの片割れを思い起こし、最後の瞬間は正に危機一髪だった。

 あの戦艦の主砲を思わせるようなビームが撃たれていれば、今頃己は部下たち同様に宇宙の藻屑となっていただろうと。

 

 今だけは己の幸運に感謝し、シャアは焦燥を募らせながらも母艦へ帰還することを優先させる。

 必ず、己の野望を成功させるために。




現在の戦闘力アリア>>>アムロ

後継機

  • 既存機体を魔改造
  • オリジナル機体
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